このコーナーは、本誌と連動する 『スマッシュ調査団』と『テニスフリートーク』で構成されています。
 『スマッシュ調査団』は、テニスに関する素朴な疑問を調査・解決していく、本誌で大好評連載中のコーナー。毎月寄せられる多くの依頼に本誌だけではとても答えていけそうにない。というわけで、インターネット部門を開設することになりました。このコーナーは随時更新していく予定なので、こまめにチェックして下さいね。依頼は、従来通り本誌宛へのお葉書はもちろん、インターネットでも受付けます。インターネット受付分から本誌への展開もあるので、「アレって何かな?」と思ったら、依頼してほしい!
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**** 技術 ****

依頼内容997:はじめまして。私はテニスを本格的に部活で始めてそろそろ1年という者です。
決して怠けているわけではないのですが、天性の(?)運動音痴もあって未だにしっかりと下半身を安定させ、下半身や腰の回転といったものを(うまく)使う事ができません。そこに起因するのかはわかりませんが大きな問題点として
・当たりが非常に悪い
・トップスピンがうまくかからない(サイドスピンだったり無回転気味だったりする)
・ボールとの距離感の取り方が下手(特にダブルバックは空振りがよく・・・)
と言う事があります。上のような4点(下半身や腰の回転・当たり・スピン・距離感)はどうすれば改善できるのでしょうか。
また、バックハンドに関して先の回答で個人によってシングル・ダブルの向き不向きがある、と言う事は仰られていたと思いますが、顧問の先生は高校ではシングルのトップスピンは無理だからやるな(全員に)、と言っています。実際私も最初はシングルに挑戦していたのですが、数ヶ月前にダブルにしました。(といっても下手なシングルスライスが多いですが)未だに諦めきれず、高校の部活が終わったらシングルにしてもいいな、と思っているのですが・・・。現実問題として、私のような者にシングルでのトップスピンの完成は難しいでしょうか??(また、トップ・スライスとも練習法などあれば・・・)
また、シングル・ダブルの向き不向きですが、これはどのような事に起因し、どのような場合にどちらが向いているのでしょうか?単純にダブル未経験の人が振れば、シングルの方がやりやすく思うでしょうし・・・。
長々と広範囲に渡って質問してしまい、申し訳ありませんでした。2つに分けるか、減らすべきかとも思いましたが・・・。是非うまくなるために色々な事をしていきたいと思っています。よろしければご回答頂けると嬉しいです。

愛媛県のRNさん

報告997:バックハンドの当たりが、という周辺に関して、下半身を安定させて、腰の回転で、などとおっしゃっているところを見ると、かなり勉強熱心な方とお見受けする。
しかし、依頼者の場合は、それらを一度きれいさっぱり忘れてしまう必要がありそうな気がする。
 というのは、ボールを打つということに関して「解説」しようとすると、そういう考え方が必要になるし、それらを意識することで確かにうまくいく方もいるのだが、依頼者の場合はどうにも考えすぎの傾向が見え隠れしているからだ。まずは単純にボールを引っ叩く感覚をつかめないと、下半身がどうした、というのを意識しても無駄だ。
球出しでなくていい。自分の手で落としたボールを思いっ切り引っ叩いて、コートの向こうのバックフェンスに直接ぶち当てるような練習から再スタートしてみてはいかがだろうか。まずはどうやって当たればどうやってボールが飛んでいくのかを、理屈ではなく身体で覚える必要がある。とにかく、一番飛んでいく当たり方を覚えなければ、ボールの回転の操作も無理だ。ボールがちゃんと当たって飛ばせるようになって初めて、各部のパーツを吟味できるようになってくるわけで、距離感がつかめず空振りをしている、という段階で下半身がどうしたと考えるのはまだ早すぎる。恐らく、今の依頼者に必要なのは、何も考えず、無心でボールを引っ叩くこと。文字通り、ボールを飛ばす感覚をつかむことだろうと我々は考える。
 バックハンドの片手、両手のどちらが向いているかは本当に人によりけりで、しかもよほど熟練したコーチが傍で見ているのならともかくとして、基本的には本人の感覚でしかわかりにくい。
よく言われるのは腰でボールを飛ばす感覚がある人は両手、腰の回転の感覚が希薄で打点で飛ばす感覚がある人は片手がいい、とも言われるが、振り切って強く打つというレベルになると、どちらも元となる身体の強さが必要になる。また、片手打ちだとテニスエルボーの危険が高いのは事実だが、両手打ちだと今度は腰を痛める人が多くなる。スポーツというのは、ある程度以上真剣にやれば身体に悪いのだ。
片手打ちのトップスピンなど、片手打ちで強打方向にボールを操るのは確かに難しい。ある程度以上の筋力も必要だし、よりしっかりとした打点の感覚が必要になるからだ。なにしろ、フェデラーやエナンだって打点の取り方をミスればミスヒットになるのが片手打ちのバックハンド。先生が無理だ、とおっしゃるのも理解できる。一方で両手打ちだとこの辺の許容範囲が広いのは恐らくご存知の通りだが、両手打ちの場合はどうしても感覚的な慣れが必要で、最初からうまく打てる人はいない。
とにかく、まだテニスを始めて1年ということなのだから、まずは焦らず、じっくりと身体作りと共に、技術も磨いていって欲しい。その際、あまり複雑にテニスを考えすぎないこと。飛んできたボールを打ち返すのがテニスであって、それがまずは目的なのだ。トップスピンがサイドスピンか無回転なのは、打点が遅れすぎたか、逆に早過ぎたかのどちらかだろうし、距離感はもうたくさん打ってつかむより他、これといった解決方法はない。
ただ、一つだけ言えるのは、バックハンドが苦手な段階だと、おっかなびっくりラケットを「出して」いくように打つ人が多いが、逆に思いっ切りぶん回すぐらいの感覚で打った方がいい場合が多い。空振りしてもいい。とにかく思い切りラケットにボールを当ててみて欲しい。コントロールの感覚はそこからつけていくものだ。


依頼内容996:僕は相手が強い球を打ってくるとそのパワーを利用して相手と同じくらいの球で打てるんですけど相手がフワァフワァっと弱い玉できて打ち込もうとするとミスってしまって、結局打点を落としてつないでしまってうまく攻めることができません。どうしたらいいでしょうか何か教えてください!!

北海道のゆうちゃんさん

報告996:相手が強いボールを打ってくると強く返せるが、弱いボールで自分から打っていかないといけないボールではミスをする。実はこれ、プロでも似たような傾向がある。というのは、自分の手に負える程度の速いボールというのは実は返しやすいからだ。
 相手のボールが手に負えないほど速く、合わせても面を弾き飛ばされるようなボールでなければ、相手のボールが速い方が打つのに力もいらないし、合わせていけば結構いいボールを作れるもの。相手のボールが速い分だけ、動作自体も自然とシンプルになっているものだし、多少のミスヒット程度なら今はラケットとガットが助けてもくれる。
 ところが、相手のボールが遅いというケースでは、自分でタイミングを取り、自分の力でボールを打っていかなければならない。これは案外難しいもので、プロでもこういう場面で案外ミスをやらかす。
 どうすればいいか? とにかくチャンスボールを叩く練習を繰り返すのは当然としても、心構えとして、テニスというのは相手からそういうボールを引き出すためにラリーをしているゲームだということを肝に銘じて欲しい。また、少しでもチャンスの芽を感じたら、素早くポジションに自分で入り、思い切り叩くという習慣を練習の段階から作って欲しい。最近ではオムニコートが増えたから、やたらと打たない方がいいんだ、と訳知り顔で言う方もいるだろうが、そういう方は、クレーコートの上のクレーコーターたちだってチャンスで打ち込まなかったら、結果として負けているという現実をどう説明するのだろう、と思ったりする。
 原因はサーフェスではない。原因は打てるポジションに入って打たないプレーヤーにあり、打てるときに打たないから負けたり、結果としてそのポイントは取ったとしても、無駄に長いラリーになったりしているのだ。
「足を動かすこと」とよく言われる。では何のために足を動かすのかと言えば、打てるポジションを得るためである、という原点を意識して欲しい。テニスでは一番いい打点を取る、という行動がまず第一に大事な動きであり、そのためにコートを走り回るのだと思い出して欲しいのだ。ここで打点を落とすということは待っているということになる。後一歩、あるいは二歩、どうして踏み込めなかったのかをご自身でよく考えてみるといいだろう。選手のうまい下手ではなく、強い弱いの分かれ目は実はこの嗅覚の部分だったりする。中には強引にポジションに入り込み、チャンスでもないボールをチャンスにしてしまう選手だって、レベルが上がってくれば出てくるものだ。
 プロのテニスをそういう視点で一度じっくりと見てみて欲しい。勝っている選手のプレーには「ここでどうして打たなかったのかなあ」という矛盾がない。一方でレベルの低いトーナメントの試合を見ていると、前に出ればボレーで決められるようなボールでさえ、後ろでつないでいたりする。柔道で言えば相手が隙を見せているのに投げを打たない、ボクシングならパンチを出さないということだ。何かの確信があってわざとそうしているならいざ知らず、そういうケースは非常に稀だろう。それに、そんなことができる選手なら、打てるときには打っているはずだ。
 まずは練習の中でチャンスボールを打ち込む練習をすること。打てるなと思ったボールで打てなかったら、それは自分の足が動いていなかったから、チャンスの見極めが遅かったからと判断して、そういうミスが出ないように意識を持ってまた練習すること。そして、できるだけ多くプロのテニスを見ることをお勧めする。


