このコーナーは、本誌と連動する 『スマッシュ調査団』と『テニスフリートーク』で構成されています。
 『スマッシュ調査団』は、テニスに関する素朴な疑問を調査・解決していく、本誌で大好評連載中のコーナー。毎月寄せられる多くの依頼に本誌だけではとても答えていけそうにない。というわけで、インターネット部門を開設することになりました。このコーナーは随時更新していく予定なので、こまめにチェックして下さいね。依頼は、従来通り本誌宛へのお葉書はもちろん、インターネットでも受付けます。インターネット受付分から本誌への展開もあるので、「アレって何かな?」と思ったら、依頼してほしい!
◆応募方法
・下にある投稿ボタンより専用フォームを呼び出して、必要事項をすべてご記入の上送信して下さい。
・投稿されたご意見は、編集部を経由して随時このページに掲載していきます。(ただし、掲載にふさわしくない等編集部で判断したものは除かせていただきますので、予めご了承下さい)。掲載に際しては氏名のみを掲載しますが、ペンネームでの掲載を希望される方は、忘れずにペンネームを記入しておいて下さい。
**** 観戦・選手 ****

依頼内容1096: 先日はダブルスの組合せについて回答いただきありがとうございました。
さて、今回の疑問は各大会の出場に関してです。今回、AIGジャパンオープンでフェデラー欠場が決定した後、フェレールやガスケの出場が急遽決まりました。が、彼らは早くから出ていたエントリーリストに名前は出ていませんでした。が、今回のAIGではWCでもなく予選からでもなく、普通にドローに名前が入っていました。WC枠は既に日本選手に決まっていたし、ガスケなどは明らかに予選には間に合わなかったからかもしれませんが・・・ランキング上位の選手が急に「出たい」となったら、こういうのは有りなんでしょうか?

愛媛県のラスティさん

報告1096:  今回のAIGのケースに関しては、選手の「出たい」だけでなく、また、大会の「出て欲しい」だけでもなく、ATPや大会を仕切る代理店などの「このままじゃヤバイ」という理由もあったのではなかろうか。
 AIGオープンはインターナショナルシリーズ・ゴールドという格式。これはATPのイベントとしてはマスターズカップ、マスターズ・シリーズに次ぐ高い格式になる。ATPは大会の格式によって公認料として結構な額の金額を求めるし、選手への賞金額はもちろん、待遇に関して非常に事細かに大会主催者に要求を突きつけている。それはホテルのクローゼットに何本のハンガーがなければいけないか、とか、会場内の食事のメニューやレシピにまで微細な項目にまで至っている。
 反面で、ATPは大会に対してその格式に相応しい選手を「提供」する役目がある。WTAでは大会の格式に応じて「トップ10の選手が●名で、トップ20が●名以上」と実はルールで決められている。ATPのルールブックを熟読したが、ATPにはここまではっきりした形で文言としては存在しなかったものの、トップ選手が突然欠場した場合の代替選手のエントリーに関して似たような取り決めがあり、今回のケースではそれが適用されたと見るのが自然だろう。
 今回の場合、フェデラーの欠場がどのタイミングで決まったのかが、実は不明なのだが、かなり急な話だったのは間違いない。で、フェデラーが欠場を発表する以前に、エントリーを表明していた選手たちで、実際にコミットメント(契約)に至った選手が恐らく「エントリー・リスト」として発表された選手たちになる。
 その段階でのトップ10の選手はなんと、ベルディフただ一人だった(一時ハースも追加されたがすぐに消えた……)。ATPは大会の格を維持するため、フェデラーの代替要員としてトップ10選手を用意する必要に迫られたに相違なく、フェレールがそれを受諾したということなのだろう。彼はその上、錦織圭とのエキジビションマッチまでやってくれた。かえすがえすもいい奴だぞフェレール、そしてガスケ。本当にありがとう。


依頼内容1095:  今、テニス界では最強の座にフェデラーがいて、それを脅かそうとナダル・ジョコビッチが頑張って、ツアーでも勝てるようになってきた10歳下の錦織・ヤング、30代でもモヤが活躍しています。
 が、フェデラーと同じニューボールズ世代のサフィン・ナルバンディアン、直下世代のモンフィスは情けない状態です。
 フェデラーにも陰りが見えているような気がするので上記の3人にも復活は可能なのでしょうか?

神奈川県のナルさん

報告1095:  可能だろう。ただし、全ては本人次第だが……。
 サフィンの場合、問題と考えられる対策は様々あれど、最終的にはやる気という言葉で表すしかなくなるタイプの選手。
 最近、我々は「もし、アガシにブラッド・ギルバートがいなかったら……」という仮定に対して、彼がその答えを体現しているような選手ではないかと考え始めている。
 デビュー当初、その才能とスピードやパワーで勝っていたアガシに、勝つための戦術と哲学をもたらしたのがギルバートだったと言われ、彼の中期以降の活躍の基礎は2人のコンビで作られたという評価は間違ってはいないと思われる(もちろん、それを受容したアガシの素養というのも見逃せない要素)。晩年近くになってケイヒルが登場するが、これはアガシがよりスピードの高いテニスを構築して戦いたいという意志があったからと言われる。しかし、アガシがこうした意志を持てるようになったのも、ギルバートとのコンビ時代があったからこそではないか、という気がしないでもない。
 となった時、サフィンにはそういう存在がいなかった、とは言えまいか。一時コーチに就いたビランデルはサフィンのムラっ気をどうにかしようとしたが見事に失敗。ビランデルはサフィンをあまりに矯正しようとしたため、最後は関係がこじれてコンビ解消(どうも今も完全には和解できていない様子)に至った。その言動を追っていると、どうもビランデルという人は自分の哲学に人を当てはめたいタイプの様子。サフィンに対してもやや辛らつな言動が見られるが、彼は自分の哲学からはみ出した選手を積極的に評価しない傾向があるようで、これがサフィンとうまくいかなかった原因ではなかろうか。
 選手の長所を伸ばすタイプのルンドグレンとのコンビはうまく行っていたようだったのだが、一時的に解消している間に資金力にモノを言わせて世界中のコーチをかき集め、選手の強化に乗り出したイギリス協会に持っていかれてしまった。
 恐らくサフィンの一番の理解者であるシャミル・タルピスチェフは、ロシアの男女の代表監督でフルタイムのコーチは無理(彼自身も「本当は自分が見られれば……」と話していたことがあった)。
コーチという存在を生かすも殺すも選手次第なのは確かだが、サフィンはコーチというシステムを生かしきれていない選手に挙げられよう。それもこれも、ジュニア時代にコーチでもあった母親にスパルタ方式で鍛えられすぎて、「ちゃんとできないと自分を責めすぎるような強迫観念ができあがってしまった」という彼の生い立ちの不幸なのかもしれないが……。
 また、彼の場合、なまじい若い頃にNo.1になってしまったことが逆に作用しているような雰囲気もある。大体において、東欧圏の選手というのは試合では粘り強く戦う割に、人生に対しては淡白な傾向がある。一度頂点を極めた選手が落ちた後、再び戻るには大変なモチベーションが必要だが(過去、返り咲いた選手はアガシなど数えるほどだ)、元々、自由人で快楽主義者を自認する彼に、そういうストイックさがあるかどうか……。
 ナルバンディアンの場合、05年の最終戦でフェデラーに勝って優勝したことで、本人も相当な満足感を得てしまったのが、近年の低迷の原因だ、という話がある。当時、アルゼンチンでも英雄的な扱いを受けて凱旋帰国、その後もヒーローとして扱われたりしたため、最も悪い言い方をすれば「天狗になった」という話もある。「テニスは早く辞めて、自動車レースに転進したい」なんて話もあるほどだ。
 彼も能力的には問題がないし、サフィンと違って持病と呼べる怪我もない。本当にやる気次第だろうが、ラテン系の選手は一度の栄光で満足してしまう傾向がある。心配だ。
 モンフィスはちょこちょこと断続的に起こしている故障に伸び悩みの原因もあるが、一時フランスでの人気が盛り上がりすぎて、練習に身が入らなくなるなど、これまた「ちょっと天狗になった」という話がある。そのため、今の彼はアメリカに拠点を移し、テニスを中心の生活をしている、らしい(あくまでも本人の弁を信じれば……)。
 彼はまだ若いので、まだまだこれから色々と波もあるだろうが、フランスの若手が伸び悩む原因の多くはこの国内での期待が沸騰するから、と、すぐに天狗になるから、というのが何ともラテン的だ。
 フランスという国はスポーツを非常に大切にしている。よって、スポーツ界のヒーローの注目度は非常に高いし、その環境も抜群なのだが、反面、熱い分だけ風当たりも強くなる。モンフィスには頑張って欲しいところだ。


依頼内容1094:  今年のウィンブルドンでサファロワのプレイを見て彼女のファンになりました。レーザービームのようなストロークは素晴らしかったです。しかし怪我が多かったり、1試合や1大会の中での好不調の波が多いためか、ランキングがなかなかトップ20から上に上がらないようです。調査団の方から見て、その他に彼女が今後トップ20・トップ10に入ってくるための課題というと、どのようなところでしょうか?

