このコーナーは、本誌と連動する 『スマッシュ調査団』と『テニスフリートーク』で構成されています。
 『スマッシュ調査団』は、テニスに関する素朴な疑問を調査・解決していく、本誌で大好評連載中のコーナー。毎月寄せられる多くの依頼に本誌だけではとても答えていけそうにない。というわけで、インターネット部門を開設することになりました。このコーナーは随時更新していく予定なので、こまめにチェックして下さいね。依頼は、従来通り本誌宛へのお葉書はもちろん、インターネットでも受付けます。インターネット受付分から本誌への展開もあるので、「アレって何かな?」と思ったら、依頼してほしい!
◆応募方法
・下にある投稿ボタンより専用フォームを呼び出して、必要事項をすべてご記入の上送信して下さい。
・投稿されたご意見は、編集部を経由して随時このページに掲載していきます。(ただし、掲載にふさわしくない等編集部で判断したものは除かせていただきますので、予めご了承下さい)。掲載に際しては氏名のみを掲載しますが、ペンネームでの掲載を希望される方は、忘れずにペンネームを記入しておいて下さい。
**** 観戦・選手 ****

依頼内容1000:威力のあるトップスピンにあこがれていますが、現代のトップスピンの名手として、
(1)ナダル
(2)ゴンザレス
(3)ロディック
のトップスピンにあこがれます。
3人とも、いわゆるエッグボール系のトップスピンに見えますが、強いて違いを上げるとすると、どんなところでしょうか?

北海道のDAICHAN424さん

報告1000:この3人だとロディックだけが時期によって不安定なフォアを打つ選手になってしまうが(ロディックは自信がない時期はやたらとスピン過多なフォアを打つ傾向があって、そういう時には打球音さえほとんど聞こえないようなカスレ当たりのフォアに終始して負ける……。一方で調子のいいときの彼は、フォアで積極的に相手を振り回してウイナーを狙いにいく。この時のロディックは強烈な打球音を残すフラット系の強打を使っている)、ナダルとゴンザレスは比較的安定している。
 ナダルはスイングだけを見ていると、ボールを擦り過ぎというぐらいに振り上げているように見えるかもしれないが、実際の当たりは厚く、大げさに言うと、厚く当ててボールを叩き潰してその上で持っていく、という感じで打っている。だから対戦相手から見るとそのボールの軌道はまるで野球のフォークボールのように下に鋭く落ちていくように見えて、その直後に跳ね上がってくるのだという。ナダルのパッシングショットに対して相手がボレーをミスするシーンを見かけたとしたらそれは、「フォークボールをバントし損ねた感じ」と考えていい、と実際に2度対戦したことのある増田健太郎さんが話していたことがある。
 ゴンザレスの場合はナダルよりはもう少し直線的なイメージを使う。よりフラット気味と言ってもいい。ナダルは比較的打点を落とした場所にポジションを取る傾向があるが、ゴンザレスは高い打点を求めて足を使う。より強く1発で決めたいという欲求があるのだろう。また、ナダルが強打を使う時には、強打しかありえない、という絶対的チャンスの時だけに打つという傾向が強いが、ゴンザレスの場合は「普通であればありえない」という場面でギャンブル的に強打を使うケースがナダルより多い。彼のフォアが強烈だ、というイメージはこうした要素からも生まれていると見た方がいいだろう。


依頼内容999:僕はデビッド・ナルバンディアンの大ファンです。ビデオでフォームなどもみています。ところで質問なのですがナルバンディアンのフォアハンドとバックハンドのグリップと打ち方が知りたいのですが是非教えていただけないでしょうか?ビデオだと上からなのでよくわからないのです。お願いします。

千葉県のRYOさん

報告999:ナルバンディアンはフォアはセミウエスタン前後のやや厚め(現代の認識だとむしろやや薄めと言えるかもしれないが……)のグリップを使い、バックでは両手共にやや薄めのグリップを多用する。
 これは彼が比較的ボールを呼び込んで打ちたいタイプだからだろう。


依頼内容998:スマッシュ調査団の方から見て、最近、彼だったらフェデラーを倒せるかもしれないと期待させてくれる選手BEST3を教えてください。また、その選手達の何がフェデラーに対して有効と思えるのか詳しく教えてください。ちなみに私は鈴木貴男選手に期待してます。

奈良県のTakeo Suzukiさん

報告998:まず定義付けが必要だろう。フェデラーに勝つと言っても1回でいいのなら、依頼者が候補に挙げている鈴木貴男選手だって可能性があるところは、先のAIGオープンで見せてくれた通り。正直に言って、ツアーレベルのほとんどの選手なら、「可能性だけでいいなら誰にでもある」と言えるのが今の男子ツアーの層の厚さだ。
また、3セットマッチなのか、5セットマッチなのか、サーフェスは? どこの大会で? などなど条件設定が必要になる。
ここでは舞台を各GSとして考えてみたい。フェデラーも候補に挙げる選手たちもそれぞれ好調を維持し、故障も疲労もない状態で、考えてみよう。
まずは全豪から。全豪の特徴は暑さだったが、これはエクストリーム・ヒート・ポリシーの導入により、そう考慮しなくてもいい要素になりつつある。もちろん、試合の前後に体調を維持するのが難しいのは確かだが、ここではそれを考慮しないことにしているので関係ないとする。
全豪において直接プレーに影響があるのは、開催時期の問題とサーフェス、ボールだ。全豪の開催時期は1月。前のシーズンが終わって1ヵ月程度だ。この短い期間にきちんと体調とテニスを整え、準備できた選手が有力となる。かつてアガシが全豪で強かったのは、単にサーフェスが彼に合っていたからだけではない。キャリア後半の彼は、狙った大会に照準を絞るのが抜群にうまく、故障さえ起こさずに狙った大会に入れれば、ピークをその大会に持っていくことができる能力の持ち主だったのだ。
この要素を考えると、ピーキングのうまくない選手は除外したくなるのと、逆に調子の波の激しい選手の扱いをどうするかに困る。……あ、これも考慮対象外要素か。
しかし、本来、こういうことを無視しては語れないのがテニスなんだが……。まあいいだろう。依頼者には座興のつもりで読んでいただきたい。
全豪のサーフェスはリバウンドエース。ボールは歴史的にはあまり弾まないボールが選ばれてきた。ボールは毎年変わる要素なので今年はどうだからわからないが、猛暑にさらされることを考えると、ボールのゴムがやわらかくなって暑さの分だけ圧力も上がり、当然飛びやすく、跳ねやすい方向に影響が出る(だから全豪は元々跳ねにくいボールを採用してきた歴史があるのだろう)。また、リバウンドエースもハードコートの中ではかなり跳ね上がる特性で知られていて、スライスは場合によっては止まるような挙動を示すこともあるという。これが全豪でクレーコーターや、スウェーデン勢が活躍する理由でもある(スウェーデン勢は夏はクレー、冬はインドアという環境で育っていることが多い)。
で、総合すると、やはりサフィンは外せない。この人は試合が始まるまではよくわからない人だが、試合途中にも調子の波があり、乗り始めると手がつけられなくなる反面、突然集中を失うこともある。しかし、実際にフェデラーに勝っているという実績を重視したい。全豪では優勝も準優勝もしていて相性もいい。
次はダビデンコだろう。彼のスピードは速い。見た目のタイプこそ異なるが、フェデラーと同じくなんでもできるオールラウンダーであり、スピードの速いナルバンディアンのような存在。精神面でも安定していて滅多なことでは崩れない。先にどかどかと打ち込まれてリードを許すと、案外あっさり試合を諦めるような傾向があるが、がっぷりよつの展開でリードされたぐらいだと全然あきらめてくれないタイプ。キープキープで第8ゲーム辺りまで行ってしまえば、フェデラーといえどもそう簡単には振り切れない怖さがある。また、跳ねるボールに対しての耐性が強いのも全豪ではプラス要素。サービスもコースよく鋭角に打ち込めるので、フェデラーのバックサイドを攻められる。
最後はヒューイットだろう。やはり地元の利というのは大きいものがある。彼がモチベーションをデ杯並に上げて試合に入れれば、あとは何が起きても不思議ではない。
お次は全仏。この大会は暑くなる時と、非常に寒い時の差が激しいが、中庸だったとして考えていこう。クレーではフェデラーに勝てる選手の数が激増する。フェデラーという人は元々屋内カーペットを最も得意としていた選手で、身体の中のリズムが早い。それゆえ素早い予測力と、フットワークが身に付いたのだろうと思われるが、カーペットというのはボールが早く飛んでいく分だけ、ショットの質よりもコースやコントロールが命。逆にクレーでは多少厳しいコースをついても追いつかれてしまうため、コースだけでなくボールの質が勝負の分かれ目となる。ナダルが普通の選手ではありえないほど猛烈なスピンをかけて打っていくのも、1球1球のボールの質を追求すればこそ。クレーコーターたちは全てこの前提で育ってきているため、そのボールの質は他のサーフェスで育ったどの種類の選手たちよりも上だと考えて欲しい。
全仏ではまずナダル。これに疑問はあるまい。クレーでのストローク戦になったら、ナダルの調子がいい、という限りにおいて現時点で勝てる選手はほとんどいない。フェデラーとて例外ではない。
次はやはりダビデンコで、理由は全豪の場合と同じだ。最後はやはりサフィンになる。サフィンという人はどうしても無視できない。
フェデラーの庭、ウインブルドンでは、現時点でウインブルドンを得意としている選手が彼以外にいないという点が彼が君臨できている理由であり、高速系サーフェスではお化けのように強くなる、というかつてのイバニセビッチやクライチェクのような選手が不在ということもそれに拍車をかけている。
現時点でウインブルドンでフェデラーを倒せそうなのは、リュビチッチやカルロビッチのようなビッグサーバータイプで、かつリターンが攻撃的な選手。自分のサービスゲームには気を使うことなくキープできて、フェデラーのサービスを破ることだけに集中できるサービス力が求められるだろう。
となると、まず第一はやはりロディックだろう。ロディックのサービスはまだやや威力に頼りたいという傾向が見え隠れするが、最近はサーブ&ボレーへの展開を重視するようになってきている。彼のサービスがコートの端っこを削り続け、タイブレークに持ち込まれたらフェデラーでも勝ちを計算しにくくなるはずだ。
次はアンチッチ。彼は実際に一度フェデラーにウインブルドンで勝っている。この実績を評価したい。彼もまたタイブレークに持ち込むことが条件になるが、彼の能力ならそう難しい課題ではないはずだ。
最後はバグダティスだろうか。彼のリターンの能力は正直に言って凄い。アガシに匹敵して劣らない、というと言いすぎだが、彼ならリターンでウインブルドンを取れるかもしれないと感じさせるだけのモノは持っている。フェデラーがアーリーブレークを許したとして、平常心を保ち続けられるかどうか。心理戦に持ち込めれば、彼にも勝機は出てくるはずだ。
また、ナダルが意を決して攻撃的なサービスを貫いて戦えれば(ナダルは200キロを余裕で超える猛烈なサービスを打てるが、普段は滅多に打たない。どうもサービスには抜きがたい苦手意識があるのか、あるいはラリーに絶対的な自信があるのか、その両方の要素があるのかわからないが、よほどのことがない限り、フラットに打ち抜いてこない。05年の全仏の準決勝でフェデラーを倒したとき、最後の最後でフェデラーの闘志を奪ったのは、彼が220キロ台で連発させたサービスエースだったのに……)、ウインブルドンでも勝機はある。ただ、上位シードのナダルの場合はフェデラーと対戦するまで負けないでいられるかどうか、というのが問題ではあるが……。
 最後は全米だ。ここはかつては「全ての選手にイーブンなサーフェス」などと言われたが、最近では全く当てはまらなくなってきた。ハードコートスペシャリストたちの存在が、その評価を雲散霧消させたからだ。北米のハードコートで育ってきた選手たちで、そこそこ体格のある選手たちは一様にビッグサービスとビッグフォアハンドを持っている。ロディックがその代表格だ。サービスでどかんと打ち込んで、あとはフォアで叩く叩く、というテニスが全米で最も有効なテニス。ボールが弾まず、サーフェスも速いため先にコースを突いて猛烈なボールを叩き込めば8割がた勝負が決まってしまう舞台となっているのだ。この条件下ではクレーコーターたちは辛い。元々フラット気味に打ち抜いて直線的なボールで勝負する習慣がないことと、ライジングなどの速いタイミングを使える選手が多くないこと、そして全米が採用しているボールやサーフェスの影響で、トップスピンの威力が減衰するからだ。ここでは展開を作ってトドメを刺す、というテニスよりも、アメリカらしく「撃たれる前に撃て」というテニスの方が通用しやすい。全米でフェデラーが強いのも、彼自身がその要素が強い選手だからだ。
 で、全米だとやはりロディックだろう。理由はウインブルドンの時とほぼ同じだが、彼は全米への思い入れが強いことも理由に挙げたい。観客も味方に付けられるだろうし、目立つ場面の方が力を出しやすい、という彼の性格的な要素もある。
 次はサフィン。先に撃つ能力の高さならサフィン以上の選手はいない。なにしろ彼はクレーでもそれをやっている選手なのだ。気分良く彼のボールが、仮に1/2以上の確率でコートに入っていたら、フェデラーだって手に負えなくなるだろう。
 そして、ブレーク、と言いたいところだが、ここは敢えてテュルスノフを推したい。彼はサフィンをそのまま少し小さくしたような選手。ちょっとでもボールが浮くと次の瞬間にはウイナー級のボールを叩き込む攻撃的なタイプでもある。フェデラーと彼の対戦は恐らく大会の中盤になるはずで、フェデラーの調子や集中力がピークに達する前に絶好調の彼に当たったら、番狂わせを演じきれるだけの能力は持っている。
 以上が2007年全豪直前時点での我々の見解だ。
 もちろん、鈴木貴男選手にも全豪やウインブルドン、全米ではチャンスがあると思う(クレーの全仏だけは辛いかも……)。ただし、彼の場合にはまず、フェデラーと同じ大会に出られないと……。頑張って欲しいところだ。


