このコーナーは、本誌と連動する 『スマッシュ調査団』と『テニスフリートーク』で構成されています。
 『スマッシュ調査団』は、テニスに関する素朴な疑問を調査・解決していく、本誌で大好評連載中のコーナー。毎月寄せられる多くの依頼に本誌だけではとても答えていけそうにない。というわけで、インターネット部門を開設することになりました。このコーナーは随時更新していく予定なので、こまめにチェックして下さいね。依頼は、従来通り本誌宛へのお葉書はもちろん、インターネットでも受付けます。インターネット受付分から本誌への展開もあるので、「アレって何かな?」と思ったら、依頼してほしい!
◆応募方法
・下にある投稿ボタンより専用フォームを呼び出して、必要事項をすべてご記入の上送信して下さい。
・投稿されたご意見は、編集部を経由して随時このページに掲載していきます。(ただし、掲載にふさわしくない等編集部で判断したものは除かせていただきますので、予めご了承下さい)。掲載に際しては氏名のみを掲載しますが、ペンネームでの掲載を希望される方は、忘れずにペンネームを記入しておいて下さい。
**** 技術 ****

依頼内容890:最近、バックハンドのスライスを研究しています。トップスピンと比べてなかなか安定しないので、先輩に聞いたらスライスは感覚で打つものだといわれました。確かにスライスは非常に繊細なショットだと思うので、フォームだけを真似すればいいのではないということはわかっているのですが、やはり打つときのイメージは重要だと思います。(テイクバックでラケットは立てるのか寝かせるのかなど)そこでプロのフォームをお手本にしようと思うのですが、誰のフォームがいいのか良くわかりません。雑誌に載っているスライス使いでも、例えばグラフとヘンマンだとかなり打ち方に差があるように思えます。一番真似しやすく、汎用性が高いスライスを打つ選手を教えていただきたいと思います。そして出来れば、ラケットを立てて引くこ
とと寝かせて引くことのメリットを教えていただきたいと思います。 長い文章ですみません。失礼します。

東京都のグスタボ命さん

報告890:いいことをおっしゃる先輩が身近にいらっしゃるようだ。スライスは感覚で打つ、いや、至言だ。実はプレーヤー経験の長いコーチなどに技術の取材をすると、「こうガッと回して、パーンとね……」という具合に、身振り手振りと擬音で全てを表現してしまう人が多い。その時点では「ほほう、なるほど」と納得するのだが、いざそれを誌面で言葉に置き換えようとした時点で途方に暮れることがある。テニスに限らず、動作とその感覚を伝えようとするには言葉というのは非常に不完全な道具だと感じる。と言って、「上腕四等筋が伸縮し、その後、棘上筋群を……」という具合に説明したら眠くなるばかりか、どう動かしていいかが具体的過ぎてかえって不鮮明になる。何しろ最初は「ガッと回してパーン」という形で、それがわかりやすかった、というところからスタートしていたりするのだし……。
 さて、スライスのお手本として一般的なのは、どちらかと言えばヘンマンの方だろう。他には鈴木貴男、フェデラーもいいだろう。グラフのスライスはやや特殊に分類され、難易度が高いと言われている。彼女のスライスは一度ラケットヘッドを下に落としてから、上に持ち上げ、フラットに当てて下げる、という波を打ったスイングで、一般的にはNGとされている打ち方だったのだ。あれは彼女がやっているからいいと言える、という種類のスライスだ。
 ラケットは立てても寝かしても最終的にはやりやすい方でいいのだが、一般的には相手に球種を悟らせないことや、力むのを防ぐため、使い慣れたいつもと同じテイクバックでいい、と言われている。
 立てて引けば、力が抜きやすい。スライスは力で打つショットではなく、感覚で打つショット。力みはミスの原因となる。寝かせて引くのは打つ前から面を作ってしまうというケースで多く使われるのでミスは減らせるが、やや力みが出やすくなることと、打つ前からスライスとばれてしまうのが欠点だろう。
 あとは練習あるのみだ、としか言いようがない。


依頼内容889:このたびバックハンドを両手から片手へ変更しようかなと思うのですが、そこで質問です。片手バックで打つ場合、フォロースルーは出来るだけひじを伸ばした方がいいのでしょうか??昔の人は、ひじを最後は伸ばしていたと聞いたことがありますが、プロの試合を見ると毎回必ずひじを伸ばしているようには思えないのですが・・・。
よろしくお願いします

東京都のそれはそれこれはこれさん

報告889:昔の人がヒジを伸ばしていたのは、ラケットがウッドで、そうやってボールを押したり、あるいはスライスにしないとボールが飛ばなかったから。また、ボールを飛ばそうとした結果、腕が伸びるような形になったわけで、ヒジを伸ばすために伸ばしていたのではない。フォロースルーはスイングの結果で目的ではない。伸びた時は伸びる形でそこまでスイングしてきたからであり、伸びないのもまた同じだ。常にどちらかでなければいけないということはない。野球やゴルフの経験者だったりすると、スイングに一定さを求め、「フォーム固め」などというのを重視する。あれらの競技ではそれでいいのかもしれないが、テニスは球技の中では最も打撃系格闘技に使い特性を持っている。いつもいつも同じ形で相手にパンチが当たるわけではなく、相手もパンチを打って来ている中で、パンチを出さなければならない。むしろ、十分ではない体勢で打たざるをえない場面が多いものだし、相手だって十分な体勢を作らせないように打っているのだから、ある程度以上、テニスを覚えてきた人が「フォーム固め」を意識しすぎることは、いい面ばかりではないのでは、と我々は思う(サービスは除く。また、ストロークでも打球感覚が狂っている時の再確認としてなら、フォームを再構築するという意味で有効だろう。しかし、全てのプレーの中で、全てをいわゆる理想のスタイルで実行しようというのは、論理的に考えてかなり無茶ではなかろうか)。
 両手から片手への移行は人によって覚えの早い人と、そうでない人がいる。これは身体の使い方の問題で腕力だけの問題ではない。野球の投手の場合だと、腰の使い方でオーバーハンド向きとサイドハンド向きがいて、これは長い間の身体の使い方で適性が分かれるといわれている。テニスのバックの両手と片手も、この要素はある。
 できれば短期間でもいいので、テニススクールに通って専門のコーチに事情を話してレッスンを受けた方がいいと思われる。その結果、どちらか自然な感覚でできる方にしてはいかがかと思う。


依頼内容888:高校からテニスを始めてからもう少しで一年たつってぐらいで、そこそこテニスもわかってきたのですが・・・試合などで、相手がつなげてくるようなタイプだとどうしても自分からミスをしていつも自爆してしまいます。 そういう相手にはどう戦ったらいいのか教えてください。おねがいします。

北海道の?さん

報告888:1年と言っても、その中身次第で随分と違いも出るし、自爆と言ってもどういう自爆かによっても違う。詳しい部分はご自身でもう一度ゆっくり考えるなり、身近にいる方とも相談していただきたいが、つなげてくる相手に対しての対策は、2通りの考え方がある。
 依頼者がもし、身体が大きくてパワーもあり、運動能力に優れたタイプであるというのなら、攻撃的なテニスで攻め切ってオーバーパワーする、という方法が一番カッコいい。ただし、この方法は相手に対して全ての部分でオーバーパワーしなければ、またつなげられて元の状態に戻ってしまうもの。また、リスクの高い方法なので格上の選手が格下をあしらう場合によく使われているので、テニス歴1年、だと簡単ではないだろう。サービスは1stだろうが2ndだろうが全て叩き返し、ストロークでは相手の面を吹き飛ばし、サービスではエースを連発、というのがこの方法だ。カッコいいが、今すぐにだとお勧めしにくい。だが、これを目指して日々の練習に励んで欲しいとは思う。
 次はつなげてくる相手にはつなぐ、という方法だ。つなげてくる相手というのは、自分の手に負える範囲のスピードボールなら、「どんどん打ってきて!」という具合に逆に大歓迎という選手たちが多い。もう少し攻撃的なタイプになると、カウンター狙いで相手にわざと打たせる、なんてことまでやってくる。もし依頼者が誰が見ても凄い、というボールを打てていないなら、あるいは、技術的に無理して強いボールを打たなければならないレベルだというなら、逆にゆっくりとしたボールを送り続けると、相手もつなげきれなくなるケースが多い。
 実はゆっくりとしたボールを打ち返すというのは、プロでも案外難しいと言い出す種類のもの。こっちサイドとしてもやや難しくはなるが、無理して打つことはしなくていいので、あとは根競べとなる。コースを突いたり、ウイナーを狙ったりということは考えず、100回、200回とつなげられたら楽しいな、と考えてコートの真ん中に中ロブを返し続けるのだ(真ん中に返している以上、相手は角度をつけにくく、中ロブでつないでいる以上、無理をしないとネットプレーも難しい。守備的だが、攻撃させないという意味で最強の方法でもある)。実はこれ、ある程度のレベルまでは面白いように勝てる、と、かの伝説的名コーチ、ビック・ブレーデンも言っていた「勝利のメソッド」なのだ。最初のオーバーパワーが勝って「わっはっはっ」なら、こっちは「うっしっしっ」だろうか。ただし、後者は友達が減る可能性が極めて高いので注意したい。

 

依頼内容882:フォアハンドのグリップはウェスタンよりセミウェスタンのほうがいいんですか??それぞれの利点を教えてください。それとプロはどっちのほが多いのでしょうか?教えてください。

千葉県のジェームスさん

報告882:どっちのほうが「いい」か、という疑問に対しての答えは、どの部分を評価するかで変わる。また、選手の得意とする球種、テニスの快適な展開のさせ方、どんなテニスをプレーして育ってきたかでも答えは変わる。グリップに優劣はなく、向き不向きがあるだけだ。まず、これを前提として理解しておいて欲しい。
 また、プロではどっちが多いか、というお話だが、単純に知的好奇心からならいいとして、もし、それを聞いて自分のを決める、つもりなら一度考え直して欲しい。あくまでも自分が一番打ちやすく、かつボールに威力も出せてコントロールもつけやすいグリップを選んで欲しいからだ。
 ウエスタンの利点はボールを真後ろから腕で支えられるという意味で、厚く叩きやすいという点と、オープンスタンスで打ちやすい点。そして、自然とトップスピンがかかりやすいという点と、背が低い選手が高めの打点を叩く場合、ヘッドがより利かせやすいという点だ。
 セミウエスタンの、ウエスタンと比較しての利点は打点の高さに融通が利きやすい点(ウエスタンだと低い打点が打ちにくいが、セミウエスタンだとこのデメリットがでにくい)、手とラケットのイメージが一致しやすいので、コントロールがつけやすいの2点がメイン。また、スタンスもオープンでも使いやすいし、スクエアでも打ちやすく、より後ろから前の体重移動を使ったスイングを作りやすく(ウエスタンだと回転運動が中心となるだろう)、フラット系のボールを使って、精密にコントロールしたいなら、こちらの方が向いている。