岩手県のバラージさん

報告1094:  ランキングというのは、1年間の勝利の積み重ねで決まる。つまり、ある時期には凄い活躍をして連勝を重ねても、ケガで数ヵ月休む、というのを繰り返しているとなかなか上がらない。ウィリアムズ姉妹のように、出てきたら当たり前のように優勝に絡む、というほどの実力があれば別だが、彼女にはまだそこまでの力はないようだ。
 1大会、1試合での勝ち負けではなく、ランキングを上げたい、という場合大事なのは、まずはケガをしないことに尽きる。
 目一杯のプレーをして今の戦績ではなく、8割程度のエネルギーで今と同じパフォーマンスができれば、自然とケガも減る。調子の波も小さくできるようになって自然と結果もついてくるだろう。
 個々の試合でなら、どんな選手相手でも勝ち負けに持ち込む能力が彼女にはすでにある。ランキングを上げる、という命題を達成するには、その実力をいかにコンスタントに発揮できるようになるかが課題となるだろう。そしてもちろん、本人にもその自覚があるはず。今後に期待しつつ見守っていただきたい。


依頼内容1093: サフィンの出現が衝撃的だという話がありましたがフィリポーシスについてはどうですか? 彼も出てきた時はすごい衝撃があったと記憶してます。そして期待されたほどの成績を残せていないところも似ています。しかしサフィンほど才能がある、といった話を聞かないのですがなんでですかね

北海道のかめさん

報告1093:  フィリポーシスも衝撃的だったし、その評価は今も非常に高い。ランキングがどんなに下がっても、彼のニュースが伝えられ続けていること自体がそれを雄弁に物語っている。つまり、「彼が万全で戻ってきたら、まだまだやれるのではないか」という期待の裏返しだ。
 ただ、彼もすでに30歳を超え、下半身を中心に各部に抱えた慢性的な故障のこともあって、主に「この先」を語る役割を担うテニス報道の世界では、やや過去の人になりつつあるのは否めない。依頼者が「あまり聞かない」というのも仕方がないことだが、それは2人の年齢差が主な理由ではなかろうか。フィリポーシスが今もまだ20代後半ぐらいなら、その手の話もしばしばなされただろうが、テニス界というのはアガシやサンプラスのような怪物級の選手たちでさえ、30歳を過ぎた途端、ロートル扱いされる世界なのだ。
 また、サフィンと比較した場合、サフィンは20歳で全米に優勝し、No.1にもなった実績がある、というのがやはり2人の差にはなるだろう。フィリポーシスのGSにおける最高成績はウインブルドンと全米の準優勝。サフィンはNo.1の経歴と全豪と全米の2タイトルが輝いている。テニス界というところは、どんなにその他のツアーが盛り上がっていてもやはりGSが中心。優勝経験者と準優勝者の間にはやはり埋めがたい差が存在するのは仕方がない。
 フィリポーシスのデビュー時の衝撃は凄かった。なにしろサフィンと違って同じ全盛期でも末期のサンプラスではなく、全盛期真っ只中のサンプラスと戦って圧勝しただけでなく、当時としては世界最速のサービスを打ち、そしてストロークでも豪快な力があって、さらに伝統的オーストラリアンスタイル(ていねいにアプローチを打って前に詰め、ネットで勝負をかけるスタイルで、ボレーも非常にていねいに行なうスタイル)のサーブ&ボレーヤーとしての能力まであったのだ。
 健康体で出てくれば全ての選手にとって脅威。それは相変わらずだ。しかし、残念ながら年齢的な意味で評価が下がっているのは仕方がないところだろう。
 今季初頭にヒザを痛めて手術した彼は、今はアメリカでシニア・ツアーに出たりしながら調整を続けている様子。シニア・ツアーに出ているからと言ってまだまだ諦めたという話は伝わってきていない。今後に期待しつつ見守りたいと思う。


依頼内容1092: ジェームス・ブレーク選手のガットの種類とテンションを教えてください。

千葉県のコバトンさん

報告1092:  少々古い情報だが、クレーシーズンにルキシロンのアルパワーを29.1キロで使っていた、というデータはある。ただ、最近彼はラケットメーカーを変えたため、今もそうかどうかは不明だ。
 最近はガットもテンションも本当に時期によって変わる、という選手が増えているようだ。


依頼内容1089: ロジャーズマスターズでジョコビッチが優勝しました。
しかも準々決勝でロディックを、準決勝でナダルを、決勝でフェデラーを倒して優勝したのだから、これからはフェデラー、ナダル、ジョコビッチの3強時代になるんじゃないかと思いました。地味な印象があったジョコビッチですが、大会中のジョコビッチは私から見てもとても強かったです。ジョコビッチが一番変わったところを教えてください。

神奈川県のジョコビッチ大好きさん

報告1089:  何かが変わったから強くなる、という選手ももちろんいるが、大きくは変わっていなくても、成績が付いてくるという選手もいる。彼はどちらかと言えば、後者ではなかろうか、と現時点では考えている。
 彼が変わったのはまずは身体の成長と、トレーニングにより体力がつき、以前なら100でやらなければならなかったことを80程度でできるようになった結果、試合を通じて、あるいは大会を通じて安定したパフォーマンスを発揮できるようになったこと。
 次に「勝ち方」を覚えてきた、ということだろう。選手というのは勝つことで勝つ経験を重ね、自信を深めて勝ち方を覚えていく。逆に負け続けると「負け慣れ」するとも言われ、パフォーマンスが落ちたりもするという。彼の場合は今、勝ち方をどんどん覚えている最中というところだろう。少々、お調子者ムードが漂う選手のため、それがいい方に出ているときはいいが、あの手のタイプは一度の挫折でどう転ぶかが読みにくい。また、急上昇後に、急降下する傾向のある東欧人選手というのも気になる(特に女子選手にこの傾向は顕著)。彼が全ての例外足りえてくれればいいのだが……。


依頼内容1088: 祐ちゃん(杉田祐一君)のプレーに魅せられた者です。
実際にプレーを見た時のあの感動は忘れられません。
特に好きなのがやはりフォアのフォームです。
グリップはセミウエスタンぐらいかなっと思っているのですが、実際にはどの程度なのでしょう?
フォーム真似しようにも、映像ではわかり難いですし、連続写真はあまりないですし、日々困惑しています。
なので近いうちに祐ちゃん特集みたいのをやって頂きたいです!
上記とは関係ないのですが、祐ちゃんはPureStormTourを使用する予定などはあるのでしょうか?情報があればぜひ回答お願い致します。

神奈川県のヒデさん

報告1088:  杉田選手の連続写真は以前、本誌でも紹介したのたことがあるのだが……。
 フォアはセミウエスタン前後を多用しているようだ。
 ラケットの使用予定は……、バボラ・ジャパンから何かあれば発表されるだろう。
 杉田選手は日本男子の希望の星の一人。頑張っていただきたい、と我々も祈っている。


依頼内容1087: ヒューイットやアンチッチ、サフィンの大ファンなのですが、彼らはレザーグリップを使用しているんですか?
それとも、市販の物のように、やわらかいグリップを使用しているんですか?