依頼内容991:ジェームズ・ブレークのような打ち方がしたいですどうすればいいか教えてくださいそれとブレークが新しく使うラケを教えてください。

千葉県の米さん

報告991:依頼者はどうやらブレークのファンのようだ。しかし、ブレークのような打ち方と言われても漠然としすぎていて、なんともお答えのしようがない……。
 彼はライジングを普通のプレーとして多用する選手。したがって、見た目よりも全体に後ろをコンパクトにして、正確なインパクトを確保し、その上で前に大きなスイングをしている。
 ラケットに関しては、日本語ならダイワ精工のホームページを、英語でもいいのであれば、ATPなどのサイトを注視していれば、早い段階でわかると思う。今現在(2006年末)は、試作品を使用している。


依頼内容990:ジェームズ・ブレークのNEWラケはO3ハイブリッドツアーと聞いたのですがほんとですか?それと性能をおしえてください

千葉県の米さん

報告990:メーカーからいずれ正式に発表があるだろう。その日までプリンス(日本ではダイワ精工)のホームページを注視しておいていただきたいとしか、我々には言いようがない。


依頼内容989:親切な回答ありがとうございます。
友人が「アンディ・ロディックのフォームをマネしたい」と自分に急に聞かれて「本を見ろよ」と言ったのですが「読んでもわからない」と言われてしまい困っています。ある程度のフォームの軌道とグリップの厚さを教えてください。ヘタクソな文ですがお願いします。

千葉県の米さん

報告989:お役に立てたかどうかわからないが、とりあえずどういたしまして……。
 ところで、フォームの軌道とグリップの厚さ、というのは、ストロークで、ということでいいのだろうか?  
 文字だけのコーナーでうまく説明できるかどうかわからないが、ロディックの場合、フォアはイースタンからウエスタンの中間付近のやや厚めのグリップを多用し、比較的コンパクトなスイングで前に大きく振り出している。このサイト内に動画もあるはずなので探してみて欲しい。彼は前に大きく振ってパワー系、小さくまとめてスピン系というスタイルだ。
 バックハンドは両手ともグリップはやや薄めで、やはり全体にコンパクトにして、パワーよりもていねいにコントロールするイメージの強いバックハンドになっている。


依頼内容988:私、ダベンポートの大ファンなんです
人柄はもちろん、プレーの質、うまさを考慮してもツアーでもっとも尊敬できる選手だと思って憚りません。2004年はNo1にも返り咲きましたし、1年以上維持しました。ウィンブルドンでの対ヴィーナス戦では 本当に円熟した美しいテニスに感動
しました。
しかし、メディアの扱いがそれに見合っていないと思います。彼女が性格上、メディアへの露出を好まないというのもあるかもしれませんが、スマッシュさんにおかれましても技術解説等でもっと彼女を取り上げて頂きたいと思います。彼女のテニスはとても洗練されすぎていて、かえってとらえどころが無いのかもしれませんね。
 よく彼女を語る上で「タッチのやわらかさ」「リストのやわらかさ」が指摘されます
けど、それは少しワイドに振られた時、リバース気味のフォアでボールに角度をつけて返球するテクニックのことですか? スマッシュさんは長年彼女を見てきたわけですから、私よりも彼女の魅力をよくご存じだと思います。
 もうリンゼイも引退間近、今までツアーを引っ張ってきたその苦労、功績に報いて、特集でも、インタビューでも組んで頂けませんか。無理であろうとは承知しておりますがそうなったら、すごくうれしいです。
 私はリンゼイの無駄な力の抜けきったなめらかなフォームが好きです。力を抜いてあれだけボールを加速させ、クオリティーの高いボールを作る能力は素晴らしいと思います。
スマッシュさんは彼女のテニスをどう評価されますか。
 また、彼女についてエピソードか何かありましたら、是非教えてください。
 長々と申し訳ありませんでした。忙しい中、目を通して下さって、ありがとうございました。