依頼内容992:ずっと前からコーチに打点をあげろといわれています。でも,イマイチしっくりきません。打点をあげるために意識することとかあったら教えてください。

広島県のキャメロンさん

報告992:これはストロークのことでいいのだろうか? ここではストロークのこととして話を進める。実は、我々が普段、プロの試合やプロの試合を取材した後、一般プレーヤーの皆さんを取材した時にいつも感じるのは「ボールの見極めの甘さ」と、それと連動する内容として「フットワークの甘さ」だ。打点が下がる、というのもこの分野に入る。
 依頼者がコーチに「打点を上げろ」と言われているのだとすれば、「落とさなくてもいいボールなのに、わざわざ下げて打っている」と見えているからだろう。打点を落とすと自然と下から振り上げる形になるので、当然トップスピンはかけやすいが、ネットより下から打つ分だけ攻撃性が下がることが多くなる。つなぐべき場面でつなぐのはいいのだが、一歩、あるいは二歩前に入る時間的余裕があり、そうすれば高い打点から叩き込めるというボールに対しても待って落として打つ、というのは「もったいない」と考えて欲しい。それはせっかくのチャンスボールをみすみす見逃していることになるわけで、テニスでは相手が強くなればなるほど、相手はチャンスボールをくれなくなるもので、一度の横着が取り返しのつかないミスになることもある。この場合、相手のコートにちゃんと返ったとしても、攻めなかったことがミスになるという基準になる。
 プロたち、それもトッププロたちというのは常にチャンスを狙っている。そのため、足が止まる瞬間がない。ここが一般プレーヤーとトッププロとの大きな違いで、そして決定的な違いだ。彼らはどんなボールでも基本的に最初の選択肢として「打ちに行く」ことを最優先とし、それができないと判断してつなぐ、という行動に出る(この間は瞬時だ)。しかし、つなぐのもただ返すだけではなく、「次に打ち込めるボールを引き出すため」のつなぎであり、ただ返すことを目的とはしないのが普通だ。何しろただ返すだけでいい、ラリーを続ければいい、とお互いが思っているなら、何時間でもボールをつなぐ技術を持っているのがトッププロ。ミスをするのは、相手が返せない所を狙っているからで、ただ相手コートに返ればいいというレベルではプレーしていないのだ。
 我々がトッププロの試合を見ていて感じるのは、動きに矛盾がないということ。それは彼らが打つべき場面で打ち、守るべき場面で守っているからで、一般プレーヤーのプレーをその尺度で見ると打つべき場面で打たず、守るべき場面で守っていないという「矛盾」を多く感じる。
 打点を上げるのに意識すべきことは、足で打点に入る癖をつけるということ。落として打った方が楽かもしれないが、打っていけそうな時は打っていく習慣を練習の時からつけないと、なかなか身につかないし、いつまでたってもしっくりこないだろう。繰り返すがプロと一般プレーヤーで最も違うのはこの点で、コーチに繰り返し指摘されているのだとすれば恐らく、依頼者は高い打点で打てるボールの見極めか、嗅覚がまだ甘いため、コーチの目には「もっと打点を上げて打てるはずだ」と見えている可能性が高いと思われる。つまり、「もったいない!」ということだ。この判断ができるようになる、というのは試合で強くなれるかどうかの境目でもあるわけで、今後とも頑張っていただきたいとしか、我々には言いようがない。


依頼内容974:初めまして僕はテニスを始めて二年になります。フォアのストロークとボレーは問題なく打てるのですが、バックのストローク(両手打ち)が思うように打てません、それに打った後すぐに切り替えられません。あとサーブがぎこちなく、気持ちよく打てません。どうやったらバックもサーブも気持ちよく打てますか?ちなみにパワーはけっこうあります。

東京との立川の力持ちさん

報告974:「気持ちよく打ちたい」。うーん、なんとも曖昧模糊としていながら、恐らくは日本中のテニス・プレーヤーたちが日々考え続けていることではなかろうか。
 バックハンドの動きは日常にはあまりない動きで、テニスの時だけということが多く、サービスは自分がどんな形で打っているかがが把握しにくいという意味で苦手にする人が多いようだ。
 バックハンドの場合、現在は両手打ちということだが、両手打ちと片手打ちでは身体の使い方が違うので、実は向き不向きがある。依頼者ももしかすると片手打ちの方がスムーズにできるタイプなのかも知れないので、練習の時にでも軽い気持ちで試してみてはいかがだろうか。選択肢としてそういう視点も外さないでおいて欲しい。
 この問いに対しては、とにかくたくさんの数を打つこと、というのが実は最終的な答えになってしまうのだが、一度、ご自分の姿をビデオなどに撮ってもらい、後で自分で観察して分析するという作業は有効かもしれない。「気持ちよく打つ」という命題に、相手の要素がないものとして考えると、問題は自分のサイドにしかないということになる(通常、そんなことはありえないのだが……)。2年のキャリアがあればすでに、人のフォームを見てどこがいいか悪いぐらいは理解できる頃だろうから、客観的に自分のフォームを見直して、どこをどうすればいいかを自分の頭で考えるのも非常に有効だろうし、きっといい練習になるはずだ。


依頼内容973:フォアハンドで僕はスピンが過多になってしまい相手コートの手前かネットにかかることが多いです。できればスピードのあるフラット系のボールが打ちたいです。またグリップは(フラットで厚く当てるのは)なにが最適なのか教えてください。

静岡県のPN馬塚 大輝さん

報告973:最近、このグリップに関する依頼をよく受けるが、グリップというのは、それ単体では考えにくいというと意外だろうか。確かに厚いグリップはボールを後ろから支える形になるため、厚く叩きやすいとか、薄いグリップは打点を呼び込んでスライスを使いやすいなどの特徴はある。しかし、ストロークの場合ではそのプレーヤーの身体の使い方が厚いグリップを使った方が自然なタイプなのか、それとも薄目の方が自然なのかなどの要素を無視できない。また、変り種だが、かつてのグラフやサンプラスは薄目のグリップで厚めのグリップを使う人のスイングでハードヒットするのが自然、というテニスの人たちだった。彼らの場合はそれでテニスを完成させてしまったので、当時から「あれはグラフがやってるからいいと言えるが、一般向きではない」とか言われたこともある。
 つまり、人それぞれに自然な形がある可能性があるわけだ。
 大事なのは飛んでいくボール。まずはどういうボールが打ちたいかについて明確にイメージを持つこと。それができたら、それに近づくための試行錯誤が練習ということになる。
 依頼者の場合、フラット系のボールが打ちたいということなので、まずはバックフェンスに直接ぶつけるような、しかも、ライナーでバーンと当てるイメージでフルスイングしてみてはいかがだろうか。バックフェンスにライナーで直接当たるようなボールというのはよほど厚く当てないと実はなかなか打てない。これが自在に打てるようになったらあとは徐々に距離を調節していけばいい、というのが一般的な練習法だ。
 実はプロでもこの手の極端なシチュエーションを設定した矯正を時折やっている。今、飛ばなくて困っているなら、その逆の設定で矯正するわけだ。
 ただし、これは薬と同じで、いつでも誰にでも処方できる方法ではない。症状によって処方される薬は変わる、ということは覚えておいて欲しい。