東京都のアンチッチのファンです!さん

報告1087:  以前はラケットを変えてもレザー愛用者はレザーを愛用していたのだが、最近はガットの影響かレザー使用者が減ってきている。実は時期によって変わってしまう選手も増えており、一概には言えなくなってきた。


依頼内容1085:  ナルをyou tubeで探しているとサフィンを見つけた。威力、安定感、コントロールに優れた両手バックを打つ上にイケメンでラケットを叩きつける。
 一目惚れである。が、テニス観戦を始めて2年弱の俄かファンではサフィンの雄姿を名まで見ていない。you tubeでは満足できないのだが過去のサフィンの試合を持ってる知り合いもいない。
 そこでサフィンが絶頂の試合とその映像の入手法を教えてください。

神奈川県のナルさん

報告1085:  合法的に、という意味だとyou tubeで上げられているテレビの録画映像らしきものもグレーなので、ここでお勧めはしにくい。
 方法としては2つ。00年頃の全仏や全米のハイライトなどのビデオかDVDを購入するのが一つ。もう一つはCSやWOWOWなどを小まめにチェックすることだろう。CS放送では案外昔の試合を再放送しているケースも少なくないし、熱心にリクエストすれば、局側も考慮してくれる可能性もある。
 ただし、今の目のみで当時のプレーを見ても、もしかすると「なんだよ、今のフェデラーの方が強いじゃん」というのは、後だしジャンケンと同じだと心得、冷静な見方が必要だ。当時の情勢に対する理解と、この20歳の若者がそのまま成長していたら……、という想像による補正が必要になる。
 実際、当時のサフィンは「こいつに勝てる奴なんてしばらくは出てこないだろうなあ……」と言われていたぐらい衝撃的だったのだ。何しろアガシのリターンを弾き飛ばすほどサービスは強い、サンプラスのサービスからエースを量産するほどリターンも凄い、誰と打ち合おうがウイナーを取れるほどストロークも強い……。今のジョコビッチとナダルを足して2で割らないぐらいの選手だったわけで、彼に対する評価が今も高いのは、「あれが再現さえできれば……」と専門家たちでさえ思ってしまうほどのインパクトが当時の彼にはあったからだ。
 これらを過大評価と断じることに対して、その心情は理解するがにわかには承服しがたい、というのが我々の立場になる。客観的に見て、彼の能力は今も高い。フェデラーを相手にした時、五分以上と見積もれる数少ない選手の一人は今もサフィンであって、しかもそれはサーフェスを問わない。そんな選手が今のツアーで他にいるか、と考えた時、続く名前を挙げにくいのは恐らく、多くの方が認めざるをえない部分ではなかろうかと思う。


依頼内容1077:  僕はヒンギスの大ファンなのですが、全米オープンで快進撃を続けているチャクベターゼは、よくヒンギスにプレイスタイルが似てると言われていますよね。僕はあまり彼女のプレイを見たことがないのですが、調査団の方から見ても実際に似てるのでしょうか? 顔立ちも可愛らしいので、もっと活躍すれば(既に十分活躍しますが)人気者になれると思うのですが……。

岩手県のバラージさん

報告1077:  似ているといえば似ているとも思えるし、全く似てないとも思うわけで……。チャクベターゼもまた圧倒的なパワーで相手を蹂躙するわけではなく、ヒンギスと同じくボールの配球で勝負するタイプで、緩急の付け方がうまく、相手の動きの逆を突くことに長けている。それは確かに似ている。
 しかし、チャクベターゼはまだヒンギスのような意外性のある組み立てや閃き、そしてその自然さというのはあまり感じさせてくれてはいない。大体、ヒンギスという人は、テニス史の中でも例外的な天才に分類されるべき選手で、試合中にヘラヘラしていた(?)時代が全盛期、というのは彼女が最初で最後だろう(と思いたい)。彼女はゲームの天才で、同時に全てのショットを打つ技術を併せ持ち、それを使いこなしてGSに5回も勝ったし、97年には年間三冠、一つ逃した全仏も準優勝と、この数年のフェデラー並の強さを見せ付けた。強いときの彼女は本当に「遊び半分でプレーしている」ように見える。どうすればポイントができるかが最初からわかっているようにプレーを組み立て、相手が打ってくるところが予めわかっているように動く。恐らくは子ども時代から磨き上げた感覚で動いているのだろうが、彼女と同じようにタイプの選手で、しかもGSで優勝したり、No.1に長く留まるという選手はそうホイホイとは出てこないだろう。
 実は名前がユニークに思えたこともあって、本誌ではチャクベターゼが出始めの頃からリサーチを続けていたが、最初の頃は試合中に相手に負けそうになると泣きべそをかきだしたり(これは今もあまり変わらない……)、かんしゃくを起こしたりと、それはもう向こうっ気の強い選手だった。しかし、最近少しは落ち着いてきたみたいだなあ、と思ったら勝ち始めたというイメージが強い。この成長の歴史を思い出すと、むしろミスキナに似ているとも言えよう。緩急とコースの出し入れで勝負するというのもミスキナに似ているし……(ミスキナは泣くよりもいつも怒り出して、ラケットを投げたり、叫んだりしていたが……)。
 我々の印象で申し上げると、チャクベターゼの場合は懐の深さでコースを隠すことで相手の動きをある程度制約させておいて、その上でボールを配球するコースを変えられる能力の高さで勝っている、となる。最近では随分と全体にレベルが向上してきたものの、女子の世界ではまだまだ前後左右に振られると不安定になる選手が多い。ましてや逆を突かれれば、ひとたまりもないという選手がほとんどだ。今の女子ではエナンだけはほぼ男子と同じ動きのテニスができているが(我々が考えるエナンの強さはコレが核になる)、他の選手の許容範囲は小さい。彼女やミスキナはここを突くのが抜群にうまく、ヒンギスはそれを作り出す能力に長けているのだ(ただし、ヒンギスが負けてしまう時は、それをやる前に叩きこまれてしまっていることが多い)
 かわいらしいかどうかは個人の主観なので、絶対的な評価は難しいが、活躍すればその活躍に応じて人気も出てくるだろう。2007年の全米ではカメラマンたちにも人気だった様子。こういう選手だとカメラマンたちも「かわいく撮ってやろう」という気になるらしく、撮影に気持ちが入るらしい。
 今後も注目していただけると幸いだ。


依頼内容1074: いきなりですが、男子で在2位の連続記録はあるのでしょうか?
記憶が正しければナダルは全仏初優勝の05年から2位を記録している(何週になるのでしょうか?)と思うのですが・・・
昨日のロジャーズ・マスターズではナダルもフェデラーもジョコビッチに敗れてしまったのは残念でしたね。もっとも、ジョコビッチの急成長は誰もが認めるところですから納得はしていますが、やはりナダルに勝ってほしかった・・・!
今年のウィンブルドンではナダルがフェデラーを追い詰めましたが、しばらくは(故障などがない限り)フェデラーの1位を脅かす可能性が一番高いのはナダルだと思っていいのでしょうか?何かジョコビッチあたりが・・・
また、この2、3年でナダルがフェデラーを破って1位になる可能性はあると思いますか?あるならばその必須条件とはなんだと思いますか?