福井県のタッチさん

報告988:依頼者のダベンポートへの愛情が伝わってくる依頼文だ。ある程度、依頼者の時点で結論は出ているようで、我々にも異論はない。彼女は偉大なプレーヤーであり、20世紀末と21世紀初頭の女子テニスの主役の一人として、長く記憶され続けるべきプレーヤーであると考える。
  しかし、本誌2006年2月号の印刷がスタートしてしまい、もうどうしようもないという段階で妊娠、そして事実上の引退声明のニュースが入ったため、2月号の本誌にはニュースが間に合わず、全豪でも期待の選手の一人に挙げてしまった……。ちょっと恥ずかしい……。だが基本的にはおめでたいことなので、ご勘弁いただけると幸いだ。
それに、出てきていればきっと活躍できたんじゃないか、というのは虚報ではないので、彼女の名を挙げたこと自体は恥ずかしいとは思っていない。
 さて、メディアの扱いの大きさ云々というのは、ファンにとっては大きな問題だろうとは思うが、これはメディアが先かファンが先かという答えの出ない不毛の議論に堕ちやすいし、どの程度で「大きな扱い」と見なすかについても考えられなければならない(やや脱線するので、以下はしばらく読み飛ばしていただいても構わない)。
  また、メディアが取り上げたから人気が出るという選手もいれば、逆にファンの方が先で、メディアが取り上げるというケースもあるし、その両方ということもある。
  他の競技と比較するのも結局、不毛な議論になりやすい。最近ではフェデラーが来日した際と、サッカーのロナウジーニョやゴルフのタイガー・ウッズなどと比較して、「日本のメディアはフェデラーの凄さを理解してないんじゃないか」というご意見も多くいただいているが、少なくとも新聞社や通信社の記者たちはGSの現場にも取材に来ているから、知らないということはありえないし、どのメディアでも、メディアと名の付く仕事をしている人間ならロジャー・フェデラーが競技を問わず、世界的なトップアスリートであることぐらい、スポーツ担当でなくても知っているだろうと思う。ではなぜか?
  まずは、競技としての人気の違いがそのベースにはある。従って比較すること自体が本来は難しいことで、敢えて言い切ってしまえば、この部分が全ての根っこでもある。サッカーはご存知のように世界的に見ても人気度ナンバー1の競技であり、もちろん日本での人気も高い。日本の代表チームはW杯に出てもいるし、海外のリーグでプレーする選手の数もまた多い。ゴルフも同じくで、週末の昼間には国内ツアーが放映され続け、おじさまたちを中心にその人気は根強い(彼らには「仕事で必要」という要素もあるし)。海外で活躍する選手も近年では珍しくなくなってきた。
一方で日本におけるテニスはどうだろう。春の東レPPO、秋のAIGオープンには確かに近年は非常に多くの観客が詰め掛けている。しかし、ぶっちゃけて言うと、プロのテニスは日本ではまだまだ発展途上段階(あるいは復活途上)にある、マイナーな競技としての位置付けが一般的な認識、なのはファンの方も認めざるをえないことと思う。
 テレビや新聞の内部での深い事情はさすがに我々にもわからないが、テニスという競技の日本でのそういう扱いから考えれば、今回の来日時におけるフェデラーの一般メディアでの取り上げられ方は「破格」だったと我々は感じている。もし、シャラポワのときより低かったという印象があるとすれば、彼が男子選手だからで、日本でのテニスの現状が相変わらず女性上位(そのうえ大手スポーツ新聞などの主な読者層は男性)であることを考えれば、これはもう、致し方あるまい。フェデラーがどれほど偉大でも、さすがに男性誌に袋とじのグラビア企画は出ない。正直、今回、露出の差が出ていたとすれば、男性向けメディアへの露出が少ない分だけ報道の全体量が減ったムードだったのは間違いない。シャラポワと比較すると、フェデラーは割と多くのメディアのインタビューなどの取材に応じていたし、その分の露出はむしろシャラポワより多かったぐらいではなかろうか。
 ところで、フェデラー・ファンの方々はフェデラーのみならず、男子テニス全体を応援していただかないと、男子テニス界にどんな歴史的な存在が出てこようが、いわゆる「報道不足」の状況は変わらないだろうと思っていただいていた方がいい。
  というのは、いわゆる「マス(専門ではなく、広く一般大衆を相手にする)」のメディアはまず、「日本に関係する大きな話題」を取り上げるのが使命(我々零細の専門誌が、大手メディアの皆さんを弁護しなきゃならない義理は全くないが、誤解というか認識のズレは正しておきたいので敢えて書いておこうと思う)。
  また、現在のところ、日本には「関係ない」男子のテニスにどれほど凄い選手が現れようが、日本には関係ないこと、と見なされても仕方ないわけだ。
  「世界的な凄い選手なのに」というご意見もあろうが、であるなら、アルペンスキーや自転車のロードレース、WRCのラリー、クリケット、NFL、NHL、モトGPなども世界的には人気の高い競技で、そのトップ選手は英雄として取り上げられるが、日本において、一体どれだけの人がこれらの競技のことについて知りたがるだろうか、という視点がこの問題の理解には必要だ。MLBは日本人選手が行くようになってからはニュースでも大きく扱われるようになったが、それ以前は勝敗さえ満足に知ることができなかったではないか。これを一番端的に現すのが例えば「飛行機が墜落。250名が絶望。 ただし邦人乗客はいない模様」という類のニュースだ。250人も亡くなっていても、そこに日本人がいなければ、続報はないことがほとんど。「マス」メディアというのは、そういう性質を持った機関なのだ。
 そしてこれは「日本の」だけでは決してない。世界中どこに行こうが、自国の選手に関係ない競技や人気のない競技に関してのニュースの扱いは小さい。「最近は日本にもいろんな国の人が住んでいるんだから、どの国のニュースも公平に」というご意見は素晴らしいが、海外にいて日本の情報を知りたいとなった時には、現地の日本語新聞しか頼りがない(ネットで何でも見られる時代になったのはこの数年のことだし)のと同じで、世界中どこに行こうが現地の報道というのは、その国に住んでいる人間、日本なら日本人のための情報がメインとなる(ここで外国籍の方のことまで考えられる必要まではないだろう。すでに英字新聞社を始め、多くの外国語新聞社も存在しているし、定住外国籍の方がもっと多くなれば、自然発生的にそういう方々のための報道機関が出てくるものだ。そう考えると日本はかなり親切な方で、日本の大手新聞社はきちんと英字新聞を作っていて、その内容も英字新聞を必要とする人々用にアレンジされているではないか。USA TodayやTimesなど、外国の新聞社が、日刊で外国語の全国版の新聞を出している、なんて話はついぞ聞いたことがない)。例えば日本が生放送でニュース番組だけ24時間ずっと流していてるチャンネルの視聴率が抜群に高いとか、全部で100ページ以上あるような新聞などを買い、そして読むという人々がほとんど、という国であればいいが、国内の情報でさえ十分ではないという現状で、世界中のニュースを全て網羅するというのはやや現実味に欠ける。極端に言えば、普通の生活者にとっては、遠い海の向こうの出来事より、近くのスーパーの特売の情報の方が有用である、というのもまた真実であるからだ。
   ヨーロッパではどこに行ってもテニスのニュースが小さくなることは少ないが、それはかの地でのテニスは歴史のある人気競技の地位をすでに確立しているからだ。ヨーロッパ諸国の場合、GSに出ている選手がたいていの国で一人や二人は常時いるもの。つまり、「関係ない」時期が少ない分、人気も維持されていると見て欲しい。
  話が思いっきり逸れまくった。そろそろ元に戻そう。
  デビュー当初は気が弱く、「蚤の心臓」と言われたり、同世代のカプリアティと比較されたりして、あの大きな身体を持て余していたような印象も強かった彼女だが、98年頃から急激に本格化し、98、99年頃以降は女子テニス界の女王だったと言ってもいいだろう。
 勝つことで成長していく姿、というのを彼女ほど濃厚に感じさせた選手は少ない。ノボトナや最近だとモーレスモなどもそうだが、元々才能があったり、実力があるのに、なかなか勝ちきれないという選手が、その本来の力を存分に発揮していけるようになるのを見守り続けていけたというのは、テニスのファンならではの楽しみのひとつであると思う。
 まだ気が小さかった頃の彼女と、強くなった後の彼女の両方と戦ったことがあるのがヒンギスだが、ヒンギスの存在が彼女にとってはその成長に大きな影響があったのではなかろうか。
「以前の彼女なら、何回かウイナーを抜かれると落ち込んでくれたのに、今はそうじゃない」。98年の全米の決勝で戦った後のヒンギスのコメントだ。この時代はちょうどグラフの末期に当たり、女子テニス界に変革のムードが溢れている時代だった。97年にヒンギスが全仏を除く3冠を制し(全仏は準優勝。思えば06年のフェデラーと同じだ……)、完全にヒンギス時代の到来か、と思わせた翌年に待ったをかけたのがダベンポートだった。彼女はヒンギスとのライバル関係の中で自分のテニスを磨き上げ、同時にグラフと戦ってしかも勝ったことで女王としての威厳や自信を身に付けていった、と見ると、彼女こそが20世紀最後の女王だった、という見方も成立する。
  ダベンポートのフォームはゆったりとしているように見えるが、それは彼女の身体が大きいせい、というのもある。実際のスイングスピードはかなり速い方だ。後ろが小さく、前が大きいフォームがさらにその印象を強くしているのだろう。
  彼女の特徴はなんと言ってもその懐の広さ。前に打点を取って打ち込むことも、呼び込んでリバースで切り返すこともうまく、高い打点はもちろん、低い打点の処理も素晴らしいものがあった。また、ドロップショットなどのタッチセンスの巧みさや、読みの良さによる先手を取った展開力など、パワーだけで強かったという印象をお持ちの方がもしまだいらっしゃるのなら、もう一度改めて彼女のテニスを見直していただきたいと思う。
 もちろん、彼女があの大きな身体をしっかりとコントロールしきれる能力の持ち主だった、という要素は切り離せない。あの大きさの身体があると、深くて跳ねるようなボールでも下がらずに、「普通の打点」の範囲で処理できるという有利さがあるし、サービスが打てる角度も広い。ただし、これは彼女があの大きな身体をちゃんとコントロールできる運動能力を身につけていたからで、ただ大きいだけではできない要素でもある。大型選手というのは大きい分だけ身体の動きが遅くなったり、反応が鈍くなったりするケースもあるが、彼女はそうではなかったのだ。
 彼女が格下を相手にした時の試合は、本当にあっという間に終わらせてしまうことがあるが、パワー、角度、技術、戦術の全てでほとんどの選手より上なのだから、それも当然の話だ。
 彼女というと真っ先に思い出すのが、01年の東レPPOだ。ダベンポートとヒンギスは決勝でフルセットの凄い試合を戦った。ヒンギスは当時「お互いに疲れていて、とてもそんなことが起きるような状況じゃないのに、時々こういうことが起きる。今日はお互いにとても質の高い試合をしていたと思う」と話していたのだが、世界一速いと言われる東レのスパックターフでこの二人は共にとても強かった。毎年のように真夏の全豪で決勝まで戦った翌週の東京で、この二人が強い。東レPPOにおいては、他の参加選手たちに一切の言い訳を許さない戦績をこの両者は持っている(全豪の表彰式が終わるが早いか飛行機に飛び乗って東京に来て、着くとすぐに試合というのが、この二人のいつものパターンだった。他の選手だと1週間前には来日しているケースも少なくないが、この二人はいつもぶっつけ本番に近かった)。この01年大会でのダベンポートはひどく疲れていた。記者会見でも質問に答える時にだけは元気に見せ、時には笑顔さえ作って見せたが、通訳が話し始めると途端にうつむいて、無表情になった。その表情のギャップはひどく大きなもので、話している内容が本当なのかどうか疑ったりもさせられたが、逆に彼女のプロ意識の強さを感じさせたものだった。
 彼女は好人物でもあった。なにしろ彼女の人柄について悪く言う選手の話を聞いたことがないし、アメリカ人の記者も、成績がふがいないときに批判することはあっても、少なくとも「嫌な奴だ」という話はしない。実は「嫌な選手」というのは、記事には書かれなくても、記者たちの間にはその評判が噂として広まるものなのだが、彼女にはそういう話がない。フェド杯の代表として戦うことも厭わなかったし、ダブルスのパートナーだったモラリューが白血病に倒れた時の友情の物語はよく知られている。確かにネガティブな話題を漁ればいくつかは心当たりもあるが、プロ選手なら誰にでもある程度の話で、彼女だけが特別ひどい、というほどのものはなかった。エピソードと言えば、彼女が結婚した時に、「ダベンポートのままでいくわ」と言った時のことを報告しておこう。実はこの時、会見場には小さな拍手が起きた。これはエナンが「エナン-アルデンヌ」という長い名前を名乗り始めた直後だったからで(実は洋の東西を問わず、記者たちからはこの手の長い呼び名は歓迎されていない)、彼女がそのまま行くと言ったのも、単にアメリカが夫婦別姓などについて進んでいる社会だから、というばかりではなく、そういうテニス界の空気を察した彼女の配慮を感じたから、でもある。
 妊娠で今後の活動は以前不透明(「引退と言う言葉は嫌い」、「でも、自分がまたプレーしている姿を想像できない」、「自分の人生の次の段階に行くと感じていて、プレーできないことが寂しいと思わない」などとESPNの取材に対して話しているが、これを公式の引退声明と受け取っていいものかどうか……。前にも引退宣言を覆した前科もある人だし……)だが、07年夏には第一子が誕生することになる予定だそうだ。テニス界にママさんプレーヤーは少ないが、いないわけではない。彼女の今後の決断を待ちたいところだ。


依頼内容984:アンディロディックの生い立ちについて詳しく知りたいのですが、教えてもらえないでしょうか?もしくは、どのようにすればそういった情報が手に入るのか教えてください!