依頼内容972:重い球を打つには、フォームのどんなところに気をつけたらよいのでしょうか。例えばフォロースルーを大きくとるとかです。よろしくお願いします。

北海道の筋トレ男さん

報告972:まず重い球に関する定義が必要だが、ここではそれをとりあえず「全身の力をちゃんと利用して打たれたボール」ということにしたい。
 実はずいぶん前になるのだが、この「重いボール」について検証して報告したことがあり(過去ログの中にあるはずなので、検索してみて欲しい)、その際、「重いかどうかは相手が感じることで、自分で意識してそれを打てるのか?」という命題に対しての答えが見つからなかったからだ。
 さて、テニスを楽しむ一般プレーヤーはどうしても技術的な疑問を持ちやすい。これは理解できる。確かにテニスは技術のうまい下手で大きな差ができる競技であるのは間違いなく、例えば大学生の初心者と中高年のベテランなら、体力面でのスピードもスタミナも大学生の方が全然上であったとしても、試合で勝てなかったりすることも少なくない。これはその技術と経験による差が大きいからこそで、男女が同じコートに入って一つのボールをやりとりできるのも、テニスは大きく技術に依存した競技特性があるからだと言ってもいい。
 しかし、忘れてはいけないのは、テニスはスポーツであるということだ。特に依頼者はまだお若いので、それを再度確認していただきたいと思う。スポーツで競技力を上げたければ、技術はもちろんとして、それを実行する土台である肉体の強化も合わせて考えられなければならない、というよく考えれば当たり前のことについてだ。どうもテニスの人はその部分を無意識に飛ばしてしまうのか、何かがうまくいかなかったりした場合、まず、技術面のコツや方法を知りたがる傾向があるのではなかろうか。気持ちはわかるが冷静になって欲しい。いわゆる上級者たちは「何かのコツ」で「簡単」に「短い時間」でうまくなったわけでは決してない。彼ら、彼女らはそこに到達するまでに、それなりの時間をかけ、それなりの数のボールを打ってきたという事実から目をそむけてしまっては、却って上達の道の妨げる。
 強いボールを打ちたい、というケースでは細かなコツ以上に土台の肉体の強化が問われる。これは理解していただけるだろう。しかも、テニスという運動の特性上、どこかの筋力を部分的に強化する、という方法ではなく、全身くまなくパワーアップする必要がある。
 以上を前提に置いた上でお話しすると、いわゆる全身の力が乗ったような勢いのあるボールを打つには、フォロースルーもテイクバックも確かに大事だが、それらのパーツよりむしろ、全体の動きが澱むことなく最初から最後までスムーズに流れていくことが重要である、とは考えられないだろうか。どこかのパーツだけを意識すると、どうしてもその部分にのみ意識が行ってしまう。ボールにだけ集中し、そのボールを全身で力一杯叩く、というシンプルなイメージだけで打ってみて欲しい。そうすれば形は自ずとその形になるはずだ。最初はラケットにきれいにボールが当たらなくてもいいし、コントロールも気にしなくていい。棒切れかなんかでただ単純にボールを叩き潰すぐらいのイメージでスイングして、とにかく思い切り打ってみて欲しいのだ。恐らく、その時の形は、その時点でプレーヤーが使える最大限のパワーを生かす形になっているはずで、あとはそれをプレーとして成立させられるように繰り返して練習していけばいい。
 実はプロという人種は子ども時代からの繰り返しで、ラケットにボールを当てるということに関してはほとんど無意識でできる状態まで感覚が研ぎ澄まされている。従って、あとは身体を鍛え、フォームを意識するだけでボールそのものが変えられる人たちだと考えられる。ほとんどの一般プレーヤーの場合、まずラケットにボールを当てることに意識を使わざるを得ない状態と考えていい。プロが無意識にしている部分に、意識を使う必要があるわけだ。集中力が両者共に10だとすれば、プロは10を「どんなボールを打つか」に使えているのに対して、一般プレーヤーは4を「ちゃんとラケットに当てる」ことに使い、残りの6で打っているという状態と仮定できるだろう。「プロのようにラケットを振り切れない」なんてのはこう考えると当たり前だ。
 ただし、これは仕方ない現象でもある。程度の差こそあれ、プロ同士でもこうした差は存在するのだから。何しろプロでさえ例えばエナンのバックハンドを見て、「あんなに振れない」とため息をつくぐらいなのだから。
 まずはテニスがスポーツであるという原点に戻って考えること、そして、個々の部品に意識を集中するよりも、もっとシンプルに身体を使うことなどを思い出してはいかがだろうか。もちろん、優秀なコーチであれば、依頼者のフォームや筋力の癖を見て、どこを意識すれば最終的な形がうまくいく、という方法のアドバイスができるだろう。しかし、一般的に通用する公式は恐らくない。ある人はフォロースルーを意識することでうまくいくケースもあるだろうし、逆にテイクバックを気にすればうまくいく人もいるだろう。グリップを変えるだけで劇的に変わる人もいるかもしれない。テニス雑誌が毎月毎月、ハウツー物を掲載してもネタが尽きないのは、恐らくはそのおかげでもある。だが、依頼者を一度も見たことがない我々にはそれは無理だし、我々は優秀なコーチというわけではないので、我々が報告できるのも、これまでの調査で専門家の方々に様々なお話をうかがった中から、依頼者に合いそうな「一般論」を提供するのが精一杯だ。ご理解いただけると幸いだ。


依頼内容966:僕は、球出しのボールなどその場に止まって打つ時は良いのですが、ラリーで動かされると安定性がなくなります。
テニス上級者になっていくにつれて、ストロークでもボレーでも「少し(歩くように)動きながら打つ」という、脳内イメージがあるそうです。反対に、僕のイメージは、ボールが打点に入るまで、ためを作って「待ってから」打つというものです。しかし、本当に動きながら打っているなら、ひざの曲げ伸ばしや腰の回転などが使えなくなってしまうのと思うのですが、厳密にはどうなのでしょうか?

東京都のらむさん

報告966:正直に言って、厳密に考えれば逆に難しくなってわからなくなっていくことだろう。選手たちの動きを観察していると、動きが止まるのは打つ寸前の一呼吸分あるかないかの一瞬だけで、それまでは不安定な状態でタイミングを計り、リズムを作っていることに気づくはずだ。依頼者の言葉を借りるなら『歩いている』状態だ。打点を定め、前に振り出していく寸前で軸足が決まり、そこから一気にインパクトまで持っていく。
「不安定な状態から安定へ」。この繰り返しがテニスの動きだ、と断言されるコーチや選手もいる。早く安定させてしまうと、逆に動きの中に臨機応変さがなくなってしまい、ボールに対応できなくなるというのだ。
 依頼者のイメージが、一球一球、全身全霊を込めて打ち抜く、というものであるとすれば、それはそれでいいとも思うが、考え方として、そうやって打つボールはラリーの中で1球でいい、という考え方もある。タメも大きく長く作ればいいというものではなく、作ったスピードと同じ時間で戻さないと、戻す時に逆に大きなパワーを必要としてしまうケースもある。この辺は良し悪しではなく、考え方だろう。
 テニス界の中でもヒンギスやフェデラーといった選手たちは、実に「だらしなく」ボールを待っているように見えることがある。全身のどこに力が入っているのかわからないほど、ぶらーんとした状態だ。しかし、彼らは打点を設定すると、そこに向かって一気にバランスを調整してラケットを持っていく。そして、また、どこに力が入っているのかわからないような状態にリセットして次のボールに備えていくのだ。彼らの場合、早くに構えを作ってしまい、待って打つような状態になってしまった時のほうがむしろ、ミスが出ているような印象がある。彼らのリズムではないのだろう。逆にウィリアムズ姉妹などは初心者が最初に教わった状態のままのように、先にさっとテイクバックを作ってしまい、それでボールを待ち、打つ寸前にもう一度引いて勢いをつけてフォワードスイングに移るケースが少なくない。いわゆる二度引きのスタイルだ。これが悪いのかと言えば、そうではない。彼女たちの実績を見て悪いと言える人はいまい。あれが彼女たちのリズムなのだ。
 リズムの作り方は人により色々なケースが考えられる。依頼者のリズムが待って打つというものであれば、それはそれでいいのではなかろうか。ただ、印象としては「疲れるテニス」というものではなかろうか、と想像する。


依頼内容965:僕は左利きの選手と対戦するのがあまり得意ではないのですがどうすればよいでしょうか? とくにすごいワイドにきれるサービスやフォアのストローク(右利きにとって食い込まれる感じの)の曲がり具合とかが苦手ですぐにミスってしまいます。何か対策法はありますか? あったらぜひおしえてください!!!