愛媛県のrafaさん

報告1074:  ナダルの2位の連続記録は史上最長を更新中だ。つくづくツイてない。2位に長くいた選手で知られるのは近年だとチャンやイバニセビッチ。共にサンプラスが1位だった時代の2位だが、フェデラーはサンプラスよりずっと長く連続で1位に君臨し続けているため中々抜けないでいる。5000ポイント以上も持っているのに2位というのは、もう不幸としか言いようがない。
 ナダルがフェデラーを抜いて1位になるためにはいくつかのことが同時に起きないと難しいが、そう困難でもない。
 一つはフェデラーが秋のハードコートで不調が続き、全豪も早くに負けてしまうか、ナダル自身がフェデラーを倒して彼が取ったポイントを上回って大会を終えること。
 ナダルはクレーコートでのポイントを死守し、常にフェデラーより上位で大会を終え続ければ、恐らく半年ほどで逆転は可能だ。
 問題はナダルがフェデラーより常に上位で大会を終えるには、優勝し続けなければならない、ということ。1位と2位である以上、揃って出た大会で当たるのは決勝のみ。フェデラーが勝ち続ける限り、ナダルは負けてはならないし、決勝でフェデラーと当たったら1/2以上の率で彼をやっつけていかないと、ポイントで上回れない。
 また、フェデラーは、故障さえ起こさなければサーフェスを問わず好成績を期待できる選手あるのに対し、ナダルはハードコート、中でも北米のハードコートでの成績が安定しない。これはサーフェスではなく、北米で使用されているボールに関しての違和感を彼は理由として長く話しているだけに、克服は難しかろう。また、クレーであまりにも勝ちすぎている分だけ、一つも落とせないというプレッシャーもなくはない。それに、フェデラーは全仏ではナダルに勝ったことがないが、他の大会でもコンスタントに決勝に出ていて、サンプラスのように「クレーは計算できない」という選手ではないのも痛い。
 ナダルにとって、もう一つの道は、フェデラーに自分以外の天敵(たち)が現われて、自分とフェデラーが当たる前にその選手(たち)がフェデラーをやっつけてくれて、その選手たち相手には自分が勝てるという状態を作ることだ。これを半年ほど繰り返せれば、ランキングでは逆転できる。
 まずは今のペースを落とさないこと。フェデラーと当たったら、2回に1度以上は勝つこと。これが最低限の条件になる。


依頼内容1073: 僕は現在のテニス界で最も爆発したときの怖いのはナルバンディアンとサフィンだと思っています。でもこの二人のプレーは安定しません。その理由として、相手からのつなぎ球を厚い当たりで打ち込む能力が欠けてるからだと思います。特にフォアです。カウンターはすごい威力だし安定してるのに構える時間があると逆にかすれ当たりになったり、いい当たりでもアウトだったりすることが多いと思います。フェデラーはスピンで打ち込めるし、サンプラスもミスは少しありますがものすごい威力です。このあたりが真のトップになりきれない原因だと思うのですがどうでしょうか。

北海道のおっ、さん

報告1073:  この2人の「厚いあたりで打ち込む能力」についてこうしたご意見がくるとは正直予想外だ。男子ツアーにおいて、この2人ほどそれが強く、自分の武器にしている選手もそう多くはないと思うのだが……。
 いや、依頼者がおっしゃる理由もわからないではない。この2人の場合、確かにご指摘のようなミスもよくやらかしている。サフィンの場合はつなぎ球を下手につなぎ返して次のチャンスにつなげようとしてミスったり、強く打ちすぎてアウトしたりしている(そんなギリギリを狙わんでも……、という場面が多い)。ナルバンディアンの場合はそもそも無理目に打っていってのミスが多いが、重くなった分、足が付いて行っていないから、というのは見た目の印象に引きずられすぎだろうか……。
 しかし、彼らがトップになりきれないのは、そうした技術的な要因が全てではないと考えていただきたい。どうにもテニスが多少できるという方ほど、そういう瑣末な技術論と選手の強さを並行に考えてしまいがちだ。特にどういうわけだか日本ではそれができたり、わかる方が偉い的なムードがあるのだが、実際にはそれがポイントの勝敗に多少の影響はあったとしても、試合の勝敗や年間を通じた実績には大きな影響は出ないと考えた方がいい。
 確かに一つか二つの試合の敗因を分析するとしたら、そうした見方でもいいが、No.1になる、ならないというのは年間を通した積み重ねの問題。そうなると選手の人間性やテニスに対するストイックさ、フィジカルの充実具合や調整の巧拙、というのが大きくなる。トップクラスの選手たちには正直、目に見えて指摘できるほどの差は存在しない。調子が悪ければサンプラスだろうがフェデラーだろうが、ボランドリやカラトラバといった通しか知らないような選手にやられたりするのがトップクラスがやっているテニス。フォアがどうした、というのはその部品に過ぎない、という視点が必要だ。
 ご指摘のプレーで本当にミスが多いなら、誰よりも早く本人が気付くし、それに対する対策も取るのが今のテニス界だが、それが改善されないのだとすれば、今度は選手に「勝つ気があるのか?」というのを問題にしなければならない。もしそうなのだとすれば、それはつまり、自己分析もせずただコートに何度も出てきているだけになっていると判断されるからだ。
 で、最近のこの2人は確かに「何にも考えてない」ように見える。サフィンはやっとコーチにヘルマン・グミーをつけてやる気を出してきたようだが、前のボルコフは基本的にデ杯コーチがパートタイムでサフィンを見るという形式で、コーチと選手というより、友達感覚に近い様子があった。ナルバンディアンは……。まずあのお腹をどうにかしないと……。
 それにしても、あの2人がフラットの強さを疑問視される時がくるとは……。これは彼らも真剣に悩まなければならないのかもしれない。


依頼内容1071: 今年、ヒューイットは6月のクイーンズでヘンマン、8月のロジャース・カップでナダルとダブルスを組んでいます。ヘンマンとは普段から仲がいいらしいので不思議ではないのですが、何故にナダルと?
このペアに限らず、時々(何でこの二人が組むことになったんだろう)と不思議に思うことがあります。ダブルス専門の選手ではない場合、即席のパートナーはどうやって決めているのでしょうか。特にヒューイットとナダルのように、あまり接点が無さそうな選手同士って気になります。もしかして大会主催側がセッティングしたりするんでしょうか。

愛媛県のラスティさん

報告1071:  いわゆるダブルススペシャリストたちの場合、シングルスにはあまり出ないため、シングルスのランキングが極端に低かったり、時にはない、ということまである。よって、スペシャリストたちのコンビの結成と解散は大会の出場やスケジューリングのために死活問題なので、そのペアリングは大抵シーズンオフの間か、シーズン開始当初までに決まってしまう。
 ATPでは現在、シングルスのランキングを使って、ダブルスにエントリーもできるようになっている。だから滅多にダブルスに出ていないフェデラーやナダルでも、シングルスのランキングさえ高くしておけば、出たいと思えばいつでも出られる。しかし、ダブルスのスペシャリストたちはたいてい年頭にはそのシーズンのパートナーを決めているもので、組む相手もダブルス巧者はなかなか空きがない。シングルスプレーヤーがダブルスに出るときには、やはりシングルスプレーヤー同士になりやすいのは、そんな理由もある。
 で、どうやって即席コンビが組まれるかというと、色々なケースがあるらしい。まずは本人同士が「いつかダブルスを組もう」と約束して出場するケース。お次はデ杯の代表戦などが近くにあり、その練習のために出るケースで、これは当然デ杯で組む可能性がある同じ国の選手と組んで出る。もう一つはサーフェス・シーズンの変わり目などで少しでもそのサーフェスに慣れるためにパートナーを探して出場するケースだ(特に芝の大会やクレーの最初の頃の大会で目立つ)。
 多くの場合、コーチ同士が知り合いで、話をつけてくることが多いようだが(一見意外な組み合わせでも、コーチ同士を見ると納得する、というケースも少なくない)、ヒューイットとナダルの場合は、ウインブルドンのロッカールームで約束したらしい(今年は雨が多かったため、ナダルはたくさんの選手たちと話をしたりして友情が生まれたりしたらしい。ウインブルドンのロッカールームはシード選手用と、その他選手用は別なので、ラファにはシード選手たちの知り合いが増えたことだろう)。
 シングルス・プレーヤーたちがダブルスのパートナーを探す時はまず、コーチが探す、本人が誰かに声をかける、知り合いがいない出始めの選手だと、ロッカールームに張り紙を出して募集する、なんてこともあるようだ。他にもデ杯代表チームとして、などのケースもある。
 また、マネージメント会社が同じだったりすると、マネージャーがアレンジメントすることもあるし、大会サイドからの要請とアレンジでペアリングすることも珍しくはない。テニスはスポーツの競技会であると同時にプロの興行である、という側面がある。観客受けしそうな企画を大会やWTA、ATPも考えては選手に協力を求める。選手もプロなので、同意に至れば当然協力する。とまあ、そういう具合なのだ。