神奈川県のアンドリューさん

報告984:あの、うちはこれでも創刊30年以上を誇る「専門誌」なんですが……。今ではインターネットで色々な情報が取れるが、我々の場合は各地に取材に行き、記者たちが直接得た情報はもちろん、世界中の協力者の方々、色々なコーチや選手の皆さま、各種メーカーの皆さまなどなどから、実に多くの情報をいただいている。つまり、情報には全てコストをかけているわけで、インターネットで検索して、「はいいっちょあがり」というのはやっていない。そういう情報でも必ず複数の情報源と照らし合わせて、ありえる話なのかどうかを検証している。何しろ、本文の1行、キャプションの20文字を書くのにだって、必要なら何時間でもかけて情報の正確性を図るのが専門誌というジャンルであり、それが読者の皆さまに求められていることだという自覚もある。
 もちろん、時々不正確な情報を出してしまうことは、残念ながら皆無とは言えないし、誤植もやらかす。編集部全員で細心の注意を払っていたはずなのに、セレナ・ウィリアムズ(ロシア)と書いてしまったまま出してこともあるのであまり偉そうなことは言えないが……。
 一般的な情報の入手源として、最近では最も有効なのは、選手個人のオフィシャルサイトだろう。テニスでも多くの選手が個人の公式サイトを持つようになり、トップクラスのサイトはかなり本格的に運用されている。もちろん、選手に都合のいい情報しか流れないが、いわゆる公式情報として信頼は置けるので、あてにしてもいいのではなかろうか。検索サイトで探せば、今なら誰にでも見つけられるはずだ。ただしほとんどは英語か、選手の母国語だ。
 さて、前置きはこのぐらいにして、ロディックの生い立ちについて簡単に報告しよう。
 フルネームはAndrew Stephen Roddick。1982年8月30日にネブラスカ州のオマハに生を受けた。4歳半の時にテキサス州オースチンに転居し、10歳のボカレイトンに転居してここで主に育ち、03年にオースチンに家を建てた。高校時代にはバスケットボールもプレーしていたという。兄が二人いて、一番上のローレンスはサンアントニオでカイロプラクターをしていて、その下の兄のジョンは一時アンディのコーチを務めていたが、ジュニア時代には実はアンディよりも期待されていた選手だったという。しかし、彼は大学に進学し、プロでのキャリアはほとんどない(唯一のツアー出場は93年のワシントンだが、この時は日本の松岡修造選手にストレートで敗れたため、当時10歳ぐらいだったアンディは松岡さんのことを「兄ちゃんに勝った奴」として記憶しているという。また、中学時代にフロリダのテニスアカデミーに留学していた経験を持つある日本人選手によれば、当時のそのアカデミーで兄のジョンと一緒になったのと同時に、弟のアンディもいて、とにかくいたずら小僧だったとのこと。ただ、アンディ自身もかなり期待はされていたようで、トップのクラスで練習していたのだという。
 彼の生家は比較的裕福なアメリカの中流家庭のようだ。なにしろ、まだデビュー当初で、マイナーだった頃の彼の家にアガシが訪ねてきた時のエピソード(彼自身が書いた日記の中での描写。アメリカの「TENNIS」誌で掲載された。後に本誌でも邦訳版を掲載)によれば、ビリヤード台が家の中にあり、かつ、テニスコートまであるというから、それなりのご家庭だろう。また、アメリカ人の記者で彼を良く知るという人間から聞いた限りでは、彼自身はいわゆる今時のアメリカの若者だが、育ちはいい方だと思う、という話を聞いたこともある。
 フットボールとバスケットボールの大ファンで、時間が出来るとテレビで観戦したり、実際に観客席で応援したりと普通のスポーツファンの顔もあり、ポテトチップスが好きで、一番のお気に入りは「Rays」というアメリカでは最もポピュラーなポテトチップスの「Old Masterpiece」なのだとか。
 ジュニア時代にはすでに「次期アメリカのエース」として期待されていて、2000年の全米オープンジュニアで優勝。ジュニアの世界No.1にもなった。
 とまあ、こんなもんだろうか。


依頼内容983:先日、全日本テニスの試合を見にいったところ、歴代の優勝者のパネルがありました。戦前のずいぶん古い写真もありましたが、その当時の技術は今と変わらなかったのでしょうか?
例えば、サーブやストロークは、今と同様にスピンやスライスが存在したのでしょうか?もしわかるようでしたら教えていただきたく、よろしくお願いします。

東京都の夢の坂道さん

報告983:当時のニュースフイルムが残っている。時折、大会の会場などで流されている場合もあるので、機会があればぜひ見てみて欲しい。サービスには今と同じくスピンもスライスも存在した。ストロークでもスライスは多用されていて、選手によっては今日で言うトップスピンも使われていたようだ(もちろん、今のナダルみたいなのではなく、いわゆるフラットの強打としてだが……)。
 テニスの歴史でグラファイト製のラケットが登場し、一般に広く普及してからは約20年ちょっとだが、近代テニスの歴史は約100年。残りの70〜80年はずっとフェイスサイズはレギュラーサイズで、材質はウッドというのが当たり前だった。かつてはプロでなければ難しかった技術の数々がラケットの面が大きくなり、パワフル化したことで色々な人にでもできるようになったが、「プロでなければできなかった」ことでも、昔から「プロはできていた」と考えていただきたい。
 無論、程度の差は存在するが、現在ある技術のほとんどはウッド時代に生み出された技術の発展系であるのは間違いがなく、遠い昔から多くのプレーヤーたちが悩み、練習し続けた結果が今なのだと思いをはせていただきたい。


依頼内容982:ファデラーのストリングスのポンド数を教えてください。一説には緩く張っているとの話もありますが。

東京都のpaoさん

報告982:本誌2006年12月号の巻頭で詳しく報告されるはずなので、書店でご覧ください。
 緩い、というほどではないが、ボルグだとかの古い時代のトップ選手のイメージが強いと、びっくりするほど数字が低いのは確かだ。


依頼内容981:ロディックのサーブの時のグリップはウエスタンに近く見えるんですけど違いますか?

沖縄県のロディックです。さん

報告981:ウエスタン・グリップについて何か誤解されているのではない、とすれば、可能性があるのは彼の2ndサービス時だろう。スピン系統のサービスを打とうとしている時のロディックは、回転の操作をやりやすくするため、片手打ちのバックハンド・イースタンの裏側で打つような形に見えることがある。これはロディックだけではなく、多くの選手たちが使うやり方だ。
 しかし、普通にウエスタンで、ということはありえない。


依頼内容980:WTAとATPのツアー最終戦のラウンドロビンの分けかた・勝ちぬけの仕組みを教えてください。

神奈川県のナルさん

報告980:男女とも同じだ(むしろ、女子が男子のルールを踏襲したと言ってもいい)。上位8人の内、トップ1と2は必ず別々のグループに分けられる。その後、3と4、5と6、7と8番目の選手がくじ引きでどちらかのグループに分けられるわけだ。通常、ドローミーティングと呼ばれているのがそのくじ引きだが、これは公開の下、選手の立会人もいる中で行なわれる。時々、「●●という大会はドローを操作して、自国有利にしている」などと言う人がいるようだが、その仕組み上、操作しようにも不可能だ(ウインブルドン以外はシード順も純粋にエントリー時点でのランキングによっているので、ここにも操作の余地はない)。
 勝ち抜けは男女共に変わらない。4人同士のリーグ戦での戦績で、上位2名が準決勝に進出し、ここから先はトーナメントの勝ち抜き戦。それぞれのリーグで1、2位だった選手が準決勝、そして、決勝を戦う。リーグ戦の勝ち抜き方式は、まずは勝敗で順位が付けられ、それが並んでいる場合は得失セット、獲得ゲーム率の順で順位が付けられる。ただし、同じ戦績で並んだ選手が2人だった場合は、直接対決での勝敗が優先される。


依頼内容979:フェデラーがストロークを打つときに目を閉じるのはどうしてなのでしょうか?何かメリットはあるのでしょうか?

北海道のアルゼンチンさん

報告979:……彼にそんな癖はないと思うのだが。たまたま目を閉じている写真に当たることもあるが、編集部が持っている写真では彼が打つ時に目を閉じているという現象は確認できない。
 仮にあったとしても、メリットは、思いつかない。強いて言えば打ったときに飛び散るボールの毛が目に入りにくい、ということぐらいだろうか……。


依頼内容978:ギジェルモ・コリア選手の世界ランクが最近低迷しているようですが、やはり怪我の影響が大きいのでしょうか?調査団の方から見て以前のコリアにあって、今のコリアにないものがあるとすると具体的に何だと感じられますか?また、全体のレベルも上がっていると思いますが、コリアが再びトップ10プレイヤーに返り咲く日がくる可能性はどれくらいだと考えられますか?このまま終わってしまうのではあまりに悲しすぎます。

佐賀県の駆け出し忍者さん

報告978:彼の故障の中で最も深刻な影響がありそうなのは、手術もした右肩だが、右肩だけでなく、その後、各部に故障を抱えてしまっているようだ。
 彼に限らず、今の男子ツアーでは、完璧な体調とは言わなくても、自分の実力をいかんなく発揮できない、という身体状態ではフェデラーだってそうは勝たせてもらえない時代だ。コリアのような小さな身体の選手ならなおさらだろう。
 彼が再び浮上するには、まずは身体を元に戻すこと。また、戻すだけでなく、強くしなければならないだろう。技術的に問題があるわけではないので、彼の武器であるスピードを発揮できる状態に戻さなければなるまい。
 トップ10に戻れるかどうかは、その時の情勢にも左右されるのでなんとも言えないが、例えば2003年春頃のコリアに戻れれば、今でも十分に上位争いができるだろうと思われる。
 今のコリアにないものは、スピードと自分の肉体に対する信頼感、それに起因するメンタルのスタミナ、かつてはギラギラとしていたダーティーさと紙一重のような勝負根性などが感じられない。実はスピード自体は以前とさほどに変わっていないようにも思えるのだが、動きに自信が感じられないのだ。また、サービスは明らかな弱点になってしまっている。男子でサービスキープにエネルギーを使いすぎる状態だと、試合ではそうは勝てないもの。右肩に不安があるだけにこれはいかんともしがたいが、ここをなんとかできないと、なかなか難しいのではなかろうか……。