北海道のゆうちゃんさん

報告965:安心していい。左利きはみんな苦手だ。これは右利きの選手にとどまらず、左利きの選手でも「左利き相手は嫌だ」としはしば口にする。対戦相手にした時、左利き相手の方が得意という選手はむしろ特種例で、一般的には左利きを苦手にしている選手の方が多いのだ。
 左利きというのは、全時代、全世界で大体10〜20%以下の確率で存在すると言われているが、この数の少なさが、彼らを有利にしている理由だ。要するに、みんな左利きを相手にすることに慣れていないのだ。サンプラスもそのキャリアの初期にはイバニセビッチをひどく苦手にしていたと吐露したことがあるし、今のフェデラーもナダルが苦手。「左利きは有利だ」と言われるのは、とどのつまりはその数が少ないためだ。人によっては、一緒に練習したことはおろか、見たこともないという場合もあろう。
 選手たちに聞くと、まず慣れることに尽きるらしい。サービスは確かに回転が逆なので戸惑うが、それが頭にちゃんと入っていれば問題なく、ラリーになればそうは変わらない、ともいう。サンプラスは右利きの選手に対する時より一歩前に入ることで乗り越えた、という意味のことを言っていたことがあるのだが、彼のレベルまで行っちゃった人が語る境地というのは、簡単な言葉でも、非常に多くの要素が省略されちゃっているケースが多いので、額面通り受け止めていいものかどうか……。
 とにかく、まずは回転が逆である、ということを念頭に置いてプレーすること。あとはとにかく左利きの練習相手を探して慣れることに尽きる。
 しかし、そうしょっちゅう対戦しなければならないというわけではないはずなので、左利き対策をするよりも、ご自身のテニスをまず磨かれた方がいいのでは、という気もしないではない。


依頼内容962:僕は練習だとしっかり厚く当ててパワーのあるストロークを打っているのですが、試合(特に大会での)だと練習の通りに打てず、ただ当てるだけの打球になってしまいます。
練習と試合でプレーが変わってしまうのが悩みなんですが、これは何か原因があるのでしょうか?
大会で強い人達のプレーを見ていると、自分の実力すべてを出し切っているように見えて、すごいなと思います。アドバイスをお願いします。

北海道のギャッププレーヤーさん

報告962:厳しいことを言うようだが、本誌で色々とコーチや元選手にこの手の質問をした際には一様に次のような回答となる。
「試合で出るのが実力」。「練習ではできるのに、試合でできないなら、それはできないという意味」。
 それぞれに修羅場を経験してきた方々のおっしゃることなので、身もふたもない、と感じてしまいがちだが、これは真実だろう。こういう方は模擬試験ではいい点数が取れていたのに、入学試験で頭が真っ白という経験があったりするのではなかろうか。
 緊張した場面で出せるのがその人の実力で、試合で発揮できない能力なんてないのと同じ、というのは、言ってみれば当たり前なのだ。どんなトップ選手でも試合ではナーバスになっている。緊張している時に出せる実力で強い弱いが決まっている。テニスの選手たちはよく、「自信」という言葉を洋の東西を問わず使うが、自信の裏づけとなるのは練習での成果だとすれば、「練習ではできているのに」というのも、もしかすると練習でもできていない、ということはないだろうか。ある元選手の方は「練習ではできている、というのは、練習なら100%完全にできているという時にだけ使える言葉。99%じゃ、できているなんて言えないんです」とも言う。厳しい言葉だが、これが真実だ。
 肝に銘じて練習に励んで欲しい。


依頼内容961:はじめまして!早速ですが質問させていただきます。以前スマッシュで「サーキットトレーニング」のコーナーをやっていましたが、部活中にできるものを教えてください。お願いします。

沖縄県のちょっと肩痛めてます!さん

報告961:文字だけのこのコーナーではちょっと難しい……。いずれまた掲載されるとのことなので、毎月の本誌を楽しみにしてください。


依頼内容960:フォアのストロークを打つ際のラケットの当て方について質問があるので、 ぜひ教えてください。 僕はストロークを打つとき、ドライブ回転をかけるときでも面はフラットにして厚く 当てるようにインパクトしています。しかし、部活で面をかぶせるようにして回転を かけて打つ先輩がいるのですが、どちらの方が正しいのでしょうか。
また、速くて重いドライブボールを打つには、どちらの打ち方の方が適しているので しょうか