依頼内容1070: 初めての投稿です。
最近全仏Jr単ベスト8、複優勝、ルキシロンカップ優勝などすごい活躍をしている錦織選手ですが、どのような選手なのですか?情報が少なすぎて分かりません。教えてください。
また、ストリングは(平均でいいので)どれくらいで張っているのですか?
最後に腕につけているあの時計はエナンのようにスポンサーのものなのですか?お願いします。

愛知県の愛知のクレーコターさん

報告1070:  本サイトのブログのコーナーに近況(2007年夏時)が報告されているので、そちらも参考にしていただけると幸いだ。また、2005年5〜6月頃のアーカイブには、彼が全仏ジュニアで活躍した当時の簡単なレポートが出ている。
 錦織選手に関して、本誌ではかなり早い段階から紹介していたメディアになる。ジュニア時代の彼の連続写真の解説を紹介したこともある。バックナンバーはすでに売り切れているが、2002〜03年頃の本誌をお持ちであれば、探してみて欲しい。
 どんな選手か、というと、2007年夏時点ではアグレッシブベースライナー系のオールラウンダーという分類になるのだろうか。サービスがまだやや弱いが、ダビデンコのようなスタイルと想像していただけると近いかもしれない。
 テンションに関しては残念ながら今の時点ではわからない。
 不思議に思われるかもしれないが、ラケットのテンションに関して選手に聞く、というのは実は世界的に非常に珍しい質問になる(場合によっては大会から「つまらない質問で貴重な時間を使うな」と後で叱られかねないぐらいの質問……)。というのは、一般的に「そんなことを知ってどうする?」というのが世界的には当たり前のこととして受け止められているし、実は選手が正確には把握していない、というケースまであったりするからだ。それに、最近では大会の条件によって調整するというのが一般化しつつあり(少なくともツアーレベルの選手の場合は大会に行った先にはちゃんとしたストリンガーさんも、メーカーもサポートに来ていることが多いため、常に最適な状況を作りやすい。逆にマイナー大会に出ている下位選手だと、大会に信頼できるストリンガーさんがいるとは限らないし、ストリングの種類も選べないことが多いため、ある程度一定にしているという選手が多くなる。正直、別世界なのだ)、錦織選手もその陣営はIMGアカデミーのメンバーが固めているため、かなりちゃんと調整しているだろうと思われる。次に取材できる機会があれば、その時に改めて聞いてみたい。
 我々の知る限り、彼は少しのんびりとした話し方をする、少しシャイな普通の日本人の男の子だ。しかし、コートの中では非常に俊敏に動き、チャンスでも慌てず、ポイントが決まりきるまでは油断するという素振りを見せない。コートの上では俗に「えげつない」と言われる表現が妥当なほどの強さを見せられる選手だ。また、相応の負けん気の強さも持ち合わせているように思えるし、相手に多少揺さぶられても動じない心身のタフさもある。別に彼が日本人選手でなかったとしても、我々は彼を「いい選手だなあ」と評価しただろう、というレベルなのは間違いない。
 故障を起こさず、順調に成長し、あと少しだけサービスが良くなれば……。彼には夢を見てもいいのでは? と期待させてくれる選手だと調査団でも考えている。


依頼内容1067: 僕はヨアキム・ヨハンソンのファンです。最近試合に出ていないので気になります。詳しく教えてください。

愛知県のラッシャーさん

報告1067:  彼は今季の初めに一度戦線に復帰したのだが(ヒジの故障と手術のため、長く戦線を離れていた)、2月に再び肩を痛めて手術し、現在は療養中だ。
 まだ若いとは言え、短期間にヒジと肩を手術というのは辛かろう。元気な姿で戻ってきてくれることを今は祈るより他はない。


依頼内容1065: 現時点でリターンが上手な選手は誰だと思いますか?
アガシは引退してしまいましたが、今はフェデラー ヒューイット ナダル バグダティス マレーなどがあてはまると思います。

神奈川県のマレー大好きさん

報告1065:  リターンのうまい下手に関して、ATPでは便利な記録を出してくれている。リターンでのポイント獲得率(1st時と2nd時)、リターンゲームでの勝率がそれだ。2007年7月30日集計のそれで見ると、相手の1stサービス時に最もポイント獲得率が高いのは、36%のナダルで、以下、フェレール、フェデラー、ダビデンコ、ボランドリ、チェラ、モナコ、カナスと続いていく。
 これが相手の2ndサービス時になると、1位は59%でフェレール。続いてナダル、ナルバンディアン、ロブレド、モナコ、ニエミネン、マリー、ジョコビッチ……となっていく。
 また、リターンゲームでの勝率部門では、1位は40%のフェレール、以下、ナダル、ボランドリ、モナコ、マリー、ジョコビッチ、ロブレド、カナスと続く。
 うーん、ダビド・フェレール、恐るべし。しかも、彼はただのクレーコーターではなく、実はハードコートでもコンスタントに上位に進出する実力者。実際、スペイン勢の中でのハードコートでの強さで言えば、ナダルを除けば、今や一番手に挙げてもおかしくはない選手だし。
 しかし、この記録、実はクレーコーターにどうしても有利に出る。クレーではリターン率自体が高くなる。また、リスクを取ったリターンよりも、深く、堅実に返すリターンでラリーの主導権を握れる選手たちの数字が高くなる傾向があるからだ。
 こうした記録ではなく、リターンに凄みを感じる選手は誰か、と言えば、まずはフェデラーであり、続いてゴンザレス、サフィン、あとはバグダティスのリターンも凄い。彼らはリターンでもしばしばエースを狙ってくるタイプなのだが、特に相手の2ndサービスの時、威嚇の目的(としか思えない)で、思い切って打球位置を上げて、ライジングで狙ってくることがある(ゴンザレスは、コートの外に出る勢いでフォアに回り込む)。「来るぞ来るぞ」と思って見ていると、ドーン! と行く、往年のアガシがよく見せてくれていたあのドキドキ感を感じさせてくれるのはこの辺りの選手たちになると思う。あとは意外にサーブ&ボレーヤーの選手たちは、かなり前でほとんどボレーの要領でリターンをして前に詰めていくことが多い。ボールに勢いがあるわけではないが、これはこれで迫力のある姿だと思う。


依頼内容1062: ロディックはまだナダルみたいに新しいラケットにかえる予定はないのでしょうか?
すみませんが調査してください

大阪府のバボラットさん

報告1062:  今は2007年のウインブルドンが終わったばかり、という時点なのだが、彼は最近ラケットを変えたばかりだ。
 恐らく、そうホイホイ変えないのではなかろうか……。


依頼内容1060: 私はなんでサフィンがあんなに持ち上げられるか分かりません。メンタルが良ければ世界一、というのを何度も目にしてきましたが、ただ単に彼のテニスの種類が当たり外れの激しいものに私には見えます。また好調だったといわれる05全豪フェデラー戦でも先にマッチポイントを握られています。確かにとてもすばらしい選手だと思いますが、いろんな記者がサフィンの才能やテクニックについて褒めまくる現状は少しおかしく思えてしまいます。いい時と悪い時の中間を見ていない気がします。スマッシュさんもやはりサフィンのポテンシャルは世界一と考えますか?