依頼内容977:プロのテニス選手は1ヶ月に何日位練習するのですか? 気になったので教えてください。

滋賀県のナダルの知り合い?さん

報告977:その時のスケジュールや体調、抱えている課題など、選手によって事情は様々だろうと思うが、概ね普通の人が働いている時間はテニスのために使っていると考えて間違いはあるまい。たまには残業もするだろうし、早仕舞いすることもあるだろうが……。
 プロ選手にとってのテニスは仕事。個々のケースはともかくとして、一般的には週休1〜2日程度で、1カ月に25日前後、1日辺り10時間程度はテニスのために使っているのが平均的と考えて差し支えない。その中身の密度に関しては個人差もあるだろうが、少なくとも選手生活を中心に活動できているレベルの選手なら上記がベースで、もっと練習している選手もいれば、さぼり気味の選手もいるだろう。それは日とそれぞれだ。
 ちなみに、日本のある元選手に聞いた話だが、杉山愛選手の練習量は、「あんなに練習する人を初めて見た」というレベルだったとか……。強い選手は練習量も凄い。だが、それだけ練習できる体と内臓というのも、選手の資質として求められるのではないか、と時々思う。彼らと同じ練習をしたら壊れてしまう、というケースもあるだろう。誰でも同じ練習をすればいいのか、というばかりでなく、持って生まれた何がしかがあるとすれば恐らくそれは、何よりも丈夫な身体ということになるのかもしれない。


依頼内容976:マリオ・アンチッチの使用ストリングとテンションとグリップサイズを教えて下さい。

東京都のAIG行きましたさん

報告976:ペンネームの通りだとすれば、どうしてその時にストリンガーブースでそのことを聞いてこられなかったのだろう……。
 全米ストリンガーズ協会の資料によれば、Luxilon Alu Power 1.25とBabolat VS Touch 1.30をテンションは27/26キログラムで張っているとのこと。テンションはヨーロッパ系の選手たちの場合最近はキログラム指定が増えている様子。ポンド換算にすると大体、59.5/57ぐらいだろうか。


依頼内容975:錦織 圭選手のフォアハンドのスイングの軌道とグリップの厚さを教えて下さい。

千葉県の米さん

報告975:うーん、軌道と言われても文字のみのこのコーナーでは表現するのがとても難しい。グリップはセミウエスタン付近からウエスタン付近のやや厚めのグリップで、ヘッドを走らせて巻き込むように打つこともあれば、逆にヘッドを遅らせて流したりもできる。いわゆる今風のフォアハンドを使う選手で、強いて言えば、コリアのそれにイメージ的には近いかもしれない。


依頼内容971:サンプラスやフェデラーはブレークポイントになるとファーストサーブがドッカンドッカン入りだしキープするというパターンが多い気がしますが、何故彼らはブレークポイントで強いのでしょうか?
ジャパンオープンでの鈴木貴男選手対フェデラー戦は貴男選手が勝ってもおかしくない内容でとても面白かったです。そこで質問なのですが、この試合は日本以外の国でも高く評価されたのでしょうか?あとフェデラーが日本のことについて何かコメントしていたら教えていただきたいです。それと昔サンプラスも日本の大会に来たと思ったのですが、やはりそのときもサンプラスが来日するということで盛り上がったのでしょうか?よろしくお願いいたします。

福島県のいきなりダイヤモンドさん

報告971:冷静に考えば、ブレークポイントを握られても強いから、強い選手なのだと理解できよう。ブレークポイントで簡単に相手にブレークを許すような選手は、フェデラーやサンプラスのようにはなれない、という単純な話だ。
 ブレークポイントとなれば、それを握った選手も力が入る。まして、相手がフェデラーやサンプラスといったブレークポイントどころか、ポイントリードさえ滅多にさせてくれない「どケチ」の選手ならなおさらで、「ここを取らないと勝てない」という気持ちになるものだろう。こういう時、フェデラーやサンプラスという選手は、相手がアガシや絶好調なサフィンならともかく、ほとんどの相手の場合には、一気にギアを上げ、ほとんどサディスティックでエゴイスティック、と感じるほど簡単にブレークポイントをしのいでしまう。こうなるとチャンスだっただけに相手のガックリ度は倍増。続く自分のサービスゲームではガックリしたまま入ってしまい、あっさりブレークを許して、チャンスを握った直後のゲームで勝負を決められていく選手を何度見たことか……。時々は、「お前、わざとやってるだろ?」と疑いたくなるほどだ。
 強い選手ほど、対戦相手にはチャンスを与えない。選手に言わせると「試合中に一度かそこいらあるチャンスを見逃したり、取りきれなかったりすると、彼らには勝てない」という言葉になる。で、たいていは「強い選手はそういうところで強い」と続く。
 相手がアガシやサフィンなら、チャンスを与えたことで、彼らも緊張するので状況は時にはイーブンからそれ以下となりうる。しかし、自分がちゃんとしたプレーをしさえすれば大丈夫だ、と思える相手の場合、相手が緊張しているのを察すると、彼らは逆にピンチだというのに落ち着いて行く。だから彼らはピンチだというのにいいプレーを続出させる、という印象に繋がっていくのだ。
 AIGオープンの準々決勝は、海外でもそれなりに報道された。実際、今年の大会にはいつもよりも多くの外国人プレスも来ていたし、フェデラーが1000位台の選手を相手に大苦戦した、というのは確かにニュースにはなった。
 しかし、負けたわけではない。フェデラーは試合に勝った。苦戦したとはいえ、勝ったなら、何のニュースバリューもない。報道の中にはただ1000位台の地元選手と書かれただけで、鈴木貴男という名前を省略した記事もあった。
 残念だが、鈴木貴男という選手は、少なくともテニスを専門に書く記者には知られていても、たまたまフェデラーが極東に来たから取材にきた、というレベルの記者は知らなくても仕方がない、という段階の選手なのだ。海外で鈴木貴男を知っているのは、レキップなどのちゃんとしたスポーツ専門紙のテニス担当記者と、アジア・オセアニア系の記者で日本とデ杯を戦う国の記者たち、あとはオーストラリアの記者たちが覚えていれば、というところだろう。厳しいがそれが現実だ。特にテニスの強い国の記者たちの場合、自国の選手についてはジュニアに至るまで詳しくても、外国人選手についてはトップ10クラス以外まるっきり知らないことも少なくない。イギリス人記者はヘンマンの実態がどうであれ、全盛期のサンプラスやアガシとヘンマンは同格だとして扱っていたし、アメリカの某大手新聞の記者などは、その年の全仏に勝ち、決勝に進めばNo.1になる可能性があった03年のフェレーロについて、「どう発音していいかもわからない」と書いたことさえある。アジア系の選手が活躍すれば、その選手が台湾人だろうが、中国人だろうがおかまいなしで、現場にいる日本人記者に「あの選手について教えて」と来るのが彼らの実態だし、「彼らのことを我々に聞くのは、スペイン人にポーランド人選手のことを聞くのと同じぐらい意味がない」と言い返すときょとんとしているほどだ。
 日本の記者のように、世界中の選手に関してある程度以上の知識を持った読者を相手にしているため、記者自身もそれなり以上の知識がないとやっていけない、というのは世界では珍しいケースなのだ。
 昔、サンプラスが強かった頃も話題にはなったし、みんな興奮もした。しかし、あの当時は伊達公子選手を筆頭に、日本女子の黄金時代でもあり、男子には松岡修造というスターもいた。サンプラスだけにみんなの注目が集まっていたか、というと非常に怪しいし、それ以前にもサンプラス級のスターが日本によく来ていたため、観客が少しばかり「贅沢」になっていた感は否めない。
 今年のフェデラー騒動は、96年のサンプラス以来久々に、現役のスーパースターが、その全盛期にやってくる、ということで起きたことだろう。ヒューイットも来日当時は強かったが、なにしろ、ほとんど10年間、日本の大会には本物のスーパースターが来なかった飢餓感はあったのだろうと思う。


依頼内容970:2006年のAIGオープンの男子シングルス決勝に行きました。
 初めてのテニスの生観戦はとても面白くヘンマンにはいいところがなくフェデラーの圧勝を予測してた自分としてはヘンマンの頑張りはすごいと思いました。会場の人もヘンマン側の人は多かったと思いました。ウィンブルドン優勝できていないのが意外な感じがしました。
 ここまでは前振りで自分はナルバンディアンのファンです。会場のヨネックスブースに行くとヨネックス契約選手のうちの出場選手が多くパネルで置かれていたのは納得なんですがヒンギスなどの非出場者が大きく扱われていてナルバンディアンがいなかったのがショックです。
 ブースの人にナルバンディアンは日本で人気がないのか聞いてみるとあいまいな答えしかかえって来ませんでした。実際はどうなんでしょうか。ナルバンディアンの日本通は嘘なのですか。

神奈川県のナルさん

報告970:ブースの人にそんな質問をしても、曖昧な答えしか返ってこないのも無理はなかろう……。話しかけた人にもよるが、ブースにいる人全てが契約選手に精通しているとは限らないものだ。また、そこから一足飛びにナルバンディアンの日本通が嘘かどうか、となるのも不思議ではあるが……。まあ、若さというのは、なんだかまぶしいものだ。
 本誌のアンケートなどでもナルバンディアンは今も人気選手の部類に入るし、その点はご心配いただかなくてもいいだろうとは思う。また、ここまでの情報を総合すると、彼が日本文化や日本の技術力に対して興味と信頼があり、いわゆる日本通であるのもほぼ間違いないことだと思われる。
 今回のAIGオープンに来日しなかったのも、前週にアルゼンチンでデ杯を戦ったばかりで、その後続くヨーロッパラウンドを念頭に入れていたからであろう。日本通が嘘で、日本の大会なんてどうでもいいと思っていたから、東京に来なかった、というのは考えすぎだ、と思う。
 しかし、最近の彼に関しては色々な噂もある。昨年のマスターズカップでフェデラーを倒して優勝したことで、地元のアルゼンチンでは知らぬ者のないほどの英雄として祭り上げられて、「スーパースター様」になってしまった、という噂だ。全仏やウインブルドンでの不振もそうした周辺環境の激変が理由、という説もあり、ちょっとだけ今後が心配されている。なにしろ噂とはいえ、彼に関してこういう話が出てくるのは珍しく、火のないところに煙が立った、とも思えない。
 ラテン系の選手というのは、欲がないのかどうにもこういう傾向があり、一つの大成功が逆効果となってしまい、悪い意味で後に引きずるケースが多い。もしかすると彼もそんな時期なのかもしれない。