依頼内容871:速い打ち合いの試合などでラケットの真ん中にボールがしっかり当たってないと思い、ガットを見たところスイートスポット外に多く当たっている形跡がありま した。そこで思ったのですが、プロの選手は厳しいボールを互いに打ち合っているの に、しっかり真ん中でボールを捉えているのですか?また、ラケットのどの当たりに 多く当たっているのでしょうか?調査できたらお願いします。m(__)m

東京都のNAOさん

報告871:プロの場合、基本的には意識しないでもスイートスポット付近で打っている。男子の場合、人によりけりという要素は無視できないものの、強打する時にはトップよりの打点を使い、回転量が欲しい時に真ん中を使うという選手が多いという。
 ちなみに、プロになると、ガットの同じところばかりを使うので切れる、というのが普通なほど、同じところで打っている。だから、彼らはラケットを切る位置がいつもほぼ一定であることが多く、それで調子の良し悪しを見極めているほどだという。
ところで、プロが使うのは、大抵は真ん中よりややトップよりというケースが多い、という理由だが、これはラケットは先端部に向かうほどスイングスピードが速いからで、先っぽよりでパワーロスが出ないぎりぎりのところで打っているためだ。
ただし、もちろん、彼らでもイレギュラーなどでフレームで打っちゃうこともある。彼らも人間だし、相手だってまともに打たせないように一生懸命ボールを打ってきているのだから、これは当然だと考えて欲しい。アマチュアの場合は、これがかなり低いレベルでおきやすくなっていると解釈すると、理解が早いだろう。


依頼内容870:フォアハンドストロークで、ワンバウンドしてから伸びる球を打つには、ど のようにすれば良いでしょうか?現在私の球は、高く跳ねるだけで、伸びません。 体格等により異なるのかもしれませんが、一例で構いませんので、教えて下さい。宜 しくお願いします。

神奈川県のぐらんしぇるさん

報告870:高く跳ねるだけで伸びない、という症状が出る原因は2通り考えられる。一つはスピン量ばかりが多い山なりのトップスピンになっていること、もう一つは自己評価が低すぎることだ。
 前者の場合、トップスピンを意識するあまり回転量過多になりすぎて、ボールが遅く、かつ浅くなり、跳ねはするものの前には進んでいかないという症状だ。これは恐らく、最も典型的な悩みの一つと言っていい。後者の場合、「そんなのプロだって打ちたいよ」というぐらいの、あまりにも高い目標を設定してしまっているため、常に自分のテニスに満足できないという悩み方。冷静な第三者から見た場合、「別に十分じゃない?」というレベルのボールが打てていたとしても、本人が満足できず、悩んでいるという形態だ。これも案外多く、特に若いプレーヤーに少なくない。いわゆる「高望み」というやつだ。
いや、高校生年代ぐらいの選手なら、「おおいに悩み、そして精進しましょう」という具合に、少々高望みするぐらいでむしろちょうどなのだが、30代以上のいい大人の方までがこの症状にはまっていると、少しばかり複雑なことになる。人によっては実現してしまう人もいないわけではないのだが、毎日練習できるわけでも、トレーニングできるわけでもない年齢や社会条件の大人の場合、一般的に高望みは高望みのまま終わらざるを得ないケースが多いのだ。ここで、「何かコツがあるのでは」と技術論にはまり込んでいく人が多いようだが、体力あっての技術、という点をわかっていても忘れたいのがこの種の人々。頭では理解しているはずなのに、納得できていない状態で、ある意味、本人的にどんなに頑張ってもテニスが楽しめず、不幸のスパイラルとなってしまう。
 依頼者がどのケースかは置いておくとして、まずは冷静な自己分析をお願いしたい。技術向上の分野では、これがまず第一に大切な前提だ。自分が現時点でどんな状態なのかを理解すること。これはどんな技術的な悩みでも、対策を立てるために絶対に必要な要素だ。
 それができた後でやっと、対策が立てられる。
 ごく一般的に、バウンド後に伸びていくボールというのは、トップスピンのかかったスピードのあるボール。トップスピンと言うとどうしても下から上に擦り上げたくなるが、スピードを出す必要があるということは、フラットの要素が欲しい。しかし、フラットにしすぎると、バウンド後には伸びるのではなく滑る挙動となることが多く、恐らく依頼者の理想の軌道にはなりにくい。
 ここから先は人により感覚は色々で、ボールのアゴを打つとか、潰す感覚で、とか言われるが、要は速いスイングスピードでボールとインパクトし、スピンとスピードの両方がバランスよく高い状態が依頼者の言う「バウンド後に伸びのあるフォア」を実現するカギ。イメージとしては、ネットの上の1mぐらい上を通過しつつ、バウンドするのはベースライン付近のトップスピンを練習して欲しい。また、打点を落とさず、腰より上の高めの打点で強く叩く練習をして体得して欲しい。ヘッドをいつも以上に走らせて打つようなイメージで打ってみて欲しい。……文字のみのこのコーナーではこれが精一杯だ。


依頼内容868:はじめまして。フェデラーのフォアハンドの、肘を伸ばし気味でのインパクト(他にスリチャパン、ナダルなどでしょうか)については、本誌などを通じて、広く誤解を受けないような解説をいただければと思います。形から入った人にとっては、多くの面で大きな危険を感じるのですが?よろしくお願いします。

宮城県のKENさん

報告868:連続写真の弊害部分だ……。確かに腕をぴーんと伸ばしたままスイングをして、そのままインパクトに向かえば衝撃をヒジが受けてしまって危険だが、よーく思い出して欲しい。写真は止まっていても、本物のパラドンやロジャー、そしてナダルは動いているのだ。
 連続写真というのは当然止まった映像。止まっているだけにその一瞬の形がどうしても目と印象に残りやすい。しかし、あれは7/100秒の一瞬のひとコマに過ぎない。彼らは下半身で作ってきた回転のパワーを徐々に上半身に移して、打点に集約させている。その過程の一瞬に腕が伸びているような状態があったからといって、ずっと伸ばしっぱなしだったわけではない。それに腕はインパクト時に軽くでも曲げられていれば、十分にショックを吸収できる。問題なのは「もうこれ以上伸びません」というぐらい伸ばしきった状態で、インパクトのような衝撃を受け、かつそれがミスヒットだったりした場合だ。彼らがそんな危険極まりないことを繰り返していたら、皆様の前で素晴らしいプレーを披露している今もなかっただろう。
 また、彼らのスイングは猛烈に速い。これも念頭に置いてみて欲しい。つまり、彼らの腕とラケットが持つエネルギー量は、一般プレーヤーの比ではないのだ。一般プレーヤーレベルのスイングエネルギーだと、ミスヒットした場合の衝撃と、腕の持つエネルギーのバランスが腕に衝撃として出やすいかもしれないが、フルスイングしている男子プロのスイングのエネルギー量なら、痛い思いをするのはむしろボールの方。本当なら優しくガットが受け止めてくれたはずなのに、フレームか何かでバチンとやられてボールが大怪我、というイメージではなかろうか。
 よくボールを「押す」という表現が使われるが、「押す」と言われると、文字通り押す動作を思い浮かべやすい。重いものを押そうとするとどうしてもヒジをぴーんと伸ばしきって、うんしょっとやる姿をイメージしやすい。このイメージによってヒジが伸びてしまうと確かに危険だ。むしろ、目の前の物を棒ッ切れで思いっきり、最大のダメージを与えられるようにぶん殴る、というイメージの方が、ヒジが伸びきるということはないだろう。ただし、そのままだとコントロールの要素が出ないので、「打ちたい方向に方向付けしてあげる」というのが「押す」という表現につながっているのだ。


依頼内容854:最近の選手の連続写真を見ていると、ほとんどの男子選手がフォアハンドス トロークでは、フィニッシュの時に右手が左脇の下に巻き付くような感じになってい ますが、セレナ・ウィリアムスや一昔前の男子選手などはフィニッシュの時に左肩の 上にグリップが来ていた気がします。
これらふたつのフォームの特徴と効果について教えて下さい。 また、なぜ最近このような変化が起こっているのか分析していただけないでしょうか?

愛知県のダブルスプレイヤーさん

報告854:この現象(?)に関しては、本誌上を含め、このコーナーでも何度かご報告してきたが、別段特殊な動作ではない、というと意外に感じられるのだろうか? 割合、この疑問が多く来る。
 厚めのグリップで、セミオープンからオープン系のスタンスを使って前の打点でトップスピンを意識してワイパースイングをして、鋭くラケットを振りぬけば、自然とヘッドは肩の上ではなく、肩口より下に向かっていく。これは素振りでもしていただければ、すぐに理解されると思われる。つまり、自然な動作なのだ。
 確かに一昔前の選手たちは、肩口にラケットがフィニッシュされることが多かった。そのため、「フィニッシュは肩口に」というのが基本として言われるようになり、言われるようになるうちに、目的を見失って「肩口にフィニッシュすること」が目的となってしまっているような印象を受ける。目的はちゃんとボールを飛ばし、コントロールすることで、肩口にフィニッシュするかどうかというのは、目的ではない。そこを見失わないでいただきたいと思う。
肩口へのフィニッシュが一般的だった理由として考えられるのは、今ほどグリップが厚い選手が多くなかったこと、グリップが厚くないので自然とオープンスタンスの使用比率が低かったこと、今よりもフラット系のボールを持ち球にしている選手が多かったこと、このことからスイングの軌道自体がワイパー系よりも、後ろから前の移動が強調されるスタイルだったこと、などが原因だろうと思われる。身体の横向きを維持し、ラケットを先行させて、ボールを後ろから前に押すようなスイングでボールを前に飛ばしてコントロールしようとすれば、自然とラケットは肩口に向かう。今も導入段階ではこの打ち方で間違いではないが、ある程度のレベルに来たら、そこから先は本人の選択にまかせた方が自然だろう。「フィニッシュは肩口に」というのは、絶対ではないからだ。
 ウィリアムズ姉妹の場合、スイングの軌道自体が意外に後ろから前が強調されたスタイルであること、首に巻きつけるような、軟式的なスイングを自分のスイングの形にしていることなどが原因ではなかろうか。彼女たちは本当に意外なほどいわゆる「基本」に忠実にテニスをしようとしている。逆に言うと器用さが乏しい。
 これは彼女たちが子ども時代から積み重ねてきた経験のなせることではあるのだろうが、外から見ていると、使っているラケットが、彼女たちの身体的パワーやスピードと比べて非常にパワフルな特性のラケットであるため、よりていねいにボールを扱わないとならないことや、その有り余るパワーを制御するために、よりていねいなボディワークを心がけているからではなかろうか、という原因も予想できる。
 ところで、フィニッシュというのは、動作の結果。極論すれば、惰性だ。しかし、惰性があらぬ方向に向かっているとしたら、それ以前も「あらぬ状況だった」と推定できる。アドバイスの方法として、フォロスルーの取り方をよく言われるが、これはつまり、フィニッシュを意識することで、それ以前の動作が修正できる、という種類のアドバイスになる。そこをきちんと理解しておきたいところだ。