北海道の一本集中さん

報告960:まず、ドライブ回転、という用語に関して相互の理解を早くするため、確認をしておきたい。トップスピン=ドライブ、というのが割と普通に使われ、意味として浸透しているのは我々も了解しているのだが、スマッシュでは通常、ドライブという言葉は「強打」という本来の意味のみで使っている。大昔、テニスの用語が日本語に翻訳された際、トップスピン系の回転がかかっているフラット気味の強打が、通常のトップスピンのショットとは別の意味として「フラットドライブ」という用語に置き換えられた。それが広く流布した結果、トップスピンの強打の意味としてドライブとか、トップスピンのことをドライブ回転という言葉が使われるようになったようだ。
 しかし、英語におけるドライブというのは、強打の意味で、回転の要素はない。日本の野球中継で両翼のライン際に飛んでいくライナーのことを「ラインドライブ」と言うことがあるが、あれは「日本語」であって、英語におけるラインドライブはあくまでも強い飛球(ライナー)という意味しかなく(ライン際に飛んで行くという要素もない。ライナー性の打球をラインドライブと言う)、回転の要素は本来ないはずなのだ。テレビ中継を見ているとよく、実況の方が両翼のライン際に飛んでいく飛球について「今のは鋭くラインドライブがかかって切れていきましたねえ」などと言っているが、あの方向に飛ぶ飛球は大抵は横回転がかかっているのが普通。英語の意味的にはこの回転の要素はないにも関わらず、日本語になった時には回転による変化の意味が付加されているのが面白い。バレーボールのドライブサーブも恐らく、「強く打つサーブ」というのが、意訳されて生まれた用語ではなかろうか。テニスのドライブボレーも「強打するボレー」という意味で、トップスピンのかかったボレー、という意味ではない。
 テニスのフラットドライブも含め、これらには回転がかかっている。目の前でバーンと打たれた強いボールを「これがフラットドライブだ」と言われたら、日本人としては、「速くて回転がかかったボールをフラットドライブと言うのか」と思うのは自然だし、「フラットは厚く打つで、ドライブが回転か」と考えるのも無理はない。経緯を考えると日本語としては正しいというか、意味が通じている以上、普段から使われている方々に異を唱えるつもりはないのだが、広く多くの方が読む媒体が使う用語としては混乱の元になる。従って、ここではドライブという言葉の中には回転の意味を伴わないので、そのつもりで読んで欲しい。
 さて、打つ時に面をかぶせるかどうか、というのは実は回転の量やスピードというより、打点の取り方で変わる、という基本理解を持って欲しい。ライジング気味にボールを捕らえていく場合、ある程度面がかぶっていないと、反射角の問題でボールはネットを越えていく軌道で前に飛ばないからだ(正確には飛ばしにくい)。
 一方、バウンドの頂点を過ぎてからボールを打つ時に面をかぶせるとネットにかかりやすくなる。つまり、速く重い、というこのテーマに関して、面の角度をどうすればいいか、というのはちょっと見当違いの悩み方ということになる。
 つまり、ボールがまだ上に向かって飛んでいる時点でインパクトして、打ちたい方向に対して厚い角度を作ろうとすると、面は自然とかぶったような角度になるということだ。よく面は垂直に立てる、と言われるが、これは原則としてボールの軌道に対してであって、地面に対して垂直という意味ではない。ただ、多くのプレーヤーたちがボールを捕らえる打点はボールの頂点か、少し落とした打点で、ボールはほぼ横向きの軌道から下へ落ち始めている状態の時に打点を取っていることが多いはず。このケースでは面は地面に対して垂直というイメージでも大問題ではないため、アドバイスとして、間違っているということはないし、ボールが力を失いかけていることが多いはずなので、打ちたい方向に対して垂直に麺を当てて押し込む、というイメージを持つために垂直に、というアドバイスが行なわれることもあるだろう。
 ちなみに、インパクト後にヘッドの上側が鋭く返っていくタイプのスイングをする選手の場合、インパクト時には面が立っていても、フォロースルーでヘッドの先端が鋭く走っていくことで、面がかぶって打っているように見えることがある。本誌などの連続写真でインパクト付近が写っている写真を参考にされると、この辺りはよく御理解いただけると思う。
 速くて重い、という定義をいわゆるフラット系の速いトップスピンのボールと定義した時、面をかぶせることを意識しすぎると回転が増える方向に行きやすい。逆にフラットに当てることを意識しすぎると今度は回転がかからず、アウトミスが多くなるだろう。どうすれば、というのは理解するが、これを解決する特効薬はない。
 選手によって快適なリズムや打点、パワーやスイングスピードの違いもある。依頼者を見ていない我々にはなんとも言えないが、ネットの上すぐの低い軌道を通しつつ、コート深くまで進入して、ベースラインの手前で落ちて、さらに強く跳ねるボールが打てるような打点を練習の中で見つけて欲しいとしか言いようがない。何しろ、相手が打ってくるボールも一定でもないはずだ。
 ある程度以上のスイングスピードが必要だし、厚く当ててかつスピンをかける打球感覚も必要だが、こればかりは練習して「見つけて」いただくより他ない部分でもあるわけだ。ただ、打点を落として打つのではなく、ある程度以上高い打点を確保しないと、なかなか難しいはずなので(というか、打点を落としたところから速くて重いボールを打っている選手なんて、世界でも多分ナダルぐらいだ)、打点の取り方、つまり、フットワークの使い方も再確認してみて欲しい。


依頼内容952:フォアハンドとバックハンド(両手打ち)を速くするには、どの筋肉を鍛えればいいですか。
また、その筋肉の、器具を使わないでもいい、簡単な鍛え方を教えて下さい。

東京都のS.T.さん

報告952:依頼者の状態をまず自身でちゃんと把握すること。それが全てのスタートだ。筋肉を鍛える、しかもどこかの筋肉を集中的に鍛えるというのは、そこが他の筋力に比べて足りないというケースで実施されるべきで、闇雲に行なうべきトレーニングではない。
 ストロークでは、下半身、体幹部、肩、腕などの運動連鎖でスイングが加速される。つまり、筋力の総合的なパワーアップが求められるわけで、どこかを鍛えればいいと単純に言えるものはないのだ。
 器具を使わず、簡単な、ということであればプロでもやっているダッシュ、中距離走、腕立て伏せや腹筋、背筋などの基礎トレーニングを馬鹿にせず、バランスよくしっかりとやるのが大切だろうと思われる。
 とにかくご自分の今の状態を専門のトレーナーに一度は必ず診断してもらい、しっかりと把握すること。筋力トレーニングというのは、簡単なことではないのだ。


依頼内容939:フォアのストロークについて質問させてもらいます。今まではフラットで打っていて、これからはトップスピンをかけたいと思い
、回転をかけるスイングに変えて練習しています。トップスピンをかける打法としてワイパースイングを取り入れようと思っているのですが、「手首や肘を痛める」と聞きました。雑誌等ではよくワイパースイングの解説が載っていて、プロもほとんどこの打ち方ですが、果たしてこれは安心して取り入れられる打法なんでしょうか?ワイパースイングでおこるケガの原因や正しい打ち方を教えてください

北海道のこれから上達君さん

報告939:誤解を恐れずに言うと、テニスをする以上、ケガは避けて通れない。テニスというのは腕やヒジ、手首を激しく使う競技で、それらを傷めるリスクを抱えた競技だ。ケガをしたくないというなら、家で読書でもしているのが一番リスクが小さい。人間の腕や手首はテニスをするために進化したわけではないのだ。
 そういう前提をまず了解して欲しい。
で、無理に腕や手首だけでワイパースイングをしようとすれば、確かにケガをしやすいだろう。イメージとして、肩より下だけではなく、全身でスイングを作り出すというイメージを強くもって欲しい。その中での一部がワイパースイングなのだと理解して欲しい。これが身体で理解できない、というのであれば、正直お勧めしにくい。どこか一つの部位、特に手首などの小さな関節に大きな負担を持たせてしまうと、一発で傷めることもある。大きな衝撃は大きな部位で受け止めて、大きな力は大きな筋肉で出す、という基本方針が必要だ。小さな部位は微調整のためにあると心得て欲しい。まずはちゃんとした指導者のいるスクールなどに行き、ちゃんとレッスンしてもらうのが一番だ。
もし、そういう環境がないというのであれば、まずはゆっくりとしたボールから、それこそ自分で目の前に落としたボールから回転をチェックしながら打つという方法で練習して見て欲しい。回転のかかり具合を自分でチェックしつつ、段階を追って練習して欲しい。それから、できるだけ多くのプロのテニスを見ること。それも、可能なら生で直に見る機会をたくさん作って欲しい。見たこともないものをできるわけがない、と考えられれば、テニスをもっと見ようというのが普通の行動だと思うのだが、どうにも日本のテニスファンの方は、コートでの練習にばかり時間を割きすぎのような気がする。


依頼内容938:ストロークでのフレームショットが多くて困っています。
動きながら打つと頭の位置がずれていたりしている気がします。
軸をぶらさないで打つための具体的なイメージや練習法、気をつけたほうが良いことなどありましたら教えてください。

北海道のパワーさん

報告938:フレームショットが多く、動きながら打つとバランスが保てない、ということは、練習法がどうしたというレベルではない気がしてならない。
 フレームショットはもう、とにかくたくさんボールを打って、打球感覚をつかんでくださいとしか言えないが、動きながら打つと軸がぶれたりするのは、フィジカルの強さの問題が大の可能性が高い。オンコートだけではなく、走ったりとかのフィジカルトレーニングはやっているだろうか?
テニスは言うまでもなく「運動」だ。運動をやる心構えと、身体の準備が必要で、練習法がどうしたとか、何かのコツが、イメージの作り方がとかだけでは簡単に直ったりしないものだ。


依頼内容937:フォアストロークを打つ時、つなぐ時はイースタン、決めにいく時はセミウエスタン、の様にラリーの中で握りか替えをするのは普通のことなのでしょうか?また、プロでそのようにしている人はいるのでしょうか??よろしくお願いします。