依頼内容969:ファデラーのストリングスのポンド数を教えてください。一説には緩く張っているとの話もありますが。

東京都のpaoさん

報告969:本誌2006年12月号の巻頭で詳しく報告されるはずなので、書店でご覧ください。
 緩い、というほどではないが、ボルグだとかの古い時代のトップ選手のイメージが強いと、びっくりするほど数字が低いのは確かだ。


依頼内容964:アガシが無名の選手に敗退しての引退で残念でした。どうせならロディックとの対戦で世代交代をしてほしかったです。アガシは気持ち的にも体力的にもやはり去年の全米で限界だったんだろうなと感じました。引退しても彼の活躍に期待したいと思います。
そこで質問なのですが、@アガシの引退についての色々な選手のコメントを教えていただきたいです。
A去年の全米を観たときはフェデラーと他の選手との間が詰まってきたと私は感じたのですが今シーズンの彼の活躍と強さを見てるとまた差ができたのではと思ってしまいます。このままだとあと3年くらいで間違いなくサンプラスの14個の記録を抜くと思います。調査団様から見ると他の選手との差はどう映っているのでしょうか?
よろしくお願いいたします。

福島県のいきなりダイヤモンドさん

報告964:1.の依頼に関しては近々本誌で特集が組まれる予定なので、今しばらくお待ちください。今後の本誌にご注目ください。
 2.に関してだが、確実に縮まっていると我々は見ている。もちろん、彼もただ立ち止まっているわけではなく、進歩し続けているのでそう単純な話ではないが、この全米に関してだけ言えば、彼が強かったゆえの勝利だというのは当然としても、それ以上に周囲の選手たちの出来や、彼のこれまでに築いた威圧感にも助けられた部分はあったのではなかろうか、とも見ている。また、フェデラーがサンプラスの14勝を抜くかどうか、というのは年齢の壁も立ちはだかる。彼は今年で25歳となった。過去の例だが男子選手たちの場合、24、25歳をピークとして、その後は成績的には下降線となるケースが極めて多い。彼がその例外足りえるか否かで答えも変わってくるだろう。
 これは単に年齢的な衰えというだけでなく、この先の数年で彼の年下の世代の選手たちが、ツアーでの経験を積んで本格的に台頭してくるという要素もある。彼とナダルとの関係がいい例だが、若い世代が成長してくればフェデラーとて絶対ではない。「次なる世代のフェデラー的な存在」が現れてきた時、27、28歳になったフェデラーがその存在の挑戦を退けられるかどうか、現時点では誰にもわからない。彼がサンプラスやアガシを倒して築いた歴史が、今度は彼自身が倒されるという形で再び繰り返されないという保証はどこにもないのだ。
 現時点でのフェデラーは確かにサンプラスを上回るペースでGSの優勝数を重ねているが、1979年にGS初優勝以来、1984年までに7勝を挙げた後、1992年を最後に一線を退くまで、結局1勝も追加できなかったジョン・マッケンローのように、フェデラーがならないとは誰にも言えない。
 とはいえ、総合力という意味で、フェデラーを相手にコンスタントに勝てる選手は現時点ではまだ存在しない。それは彼の圧倒的な戦績を見れば、どんな方にでも簡単に理解できるはずだ。今季の場合はクレーでナダルに連敗したが、ナダルがクレーでの連勝記録を史上最高に乗せた超級の当たり年のシーズンであった、ということも割り引かねばならない。彼がもし、一昨年までの通常のシーズンを送っていたとしたら、今年の全仏でフェデラーが勝っていたとしても別に誰も不思議には思わなかっただろう。
 ただし、現在のツアーで上位進出を目指す全ての選手たちの標的はフェデラー。彼がオールラウンダーである分だけ全員が攻略に手間取っているが、徐々にその包囲網は縮まりつつある。クレーではほぼ全ての上位クレーコーターたちがてぐすねを引いている状態になりつつあるし、ハードコートではブレークがライジングに、ロディックはネットプレーに活路を見出しつつあるようだし、サフィンもそろそろ戻ってきそうだし、バグダティスの成長も著しいものがある。モンフィスやマリーといった新世代の選手たちも徐々に実力と経験を積み重ねつつある。芝ではロディックは相変わらず脅威だろうし、実はナダルも怖いのではないかと調査団では考えている。
 というのは、ナダルという選手はフラット気味に打ちぬくと、実は220キロ近いサービスを打つ能力があるからだ。元々右利きだったのをテニスだけ左利きに矯正された影響か、ナダルはサービスに苦手意識が強いようで、自分の課題として常にサービスを挙げる。普段は回転をかけて確率を重視したサービスを打つ彼だが、今季のウインブルドンとハードコートシーズンでは、打ち抜くサービスの回数を増やしていた。今はまだネットにかけることが多く、一度失敗するとすぐに止めてしまうのだが、あれがコンスタントに入るようになり、自信をつけてきたら……。
 フェデラーといえども、立ち止まれば他の選手に抜かれるのにそれほど長い時間はかかるまい。我々が一番案じているのは、フェデラーのフォアやサービスなどの衰えではなく、彼の足が衰えたり、故障を起こすのが心配だ。彼のテニスはそのステップワークが支えている。あの素晴らしいプレーのほとんどは、彼の敏捷さが前提になっていると見ている。その前提が崩れると案外脆いのでは、というのが我々の観測だ。


依頼内容963:ナダルのバックハンドの握りはなんですか?大ファンなんで是非教えて欲しいです!

東京都のなだるすきだよおさん

報告963:グリップに関しては色々と依頼を受けるたびにその都度ご報告してきたが、選手のグリップというのは「なんとかグリップ」という具合には特定しにくい。打点の高さ、何を打とうとしたかなどの要因で微調整が行なわれるからだ。それをまずは了解しておいていただきたい。
 その上でご報告すると、ナダルの場合は、左手がバックハンドイースタンぐらい、右手はほぼウエスタンに近い厚いグリップを使うことが多いようで、いわゆる左手が薄めで右手が厚めというスタイルのようだ。このグリップはボールに力を入れやすく、スピンがかけやすい、コースを鋭角に取りやすい特徴がある。しかし、やや振り切りにくいという弱点がある。ただ、問題は身体の使い方と全体のスイングの構築のされ方なので、グリップだけを同じにしてもナダルのように打てるわけではないので注意して欲しい。


依頼内容951:グランドスラムは1968年にオープン化され、プロ選手でも参加できるようになりました。
それまでグランドスラムから遠ざかっていたレーバーやローズウォールといった名選手が戻ってきたことで当時大いに話題になったことと思います。
その最初の大会である1968年全仏で気になることがありましたので質問させていただきます。
ドローにはレーバーやローズウォールだけでなく、ルー・ホードやアシュリー・クーパーといったやはり昔グランドスラムを獲得した選手の名前も載っています。
しかし、ホードもクーパーも試合はしてないようです。
他にもかなりの試合がw/oという記述になっています。
これは何かトラブルがあったのでしょうか。
あるいは、かつての名選手に敬意を表して名前だけ載せたのでしょうか。
特にクーパーは1回戦で日本人のIsao Watanabeという選手と組まれています。
詳細がわかるようでしたら教えていただけないでしょうか。
よろしくお願いします。

神奈川県のAUさん

報告951:本誌の創刊前の出来事なので、今回の報告は全て文献に従った。テニスの殿堂入り記者である、アメリカのバド・コリンズ氏の著書である「Total Tennis」(Sport Classic Book社)だ。これはアメリカとカナダで発売されている本で、国内でも洋書店などで注文すれば手に入るだろう。
 1968年のパリは大規模なゼネストと学生たちの暴動などに見舞われていて、全ての交通機関がストップ。観客だけでなく、選手たちもその移動手段がなく、宿泊先を探すのも大変だったと書かれている。観客たちも皆歩いてやってきたとのこと。これ以上の詳細については記述がなく、我々には個別の選手たちの事情はちょっとわからないのだが、恐らく、ゼネストの影響で会場に来られずそのまま欠場となった選手が続出していたのではなかろうか。
 フランスは今でも時折大規模なゼネストが起きるが、こういうケースでは電車やバスだけでなく、飛行場も閉鎖となる。来られない選手がいても全く不思議ではない(何しろ清掃局がストになって、クリスマスにゴミの収集をやめたりする国だ……)。
 Isao Watanabeは渡辺功さんで、現日本プロテニス協会の理事長を務めている。この報告をする段階では連絡が付かなかったが、今度、お会いできた時には当時のことを聞いてみて、改めて報告できれば、と考えている。


依頼内容950:今月号の貴誌のスマッシュ調査団のアガシの特集はとても興味深く読ませていただきました。
アガシが遂に引退ということでとても寂しいのですが、ファンとしては最後の全米で一番いい終わり方をしてほしいと思っています。しかしフェデラーとナダルの二人は今の男子の中で頭一つ以上抜け出している感じですし、今期のアガシは試合数も少ないし、調子もいいとは言えないのではないかと思うので厳しい大会になると思います。
そこで質問なのですが、スマッシュ調査団様はアガシは全米でサンプラスのように最後の一花を咲かせることはできると思いますでしょうか?よろしくお願いいたします。 
そしてアガシの四つのグランドスラムでのベストマッチをそれぞれ選んでいただきたいです。あとサンプラスも。よろしくお願いいたします。