神奈川県のたけさん

報告1060:  調査団は全員サフィニスタ(笑)なので、依頼者のご意向には沿いにくいかもしれない。
 いや、それは冗談だが、全米でサンプラスを倒してGSに優勝し、世界ナンバー1になった00年頃のサフィンというのは、本当に非の打ち所のない、それこそラケットを折ったりするぐらいが唯一の欠点という選手だったし、基本的には今もそれは変わらない。「当たれば凄い」というのは、日本の記者どころか、世界中のテニス界の誰もが認めるところでもある。フェデラーでさえ彼の名を警戒選手のリストから外したことはないだろうし、このウインブルドンでの対戦の後も「お互いにナンバー1でいること、そしていつでも戻れる力がある理由を見せられたんじゃないか」とさえ話している。フェデラーはこの種のことで、過剰なリップサービスはあまりしない人物なだけに、ある程度以上は証言として信用してもいいだろう。
 また、依頼者は「いい時と悪いときの中間を見ていない」とおっしゃるが、実はまさにその通りなのだ。その中間があればサフィンはあんなに成績が不安定な選手ではない。まさにおっしゃる通り、彼は、いい時と悪い時しかない選手なのだ。
 テクニックに関して、依頼者はどの部分がご不満なのだろう。サービスはフラット、スライス、スピン、全てのショットにおいて一流であり、フォアとバックのストロークの威力、自在性もライジングの能力も、当たってさえいればぴか一(ショートバウンドで打つという表現が適当なほど壮絶なライジングの打ち合いをし、そして打ち勝った04年全豪のアガシ戦は今も語り草だ)。リターンも抜群にうまい。ボレーだけは純正のボレーヤーのように流れるように、とはいかないものの、決して下手ではないし、彼はダブルスをやらせてもそこそこ以上に強い選手でもある。正直に言って、彼のテクニックにケチをつける方が難しいぐらいだ。
 基本的な要素としてのポテンシャルは高いし、それが持続すれば強い。これは間違いない。00年シーズン、彼は全米を含めて年間で7勝を挙げた。しかし、全米で勝った後に深刻なスランプに陥った。それはヒザや手首の故障などもあったが、決勝でサンプラスをあまりにも完璧なテニスで破ってしまったからだ、と言われているし、後に本人も同じ意味のことを話したことがある。自分があの時にやったプレーが完璧すぎたため、その反動を長い間引きずっているのだという。  当時のサンプラスはまだ全盛期と言えた時期。デビュー当初に一度エドバーグに負けて以来、GS決勝では一度も負けたことのなかったサンプラスが、初めてGS決勝で負けた相手が実はサフィンだったのだ。その意味で、サンプラス時代に幕を引き、王座を継いだのはサフィンだ、という見方もある。
 今で言うと、今年の全米の決勝でジョコビッチやベルディフ、あるいはモンフィスが、フェデラーを完璧なテニスでストレートで下した、というイメージかもしれない。いや、当時の衝撃はそれ以上に大きかったが……。
 なにしろ、あの時は誰もが「この後はしばらくサフィン時代になる」と感じたものだった。次の全米でフェデラーをモンフィスが倒し ても、「これでモンフィス時代に」とは恐らくあまり思わなれないだ ろうから、サフィンの衝撃の大きさは激しいものだったと理解して欲 しい。
 世界一かどうかは勝敗が決める。だから今のところフェデラーが一番でいいと思う。ただ、勝敗に現れない部分で、テニスにもし段位のようなものがあるとすれば、サフィンはフェデラーやサンプラスたちと同じ段位でいいだろうと思う(いや、メンタルが落ち着かない分だけ、一段低いかもしれないが(笑))。
 依頼者が例に挙げた05年全豪の準決勝も思い出深い。実は調査団はフェデラーが近年で最も強い状態だったのは、あの全豪だと考えている。コート上での動きの素早さと鋭さ、球際の反応、身体スピードなど、フェデラーが他者とは比較にならならないほど高いレベルにいたのがこの全豪だった。当然、優勝してしかるべき選手だったし、テニス史上、この時のフェデラーほど強かったと感じさせる選手はほとんどいないのではなかろうかとさえ思う。
 しかし、この時のフェデラーはまだ今より少しだけ精神的に幼かったのかもしれない。自分が最初に握ったマッチポイントで、彼はなんと股抜きショットを見せて、マッチポイントを取り損ねているからだ。
 もちろん、サフィンが上げたロブに対して、他に選択肢がなかった、という見方もできる。しかし、今のフェデラーなら絶対にマッチポイントで股抜きは選択しないだろう。
 サフィンにはこれで火が点いた。その後は火力でフェデラーを押し切って、結局逆転で勝ってしまったのだ。この時のフェデラーは強すぎた。そのため、相手と自分の力をやや見誤ったのかもしれない。一度握ったマッチポイントを取りきれず、逆転される可能性について、当時の彼には想像できなかったのだろうし、何をやっても勝ちきる自信もあったのだろう。
 サフィンの集中力を上げさせてしまったら、あの時のフェデラーでも勝てなかった。先にマッチポイントを握ったのは事実だが、結果としてフェデラーは勝てなかった。依頼者が出してきた例はむしろ、「本気になったサフィンは強い」という例証になるとは思われないだろうか。
 また、彼がやろうとしているテニスに関して、もう少し深い目で見てみていただきたいとも思う。彼はフェデラーやナダルとも全く違う、超攻撃的なテニスで試合に勝とうとしている選手だ。普通ならありえない状況からウイナーを狙ってみたり、ダブルファーストで本気でエースを狙いに行くこともある。一度下がって作り直せばいいものを、ジャックナイフで叩き返そうとしたりする……。
「アホか」。
 この一言で片付けてもいい。ショットセレクションが間違っている、という見方も間違っていないと思う。実際、彼は自分で無理をして犯したミスが原因で自ら崩れ、負けなくてもいい試合でしょっちゅう負けては落ち込んでいる。
 だが、プロというのはただ勝てばいいわけではないというのを誰よりも体現しているのも彼なのだ。「カッコよく勝って、観客を喜ばす(みんなを興奮させる)」のが本当のプロ。派手なプレーを嫌う向きもいるだろうが、そういう選手ばかりではやはりつまらない。勝てばいい、だけで済むのはアマチュアの考え方。サフィンは自分たちのテニスをはっきりと「エンターテインメント(見世物)だ」と言い切れる数少ないプロ選手の一人だ。それができない選手はともかく、その能力のある選手が、それをせずに勝負にだけ集中するのは「小さい」とでも彼は感じているのではなかろうか、というぐらい、そのショットセレクションはリスクを取ることが基本になっている(もろちん、意識的にやる部分と、単に性格上の問題という部分の割合は恐らく2:8ぐらいだろうが……)。しかし、そういう彼のスタイルこそが、負け続けても多くのファンが彼を見捨てない要因でもあろう。
 実際、フランスを中心にヨーロッパでのサフィンの人気は絶大だ。どんなに負けても無視できない存在が彼であり、いつか爆発したら、きっと凄いテニスを見せてくれるのではないか、という期待感が彼の試合にはある(ま、最近は期待感だけで終わることが多いのだが……)。
 そんな彼が一度だけ、最初から最後まで勝負に徹し(逆に言うと、この時のサフィンのプレー自体は、その後と比べると実に「つまらない」プレーだったとも言える)、集中し切って試合を終えたのが、完璧なプレーでサンプラスに勝った00年全米だった。彼はその瞬間から、次の自分のテニスを模索し始めた、と考えると全てにつじつまが合ってしまう。何でもできて、全ての能力が高い。だからこそ苦しむ。そんな選手がサフィンという完璧だがアンバランスな選手なのだ。
 なにしろ今、現役の選手でGSタイトルを複数個以上持っているのは、フェデラーとナダル、クエルテンとヒューイット、そしてサフィンの5人だけ。サフィンを甘く見てもらっては困る。
 これから何年かしたら彼らも引退し、シニアツアーなどにフェデラーが出るようになった頃、フェデラーはシニアでもその強さで皆の歓心を集めるだろうが、今のバーラミのように、場内を笑わせ、コートの主役を張れるのはフェデラーではなく、サフィンだろう。それだけは恐らく間違いがないのではなかろうか。


依頼内容1059: ダビデンコはガットをテンションどれくらいで
張っているのか分かりますか??