北海道のミッシェルさん

報告937:特に若い世代の依頼者にこの手の依頼をしてくる方が多い傾向があるが、グリップに原因を求める、という考え方をもう一度根本から考え直してみて欲しい。テニスはボールをやりとりするスポーツで、あるボールを作るためにスイングも、グリップも存在する。依頼者のケースだと、つなぐ時はスライスロブ系、決めに行く時にはフラットの強打系を使ったのなら、「結果としてそうなっている」ことが多いだろう。別に特別なことでもなんでもない。全く自然なことで、実は誰でもやっていることだ。仮に、「自分のフォアはセミウエスタンだ」と自称する人でもそのワングリップでプレーし続けているわけでは絶対にないはずだ。試しにラケットを持ってきて、低い打点、通常の打点、高い打点を作ってみて欲しい。一つのグリップで面が全部打ちたい方向に向けられるかどうか、試してみて欲しい。腕やヒジを不自然にひねらなければ、面が前を向かないはずだ。グリップは一定ではボールを打ち切れない。皆、自然と意識するしないに関わらず、微調節をしているものなのだ。もちろん、なるべく一つの打ち方で打ちたい。その方がシンプルでミスも出にくくなる。しかし、残念ながら人間はどんなに頑張ってもテニスボールより早くは走れない。いつも同じ打点で打つ、というのは、心構えであって、そのために足を動かして走るのは必要だが、絶対毎回達成されなければならない条件とは言えない。ある程度以上の柔軟性を持てなければ、普通にラリーもできないというのがテニスの特性なのだ。
また、テニスは相手のあるスポーツ。自分のグリップが厚く、スピンをかけて強打したい、と思っていても、相手がスライスで低いボールばかり使ってきたら「厚いグリップのせいでうまく打てない」と悩むのだろうか? そして、それは本当にグリップのせいなのかどうか、もう一度考えてみて欲しい。  
グリップを気にしすぎる人というのは、自分の都合を考えるのに精一杯な状態かもしれないと一度自分を疑ってみて欲しい。
こんな話をするプロのコーチがいる。「グリップというのは、やっている内に自分の打ちやすいグリップになっていくもの。このボールだからこのグリップじゃなきゃいけない、なんていうのはナンセンス。サンプラスやグラフは薄めのグリップで、厚いグリップを使う人の腕の使い方で凄いボールを打っていたように、それでいいボールが行っているならそれでいいじゃないか、彼らには自然なんだ、というのが普通の考え方なんです」とのこと。
確かに、まだテニスのテの字も知らないような純粋な初心者の段階であれば、色々と基本から教わるだろうし、グリップも気になるだろう。時にはグリップがうまく打てない原因として特定できることも少なくはなかろう。
しかし、グリップは自分の打ちたいボールによって意識しなくても自然と決定する。うまくなるというのは、その調節力がついていく過程だ。初心者の段階では身体がその調節を覚えていないが、うまくなっていくにしたがって、自然と身体がグリップを調節していくことを覚えていくのだ。プロ選手に「あなたのグリップはなんですか?」と質問すると、たいていはなんとかグリップという答えが返ってくるが、実際にラケットを持ってもらって、握ってもらうと、「あれ? もうちょっと厚かった(薄かった)ですね」ということがよくある。彼らはグリップをあまり意識して「なんとかグリップ」とは思っていない一つの状況証拠なのだが、だから繰り返しこのコーナーでは、「選手のグリップというのは、傾向として厚め、薄めが指摘できる程度で、特定のグリップを指して、例えばアガシはセミウエスタンだ、と断言できるものではない」と言い続けているのだ。
確かに、選手の身体の使い方によって、厚いグリップが向いている人、薄いグリップの身体の使い方の人、というのはある。それがちぐはぐになっていれば、うまくは打てないだろうから、近くのコーチが指摘することはあるだろう。ただ、そういう状態のプレーヤーと、プロの使うグリップをそのまま平行に比較するのは正直意味がないのでは、と感じるのだが……。


依頼内容924:サーブのときに体が開いてしまいます。それを直す具体的な練習法などがありました ら、教えていただきたいです。
また、体が開くとパワーロスすると聞きますが、なぜパワーロスするのか教えてください。
よろしくお願いいたします。

東京都のゴリラのGさん

報告924:依頼者が右利きとして書く。トスを上げた左腕が早く落ちると身体が開きやすいので、左腕を自分で「こりゃあ残しすぎで振りにくい」と思うぐらいまで左耳につけたままにして、左肩越しにボールを見るようなイメージで打ってみて欲しい(身体の開きが早い人は、トスを上げた時に視界の中の左腕がすぐに消えるはず。左肩越しにボールを見れば、自然と身体は閉じた状態を保ちやすくなる)。以上を意識したうえで、デジカメなどの動画機能で自分の姿を撮影するのは有効な手段だ。恐らく最初のうちはそこに写る自分の映像に愕然とするだろうが、それが他人から見た自分の姿だとしっかり自覚してリスタートして欲しい。
 身体が開くとパワーロスする理由か……。もしかすると、思い切って左肩を開いて右腕を導いて振り出した方がいいのでは、というお気持ちがあるのだろうか? 確かにただラケットを速く振り回したいならそれも理解できない話しではない。
 ただし、パワーというのは正しい方向に使われなければロスとなる。テニスにおいてスイングの運動というのは、大きな半径を持ったスイングから、ヒジ、手首という順に回転の中心が移動して、インパクトに向けて半径を小さくしていくことで加速していくという特徴がある。こうすることで正しいベクトルにパワーを導いているわけで、左肩が開いてしまうと、ヒジと手首に回転軸の中心が移らず、肩が中心の大きな回転半径のままでインパクトを迎える状態になりやすいのだ。


依頼内容923:僕は今、スピンサービスを練習しているのですが、どうしても僕のスピンサービスは、他の人に比べ、かすく、打ち上げるようなサービスになってしまいます。
どうしたら、ボールが浮かず、跳ねて威力があるスピンサービスが打てるようになりますか?
教えてください。お願いします。

北海道のテニバカさん

報告923:依頼者の状態を見たことがないので正直なんとも言えないが、ストロークでも同じとイメージしてみて欲しい。カスレ当たりのトップスピンは回転ばかりかかって前に飛ばないが、しっかりと厚く当ててがつんと打ったトップスピンのボールは急激に落ちて跳ねる。スピンサービスはあれをサービスでやりたいという状態なわけで、つまりもっと厚く当てて、なおかつしっかりとスピンをかけなければならないということになるわけだ。
 ストロークと同じく、これには速いスイングスピードとパワーが必要になる。スピンサービスの場合、打ち方を覚えるのは割と早い人は早いが、威力を求めだすと年単位が必要と言われる。あせらずじっくりと取組んで欲しい。


依頼内容911:僕は、私立の中学3年生です。質問です。リストと握力をアップさせる筋トレは何ですか???

東京都のヤノケンさん

報告911:まず、前提として、リストと握力だけを鍛えたら何かが変わる、という考え方をなるべく持たないでいただきたいと思う。全身をバランスよく鍛え、その上で足りない部分を強化していく、というのがトレーニングの基本的な考え方であって、どこかを集中的に強くしても競技力には影響が出なかったりすることは少なくないものだし、逆に局部が強くなった結果、別のところに故障が出てしまうことも考えられる。トレーニングは基本的に専門のトレーナーの指導の下で行なって欲しい。特に、中学校3年生という年代では、関節がまだ伸びている最中という可能性もある。お金はかかるかもしれないが、一度お近くのスポーツジムなどで、トレーナーの方などと相談してみて欲しい。または、学校の体育の先生でも、勉強熱心な方ならこの辺りの知識をお持ちの可能性も高い。
 その前提を置いた上で、お話できるのは、負荷を大きくすればいいということでは絶対にない、ということ。とにかく、くれぐれも自己流のトレーニングは避けて欲しい。手首というのは、小さな関節だけに簡単に壊れやすく、一度壊すと治りも悪いからだ。


依頼内容910:テニスをはじめて約3年経ちます。
一年ほどブランクがあったせいかフォアのストロークに安定性がなくなってしまいま した。
もともとフォアがとても苦手でネットミスやふかしてしまうことが多く波が激しかったのですが何かよい練習方法はないでしょうか。
友人にはひたすら打ち込む反復練習しろ!といわれたのですがここを意識して打ったら安定性がよくなるというところってありますか?