福島県のいきなりダイヤモンドさん

報告950:これを書いているのは2006年の8月初旬。この時点でのアガシの状態は決してよくはない。ワシントンではまさかの1回戦負けを喫し、「悲しいし、すごくガッカリしている。こんな負け方はもう今回が最後にしたい」と本人もかなりのショックを受けていたようだ。
 しかし、逆に全米まで残り2週間のこの時期にこういう敗戦をした、というのをプラスに考えることもできる。選手というのは引退が近づいたり、内心で決心したりすると「負けても悔しいという気持ちが薄くなる」と多くの元選手たちが口にしているのを我々は折に触れて聞くが、この敗戦でアガシが濃厚に「悔しい」という気持ちを持てたとすれば、本番までなんとか間に合うぎりぎりの時期、というのがワシントンだったはずだ。
 アガシは翌週のトロントを欠場し、さらにシンシナティも背中の故障を理由にスキップした。故障の話が気になるが、あのぐらいの選手なるといつでもどこかを傷めているもので、「口実」程度の故障なら常に抱えているはず。恐らくは調整のためではなかろうか。アガシは最後の全米に向けて、完璧な状態を作り上げたいのだろう。これは全米も期待してもいいのではないか、という気がする。故障の話が本当でないことを祈りたいが、もし試合に出られないほどの故障を本当に起こしているとすると、最悪、全米を欠場し、セレモニーにだけ出てくるというスタイルも考えられなくはない。自分のテニスができない、と感じた時に、彼が最後だからと言って無理矢理出てくるとはどうしても思えない。
 昨年の決勝でフェデラーに敗れた後、彼は「この先の自分たちのゴールをどこにするか、ダレンとギルとじっくり話し合わないといけない」と呆然とした表情で語っていたが、実はアガシの場合、昨年の全米を最後にしようと考えていたという状況証拠が数多い。そして、今季のオフに引退を決め、各スポンサーなどを説得していたのだと言う。
 彼クラスの選手になると、自分の気持ちだけで引退を決めることはできない。自分のスタッフの多くも契約を打ち切らなければならないし、スポンサーにもきちんと理解してもらわなければならない。まして彼は大きな財団を抱えているので、引退することがマイナスにならないように気を遣う必要もある。これに対する労力は相当なものがあったようだ。
 サンプラスと同じように、というのは難しい。サンプラスとは状況が違うからだ。
 サンプラスは02年の全米の時点では現役の続行も含めて、全ての可能性を持ったまま大会に臨んでおり、まだ気持ちがキープされた状態での全米だった。一方、アガシはすでに引退を宣言し、「フェアウェル・ツアー」としての位置づけを与えてしまっている。本人の闘志のキープが難しくなっていることも予想されるし、対戦相手に与える影響も小さくはない。ここがサンプラスとは全く状況が違う最大の部分だ。
 日本人のメンタリティだとアガシのような偉大な選手の最後の大会では「当たりたくないなあ」とか、「勝ったら申し訳ないなあ」と考えがちかもしれないが、プロスポーツの世界ではこれは全く逆となるからだ。
 基本的にもう辞めると言っている選手と当たるのはラッキー(相手のやる気は小さいと判断できてしまうため)、ましてそれがアガシなら、自分が最後に彼と戦って勝った選手に成りたいとやる気満々状態になってしまうのが普通なのだ。誰も遠慮なんてしてくれない。むしろ、いつも異常に強い闘志を持って試合に臨んでくるのがプロスポーツ選手のメンタリティ。つまり、アガシは最初から精神的には不利な状態でコートに入らなければならない可能性が高いのだ。
 ただし、プラスの側面もある。観客の声援はもう圧倒的にアガシのサイドに付くだろう。これはもう相手がアメリカ人選手であろうが同じで、アガシ、アガシとなるはずだ(去年もジネプリ戦ではジネプリがかわいそうになるぐらいアガシ一辺倒だった)。アメリカ人ファンの偉大な功績を残した選手に対する尊敬心や、敬意の大きさを表現する時の態度というのは日本人の感覚とはかけ離れた激しいもの。これに押しつぶされる対戦相手がいてもおかしくはない。大会の序盤ではアガシは何試合かは観客に勝たせてもらえる可能性もある、と思えるほとだ。この正負、2つの要素がどう出るかによっても色々とその様相は変化を見せるのではなかろうか。
 また、アガシはランキングが落ちているので下位シードでの出場となるはず。大体3回戦で上位シードと当たるはずだ。それが誰になるかでも上位進出できるかが変わる。フェデラーあたりと当たれば、アガシとて勝利を計算はできない。あるいはシード圏外に落ちている強豪のサフィンやフィリポーシスなどと1回戦で当たったりする可能性もある。両者共に復調気配を漂わせていて、彼らがノーシードで出てくるのは全選手の迷惑、という状態になっている(何せかつての優勝&準優勝者だし)。さらに、以前のアガシなら対戦相手が誰であっても問題はないと言えたが、今では彼のやる気次第で色々と変わってしまう。
 我々も心情的には勝って欲しい。勝たせたい。しかし、一応、専門誌のコーナーとして彼を優勝候補に挙げられるか、と言われればそれは厳しいと言わざるを得ない。現時点ではアガシというだけではもう優勝候補とは言いにくい。せいぜいダークホース、状況次第ではもしかすると優勝もありえる程度、というのが彼のポジションとして適切な評価だろうと思う。
 色々と言ってはきたが、最終的に我々に出来るのはただ見守ることだけではないか、というのが結論としては適当ではなかろうか。
 アガシのGSベストマッチ……。色々と考えられるが、全豪は優勝した年の決勝はどれも素晴らしかったし、全仏は91年のクーリエ戦もいいが、もう99年の決勝でいいのではなかろうか。ウインブルドンも92年のイバニセビッチ戦、全米は数多い。94年の優勝を始め、99年の決勝、01年のサンプラス戦、02年のサンプラスとの決勝戦、昨年のブレーク戦も素晴らしかった。それぞれの記憶の中で、一番凄い試合だったという試合をベストとしていいのではなかろうか。
 サンプラスの全豪は95年のアガシとの決勝が印象深いし、全仏はまあ、置いておいて、ウインブルドンは優勝した大会は全て素晴らしかった。全米はどうしても最後の02年が印象深いが、95年のアガシとの決勝をベストとする声は多いようだ。筆者の個人的な意見としては、02年の準決勝のシャルケン戦はサンプラスという選手の能力の高さが恐ろしく発揮されていたという意味で忘れがたいが……。


依頼内容949:こんにちは!!いつも楽しませてもらっています。今回はウインブルドンでロディックに敗れてしまったセルビアモンテネグロのヤンコ・ティプサレビッチ選手についてなのですが、試合を見ていてラリー戦ではロディックに引けを取らないし、ドロップショットも絶妙で、何よりバックのダウン ザ ラインも素晴らしいと思いました。細かく足を動かすフットワークを使ってのコートカバーリングも大変参考になりました。22歳と若く、これから出てくる選手ではないかと思いました。調査団の方はどう見ていますか??あと、両腕に日本語で刻まれたタトゥーもなんて書いてあるかわかったら教えてください。

北海道のぽぽさん

報告949:いつもありがとうございます! 
 さて、彼は1984年6月22日生まれの22歳。180cm/80kg。17歳だった2001年にはユーゴスラビア代表としてデ杯チームに召集されるなど、地元では早くから期待された存在だったようだ。
 セルビアモンテネグロ、クロアチアなどバルカン半島からはセレスやイバニセビッチなど、過去にも素晴らしい選手たちが生まれてきているし、今もジョコビッチやイバノビッチなど、いい選手が次々と生まれている(頑張れドキッチ!)。
 ATPの資料によれば、彼は6歳でテニスを始めたそうで、全豪ジュニアのタイトルを取ったことがあり、01年のITFジュニアの世界ランキングは2位でフィニッシュしている。実は現在は大学生でもあるとのこと(スポーツ・マネージメントを専攻しているという)。
 2004年、2005年にはジャパン・オープンに来ているが、2004年はボゴロモフJr.に、2005年はバグダティスに共に1回戦で敗れている。これから出てくるかどうかというのは、全ては彼の努力と運次第だが、故障がなく、うまく進歩し続けられれば、そこそこのレベルには行けそうな能力は現時点ですでにある。これからも応援してあげて欲しい。
 左腕にはドストエフスキーの言葉から「美は世界を救う」とATPのプロフィールにあり、右腕のカナは……。資料にはないので、写真を拡大して見てみたのだが一番上の文字はリストバンドに隠れていて読めないのだが恐らくは「カ」か「オ」、以下は「ワェ」「ヤ」「ワェ」と読める。続けて読むとカ(オ)ワェヤワェ……。誰か意味を教えてください……。


依頼内容936:サフィンが今年の全仏で使っていたガットはなんですか?
サフィンのバックハンドの握り方を教えて下さい!!

北海道のマラトさん

報告936:今年の全仏でのサフィンは、1回戦でゴンザレスと当たってしまい、大接戦の末に敗れて、記者会見もすっ飛ばして帰ってしまった(記者会見をサボったカドで罰金を食らった)。従って、今年の全仏のサフィンのデータはほぼ皆無だ。あしからずご了承いただきたい。
 サフィンのバックは両手打ちの右手がやや薄めのグリップをよく使っている。


依頼内容935:こんにちは、レイトンヒューイットさんについての質問なんですが、以前はナイキのウエアを着用していたのに最近の大会ではヨネックスのウエアを着ている気がするんですけど、どうなんでしょうか教えてください。

沖縄県のナダル二号さん

報告935:ナイキとのウェア契約が終了し、ヨネックスとの全身用具契約を締結したからだ。


依頼内容934:フェデラーのガールフレンド兼マネージャーのミルカ・バブリネックさんは元テニス選手だったんですか?2001年のウィンブルドンのドローに「M.バブリネック(スイス)」とあったので。それともバブリネックという名前はスイスだとよくある名前なんでしょうかね?もし元テニス選手だったら、どんなプレーヤーだったのか教えてください。