依頼内容853:トレーニングとして縄跳びをしようと思うのですが、縄跳びをすることによってどんな効果があるのか教えてください。

東京都の禿茶瓶さん

報告853:筋持久力と心肺能力の向上、筋力アップが期待できる、というのが一般的。マラソンやジョギングなどと似た効果が期待できると言われている。
 あとはトレーニングの方法次第だろう。縄はゆっくりでも高くジャンプすれば、瞬発力系にも効果があろうし、とにかく長く続ければ、より持久力に訴えられるはず。
 ただし、ヒザや腰などに負担も小さくはないので、どこかに痛みを感じたりしたら、医師やトレーナーの指示に従って欲しい。


依頼内容852:現在筋力トレーニングに凝っている者です。そこでプロのプレーヤーの身体能力について是非知りたいのです。
握力、背筋力、短距離走のタイムなど、一流と呼ばれる選手とはどれほど鍛えこまれているのか、調査して頂きたい。きっと科学的な方法で、計算されたトレーニングを行い理想的な身体を作っているのでしょう。お願いします。

福岡県のマッスルさん

報告852:うーん、幾度かご報告してきた通り、選手個別の体力のデータや、あるいはATP全体での統計などという数字というのは存在していない。それに、握力、背筋力というのは、その最大数値のことになるが、テニスで求められているのは、ただ強く握れればいいということではないし、背筋力も強いほどいいというわけではない。握力においては何百回となく、ある程度以上の力で握りこみ続けられる持久力と瞬発力、そして微妙な調整力を維持するスタミナであり、短距離走の能力もただ速く走るのではなく、0からいかに素早く最大速度に達するかのダッシュ力、そして、最大速度から0に停止するためのストップ能力、そして反転するための能力も問われる。
 筋肉が太くなれば、その最大パワーは上げられるが、当然体重が重くなる。テニスのようにストップ&ダッシュが繰り返される競技では、体重は重過ぎないほうがいい。むしろ、素早く動くためには軽いことも重要な要素。以前、マイケル・チャンがあまりに身体を作りすぎて体重が増したためにヒザを痛め、逆に筋肉を落とさなければならなくなった、という事例もある。
 テニス選手が動くフィールドというのは、コートの半面に限定され、かつ、一回のプレー時間は1分以下がほとんど。ポイントが決した後は、数十秒間のインターバルを経て、また瞬発力と持久力が駆使されるという種目だ。性質としては、剣道や空手などの打撃系格闘技に近いと想像されるといいかもしれない。つまり、どこの能力が高ければ、競技力が上がるというのを特定しにくい競技なのだ。長くドーピングとは縁のない競技特性と言われてきたのもたのためだ(たまに出てきたとしても筋肉増強剤の類いではなく、興奮剤の類いであることが多い)。
 また、選手たちのトレーニング・メニューも、その選手それぞれの身体的条件や、技術的特長に合わせて様々。計算されたトレーニングであるのは間違いないところだが、彼らのトレーニングの主目的はとにかく全身をバランスよく強化すること。最大筋力を上げるよりも、作った筋肉をいかに意のままに動かすかに工夫がこらされていることが多いようだ。従って、筋力アップと共にアジリティの能力を高めるトレーニングが同時になされているし、インナーマッスルの強化にも余念がない。どこかに故障を抱えている選手の場合、その周囲を鍛えることで、故障箇所を補強したりしている。


依頼内容851:僕はフォアでヘビースピンや球をコントロールしたい時は、スクエアからセミオープンスタンス位の体重移動を使い、脇を締め気味に押し込んで打っています。
ですがスピードが大変遅くなるため、スピードを出したい時は、セミオープンスタンスで前述の打ち方よりも、脇を開け肘を伸ばし気味に点で打っています。イメージ的に言うとスペインや南米勢(フェレーロやコリア)とフェデラーみたいなかんじです。
(勿論、言わずもがな彼等のレベルには到底及びませんが)そこで質問なんですが、球種などでにフォームを変えずに一辺倒にした方がいいのでしょうか?それとも中間地点を見つけ出した方がいいのでしょうか?
バックバンドの質問なのですが、グリップは右手コンチネンタル、左手セミウエスタンです(右利き)。以前は左肘を曲げ、体と腕で五角形が出来るようにし、体重移動を使い、押し込んでいました。それでもコントロールや威力の面で問題はなかったのですが、最近ハードコートで打つ事が多く、スピードを出すために点でとらえるショットに変えました。よく雑誌には五角形型と三角形型と目にするのですが、僕の新しい打ち方は左肘を伸ばし、右肘を曲げる四角形なんです。体重移動も昔は打ちながら運ぶ感じだったんですが、今は体重移動を先にし、遅れて回転させる感じです。手首も、コリアのようにテイクバックで手首を下げるのではなく、スライスのように面を上に向けてから、インパクトで腕をひねる様に(プロネーションだとおもうんですが) して打ちます。僕はプロで、この打ち方をしている人を見たことがありませんので、この打ち方でいいのか分かりません。プロを参考にしたいので、もしこの様な打ち方をしている人がいらしたら教えて貰えないでしょうか?お願いします。また、この腕の打ち方で運ぶ用に打つ事も可能でしょうか?
最後に用具に関してなんですが、今tour.NXグラファイトMS(重量345gバランスポイント304mmスイングウエイトは忘れてしまいました) を使っています。スイングスピードや振り抜きを良くしたい場合、どこにリードテープを付ければいいのでしょうか?
またこれ以上重くしたくない場合は、ラケットを変えるしかないのでしょうか?変えるとした場合この目の細かさと打感を今流行りのラケットでは出せないと思うのですが、目の荒いラケットを細かいラケットに感覚を近付ける事は可能なのでしょうか?
よろしかったら教えて下さい。お願いします。

東京都のよみがえる翼さん

報告851:フォアハンドに関しては、ボールに追いついた時に、ご自身で一番打ちやすく、かつ力もコントロールもできる打ち方がどれか、というのがまず最優先される問題で、スタンスの種類から決めるべきではない。テニスはゴルフや野球と違い、遠くに飛ばせばよい、あるいは強いボールを打ち出せばよい、という要素よりも、ボールをどこにどう運ぶかというのが重視される競技特性がある。ゴルフなら止まったボールを打つし、野球なら打つのはストライクゾーンのボールだけでよい、という条件だが、テニスは野球で言えばどんなクソボールでも打ち返さなければならない。自分の形を決めて、その形で打とうというのが本当に毎回実現可能かどうか、その線で再考してみてはいかがだろうか。
 バックハンドに関しては、依頼者の言う形が今ひとつ想像しきれなかったのだが、もしかするとフランスのサントロのような形ではなかろうか? 彼は両サイド両手打ちで、フォアサイドが逆手という不思議な選手だが、逆手とはいえ、彼のフォアサイドがおっしゃる形に近いのではなかろうか。機会があれば、観察してみていただきたい。ダブルスの名手でもあり、シングルスでも非常に曲者として知られる。05年の全米ではフェデラーにストレートで敗れはしたものの、実に面白いテニスで場内のため息を誘った。彼は回転の魔術師と呼ばれるほど、ボールの回転の操作がたくみで、特にスライス回転のボールの使い方は他のどの選手よりもうまい。
 振りぬきをよくしたい場合、ラケットのヘッド部にリードテープを張って、バランスをトップよりにするのが普通の対処法。ラケットの変更やストリングなどの課題に関しては、プロのストリンガーさんのいるショップで一度相談されてみてはいかがだろうか? 彼らは多くの顧客の多くの問題に対して色々と答えてきている専門家。我々以上に多くの選択肢を提示できるはずだ。


依頼内容850: 一ヶ月ほど前から筋トレをしています。(腕立て200回、背筋60回、腹筋30回)ですが最近肩甲骨の下の辺りがサーブやスマッシュをするとき少し痛みます。で、これって筋トレのせいなのでしょうか?中2でこの回数はよくないのでしょうか?なにか情報をください。

千葉県のアンディさん

報告850:できる限り速やかに医師の、できれば専門医の診断を受けて欲しい。全てはそれからの話だ。スポーツ専門外来のある病院が理想的だが、もし、お近くにないのなら、整形外科を受診されるのをお勧めする。
痛みというのは、身体の中のどこかで異常が起きていることのサイン。敏感になりすぎるということはない。まして、肩というのは非常に細かな筋肉群の集合体。素人診断ほど怖いものはない。どうか専門医の診断を受診して欲しい。


依頼内容848:試合になると足が細かく動かなくなるのは、どうやったら直るんですか?フットワークのトレーニングをすれば直るのでしょうか?それともたくさん試合に出場してなれる必要があるのでしょうか? あと、テニス留学の資料はどこで手に入れるんですか?
よろしくお願いします

神奈川県の湯すけさん

報告848:試合では、ということは練習では動いているのだろうと判断する。であれば、答えは簡単だ。「動かせ」の一言になる。
 我々が取材をしていると、プロと言わず、選手としてそれなりのレベルに行った人と、いわゆる一般プレーヤーの差は実はこのフットワークに現れる、といつも思う。選手経験者たちはプレー中にはよほどのことがない限り、とにかく足が止まっている瞬間がないのだ。
 この差はなぜ生じるか。明確な答えはないが、恐らくは1ポイントに対する執着心、1ショットに対して求めるクオリティの要求度の違いが、ステップワークに現れているのでは、と考えさせられることが多い。もっと簡単に言うと、緊張感の違いだ。緊張して足が動かないのではなく、「クオリティの高いボールを打たないとやられる」という、すなわち、「緊張するからこそ足を動かさないといけない」というレベルを経験し、それが日常になった人と、そうでない人の差ではなかろうか。
 ただし、足を動かすのは、足を動かすために動かすのではないことは、常に念頭において欲しい。一つのショット、1ポイントに対して、最もいい打点を取りたければ「自然と」足が動くはずで、1ポイントに対する執着心が強ければ、次、次、次ーッと準備が早くなっていくはず。この場合、足が止まることなど考えられない。
 もっと1ポイント、1ショットに対して緊張して欲しい。そして練習からそれが当たり前になるように取組んで欲しい。練習でも漫然と打つのではなく、常に一球のボールに対して最高のクオリティを求めていく精神状態であれば、足が止まるという状態は、ありえないものとなるはずだ。