三重県のテニス大好きさん

報告910:フォアに苦手意識を持つ、というのはある程度テニスの打ち方を覚え、「そこそこできるようになったよなあ」という段階の人が陥ることが多いと言われる。毎日テニスをやっているプロでさえ、一度狂いだすと困り果てるのがフォアだというから、まずは気にしすぎないことがスタート、という人もいるのではなかろうか。
 バックハンドはある程度打点も限られ、打ち方が狂うとボールが前にも飛ばしにくいことなどから、意外に狂いにくいのだが、フォアは逆に自由度が高い分だけ、迷いが生じやすいのだ。オープンスタンスだろうが、クローズドだろうが、打点がある程度遅れてても、高くても低くてもなんとかできてしまいやすいのがフォア。それだけに「あれ? どうやって打ってたんだっけか」となりやすい、というわけだ。
 まず、自分がどんなボールを打ちたいかを具体的にイメージすることがスタートだ。あとは打ち方についてどこをどうする、など細かなことを意識しすぎず、ボールにだけ集中して打ち込めばいい。また、依頼者の場合はお近くの方が「ひたすら打ち込む反復練習をしろ!」とアドバイスされたということから想像すると、考えすぎが原因とも予想される。難しく考えず、打ってみて欲しい。
 また、当たりの感覚まで狂っているようなら、球出しのボールやラリーで練習するのではなく、自分でボールを落として打つ練習からスタートした方がいいこともあるだろう。ご自身の症状や性格などを熟慮のうえ、依頼者をよく知る周囲の方々とも相談しながら、練習されるとよろしかろうと思われる。


依頼内容906:僕は以前軟式テニスをやっていたんですが、高校に入ってから硬式テニスに
入りました。私は軟式テニスをやっている時前衛だったので、硬式テニスのボレー練習の時に先輩から手首を使わないでといわれてしまいます。でも、くせがついていてできないし、どういう感じなのかも全然わかりません。何か良い練習法を教えてください!!

北海道のゆうちゃんさん

報告906:軟式のボールだと、当てただけでは前に飛びにくいので、どうしても手首を使ってしまいがち、というのはよくわかる。しかし、ラケットでボールに当てるところまでは同じなので、あとはボールの飛び方、回転のかかり方などを体得すれば、打ち方そのものは自然と修正されていくもの、だと思う。手首に意識を置くのも悪くはないが、問題はどういうボールが飛んでいるか、だ。
 ボレーの場合は基本的にそれで決めたいという場面が多いはず。仮に相手に追いつかれてもそこから逆襲されたくないのでバウンドは低くしたいという要素もある。ということはスライス回転をかけて滑るボールを打ちたいということになる。手首を使いすぎるとスライス回転がかかりにくく、強引に使うと回転ばかりがかかってボールが飛んでいかないはず。狙ってドロップボレーにしようとしている時ならそれでもいいが、そうでないというなら自ずと打ち方も決まってくる。
 まずは上級生やうまい人がどんなボールを打っているかを見て頭に焼き付け、自分が打った時とどうボールが違っているのかを自分自身でしっかりと理解して欲しい。自分がどういうボールを打ちたいかについて、なるべく具体的にイメージできていれば、それに近づくための方法が練習になる、と考えて欲しい。これは手首の使い方がどうこう、という方向からのアプローチではなく、もっと根本的なやり方。形からではなく、実質から入るというスタイルの方法だ。
 また、軟式の経験者だときれいにボレーで合わせるだけでなく、ネットよりも高い打点が取れて、振って打てそうなら敢えてスイングボレー(ドライブボレー)にしてしまうという手もある。「ボレーも満足にできないのに、スイングボレーなんて」ともしかすると言われてしまうかもしれないが、どちらもできるようにしておくと、試合では選択肢の幅が広がるもの。両方練習しておいてネガティブなことはない。臨機応変に対応してみて欲しい。


依頼内容905:最近、ぼくは、スランプに陥っています。
部活のランキング戦にも、今まで負けたこともないやつに負け、ランキングが下がった上に顧問の先生に「お前のレギュラーの座は、可能性的にほとんどない」とまで言われてしまいました。どうしたらよいでしょうか?

大阪府のテニバカさん

報告905:どうしたらって……。
 スランプの克服にはこれといった解決策はない。その時の状態や心境、その人の性格的な嗜好などにより色々だ。
 まずは自分の置かれた状況を感情的にならずに客観的に、そして主体的にちゃんと理解すること。まずはそこからだ。その上で、自分がどうしたいか、どうなりたいかを具体的にイメージすることからスタートだ。


依頼内容904:いつも丁寧なアドバイスありがとうございます。
また、質問なんですが、今、フォアハンドだけスランプなんですけど、フォアハンドの正しいフォームは腰の回転だけで、腕はその動きについてくるだけってよく聞きます。本当に正しいかどうか自信はないんですが・・・・
このフォームで打てるように練習したんですが、たしかに安定はするんですが、スイングスピードが落ちて、回転が少なくなった気がします。プロの選手のショットは、腕に全然力を入れてないのに、強烈な球を打てるのは腰の回転で打っているからなのでしょうか?それでもスイングスピードは速いのはどうしてですか?また、スイングのとき力を入れるな!!って言われますけど、力を抜くと、速いスイングができません。僕は、プロのように軽く振って、力強いボールが打ちたいです。お願いします。

北海道のpopoさん

報告904:腕に全然力を入れない、というのはちょっと極端な表現だ。しかし、何かのアドバイスというのは、「患部」に対しての対症療法なので、表現が極端になるのはむしろ自然なこと。ただ、極端な状態のまま理解してしまうと、逆にその真意が理解できなくなる恐れもある。この辺は、薬の服用と同じで健康な身体(テニスの場合はちゃんとできているケース)には逆に有害だったりするようなもの、と理解しておいていただきたい。
 さて、依頼者のような段階まで来た場合には、さらに一歩進めて、強いスイングを作る時に必要な要素を考えてみて欲しい。強いスイングというのは腰の回転だけで成立するわけでは、もちろんない。と言って、腕力だけで成立するものでもない。その両者が必要であるのは、依頼者のレベルまで来たらすでに理解されているだろう。
 必要なのは、必要なときに必要な力が、必要な部分に入っていて、不必要な部分の力が抜けていくこと。腰の回転だけで腕の力を抜く、というアドバイスを受けたなら、以前は腕の力だけに頼った打ち方だった可能性が高く、それを矯正するために「腰の回転を意識して打とう。腕の力は入れるな」という薬を飲んだのだと考えて欲しい。
 プロと言っても色んなタイプがいるが、彼らが軽くスイングしているように見えるのに、強いボールが行くのは、インパクトに向けて必要な力だけで打っているためで、全身が実に効率よく使われているからだ。効率の悪いエンジンというのは、「ぶいーーーーーん」と回転数を上げ、燃料をたくさん燃やさないとパワーが出せないが、効率のいいエンジンならすいーっと同じパワーが出せる。これと同じだ。
 では、どうしたらそんな風に打てるのか、という話になるのだが、簡単なコツや、ちょっとした練習でこれができるようになる、はずがないと理解して欲しい。この種の動作に関しては、理屈や言葉ではなく、身体が理解しないと理解したことにはならない。様々なアドバイスが周囲からなされるだろうし、それらはそれぞれのタイミングでヒントにもなるものだが、最終的には自分の身体でそれを見つける必要がある。
 目的は速いスイングスピードを確保し、打つこと。腰の回転で打つことではないと原点に戻り、試行錯誤してみて欲しい。そういう意識を持ってたくさんのボールを打つうちに、いつか自然とご自分なりの結論が出てくるはずだ。


依頼内容894:僕は4月から大学生になります。大学だと、多かれ少なかれテニスのレベルが上がると思います。それは周りにも言えることで、4月になってから自分のテニスの更なる進歩を祈っています。なので、数ヶ月前からジムに通っているのですが、ジムの人によると、体幹部と背中の筋肉がテニスにとって重要らしいので、その部分を重点的に鍛えています。しかし、体幹部を鍛えてもなかなか実感がわきません。トレーニングしてるから大丈夫!!という気持ちがあるので、メンタル面の要素ではプラスに働いているのですが、いまいち現実味に欠きます。なんとなくですが鍛えたところを即戦力のような武器にする方法はありませんか?
あと、ジムではいつも同じ流れで取り組んでいるのですが、プロはトレーニングに何時間かけたり、どんなところをどのように鍛えているのでしょうか?できればエナンのトレーニング法が知りたいです。よろしくお願いします。