神奈川県のユウキさん

報告934:正直、すごく強かったとか、凄いプレーをする選手だった、という印象はなかったが、中堅どころの選手だった。現役時代の最高位は76位。01年には全米で3回戦に進出している(選手時代は何度か来日もしており、有明の状況をフェデラーが知らない、ということはないだろう)。自称サーブ&ボレーヤーとのことだが、筆者の印象からすると、純然たるサーブ&ボレーヤーというよりは、攻撃的なオールラウンダー型という程度で、女子でならあれでもサーブ&ボレーヤーって言うのかな、という感じの選手だった。
 彼女のWTAツアーにおけるベストリザルトはベスト8が4回なのだが、実はその中の一つが日本のジャパン・オープン(他はオークランド、ブダペスト、エストリルのベスト8)。彼女は2000年の大会で予選から出場して、フサロワやクチキスなどを破ってベスト8でアラール-デキジュジスに敗れたのだ。
 彼女は故障が多く、全盛期と呼べたのは2000〜2001年の2シーズンぐらい。2002年春まではプレーしていたが、そのシーズンを最後に引退している。2005年9月号の本誌「ワールドウォッチ」のコーナーではこんな記述がある「1978年4月1日、スロバキアのボイニツェで生まれた。彼女が2歳の時、両親は一人娘の彼女を連れてスイスに移住する。そして9歳の時、宝石商でかつて優秀な槍投げ選手であったスポーツ好きの父を通じて、マルチナ・ナブラチロワと知り合った。この出会いをきっかけに、彼女がテニスでやっていこうと決心したのである。テニス選手としての彼女は、フェデラーが手に入れた数々の成功とは程遠いものだった。バブリネックは計9つのグランドスラム・ツアーに参加。2001年には全米オープンで3回戦に進出し、自己ベストである世界ランキング76位を獲得している。しかし、彼女はその頃、マルチナ・ヒンギス同様、慢性的な足の故障に苦しんでおり、すでに手術を数回受けていた。そして2002年春、彼女は24歳で選手を引退する。戦績は202勝159敗、獲得賞金合計は26万832ドル(約2895万2352円)だった」。スイス人ジャーナリストで、ジュニア時代からフェデラーを知るレネ・シュタウファー氏はスイス&ドイツ圏でフェデラーの半生記を出版しているほどのライターの連載だ。彼は現在は隔月で主にフェデラーのことについて、ヨーロッパからのレポートを連載してくれている。ぜひ本誌を手にとって読んでみて欲しい。


依頼内容933:僕はアンチッチが大好きで、プレーのお手本にもさせてもらってます。そこで、アンチッチのストロークの時のグリップの握りを教えてください。できればラケットのグリップサイズもお願いします!

東京都のアンチッチマニアさん

報告933:彼はセミウエスタン前後のグリップを多用する。ラケットのグリップサイズは現在確認中だが、2m近い彼のグリップサイズはあまり参考にはならないという気が……。依頼者が彼と同じく2m近い長身で、手も大きいなら別だが……。


依頼内容932:トミー ハース選手のストリングがなにか知りたいのですが。わかりますか?

北海道のルンドブレンさん

報告932:最近は多くのガットが出ていて、選手たちも時期により色々と試しているという。だ から以前のように、だれそれ選手は何のガット、と特定しにくくなっている。で、一応、公式に彼の使用ガットとなっているのは、Babolat VS Natural ThermoGut 16Touch Stringとのことだ。


依頼内容931:ナダルのガットのテンションって何ポンドですか?

沖縄県のなだる2号さん

報告931:依頼者にお願いだ。
 確かにこのコーナーはすでに1000近い回答が書かれているので全部に目を通せ、とは言わないが、せめて最近のものぐらいは軽く目を通してから送信ボタンを押して欲しい。依頼837以上のデータはまだ我々にはない。
 ちなみに、この種のデータは毎年、全米でまとめて取材してくるのだが、現時点では、今年の調査団の全米取材は予算不足で見送られそうなムードだ。編集部の取材班にある程度はお願いしようと思っているが、あちらはあちらで忙しいので、どこまでできるかわからない。それ次第でしばらくは情報関連がアップデートできない可能性もあるので、あしからずご容赦いただきたい。
 みなさまがもっと積極的に本誌をごひいき、具体的に言うと本屋さんで買っていただければ、我々の部門にも再び予算が割けるはず。正直、ホームページのこのコーナーは維持するのにお金と時間をかけてはいても、一銭の利益も出していない。全ては読者の皆様に、本誌を具体的に御支援いただけている、という信頼関係のみで成り立っている。
 どうかそこのところのご理解とご協力をよろしくお願いしますです


依頼内容930:アガシのグリップを教えて下さい。
あと彼のようなテニスをするには何を集中的に練習したらいいでしょうか?

長野県のM・Oさん

報告930:またアガシのグリップ……。アガシは人気者だなあ。
フォアは基本的にセミウエスタン前後。バックは両手のやや薄めのグリップを使っている。
 彼のようなテニス、というのも漠然としていて何ともお答えしようがないのだが、仮にライジングを基本にしたプレーのことだとすれば、ライジングでボールを捕らえて普通にラリーできる能力を磨くしかない。いいだろうか、彼のテニスでのライジングは「普通のプレー」。特別なことをやっているという意識であのプレーを彼はしていない。ショートバウンドで取り続けてラリーを成立させるのがアガシ。あれをやりたいなら、とにかく意識を高くしてたくさん数を打つしかない。彼もそうやってあのテニスを完成させた。グリップがどうこう、というのは、途方もなく長い時間繰り返された練習の中で完成されていったもので、グリップを真似すればああいうプレーができるようになるなどという簡単なものでは絶対にない。
 とかく、若いプレーヤーはグリップやヒジの使い方などの枝葉末節に拘泥しがちだが、それはテニスの中の部品の一つにすぎない。車で言えば、パンパーやウイングだけそれらしい形するのは簡単だが、エンジンや足回り、ドライバーの腕などもちゃんと変えなければ、レーシングカーと同じ速さで走れないのと同じだ。


依頼内容929:アガシのグリップと長所と短所を教えて下さい。

北海道ののびたさん

報告929:アガシのグリップというのは、フォアハンドのことだろうか。アガシのフォアのグリップは基本的にセミウエスタン前後。彼は比較的決まった打点で打つことが多いので、それほど大きく変わることはないようだ。
 このグリップの長所は汎用性が高いということ。フラットに打ち抜くこともできれば、スピンもコントロールしやすい。ただし、すごいスピンをかけたいならもっと厚い方がいいし、低い打点をすくい上げるにはもっと薄い方がいい。短所はこの裏返しで、何でもやりやすいということは、極端な条件下ではそこそこということ。高い打点を叩き込みたければ、グリップは厚くした方が叩きやすいだろうし、低い打点でスライスを使いたいなら薄くした方がいい。
 グリップというのはそういうものだ。


依頼内容928:依頼内容837でもありましたが、ナダルのガットのポンド数は実際のところ何ポンドなんでしょうか?
また、ナダルの使用しているBabolatのラケットは27インチですか、27.5インチの方
ですか?

北海道のナダルファンさん

報告928:テンションは、あの時点では報告したとおりで、それ以上のデータは我々にはまだな
い。ラケットのサイズは27インチの方とのこと。


依頼内容927:最近注目を集めている、一藤木貴大選手や錦織圭選手について詳しく教えてください。
また、2人が使用しているストリングについても教えてください。

愛知県のナダルさん

報告927:何を詳しくお知りになりたいのかが不明瞭だが、まずは錦織圭選手から。
1989年12月29日生まれの16歳(今年の誕生日で17歳)。身長はまだ伸びているようで、全仏の時に本人に聞いたところ、今は大体180cmぐらいとのこと。右利きの両手打ちバックハンド。
 プレースタイルはアグレッシブ・ベースライナー系のオールラウンダー。フォアハンドの強打を起点にポイントのキッカケを作り出し、ネットやドロップショットなど技も多彩。もちろん、強打でウイナーも取れるというタイプだ。
 現在はアメリカのニック・ボロテリーのアカデミーで練習していて、ジュニアの大会と一般の大会の両方に出場中。本人曰く、ジュニアの大会よりも一般の大会の方がやりがいがあって楽しいのだとか。アメリカではトミー・ハースやマリッセ、バイディソワなどと練習することもあるそうだ。
 日本ではもちろん、アメリカでも期待と注目を集めている。今後に期待したい存在だ。
 一藤木貴大選手は1988年12月17日生まれの17歳(今年の誕生日で18歳)。身長は170cm台後半。右利きの両手打ちバックハンド。
 スペインのバルセロナにあるサンチェス・カサルオープンスポーツクラブを拠点とし、各地の一般の大会に出場中。フォアの強打を軸に攻めるテニスが基本だが、クレー育ちらしく、今後はそのテクニックで戦う方法を見つけてくるだろうと期待されている。スペインでは期待されているジュニアの一人なのだが、スペインの土地柄かジュニアの大会には出場せず、一般の試合に出ている。
 一藤木選手が使用しているストリングはルキシロンのアルパワーとのこと。


依頼内容922:2002年ウィンブルドンのルゼドスキー対ロディック戦について詳しく教えてください。
ルゼドスキーの大ファンなので。

北海道のいえピーさん

報告922:6-3、6-4、6-2のストレートでルゼツキーの勝利。この試合は印象が強い。強いサービスが売り、というかほとんどサービスと心中しないと勝てないというタイプのルゼツキーが、そのサービスの速度を殺して丹念にコースを突き、スライスとボレーで勝負して、ロディックを破った試合だったからだ。
 逆にロディックは強く打ちすぎてミスを重ね、あのルゼツキーに「うまさ」で翻弄されるという若さを出した試合だった。ルゼツキーがただのビッグサーバーではなく、ちゃんとしたサーブ&ボレーができる選手なんだ、と再認識させられた試合だったという意味で印象深い。


依頼内容921:いまさらですが、私は2002年の全豪のサンプラス対サフィンはかなり好きな試合です。サンプラスがもっと早く調子が上がっていれば勝てたのではないかと思いました。
しかしその試合を録画したビデオは第4セットのタイブレークでサフィンが何度目か のマッチポイントを握り、サンプラスがサーブを打つ直前でビデオテープが残量切れ になってしまい、マッチポイントを見ることができませんでした。
合後の二人のコメントなども教えていただきたいです。よろしくお願いいたします。

福島県のいきなりダイヤモンドさん

報告921:第4セット、タイブレーク10-8でサフィンが勝っている。試合後の二人のコメントとしては、「彼はバックハンドにすごいものを持っている。フォアも凄いが、少しだけミスが多い。ただし、フォアの方がバックよりも攻撃的だ。コートの後ろからでもソリッドに攻めてくるし、サービスも強烈。メンタルは時々壊れやすい。でも、今夜の彼は強く自分を保っていて、素晴らしいゲームを演じた。とにかく今週の彼は、持っている才能の全てを出している感じだね」(サンプラス)、「ネットに出てきたピート・サンプラスは、それはもう巨大な存在なんだ。パッシングショットには完璧さが要求される。少しでも甘くなればそれでもうおしまい。それはもう恐ろしいものなんだ。それで最初のマッチポイントをミスった。で、最後のポイントは完璧だったんだな。自分でも期待以上のショットだった。凄くタフだったけど、いい試合ができたと思うよ」(サフィン)。

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