依頼内容847:以前投稿した者ですが、もう一度質問させてもらいます。
ロディックのフォームでサーブを打つには脚力はもちろん体幹や背筋なども必要です よね?なにか効率よくこれをきたえられる方法はありますか??(身長181握力41サーブは軟式で130ちょっとでるぐらい)体幹や背筋なども当然かなり必要ですよね?なのでこれらを効率よく鍛える方法はありませんか?
あとリストの強化も必要ですか?よろしくお願いします。

千葉県のアンディさん

報告847:依頼者が中学生、ということを考慮すると、まずはここにではなく、専門家と相談して欲しいと強く願う。この年代でも筋力トレーニングが有効というのは、実は現在ではほぼ常識化しつつあり、多くのプレーヤーたちが証明しているところだが、何しろまだ骨格や関節が完成する前の年齢なので、あくまでも専門化の指導の下でないと勧められない。お近くの病院のスポーツ専門外来か、スポーツジムなどに行って状況を説明し、指導を受けて欲しい。
 何度でも言うが、トレーニングというのは、まず、出発点を知らないと手を付けられない。今の自分の状態をまずは知ること、そしてどこをどう鍛えるかについて、専門家の指導をあおぐことは長い目で見た時に非常に重要だ。通常の負荷のトレーニング(自分の体重を利用した腕立てや背筋、腹筋運動など)でさえ、やり方や程度を間違えると故障の原因となりかねない。
 くれぐれも自己流のトレーニングは避けて欲しい。
 依頼者は中学生にしては非常に高い身長を持っているが、もしかすると骨格自体はまだ完成途上ということもあろう。そういう時期に間違ったトレーニングをすると関節にダメージを受けやすい。関節は一度ダメージを受けるとその故障がクセになりやすく、しかも二度と同じ強さには戻らない。お金はかかるかもしれないが、ご両親と相談して、どうか専門家のところに行き、相談してみて欲しいと思う。

依頼内容833:現在スピンサーブの練習をしていて、なんとか相手コートにはいるようにはなってきたのですがどうしても威力が出ません。しっかり安定性を残して威力を出す方法を教えてください。

神奈川県のオマーンさん

報告833:たて回転をかけてサービスを打つ、という第一段階はクリアされているようだ。その調子で頑張って、毎日の練習をさぼらず、また、オンコートだけでなく、走ったり、腕立てや腹筋、背筋などの基本的な身体能力を上げるトレーニング系の練習もしっかりとやっていれば、早ければ3ヵ月後ぐらいにはある日突然、ビシッとしたのが打てる瞬間がくるのではなかろうか。
 ……なんだか無責任な言い方に聞こえるかもしれないが、依頼者を見たことのない我々にとっては、想像の中でしかものが言えないし、多くの方々にご覧いただけることを考慮して、どうしても一般論となる。どうかご勘弁いただきたい。
 しかし、安定性があって威力がある、というのは完成された状態のことだから、依頼者は「どうやったら完成したスピンサービスが打てるか」と、我々に聞いている、ということは理解していただけるのではなかろうか。もし、何かのコツや、ちょっとしたことで、それが完成するなら、巷にはスピンサービスで苦労する人などいなくなるだろうし、テニス雑誌のレッスン企画も必要ないだろうし、テニススクールはすぐにでも廃業だ。
 回転のかけかたをマスターした後、スピンサービスの威力を上げるには、より厚い当たりで打っても回転量が確保でき、かつスピードが落ちないだけのスイングスピードが必要となる。それを身体を反った状態で実現しなければならないのだから、当然、体幹部のバランスのいい筋力アップが必要になるのはここまでの練習の中でも理解できているはず。何かのコツをつかんでしまいさえすれば、すぐにでも一度や二度なら、それらしいサービスは打てるかもしれないが、長い試合で最後までそれを続けられなければ、マスターしたことにはならないのがテニス。ある程度時間がかかるのはそのためだ。そのつもりで日々のトレーニングを頑張ってみて欲しい。

依頼内容832:僕は今アメリカで、9年生に入って、高校が始まりました。春のテニスのシーズンに向けてVarsity team(校内での一番レベルの高いチーム)のシングルスを目指しています。
ところでサーブについて質問があります。サーブの最速の速さは身長と体重をつかって方程式っぽい物をつくれるのでしょうか?それとも人はそれぞれフォームが違う 為、無理なのでしょうか?

海外のぐるぐるスピンさん

報告832:身長と体重で速さの方程式、というのは、180センチ/70キロならこのぐらいの速度、という意味だろうか。速さは選手の筋力や瞬発力の差、腕や肩幅などにあまりにも依存するためにさすがに無理だが、角度なら出せないことはない。
 身長とラケットの長さによって、その選手が取れる最高打点というのは自ずと限界がある。身長の高さにより、取れる打点の違いから、打てる球種とコースは変化するのだ。
 以前に調査したところでは、概ね185センチという身長を境にこの差が大きく発生する。この身長以上の選手であれば、フラット(正確にはフラット気味)で打てる範囲が、これ以下の選手より広くなるのだ。
 これには中央部に向けて低くなっているネットの高さが関係していて、打点の低い選手はワイド方向にはどうしても回転をかけないと、サービスボックスに物理的に入れられない状況となるのに対し(概ね185センチ以下の身長の選手だと、かなりジャンプして高さを取らないと、打点の高さからサービスボックス内が見えないのだ。ということはつまり、センターの一番低いところでも、直線的に打ち下ろす軌道ではボールは入らないという意味になる)、打点が上がるに従って、強くフラット気味に打てる角度が広くなる。背の大きな選手にビッグサーバーが多いのは、この有利さを生かしているからだ。
 式に関しては、コートの大きさとネットの高さ、取れる打点の高さなどを実測すれば、ある程度はご自身で出せるはず。問題はボールの軌道だが、テニスボールのような空気抵抗が複雑な物体の弾道計算は大変難しいので、ある程度割愛した方がよかろう。
 スピードというのは、フォームももちろんだが、選手個人の資質に大きく依存する。NYヤンキースのR・ジョンソンと同じぐらいの身長があれば、誰でもみんなすごいスピードボールが投げられるわけではない、とイメージできれば、理解してもらえるのではなかろうか。フィラデルフィア・フィリーズのビリー・ワグナーは180センチ台前半の身長だが、球速だけならR・ジョンソン並のボールを投げていた時代もあるではないか。しかし、ワグナーに2mの身長があったからと言って、170キロのボールが投げられるわけではなかろう、とは思うが……。

依頼内容831:ロディックのサーブのフォームを真似しようと思っています。具体的にどのようなトレーニングをしたらあのフォームで打てますか?(身長180cm、腕の筋力は多い方です)

千葉県のアンディさん

報告831:依頼者が「こうなりたい」という目標があった時に、そのための具体的なトレーニング方法を入手するためには、依頼者の細かいデータがあった上で、専門家の指導が必要だ。でないとトレーニングの効果が出ないだけでなく、故障も心配だ。身長と筋力がある方、という非常にあいまいなデータのみでは我々には何も言えない。出発点がわからない時には、地図だけあってもただの紙切れだということを思い出して欲しい。何を始めるにも、「現在位置」という情報が絶対に必要なのだ。ぜひ一度、専門家のいるジムを訪ねて体力測定をして、その上でトレーナーの指示を受けてみて欲しい。多少の料金はかかるだろうが、それだけの価値はあるはずだ。
 ちなみに、ロディックは腕力や肩の力であのサービスを打っているわけではない。強い脚力と体幹部があって初めてあのスイングが実現されている。つまり全身が非常にバランスよく、しかも高い次元で鍛え上げられていると見て欲しい。

依頼内容829:僕はあまり,リラックスせずにボールを打っています。やっぱり,リラックスして打ったほうがいいんですか?ちなみに,ロデックやヒューイットなどのトッププロはどうしているんですか?

広島県のキャメロンさん

報告829:リラックスするのは、身体に余計な力みを作らないためには必要だろう。力みがあると、力んだ部分がブレーキとなって身体のスムーズな動きが制約されるし、第一疲れが早くきてしまう。
 ロディックやヒューイットたちも彼らのレベルで緊張もするし、力みもあるだろうが、彼らは彼らなりの方法で力みをとり、スムーズに身体を使えるようにしている。彼らは試合前に一度かなり動いて体を温め、心肺機能を上げた状態でコートに入る。普通のプレーヤーが彼らのアップをそのまま真似したら、スタミナを使い果たしてしまいかねないぐらいのアップをする、ことが多い(みんながみんなそうではない)。彼らはそれで身体を日常モードから臨戦態勢に作り直し、コートに入ってくるのだ。つまり、最初の一球目からトップギアに入れられる状態でコートに入っているわけだ。

依頼内容828:初めて投稿します。僕はフォアハンドストロークはフラットドライブとスピンがある程度打ち分けられるのですが、バックハンドストロークはフラットドライブしか打てません。不意に浅い球がきて腰より低い打点で打つと、決まって球が浮いてバックアウトしてしまいます。どうやったらスピンがかけられるのでしょうか。うまい友達に聞くと、面をかぶせて下から擦り上げると教えてくれましたが、そうやると球が全然飛びません。グリップは右手がコンチ、左がイースタンです。どうか教えてください。

東京都のうえぽんさん

報告828:最初はみんなそんなもんだ、とにかく練習してたくさんボールを打とう、というのが実は一番親切で、かつ、的確な解答だ、というと依頼者は恐らく不服だろう。しかし、最終的にはそこに行き着いてしまう。近道はない。うまいか下手か、できるかできないかというのは、どれだけのボールを打ったかと割合素直に比例する。覚えの早い遅いはあるが、打たなくてうまくなれる人はいない。
 ちなみに、ここではグリップは問題ではない。不意に浅い球が来たというなら、前に出て行く形だろう。打点が下がっていて、フラットで打てばそりゃバックアウトもするだろうと、想像できる。この場面ならボールを引っ掛けてスピンをかけてコートに入れるにはストレートに打つのではなくアングルへ角度をつけるか、逆にスライスで返すという選択肢もある。とにかく、そうなった原因をご自身で突き止め、その対策を考えるのは非常に大切だが、その対策が思いついたら後は練習あるのみなのだ、とは肝に銘じて欲しい。

依頼内容827:先日は,丁寧な返答ありがとうございました。
さて,質問です。重いボールはどういうふうにうつんですか?また,スクエアスタンツの方が打ちやすいんですか?