兵庫県のがりさん

報告1059:  他に同様の依頼が4回ほど来ているので、がりさんを代表ということで報告する。彼は「不明」ということになっている。この不明というのは、毎回のように変えたり、あるいはコートに複数のテンションのラケットを持ち込んだりする選手たちに多い。実はサフィンもそう。ロシア人選手たちの傾向なのだろうか……。
 ガットはルキシロンのオリジナルとポリスターのエナジーというのが06年全仏時の組み合わせだったが、今は違うかもしれない。
 最近はガットが非常にたくさん出て来ていて、選手たちもかなりの頻度で変えたりテストしたりしているようだ。
 しかし、この不明、という選手たちの場合、低いときはポンドで40台から、高い時で60台後半まで上げるというケースがありうるらしい。


依頼内容1058: ラファエル・ナダルを応援しているテニス歴1年3ヶ月のものです。テニス中継を見ていて疑問に感じたことが3点ほどあるので、教えていただきたいと思います。
1点目はナダルが試合後の表彰式で、必ずバッグから腕時計を取り出し、身につけています。あの時計はどこのブランドのものなのでしょうか?
2点目はナダルはどういった企業とスポンサー契約を結んでいるのでしょうか?
3点目は、ナダル以外にも表彰式で腕時計をする選手がいます(フェデラーもしますよね?)が、試合中から時計をしている選手もいます。それらはどういった理由なんでしょうか?
以上の3点について教えていただければ幸いです。

奈良県のナダルおめでとうさん

報告1058:  順に報告していこう。腕時計に関しては恐らくTIME FORCEブランドの腕時計だと思われる。同社には「NADAL COLEECTION」というシリーズがあり、全仏の表彰式ではめていたのは、NADAL SENIORという名前の時計に形がよく似ている。調べてみるとお値段は向こうの価格で155ユーロとあり、日本円だと約25,900円ぐらいになる。Gショックのちょっと高いシリーズぐらいの腕時計と想像するといいだろう。日本にもディストリビューターが存在するので、時計の専門店などでの扱いはあるのではなかろうか。
 2番目に関して。まずはナイキ。ウェアとシューズに関してはナイキだ。そしてラケットはバボラ。ここまでは誰でも見ればわかるところ。あとは韓国の自動車メーカーであり、全豪のメインスポンサーでもあるキア・モータース、スペインのお菓子メーカーのCola Cao、ヨーロッパの企業グループであるFellori、IT系のNET POINTとなっているようだ。
 あとはスポット的に様々な広告契約もあると思われるが(TIME FORCEのように)、現時点では以上となる。
 3番目は、もう個別の理由だろう。契約条項の中に入っている可能性もあるが……。一般プレーヤーと違って試合中にコートの使用時間を気にしなければならない立場でもないし……。


依頼内容1056: こんにちわ、このサイトを全てではないですが楽しくよまさせていただきました。
今回調査していただきたいのは、
エナン、シャラポワ、トミー・ハース、サフィン、カルロス・モヤのフォアハンドストロークの時のグリップの握り方(その時の状況によってフォアハンドでも握り方がかわるのであればトップスピンの時の握り方)をしりたいのでお願いします。

埼玉県のトミーーー!!!さん

報告1056:  エナンとモヤはかなり厚めで、セミウエスタンからウエスタン。ハースとサフィンはやや薄めでセミウエスタンからイースタン前後が多い。
 ちなみに、エナン以外はみんな185cmを超える背が高い選手たち。背の高い選手はやや薄くなる傾向がある。これは背が高い分だけあまり高い打点で打たされることが少ないからだろう。逆に上背のない選手の場合、高い打点を叩く機会が増えるため、厚くなる傾向がある。


依頼内容1055: フェデラーのフォア・バック(トップスピン・スライス)のグリップを教えてください。ボレー・サーブはオーソドックスなコンチネンタルだと思うのですが・・・。 特にシングルバックのグリップをどうするか考えているので、参考にしたいです。

また、フェデラーのように脱力しつつも力強いボールを打つポイントはどこにあるんでしょうか?同じ男子プロテニス内を見てもフェデラーのように非常に脱力しているプレーヤーは中々いませんが・・・。

愛媛県のrogerさん

報告1055:  フォアはセミウエスタン付近のやや厚めから、イースタン付近のやや薄目までを打点や球種によって使っているようだ。
 バックはトップスピン系はやや厚め、スライスはほぼコンチネンタルに近い薄いグリップだ。
 このコーナーで何度もお話してきたが、プロや上級者と呼ばれる人は、自分の姿勢や打点、打ちたい球種などで面の方向をほとんど無意識の内に調整して打っている。プロに「あなたのグリップは何ですか?」と聞いたとしても、きょとんとされることが多いだろう。打点が近めの選手なら薄くなることが多く、逆に前に取る人なら厚くなる傾向がある。確実に言えるのはその程度なのだ。
 アマチュアの場合は、ある程度グリップを意識させることで、技術習得を容易にしようという目的があるため、なんとかグリップで、打点はこの当たりで打ちましょう、と教わるが、プロになるとその辺のことは物心付く前には卒業している人がほとんど。彼らにとって問題なのは「どんなボールを打ちたいか」。課題の質が違うのだ。
 フェデラーのような脱力か……。あれはもう天性の感覚に近い部分になる。できればみんなああやって打ちたいのだが、打点に向かって無駄な力を一切使わない、というのは容易なことではない。どうしてもラケットとボールを「当てる」、「ちゃんと当ててコントロールする」ということに神経を使ってしまうのだ。
 フェデラーは恐らく、当てること、コントロールすることに関してはほとんど何の神経も使っていまい。むしろ、どのコースにどういう軌道で、どういうスピードのボールを打つかだけを考えているはずだ。
 ちなみに脱力と言っても、本当に力が入っていないわけではない。他の選手と同じかそれ以上にスイング・パワーはあるはず。脱力して見えるのは、必要な時に、必要な部分にだけ力が入って順に脱力して行っているためで、本当に力が入っていないわけではないので注意して欲しい。
 野球の投手でも、ひょい、という感じで凄いスピードボールを投げる投手もいれば、目一杯身体を使っているように見えるのに、大したスピードが出ない投手がいる。感覚的にはあれと同じだと考えていただいてよいと思う。
 ボールを打たなくていい、素振りなら恐らく、多くの方が再現可能だろう。
 しかし、ボールを打つ、という条件になった時、あそこまで無駄な力を入れずにスイングするのは難しくなるはずだ。空振りしても気にしない、というなら別だが……。


依頼内容1054: 先日、ハンブルクがありましたが遂にナダルの連勝がストップしました。
やはりナダルの連勝を止めるならフェデラーだろうとは誰もが思うところだったかもしれませんが、ハンブルクでの敗因を含めて今後ナダルがクレー、そして他のサーフェスでフェデラーを倒すにはどのような事が必要になると思いますか?また、今後ナダルのクレーでの試合はどうなっていくと思いますか?(今後も圧倒的orフェデラーなどが対抗してくる?など。全仏の展開など)そしてナダルのさらなるジャンプアップはあるのか?
専門家であるスマッシュの皆さんにご意見を伺いたいです。

フェデラーがサーブ&ボレーなどの早い展開を得意とするのに対してナダルは遅い展開を好みます。先日のハンブルクでは第一セットはナダルの展開でしたが、残るセットではフェデラーの作戦に苦しんだと思います。サーブ&ボレーやサーブからの展開などナダルにロングラリーをさせませんでしたね。
当然ナダルが(特にクレーでは)フェデラーに早い展開をさせずにいかに自分の得意なロングラリー・遅い展開に持っていくか、と言う事がキーになってくると思います。またサーブをさらに改善し、サーブからの展開も・・・。

などと考えましたが、ナダルとフェデラーでは6歳(5歳?)差があるのでフェデラーはそろそろピーク(もう今と言ってもいいかもしれませんが)を迎えるのに対し、ナダルは年齢的にはピークはまだ先なのでさらに伸びられると思うのですが・・・・。