東京都のレオンさん

報告894:ジムでのトレーニングの効果を感じるのは、毎日毎日厳しくやっている人でも早くて3カ月やった後だという。依頼者の場合も、そろそろ感じ始める頃ではなかろうか、と思う。焦らず取組んで欲しい。フィジカル・トレーニングというのは焦ってやって負荷を高めすぎたりするとケガにつながるケースもある。トレーナーの方の指導をしっかりと守り、ジム以外でトレーニングする場合でも、「どんなことができるか」について、トレーナーの方と相談した方がよかろう。
 テニスの場合、ここさえ鍛えれば、という部位を見出せないという特長がある。エナンの場合も、我々が聞き及んでいるのは全身の強化運動だったというし、以前と比べると彼女の肩周り、背中周り、首周り、太もも、腰など、全身くまなく強化の跡がうかがえる。どこかを鍛えたら、というのは見出しにくいのがテニスなのだ。上半身を鍛えたら、その分だけ下半身を強化しないと、強い上半身を支えきれないし、下半身が強すぎれば、下半身が作り出すパワーを上半身が受け止め切れない。ここを鍛えたらあっち、あっちを鍛えたらこっちとそれには終わりがない。そういうものだとまずは心得て欲しい。そしてある日、気がつくと「前より無理しないでいいボールが行くな」とか、「最近疲れにくいな」という形で効果が体感できるだろう。
 選手たちの場合、その時期に自分の足りない部分を強化することに意識が注がれるため、ある選手のトレーニングを見て自分の参考に、というわけにはいきにくい。選手にもよるが、少なくともトップレベルの選手たちは、大会中でもジムで強化トレーニングに余念がないという。概ねオンコートとジムが半々というイメージが正解らしい。
 ここは焦らず、じっくりと取組んで欲しい。


依頼内容893:軟式テニスから硬式テニスを始めたのですが、バックハンド(両手)で苦戦しています。うまく力が伝わらずに、薄い当たりでスピンのかけすぎだったり、フラットに当たり、ボールが伸びすぎてアウトしてしまったりしてしまいます。うまくスピンをかけられ、力を伝えられる打点がつかめないのですが、何かいい練習方法はありませんか?

東京都のNさん

報告893:軟式出身者、特に前衛を主にしていた方だとよく聞くお悩みだ。硬式を始めてからどれぐらいの月日が経っていて、どのぐらい練習されているかが不明だが、もしまだ始めて間もない、というのなら最初はそんなものだと考えておいて欲しい。
 よく言われるのは、アウトはいいが、ネットは深刻、という話だ。アウトはいい。厚く、強くボールを飛ばせているというのは、悪いミスではない。あとは距離を調節する感覚をつかめれば、自然とボールはコートにおさまるようになる、と言われる。問題はネットで、これは打点自体、あるいはスイング自体が飲み込めていないため、ボールが飛ばないという症状だ。
 最初はホームランを連発した、と本誌でおなじみの雉子牟田直子さんも軟式から硬式に戻ってきた時のお話としてよく話していらっしゃるが、ほとんどの選手経験者やコーチも口を揃えているのは、アウトミスが嫌でスイングを小さくするのはよくない、という点。そのままのスイングで距離を調節すればいい、というのが一般的だ。
 また、軟式時代に片手で打っていて、硬式にして両手に変えたのなら、両手は初心者ということ。最初からそううまくはいかないと気長に考えるというのも手ではある。あるいは、軟式時代のように片手打ちで、というのも選択肢だ。パワーのある人なら、少しの修正で軟式と同じ感覚で硬式のバックハンドをこなしてしまう人もすくなくない。どうして両手にされたのかはわからないが、漠然と「硬式にするなら両手じゃないと」と考えたのなら、軟式打ちの片手打ちを試してみてもいいかもしれない。案外しっくりといく、ということもありうる。


依頼内容892:スクールでテニスを始めて3年になるのですがストローク、ネットプレーともに得意なのですがどうしてもサーブがうまくなりません、その理由がどうしても肩がうまくまわらないことやラケットダウンできないためだとおもうのですが、サーブを打つときに痛みなどはないのですが生まれつき肩に異常があるという可能性があるのでしょうか。またもともと左利きでテニスも左利きなのですが小学生の時にはリトルリーグの野球で右投げ右打ちに矯正されてしまった事と関係あるのでしょうか?テニスはいいサーブを打ってナンボの競技なのでよろしくおねがいします。

東京都のLa Bombaさん

報告892:スクールで3年と言ってもその頻度によっては差があるだろうが、一般的にテニススクールではストロークやネットプレーに比べ、サービス練習は少なめになるケースが多い。練習は十分にしているというのであれば、話は別だが、まずはここをご自身で再確認して欲しい。練習しなくてもうまくなる、というものではないからだ。また、すでにご自身のウィークポイントに関してはご自覚があるようなので、そこを直せばいいということでもある。
 肩の異常、というのは、医師の方でなければわかるまいが、左手で自然にボールを投げることができていて、痛みもないというのなら心配することはあるまい。もし不安なら一度、スポーツ外来での受診をお勧めする。


依頼内容891:先の質問に答えていただきありがとうございました。
 ご指摘のようにフェデラー他は「腕をぴーんと伸ばしたままスイング」している訳ではなく、「肘を伸ばし気味でのインパクト」しているので、(本人の意識に関らず)体への負担を含め、多くの面で理に適った動作なのでしょう。ですが、果たして彼らの「理に適った」部分を、私達は写真から得た情報からの実践を通して、試行錯誤することを編集部の方々は私達に要望していらっしゃるのでしょうか?連続写真とは恐らく、その最初から最後までと、部分のイメージコピーを共に求めることが最大の効果かと思います。もしそれぞれの部分(その選手の技術の)のコピーを求める事が第一ならば、フェデラーのフォームを真似ても「肘が伸び気味にならないこと」も自然であることをその都度、技術説明に加えるべき必要があると思います。
 なぜ、ほとんど多くのプロは肘をたたむ、曲げ気味のインパクトをするのでしょうか?その内フェデラーやナダルのインパクト型が主流になるのでしょうか?私にはそう思えません。ご指摘のような「彼らの理」は連続写真においては私達の「毒」になり得る危険があるのでは?かつて多くの人が抱えていた、薄いグリップでの強打の繰り返しによる肘の痛みのように。

宮城県のKENさん

報告891:貴重なご意見をありがとうございます。編集部に伝えさせていただきます。
 ただ、連続写真の効果に関しては、プレーヤーの幅広いレベルまでを勘案すると、一つの回答のみで「べき」などという用語を用いた正誤が語られるものではないような気もします。
 また、試行錯誤というのは、どんなプレーヤーであっても避けては通れないもので、我々が強いるかどうか、という問題ではないような気もしますがいかがでしょうか。テニスに限らず、スポーツという分野において、コーチや指導者がプレーヤーに対して、提示できるのは、解答ではなくヒントまでが精一杯であり、その人に最も合った解答を導き出せるのは、ヒントを得た上で試行錯誤を繰り返したプレーヤー本人だけではないかと当コーナーでは考えます。
 また、連続写真は止まっていますが、動画としてご覧いただくことを基本的にはお勧めします。しかし、あるひとコマの形をイメージの中に置くことで、その形を目指して前後の形が決まっていく、というケースもありますから、ご覧いただき方もまた自由、というのが実際のところでしょう。答えは一つではなく、また、ヒントも数多いもの。そのように柔軟にお考えいただいた方がいいのではないか、と当コーナーでは考えます。
 例えば、文字ではどんなに頑張っても100KBというのが情報量ですが、画像というのは数百MB以上の情報量があります。実際に目の当たりにした時の情報量はあるいはそれ以上となるでしょう。文字や言葉では表現しきれない情報の宝庫が、写真や映像による解説だとお考えいただくと、さらに別の視点が出てくるかもしれません。我々は常に新しい何かが生まれてくる可能性を留保する、というのが基本的なスタンスとなると思います。
 当コーナーは技術論を戦わせる場ではないため、前回以上のものは残念ですが、お答えできないような気がいたします。あしからずご了承ください。

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