広島県のキャメロンさん

報告827:まず、申し上げたいのは、重いボール、というのを自分で意識して打てるものかどうか、ということだ。重いかどうかというのは相手が感じるもので、自分から重くすることができるか否かは、実は判然としない。
 というのは、速ければ重いか、というとそうでもなく、たとえボールが遅くても、回転が多くても少なくても、重いボールというのは存在しているからだ。科学的にはボールを重くするためには速いボールである必要があるはずなのだが、実際にはそうでもない。速いけど非常に返しやすく、逆に遅いのにとても打ち返しにくく重いと感じさせられる場合がある。これは未だにコレという結論を出した人がいない謎の領域でもある。
 テニスに限らず、球技におけるボールの重い、軽いは深い。往年の江川卓投手は非常に速いストレートを持っていたが、球質が軽くそれは引退するまで変わらなかった。彼が自分から思いボールを投げる術を見つけ出せていれば、引退もあんなに早くはなかったのではなかろうか、と思う。

依頼内容826:9月号の技術解説で、ドライブボレーは後ろ体重でアッパースイングで打つって書いてありましたが、テニススクールのコーチは、チャンスボールは上から下へ叩き込むって言ってたし、2年ちょっとテニスをやってきてぼくもそう思います。だから、あのドライブボレーは絶対まちがっていると思います。あんなスイングじゃフェンスに向かって打っているようなものだと思います。調査団の皆さんはどう思いますか??

東京都のKKさん

報告826:どう思うか、と聞かれているので、どう思うかを回答しておきたい。
テニスにおいて「絶対まちがっている」というものは、ない。これだけは依頼者にもどうか理解しておいていただきたい部分だ。ある局面においては、依頼者の言う通りであり、ある局面では別の見方もある。これだけが正しく、それ以外は間違っている、という狭い見方で完結し、そこから先を思考停止、または論争相手を絶対的否定、というのだけは避けて欲しい。そういう態度でいると、本来生まれるはずだった新しい何かを失う可能性があるからだ。
 ドライブボレーをどうやって打つか、に関してはその局面、打点、自分のタイプ、リスクを取ってウイナーを狙うか、逆に次の返球に対しても自分側にマージンを見て打ち返すか、威力を求めるか、コースを狙うかなど、様々な要素がある。誌面で紹介したのは、その一つであり、あれだけが絶対に正しいわけでもなければ、間違っているという指摘も適当ではないと思う。ご理解いただけると幸いだ。

依頼内容825:ストローク中の、フォアハンド・バックハンドのグリップチェンジについて質問です。仮にフォアハンドのグリップからバックハンドのグリップに握り替える時のラケットの回転方向が自分から見て時計回りだったとすると、バックからフォアに替える時は反時計回りになる、という風に回し方が逆になるのが普通だと思います。
しかし最近、どうもどちらのチェンジの時も同じ回り方になっていることが多いようなのです。というよりは回り方が定まっていないと言った方が正しいでしょうか、その時その時でいろいろな方向に回っているようです。
これは素振りなどできちんと確定したほうがいいのでしょうか?

神奈川県のふりすきぃさん

報告825:今それでちゃんと打てていて、問題がないのなら、別段気にする必要はないと思われる。

依頼内容824:前回はご丁寧な回答ありがとうございました。今回、また教えていただきたいことがあります。今、僕はフォアハンドをウエスタンで打っているのですが、最近スクールのコーチに、セミウエスタンに変えるように勧められました。僕は背が低いほうで、高く弾む球に対応しやすいのでウエスタンを使っていました。 部活の友達や先輩もほぼ100%に近いぐらいの人がウエスタンなので問題ないと思っていたのですが…というか、問題ないと思います。しかし、プロの選手でもセミウエスタン辺りを使っている人が多いですよね?セミウエスタンにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
まだテニスを初めて少しなので、色々なことを試して、自分にあったものを選び、少しでも強くなりたいです。
回答よろしくお願いします。

千葉県のMDさん

報告824:セミウエスタンのメリットは、汎用性が高いという点だ。薄いグリップと厚いグリップの両方の性質を持っているため、とっさの場合でも対応しやすく、なんだったらボレーもそのままいけるし、両手打ちバックハンドの人なら、そのままバックハンドもいける。
 もちろん、極端な状態に対しては、極端な準備の方が適性は高い。ぐりぐりのトップスピンを打ちたければ、グリップはより厚いほうが打ちやすいだろうし、逆にネットにど詰めしているなら、薄いグリップにしておいた方がボレーはしやすかろう。
 その中間で、使うとして、セミウエスタン付近のグリップというのはフラットにもトップスピンにも応用がきくし、高い打点、低い打点で致命的な欠点がない。
 利点といわれれば、この辺だろう。

依頼内容809:毎月楽しく読ませていただいています。今回三回目の投稿です。マーク・フィリポーシス選手はスカッドサーブというものを武器にしているそうですが、そのサーブは一体どんなサーブなのでしょうか?また、どうやって打つのでしょうか?ぜひ教えてください。

北海道のザルギンさん

報告809:えーと、なんと報告したらよいか……。今はロディックらに塗り替えられてしまったが、フィリポーシスはかつて、世界最速のサービス記録を持っている選手だった。その大きなフォームから放たれるサービスは速くて強力だ。彼はデビュー当時、そのサービスを武器にして、無敵状態だった頃のサンプラスを粉砕したこともあった。
 彼がシーンに出始めた当時、一般社会では湾岸戦争で使用され、世界中を怖がらせたスカッド・ミサイルというのが有名だった。で、「凄いサービスだ」→「まるでミサイルのようじゃないか」→「命名、スカッド・サービス」という具合になったのだ。もし、彼がフォークランド紛争の頃にデビューしていれば「エグゾセ・サービス」に、最近だったら「テポドン・サービス」と呼ばれていた可能性もなくはない。つまり、そういうことで、「スカッド」の部分に意味はない。すごいサービス、という意味だ。
 誰が言い始めたかは定かではないが、恐らく欧米のメディアの記者がそういう見出しを付けて報道したのがキッカケだろう。
 どういう風に打つかと言えば、大きなフォームで、しっかりとしたテイクバックから、どーんと打つ、ということになろうか……。

依頼内容808:ダブルスの質問なんですけど、僕はボレーが苦手でって言うより下手なんです。だけどストロークのほうはボレーより得意なのでフォーメーションは雁行人ではなく二人とも後ろでグランドストロークをする並行陣です。でも二人とも後ろっていうフォーメーションは見たことがないのであまり良くないのでしょうか?

北海道のぽぽさん

報告808:練習もいいが、たまにはプロのテニスの試合を観戦してみることをお勧めする。二人とも後ろのフォーメーションは意外に数多くのペアが使っているからだ(何もトッププロでなくてもいい。お近くで開催されているJOP大会などに足を運び、観戦してみて欲しい)。
 とりあえず、並行陣や雁行陣のように広く流布した名称はないので、ここでは「後ろ並行陣」と呼んでおくことにしたいが、ストロークが強い選手同士のペアではごく一般的に使われているやり方だ。ただし、ストロークが甘くなったりして前に落とされたり、アングルに返されると途端に不利になるので、それなりのストローク力が求められる(また、基本的には雁行陣の変形タイプで、ストローカーに適したスタイルだが、チャンスと見るや、二人で一気にポジションを上げるため、守備的な並行陣という考え方もできる)。
 主な戦術は簡単だ。とにかく強いストロークをセンター中心に深く返し、相手の返球が甘くなったら前に出て決めたり、アングルに決めるというのが中心となる。基本的には守備的な形で、自分の方から角度をつけていくのは、完全な決定機か、それを作り出したい時にとどめないと、逆に相手に角度をつけられやすく、自分が不利になる。また、相手の前衛を後ろに下げさせるためには、ロブをうまく使うという手もある。相手によって色々と試してみて欲しいが、いずれにせよ、来るボールは全部拾うという覚悟と能力が必要だ。
 「なんとか陣」と言われると、なんだか決められた形のようで、その陣形を崩してはいけないような気がするかもしれないが、テニスの目的は相手の返せないところにボールを打つことで、陣形はそのためにあるものという前提をもう一度確認して欲しい。
 陣形というものは自分たちのタイプや、飛んできたボール、対戦相手に合わせて有機的に変化していくもの、と柔軟に考えておいて欲しい。全ては自分たちがどうやったらポイントを取れる形か、を考えることで陣形というものも決まっていくのだ。並行陣か雁行陣かの二者択一ではない。その意味ではどちらの方が優れていて、どちらの方が劣っているとか、新しいとか古いではないのだ。現に、今の女子ダブルスの強豪には雁行陣が多い。男子のダブルスだと並行陣が中心となるが、昨年のアテネ五輪で金メダルを取ったチリのマスー・ゴンザレス組は後ろ並行陣を多用するペアだった。これはプレーヤーの特質に合わせて、「どうやったら自分たちが勝てるか」を自然に表した形だ。
 なんのためにテニスの練習をするのか、と聞かれて「うまく打てるようになるため」と答えるなら、もう何も言わない。しかし、「試合で勝つため」という気持ちが少しでもあるなら、自分のこと、試合までの時間、自分が何かの技術を習得するためにかかる時間、身体能力上の特徴や精神的な特徴などを客観的に判断して、最善の方法を合理的に割り出すべきだろう。

依頼内容807:最近筋力トレーニングを始めたのですが、握力の重要性や役割が自分なりにわかってきました。そこで興味が出てきたのですが、高校トップクラスの選手、大学トップクラスの選手、日本トップクラスの選手、世界トップクラスの選手の人たちはそれぞれどのくらいの握力を持っているのでしょうか。

神奈川県のすっぱさん

報告807:残念ながらそういう身体能力のデータは、まとまった形では存在していない。プロ選手が年に一度、体育館のようなところに集まって体力測定でもしていてくれれば、いいデータとなると思うのだが……。しかし、一説によると、テニス選手だから特別握力が高い、とは限らないらしい。ラケットを強く握れればいいというものではない。最大筋力となるいわゆる握力の数値は「瞬間に入る力の最大」であり、テニスではそれほど高い必要がないからだとも言われる。むしろ、ある程度の力で何度も握り続けられる「握力の持久力」が求められているためではないかと思われる。

依頼内容806:ボレーをする時ラケットのボールへの入射角は大体何度ぐらいなんですか?

北海道のコナンさん

報告806:えーと、仮にそれがわかったとして、依頼者のプレーの何かに役立つのだろうか、とまず考えて欲しい。仮に依頼者が完璧なヒッティングのできる、ヒッティング・パートナーロボットでも設計しようとしているならともかく、ご自身でもプレーをする人間であるなら、大きな意味がある思考とはにわかには思えない。
 ボレーと一口に言っても、打点の高さと自分の立っている位置とネットの位置と高さの関係性、飛んできたボールの角度と速度、回転量、そして自分が打ち返したいボールの勢いとコース、高さ、角度、回転など設定条件があまりにも多い。
 テニス研究家の方の中には、スイング時の筋肉の使い方や、脳や神経の反射の様子、ラケットとボールが衝突する時に一体何が起きているかなどなど、細かく研究している方がいる。それはそれで面白いし、ある場面では役に立つこともあるのだろうとは思うが、実際にプレーしようという人間が、「目と手の反応速度は0.5秒、まずなんとか筋が収縮してそこから順に……」という具合に頭のロジックで処理しながらテニスをしていたら、永遠にボールは前に返ってくれないだろう。現実はデジタルではなく、非常にアナログなものなのだ。デジタル的思考というのは、物事や現象を分析し、説明する際には汎用性が高く、普遍性も持ちうるが、スポーツの分野において、それを完璧に再現できるかは再現者のアナログ的アプローチが必須になる。
 科学というのは常にそういうものだと言っていい。ニュートンが万有引力を「発見した」ということになっているが、物が落ちる、という現象を彼が発見したわけではもちろんない。彼はそれを「説明し、分析する」方法を見つけたのだ。まずある現象がそこにあり、それを説明するために、多くの科学者たちがあらゆる方法を使って考えている。それが科学というものなのだ。中にはある現象を説明することができるようになることで、広く汎用性ができて、また新たな現象を生み出したりすることもできるが、ことスポーツにおいては、実践できない理論ほど、選手にとって意味のないものはない。水泳や陸上競技など、かっちりと決まった形の運動を繰り返すタイプの運動ならまだいいとして、テニスのように局面によって非常に多くの処理方法が考えられるスポーツでは、理論によって汎用性を獲得するのは非常に難しい。求められているのは高い応用能力で、これは恐らく、身体条件やその日の環境的条件により、無数に枝分かれしていくものと思われる。
 大体、「テニスの理想」というものでさえ、最強選手が現れる度に繰り返し書き換えられてきた。コナーズが出始めた当初は両手打ちバックハンドというだけで異端視されたが、彼が活躍しだすと「両手打ちじゃないと勝てない」と言われ始め、サンプラスが現れれば「サービス力が物を言う」、「肩の可動域が重要だ」。アガシが出てきて「運動連鎖」、「ハンドアイ・コーディネーション」……。フェデラーとエナンが強くなってきた今、「これからは片手打ちバックだ」とでも言う気か? とあほらしくなることもある。かのビル・チルデンは、「テニスの技術などというものは、ボールに集中してさえいれば、自ずとその形になる」と何十年も前に言い切っていた。はっきり言おう。理屈ではないのだ。同じ技術でもすぐに覚えてしまう人もいれば、何年もかかって、結局うまくいかない人もいる。理屈によってある程度以上、技術の習得を早めることはできるかもしれないが、デジタルな情報はデジタルな分だけ多くの要素が省かれている。その省かれた分が、難しさとなってプレーヤーを悩ませるのだ。
 仮にボレーの入射角は大体40度から70度の範囲、とわかったとして(この数字はあくまでも例えです)、今度はじゃあどうやってその角度を作るかということになる。まさかプレーをしながら分度器で測るわけにもいくまい。依頼者の思考法なら次は恐らく、「ラケットはボールが当たる何秒前にテイクバックすればいいのか」と疑問を持つだろう。
人間の身体というのは非常に頭がよく、熟練した職人はミクロン単位での微調整をやってのけるというが、これは繰り返し繰り返し同じ動作を続けてきたからこそだ。ナダルやアガシを見ていると、「この選手は恐らく、我々の気が遠くなるようなほど長い時間、様々な反復練習を繰り返してきたのだろうな」と感じさせられる。ナダルはどんな体勢からでも相手のコートに向かってボールを飛ばせる。これを感覚というのは簡単だし、実際、彼にはそのセンスもあるのだろうが、恐らく、彼は実に色々なパターンの反復練習を繰り返して微調整をすることを身体に覚えこませてきたのだろうと思われる。
チェスの場合、人間のチャンピオンにすでにコンピュータが勝った。これはチェスの場合は比較的条件設定が少なく、コンピュータの演算能力が上がった現在、次の一手を選択する時に、かなりの精度で正しい手を読めるようになったからだと言われる。しかし、将棋の場合はまだまだ人間には勝てないと言われる。これは一度取られたコマでも再び、相手側のコマとして再投入できる分が複雑になっているからだという。
テニスも同じだ。水泳の場合は理想的な泳法を研究者が考え出し、コーチが練習法を考えて、選手が実践するという方法で日々、タイムが削られている。水泳という競技が同じ動作の繰り返しで、タイムを競う競技だからこその結果だろう。しかし、テニスでこれをやろうとしたら、できるのはせいぜい「一番速くサービスを打つ方法」ぐらいだろう。しかも、相手に球種を読ませない、という要素は入れにくいため、「やった、300キロのサービスが打てるぞ」となってもそれが相手にリターンされないという保証はどこにもない。
 テニスはあるひとつの瞬間だけをデジタル化して、普遍化することはできるかもしれないが、それを応用させていかないと、結局役に立たない特性を持っている。「足を動かして、常に同じ打点で打てるようにすれば、常に同じ動作と簡単な応用で打てるはずだ」という意見も出てきそうだが、これは極論すると、人間がボールより速く走れるというのが前提となる。そんな場面がどれほどあるだろうか……。

依頼内容805:僕は高校の部活でテニスをしています。ボレーがとにかく苦手で前にダブルスの試合で至近距離からのパッシングを体に受けてから怖くなりボレーが出来なくな り、ダブルスの試合なのに全く前に出ずにベースラインでストロークをしています。 ボレーがなければ勝てないと自分でも思うし、みんなからも後ろに下がっている意味 がわからないと言われます。さすがに怖いからなんて言えません。それに僕は左右の 動きなら何とか球を拾うことができるけど、短い球に弱く、前に落とされると終わり ます。ボレーに出るタイミングや、失敗を少なくする方法と短い球の対処のしかたを 教えてください。

岩手県のぽぽさん

報告805:前に出られなくなるほど怖い思いをした、というお話なので、恐らくケガを伴う体験だったのだろうと想像する。しかし、あえて言おう。テニスボールは怖くはない。200キロのボールがその速度のまま身体に当たっても、眼球に直撃でもしない限りアザやこぶができる程度で済む。これぐらいで怖がっていたら硬式野球はできないし、剣道も無理だ。ソフトボール部の女の子たちの方がよほど危険と戦っているぞ。
200キロの速度で飛んできてやっと野球の130キロ前後のエネルギー、というのがテニスボールという物質だ。しかも、野球の硬式のボールは非常に固く、そのまま当たってしまえば大怪我をしかねないが、テニスボールはやわらかい分だけ、変形量も大きい。つまり衝突する際のエネルギーを受ける面積は広くなり、かつ、変形する分、衝突時間も長くなる(衝突時間が短いほど力は集中する)。したがって、破壊力も野球のボールが当たったほどにはならない。
 これは、野球の硬式ボールで校舎の窓ガラスを割るのは簡単だが、テニスボールで割ろうと思ったら大変だ、と考えるとわかりやすいかもしれない。
 もし、目に当たるのが怖い、というのなら、ゴーグル(射撃競技などで使用されているもの。モノによっては22口径の弾丸でも貫通しない、というものもある)を付けてみることをお勧めする。確かに目だけは怖い。他の部位なら痛いで済むが、眼球はそうはいかない。そう考えるとテニスは恐らく最も近距離で高速のボールを相手にしなければならない可能性がある競技の一つ、とも言えそうだ。
友達には「いや、メガネ(コンタクトでもいい)が割れないようにさ」とでも言ってごまかしておこう。もし、目がいいというなら、サングラスタイプのゴーグルを買い「まぶしいから」と言ってごまかそう。大手のスポーツ用品店に行って、「射撃とかでも使えるゴーグルをください」と言えば、店員さんも理解してくれると思う。それなりの値段もするがここは奮発しよう。ここで気を付けたいのは、店員さんに「これはボールとかが当たっても軸が簡単に折れちゃったりするやつじゃないですよね」ということ。ただのサングラスでは意味がないので、ちゃんと目の保護用の、スポーツで使われるゴーグルであることを確認してから買って欲しい。店員さんには「目がよくないので、スポーツをやる時にメガネをしていたいのですが、メガネが壊れるのが嫌で」と言っておけば、理解してくれるだろう。
 ボレーに出るタイミングや、失敗しないコツも何も、まず前に出られないようでは始まらない。依頼者の場合、現時点ではそれ以前の問題なのだ。
 もう一つの選択肢として、「別にボレーしなくていいじゃん」というのもある。ストロークに徹底して磨きをかけ、どんなボールが来ても拾うというぐらいテニスを構築すればいい。雁行陣の鬼になるのだ。この場合、パートナーには前に出られないことをあらかじめ打ち明けて、理解してもらい、パートナーに頑張ってもらう必要があるが、これはこれで強いペアになる。さすがにただ触れば済むようなボールの時だけは前に出たいところだが、パートナーがサービスの時には自分もベースラインにいて、戦うスタイルは全然珍しいことではない。
女子の話ではあるが、実際、神尾米&雉子牟田直子ペアは、神尾がベースラインで徹底的に粘り、雉子牟田がかき回す役で戦い、全日本選手権を勝っているのだ。
 欠点とわかる部分をできるようにする努力は必要だ。しかし、合理的に割り切って、長所を徹底的に磨いた上で、それを生かした戦い方を考えるというのも手だ。大体、ストロークもボレーもサービスも全部うまくなる、なんてのは、プロでもある程度あきらめている贅沢な悩み。「オールラウンダー」と言われている選手が今、ツアーに何人いるか思い出して欲しい。ほとんどの選手は自分が強い部分で戦えるようにプレーを構築していて、それができなかったときに「自分のテニスができなかった」と言って敗れているのだ。
 ただし、求める限り、一生上達はするらしい。ある国内の元トップ選手が、「引退してからやっとトップスピンが打てるようになった」とおっしゃっていたことがある。学生時代の大会や、高校の大会で結果を出したい、など時間に限りがある場合は特に、ある程度の割切りが必要ではなかろうか。

依頼内容804:僕は軟式では、全国レベルでした。そして高校を卒業したらプロになりたいと思っています。高校3年間をどのように過ごしたらよいですか。例えば、どんな練習をしたらよいか・どんな筋トレをしたらよいか・・など。できる限り、たくさん詳しく教えてください。本気なので、お願いします。

愛知県のラファエル・ナダルさん

報告804:「軟式で全国レベルの選手なら、3年間あれば軟式時代と同じレベルまで行ける」と以前、あるテニスコーチからうかがったことがある。ボールとの距離感、ゲームの感覚、コートの広さなど、軟式と硬式は共通点が多い。他の競技をやっていた人より、導入の部分で有利なのだという。
 どんな練習、筋トレなどは、個人差もあるのでなんとも言いがたいが、高校のテニス部の練習はもちろん、自分でも自主的にどんどん練習をした方がいいだろう。できれば信頼できるコーチを探し、一緒に練習するのが理想だ。
 将来はプロに、というお話ならなおさらだが、今の内に、プロのテニスを知っておいて欲しい。機会があれば大会に足を運び、直接その目で彼らがどんなテニスをしているかを観察しておいて欲しい。どの程度のボールが打てないと、身体が動かないといけないのかの物差はプロのプレーを見るのが一番わかりやすい。そこに向かって、自分はどうやったらたどり着けるかを日々考えながら近付いて欲しいと願う。

依頼内容803:はじめまして。
僕はテニスを始めて3年の高校1年生です。
さっそくですが質問を聞いてください。
中学からテニスを始めたのですがストロークの強い選手になりたいと思いストロークを中心に力を入れながら練習していました。
しかし、中学の終り頃からストロークを引き立てるためサーブの強化、ボレーでポイントを取るなどさまざまなことも視野に入れてストロークに偏らない技術も身につけるようにしています。
先日試合があったのですがいつも通りの深めのストロークを打てていたのですが相手のストロークも深く、勢いもあったのでアプローチからのボレーに転じることができなく、何らかの形で攻められてポイントを失い負けてしまいました。
しかし、スライスや、ロブなどでペースを変えるようにも試してみましたがなかなか相手の球が甘くなりませんでした
ミスをせず、しかも攻めることのできない弾を打つ相手に対処して勝つにはどのような技術、もしくは戦略が有効でしょうか。
ベースラインからの攻めることができるショットや、戦略を教えてください。よろしくお願いします。

兵庫県のグラファイトさん

報告803:依頼文を非常に素直に読むと、つまり、「自分より強い相手に勝つ方法を教えてください」と読める。いや、もう一つの読み方をすれば、ひたすらシコってくる相手だった、とも読めるが、シコらせてしまう、という時点で相手の土俵で戦ってしまったという意味になる。その自覚はあるだろうか? それがないことには一歩も前に進めない。依頼者がおっしゃっているのはこうだ。
「いつも通りの深いストロークを打てていた」のに相手に深く返され、しかもそれを勢いよく返されて自分が窮地に陥ってしまい、そこからカウンターも取れず、「スライスやロブも使った」が相手には効果がなく、チャンスは作れなかった。相手はミスもしてこないし、攻めさせてくれない。どうすればいいのだ?
 ……これは現時点の依頼者より、相手の方が全ての面で上の実力を持っていた、としか読めない。違うだろうか?
 もし、この通りだとするなら、まずは自覚して欲しい。相手は確実に自分より強い。しかも、恐らくはあらゆる面で上だった。そんな相手にベースラインから攻めようとか、戦略でなんとかできるのでは、という考え方自体が正しいかどうか、もう一度御自身で再検討してみて欲しい。戦略でどうにかできるのは、全ての実力がほぼイーブンの相手との戦いか、相手より上回る何かをいくつか自分が持っている時だけで、ベースラインで勝負するなら、少なくとも相手よりもストローク系の戦闘力において上回っているか、せめてイーブンでなければ無理だ。テニスは対戦競技。自分の戦力を充実させ、相手よりも戦力の総合力で上回ることでしか勝つ可能性を増やせない。相手より劣る戦力しか持ち合わせていないというのなら、そもそも勝てる見込みは小さく、その場合は相手の弱点に自分の武器を集中的に投下して活路を見い出すしかないが、相手の弱点が見出せても、自分の武器ではそこを攻められないなら、勝つ見込みはほとんどゼロだ。あとは運だけが頼りだ。
「いつも通りの深いストローク」と御自身でおっしゃっているストロークでも、もしかしたら相手にしてみれば「ただのストローク」にしか見えていないかもしれないし、事態を打開しようと使ったというスライスやロブなども、相手からしたら「ただシコってる」としか受け取られなかったのではなかろうか、とも考えてみて欲しいのだ。自分を直視することからしか進歩は生まれない。「俺は頑張った」というのを自己満足で終わらせないためには、客観的に自分を見て、冷静に評価する目が必要だ。
 試合を見たわけではないし、依頼者のことも何もわからないが、依頼文を素直に読めばそういう具合となる。間違っていたとしたら、大変申し訳ないが、それならそれでこの報告は考え方の参考例として読んでおいて欲しい。
 「ストロークだけに偏らない選手になりたい」という志はいいとして、そのストロークも実はまだまだ、という可能性はないだろうか? また、高校1年生だとおっしゃっているので、まだ高校テニスのレベルを身体と頭が理解していない可能性もある。中学生と高校生というのは、見かけ以上の差があるものだ。大人になってからの年の差など、10歳単位で違ったところで大したことはなくなるが、10代の頃の1年の差は、大人の20年差に匹敵するほど心身の成長の度合いが違うことがある。まだ高校テニスのレベル感覚が自分のものになっていないのではなかろうか。
 自分がなぜ相手にかなわなかったのか、もう一度冷静に、そして可能な限り客観的に再検討してみて欲しい。自分だけではよくわからなかったら、試合を見ていたコーチや友達に率直な意見をもらうといいだろう。その時に大事なのは、何を言われたとしても基本的には素直に聞く耳を持って一度は受け止め、その上で自分の中で消化して欲しいということだ。
 現時点で言えるのは、毎日一生懸命練習してください。ということだけだ。

依頼内容802:毎度返答ありがとうございます。今回も質問なのですが、プロの人が打つトップスピンのストロークはもの凄い跳ね方をする訳ですが、あのようなスピンがプロに打てて他の人に打てない(少なくとも僕は)のはなぜなんでしょうか、考えられる理由としては
1 スイングスピード
2 フォーム
3 筋力
ぐらいなのですがどうなのでしょう

愛知県の愛知の悪童もりぞーさん

報告802:その通りだ。
 ただ、プロたちだって最初から打てたわけではない。毎日毎日、それこそ気が遠くなる程たくさん練習して、トレーニングしてあの球を打てるようになったのだ。
 今はラケットやガットがよくなったので、アマの選手でもあの種のボールを全く打てないというわけではなくなった。しかし、彼らはあの種類のボールを何百回となく、当たり前のボールとして、いつでも好きな時に打てる。この差は小さいようでいて、果てしなく大きい。仮に依頼者が100回に30回ぐらいはそれらしいのが打てると感じていたとしたら、プロはその3.3倍上ということだ。
 一生懸命練習に取り組んで欲しい。そして、できる限り、トップクラスのテニスを、できれば生で見る機会を作って欲しい。「テニスボールってあそこまで打てるんだ」、「あんなのが狙って打てるようになるんだ」という感覚は、TVではなかなか伝わってこないからだ。自分が打ちたいボールを具体的にイメージできているのと、できていないのでは大違いだからだ。

依頼内容801:前回はご丁寧な回答ありがとうございました。
今回はまたお聞きしたいことがあります。
僕は少し前からスクールに通っているのですが、最近コーチにフォアハンドのグリップについて指摘されました。僕は、高校で部活もやっているのですが、部活では、ほとんどの人が高く弾むスピン系のボール打ってくるので、ウエスタンでないと、うまく叩くことができません。しかし、スクールのコーチに、フォアのグリップをセミウエスタンに変えるように勧められました。プロの選手でもセミウエスタンの選手が多いようですが、セミウエスタン等の薄めのグリップの利点とは何なのでしょうか?高い打点で叩くにはウエスタンのほうがいいと思うのですが…。また、バックハンドも同様に、薄いグリップ方がいいのでしょうか?いま僕は両手バックで、右手がバックハンドイースタン、左手がウエスタンです。(利き腕は右)

千葉県のM.Dさん

報告801:まず、どうしてスクールのコーチの方がそういうアドバイスをしたのかについて、考えてみて欲しい。それがわからないと、依頼者にとって最も正確な解答は出せない。
 基本的にウエスタンでも、セミウエスタンでも、それが依頼者に合っていて、打ちやすく、しかも威力もコントロールも確保できているというなら、特別意識しなくてもいいのではとも思う。これはあくまでも想像だが、依頼者の現状があまりにも厚くグリップしていて、パワーをロスしているように見えたので、スクールのコーチは「もう少し薄くしたらいいんじゃないか」という意味でアドバイスしたのではなかろうか、と思う。
 セミウエスタンの利点は、その自然さに尽きる。ウエスタンだとオープンスタンスで、高い打点を叩くには都合がいいが、時にスピン過多になって威力が失われたり、低い打点でのコントロールが難しくなりやすい。コンチネンタルだと低い打点の処理や、スライスやブロック系のショットには都合がいいが、自分からトップスピンをかけて、強くボールを叩くこと自体が難しくなる。その両方の利点を持っているのがセミウエスタン。オープンスタンスでも、スクエアスタンスでも打ちやすく、トップスピンもかけやすく、強打もしやすい。スライスはちょっとやりにくいが、それでもできないわけではないし、ボレーもそのままやろうと思えばやれる。つまり、融通が利くのがこのセミウエスタンというわけだ。
 なにしろ今の打ち方で、手と面の感覚が一番一致しやすいのがセミウエスタン。普通のラリーだと一番ミスが出にくいのがこのグリップでもあるはずだ。
 ところで、じゃあセミウエスタンが一番じゃないか、となるかもしれないが、これは必ずしもそうではない。グリッグリのトップスピンをかけたり、高い打点を押し込んだりするにはもう少しグリップは厚くしたいし、逆に低いボールをすくい上げるなら、薄いグリップの方がいい。極端な条件には極端な準備の方が当然向いているわけで、融通が利くというのはその反面で、極端な条件ではそこそこ、ということになるわけだ。
 選手や上級者と呼ばれる人は、実は無意識にグリップを様々に調節している。恐らく、依頼者もそうしているはずだ。ベースとなるグリップはあるにせよ、ボールを打とうとした時のポジション、打点の高さ、打ちたい方向や球種、スピードなどにより、最適のグリップを作って打とうとしているはずなのだ。だから、「フェデラーはセミウエスタンだ」という話があったとしても、いつもセミウエスタンで打っているわけではない。彼だってフルウエスタンで打つこともあれば、もっと薄いグリップでも打つ。大体において、テニスのグリップというのは、ゴルフのグリップほど厳密なものではないのだ。大体、いつも同じグリップで打つことの方が逆に難しい。
 両手打ちバックハンドの場合は、極端なグリップだと融通性がなくなるため、薄めのグリップを使う選手が多い。薄くても両手で打つ分、トルクが確保できるので打ち負けないですむからだ。これも最終的には自分で一番打ちやすく、威力とコントロールが確保できる形が一番、ということになる。

依頼内容800:スピン系 トップスピンのサーブを、習得しようとしているのですが内転を左側から右側にかける事になると思うのです。ほとんどの選手はフォロースローは右から左なのですが内転は、どうなっているのですか?

福岡県のKENさん

報告800:まず、内転というのはサービスの目的ではないと心得て欲しい。ここで重要なのはタテ回転のサービスを打つことで、内転の仕方ではない。
 スピンサービスの場合、まず打点が違っていること、身体の角度がスライスサービスの時と違っていることを思い出して欲しい。頭の上か、もっと後ろの打点のボールを普通に前に飛ばそうと思えば、スイングが上に向かっている途中でボールがラケットに当たるはず。たての回転はこれでかかるのだ。
 文字だけのこのコーナーではなんともうまく説明できないが、ちゃんとできている人のフォームと打点をもう一度その目でよーく観察してみて欲しい。別に不思議なことをしているわけではなく、特別な腕の使い方をしているわけでもない。

依頼内容799:こんにちわ。早速なんですが、僕はフォアハンドストロークが安定しなくて困っています。そこで、ネットを使って自分なりに探してみたところ、自分では、一番力の入る細めのグリップが良いと思い込んでいたんですが、力が入れば入るほど手首の可動が制限されるみたいで、その上、面も安定しないようなのです。逆に太いと、繊細な感覚が必要なショット(ドロップショット等)が打ちにくくなるものの、面が安定し、手首も使いやすいみたいなんです。これは実際どうなのでしょうか。面が安定すれば、ストローク自体も少しは安定すると思うので、グリップを太くしようと思うのですが…

千葉県MDさん

報告799:手首を使いやすくするには、一般的には細いグリップの方がいいはずだ。これは、手をグーに握って手首をぐるぐる回すのと、パーにして回すのとをやってもらえればすぐに理解できるはずだ。より大きく、しかも自由に手首を回せるのはグーの時のはずだ。
 グリップが自分のサイズよりも細ければ、手首が返しやすくなったり、面の微妙な調整ができるようになる代わりに、オフセンターした時に面がぶれやすくなり、また、ラケットを保持するためにより大きな握力が必要とされやすい。
 逆に太ければ、手首を返したり、微妙な面の調整はしにくくなるが、小さな握力でも面の保持が楽になる、というのが一般的だ。
 最終的には自分が使っていて一番使いやすい太さが、依頼者にとっての最適のグリップサイズということになる。まずは試してみることが必要だ。その結果、太くした方がいいなら太くすればいいし、細いほうがよかったら細くすればいい。手の大きさや握力、プレースタイルによって最適の太さも変わる。誰かに「変なの」と言われても気にせず、「俺にはこれがいい」と構えていればいい。ただし、途中で自分でも違和感を感じたら、また変更する時にも躊躇しないほうがいいだろう。意固地になるのは進歩の敵だからだ。

依頼内容796:僕はストロークでのラリー戦になったときに深いボールのラリーになると有利になり大概ポイントを得ることができるのですが、こっちが深いボールを打つと相手が何とか当ててきてネット際に浅く低く落とされると、どうしたらいいかわかりません。スライスを打とうにも多少は高くしなきゅネットは越えない、その後ロブで走らされる、ネットより低く弾むから強打はできない。強打したらネットorアウト、せっかくこっちが追い込んでるのに・・・なんだか納得できません。こういう場面ではどうしたら良いですか? あと僕のスライスにはサイドスピンがかかってしまうことがあります。これはボールのど真ん中を捕らえることができてないからですか?

兵庫県のクレーコーターさん

報告796:深いボールのラリーではポイントが取れているのに、自分が深いボールを打つと浅いボールを落とされて……。申し訳ないが状況がちょっと見えにくい。
 ただ、素直に依頼文を読んでいて思ったのは、「せっかく追い込んだのなら、素早く前に詰めて、ネットプレーに出ればいいのでは?」ということだ。なんとか当ててくる、という段階まで追い込んでいるということは、そこかえ打ち返されるボールに関して、ある程度コースは限定できているはずで、依頼者にもそれは読みやすいはずだし、そう細かいコントロールもできまい。であるなら、ボレーで仕留めるというのが最も有効な手段だ。ここでトップスピンロブや、きれいにパスを抜かれたら、それは追い込みが足りなかったということで、素直に相手に拍手だ。
 04年の全仏のヘンマンを思い出して欲しい。彼は深くコントロールしたストロークを入れた後は、ネットに出て行って仕留めていたはずだ。相手につなぎ球を簡単に打たせないためには、ネットで勝負するという感覚が必要なのだ。今年のナダルだって、相手を追い込んだらちゃんと前に出て仕留めることが多かったはず。クレーコーターでも、ベースライン上にとどまり続けてはいない。注意深くもう一度試合を見てみて欲しい。
 スライスのサイドスピンは……、身体の近くでボールを取りすぎているなど、原因は様々に考えられるが、サイドスピンがかかって何か不都合があるのだろうか、ということを改めて考えて欲しい。それでちゃんと相手コートに返り、スライスとして機能しているなら、そう大問題とも思えない。ボールのど真ん中を、とおっしゃっているが、スライスと一口に言ってもいくつか種類があるし、取れた打点によっても違ってくる。ここはお近くの先輩や仲間、コーチの方などと相談していただいた方が、依頼者にとっての正しい答えが出やすかろう。
 最後に、テニスは対戦競技でありゲーム。深さやパワー、スピードだけでは勝負が決まらないし、自分の都合だけでは何も決められない、と出発点ではもう一度認識しておいて欲しい。その上で、少しでも自分のシナリオで進められるように、腕を磨き、勝負の感覚を鋭くして欲しいのだ。時にはコートにいる自分の目線だけでなく、人の試合やテレビのプロの試合はもちろん、直接観戦することも含めて、テニスを見る、ということを大事に考えて欲しい。時にはオンコートでの練習以上に、大きな発見があると思う。

依頼内容792:玉際に強いってどういうことですか?

東京都のK.Kさん

報告792:具体的に言うと、とっさのプレーがうまいということになるのだろうか。やっと伸ばして取ったボールでカウンターを取ったり、逆に身体に食い込んできたボールを巧みにさばいたり……。選手で言えば、フェデラーだったり、グロージャンだったり、ネットに出てきた時のヘンマンだったりが代表格だろうか。
 もう少し簡単な言い方をするとすれば、「器用な選手」と言えるかもしれない。

依頼内容789:スクールでテニスを始めて3年ほど経つのですが、フォア、バック、ボレー には自信があるのでリターンゲームはとれるのですがサービスに自信がなくよくブレ ークされてしまうのでサービスの質を上げるためにトロフィーポーズとろうとするの ですが途中で崩れてしまうのですが、筋力が足りないからでしょうか?

北海道のpimpimさん

報告789:単純に筋力不足かどうかは、何とも言えない。というのは、問題はバランスで、絶対的な筋力だけが重要とは言い切れないからだ。
 トロフィーポーズという部分のみを意識すると、あの形を維持しないといけないように思われるかもしれないが、あの形はサービス動作の中で現れる一瞬のタメの動作。言ってみれば、タメを作ってサービスが打てている人なら、自然と出ている動作でもあるわけだ。ただ、全身の筋力の差やサービスのスタイルによって、このポーズがより大きくなったり、小さくなったりするものだが、現時点でのバランスのに中で、一番最適なタメを作れていれば、そうバランスは崩さないで済むはず。崩れるというのであれば、その原因は、筋力の割にちょっと大げさすぎる状態を目指してしまっているか、あの形の維持を意識しすぎているからではなかろうか。あの形で崩れず立て、というのは、ナダルだって無理だ。
 確かにより大きなタメを作ろうと思えば、体幹部のバランスのいい高い筋力と、タメておけるだけのしっかりとした下半身と腰の筋力、股関節の柔軟性とバランスキープ力が求められるだろう(さらに言えば、大きくタメを作れば、それを持ち上げる筋力もいる。筋力のバランスというのは、そういう意味でもある)。
 しかし、もし、プロ並のそれを作りたいと考えているのなら、あえて言おう、それは「野望」という言葉に近い。プロと同じようにしたければ、毎日起きている時間はコートで練習したり、ジムで身体を鍛えているプロと同じ身体が必要になる。あくまでも参考としてとどめ、ご自身の無理のない範囲でタメを作ることを意識されることを、基本的にはお勧めする。

依頼内容788:こんにちは
最近インサイドアウトやアウトサイドインとかよく聞きますがあんまり意味が分かりませんどうか詳しく教えてください(メリットデメリットやスイング軌道など)

北海道のにけえどうにりんんさん

報告788:スイング軌道は書いて字の通りだ。身体の内側から、外に向かって振り出していくようなスイングがインサイドアウト、逆に外側から内側に巻き込んでいくスタイルがアウトサイドインだ。
 それぞれにメリット・デメリットがあるが、一般的に言うと、インサイドアウトの方がよりボールを押す形になって、打点をゾーンで取る形になるため、コントロールと安定性が確保しやすいと言われ、アウトサイドインは、打点を点で捕らえるため、威力やスピン量の確保には向くがその許容範囲が小さいと言われる。

依頼内容786:激しいラリーを演じたいと思ったら、やはり両手打ちが有利でしょうか?よろしく御願いいたします。

福島県のいきなりダイヤモンドさん

報告786: 何をもって激しいとするかの問題はあるが、基本的にプレーヤーの資質による。確かに両手打ちの許容範囲が片手打ちより広いのは間違いないが、やる人ならやってしまうだろう。スペインのクレーコーターに片手打ちが少なくないのを見ても、それはわかると思う。
 ただ、一般プレーヤーの話としてなら、両手打ちの方が有利である可能性は高い。何しろ、「強く打つため」に両手で持っているのだから、そうでないなら両手打ちにする必要もあるまい。

依頼内容783:サービスでトスをあげた時の左手は、出来るだけ(ギリギリまで)長く上げたままにしたほうがいいのでしょうか?それともすぐに下げたほうがいいのでしょうか?

神奈川県のラクダさん

報告783:言葉の解釈次第で、答えも変わってしまうが、できるだけ長く上げておいて、必要なタイミングで引っ張り下げる、というのが答えになる。トスを上げた腕で前側に壁を作り、それをきっかけにしてスイングを加速する、というのがサービスの動作だが、早く降ろしすぎれば壁が崩れて身体が早く開き、バランスと安定感を失い、コースもバレバレになってしまう。逆に上げたまますぎると、上げた腕自体がスイングの邪魔になる。
 この必要なタイミングをどの程度と解釈するかで変わってしまうので、一度ご自分のサービスのフォームを動画に撮って確認されることをお勧めする。自分で見て、「こりゃ早いなぁ」と感じたら早すぎ、「変な打ち方になってる」と思ったら残しすぎだ。

依頼内容779:フェデラーとフェレーロのフォアハンドのグリップを教えていただけませんか?お願いします

北海道のキラさん

報告779: 二人とも、と言わず、全ての選手はショットによって、打点によって、打ちたい球種によって、時にはコースによっても常にグリップは微妙に調節しているもの。従って、非常に厳密を期してお答えするとするなら、このグリップである、と一つのグリップだけを指摘はできない。
 そこを敢えて言うとすれば、フェデラーはセミウエスタンからイースタン付近、フェレーロはセミウエスタンからウエスタン付近を調節しながら使っている、と言える。