京都府のnadalandfedererさん

報告1054:  どうもフェデラーについては前提部分に我々とは解釈が異なる部分がある。フェデラーは確かにサーブ&ボレーをやる方の選手ではあるが、あくまでも手段の一つとして使っているだけで、彼は基本的にはベースライナーに近いタイプのオールラウンダーだと我々は考えている。彼は当初サンプラスの後継者的な扱いを受けたせいか、プレースタイルまで混同されやすいが、少なくとも現在の彼はアグレッシブ・ベースライナーと分類するのが妥当ではなかろうか。
 また、ナダルが決して遅い展開が好きだとも思えない。彼は遅い展開でも容易には崩れないので、相手が強いときには勝つために展開を長くしたりすることはあるだろうが、常に意識的に長くしたりはしていないと思う。彼も相手がフェデラーなどの強敵でなければ、上がり目のポジションから左右にはたいて展開し、ポイントを早く決めたりする。大体、テニスは勝っている限り、試合が続く。遅い展開が好きだとしても、わざわざポイントを長くしたがる選手はいない。
 また、ナダルという選手の最大の特徴はそのボールの力。コースなんて突かなくても、ボールの力で押せてしまうから、コートの真ん中に返しているだけでも相手はボールに食い込まれたり、面を弾かれたりしてミスをしてくれる。守備がうまい、という評価もあり、それは間違いないのだが、彼はただ守るだけでなく、同時に攻撃もしているタイプの選手で、守備的に見えるボールが実はとんでもない球威、という今までにはあまりいなかったタイプの選手なのだ。
 フェデラー対ナダルという視点だけで考えると、確かにロングラリーに持って行った方がナダルに分があるのは確かだろう。だが、ナダルからすれば一球でも甘いボールを打てばフェデラーに決められてしまう怖さがあり、フェデラーからすれば、ナダルを完全に崩さないとチャンスがない、という立場になる。フェデラーは常に自分からリスクを取る展開になりやすくなるが、正直、どちらが有利かとなると難しいし、単純には言い切れない。
 フェデラーにとって、ナダルを攻略するために一番やりたいのは、ナダルにスイングさせないこと。左右に大きく角度をつけてナダルにボールを触らせないことになる。なにしろナダルはボールにスイングする余裕を持って追いつければ、そこからどこにでも打ってくるし(彼のトップスピンの効力は、どの角度に打ってもコートの中にボールを落とせるというのも含まれる)、打ってくるボールの威力もとんでもない破壊力がある。相手からすれば、ナダルに余裕を持って打たせること自体がミスに近い。
 先日の全仏決勝でも途中でフェデラーがフォアの逆クロスを効果的に使い、ナダルのフォアの遠めに打って無理をさせ、ミスを強いるという展開でポイントを重ねた時間帯があったが、ナダルはさらに強いボールをフェデラーのバックサイドに入れて回り込ませないようにし、フォア側に打つときには強めにスピンをかけた。
その結果、フェデラーが外に打とうとしても面を維持しにくくなって、ラインを割ることが増えてしまい、フェデラーはこの逆クロスを選択しにくくなってしまった。
 ナダルは球威でフェデラーから攻め手の一つを奪ってしまったわけだ。
 このナダルの球威というのは厄介だ。ナダルのボールはテレビで見ていると、さほどに速くは感じないかもしれないし、計測しても球速自体はそんなに速くはないかもしれないが、決して遅くはない。野球で言えば160キロのストレートの速さはないものの、145キロ以上のカーブに例えたらいいのだろうか。どちらが打ちにくいかを想像してみて欲しい。フェデラーの能力をもってしてでさえ、あのボールを攻撃的に叩ききって左右に展開して、ライジングで……、なんて真似は難しいのだ。フェデラーに「もっと攻めればよかったのに」などと言えば恐らく、「アホか。んなことができるんなら3年前にやっとるわ!! ボケ!」と怒鳴られてしまうだろう。
 フェデラーが現在取りうる手段はただ一つ。サービスでエースを取るか、ナダルがやっと届く範囲にサービスを打って次のボールで決めてしまうこと。何もサーブ&ボレーでなくてもよく、得意のフォアでもいい。
 リターンゲームではナダルのサービスに対して、リターンエース級のボールを叩き込んで崩し、主導権を握ったままポイントを支配してしまうことだ。
 それをナダル相手にクレーでやる。それも試合を通じてずっとやり切らないとなかなか勝てないわけで、難しいのはわかってもらえるはずだ。彼はハンブルクでの第2セット以降はこれを完璧にやり遂げて勝った。
 では、ハンブルクでできたのに、なぜ全仏でできなかったのかと言えば、理由は様々だろうが、やはりナダル側のモチベーションの高さの問題や、5セットマッチであったこと、もちろん、コートサーフェスの問題もあっただろうし、本人たちのコメントを拾うと、ハンブルクとは使用ボールが違う、というのも原因として出てくる。
 ハンブルクの後、「ナダルとの戦い方がわかった」とフェデラーも威勢よく話していたのだが、その内容はと言えば、「終始完璧に、攻撃的なテニスをすること」というもので、「あんた以外にそれができんのか? いやさ、あんたでも毎回はできんやろ?」という話だった。その後、さすがのフェデラーも「毎回やるのは難しい」とトーンダウンしたほどだ。
 ナダルをフェデラーが倒すには、クレーでは今のテニスを維持すること。他のサーフェスではサービスがカギになるはずだ。
正直、今のテニスを維持できていれば、クレーではそう負けを味わうことはあるまい。しかし、ハードコートや芝では彼のボールは彼が思い描くほどには跳ね上がってはくれないはず。そこで重要なのが彼が自分が「左利きの有利さ」に本当の意味で気付くことではないか、と思う。
どうも彼のサービスを見ていると、彼はまだ自分のサービスの優位性に気付いていないフシが見え隠れしていて、打てるのに打たない、という印象を受ける。彼は上背もあるし、スイングスピードも高い。どフラットに叩けば220キロを計時したのを見たこともある。また、アドサイドから外に逃げていくスライスや、デュースサイドからはセンターやワイドに打ち分けてエースを量産することだってできるはずなのに……。
彼がもっとサービスでエースを取り始めたら怖い。フェデラーは「彼が進歩してきたとは思えない。いつも思うんだけど、彼がもし、今のスタイルを変えたらクレーでは勝てなくなると思う。彼が今のテニスをキープしている限り、クレーでは無敵だろう」と話しているが、これは「頼むからこれ以上進化するなよ」というフェデラーの願望も多少は入っているようなコメントに読むことも出来るし、その言葉通りには受け止めにくい。
この先、の話に関しては不確定要素も多い。故障や精神的な燃え尽き、私生活面での様々な問題でも選手のアップ&ダウンは起こり得る。あれこれと予想をめぐらすのは楽しいが、我々にできるのはただ、楽しみに見守ることだけというのが、案外真実だったりもする。


依頼内容1053: 杉田祐一選手が昔(?)使っていたBabolatの四角い振動止めの名前、分かりますか?探しているのですがなかなか見つからなくて…

茨城県のもすさん

報告1053:  現在調査中です。しばらくお待ちください。


依頼内容1052: いきなりですがアンディロディックのグリップサイズは何か調べて下さい。
お願いします。

大阪府のバボラーさん

報告1052:  最近、このグリップサイズの依頼が多いが、何かの流行なんだろうか……。選手と手の大きさが同じでないなら、何の参考にもならない数値のはずなのだが……。
現在調査中です。しばらくお待ちください。


依頼内容1051: ナダルのグリップサイズは細いと聞いたのですが、サイズは、いくつなんですか?

東京都のBabolatさん

報告1051:  WOWOWのキャスターであるダバディーさんによればサイズは2とのこと(以前は1という話もあった)。
 しかし、選手によってはグリップの形状自体を自分好みに変えてしまうケースも少なくない。彼のラケットのグリップになんらかの調整がされているかどうか、となると正直我々にもわからない。


依頼内容1049: 久しぶりに質問させていただきます。スマッシュは毎月購入しております。よろしくお願いいたします!
1、サンプラスは現在プロスタッフMIDを使っていないと聞き私がラケットを変えるいいきっかけになると思ったのですが、彼は今現在何ていうラケットを使っているのでしょうか?あと振動止めやグリップテープは今までと同じでしょうか?
そして、新しいラケットについての何かコメントなどがあれば教えていただきたいです。
2、アガシはグランドスラムのタイトル数が8個だったと思うのですが彼の能力の高さではもっとタイトルをとっていてもおかしくないと思うのですが、その辺りの何かエピソードがあればお願いいたします。
3、サンプラスとアガシがいなくなってしまった男子テニス界は私にとってかなり寂しいのですが、フェデラーとナダルを除いて、この選手は個性や能力も含めて、次のサンプラス、アガシになれるかもと調査団様が思う選手がいたら教えていただきたいです。私もこれからその選手に注目してみたいと思います。
4、私がフェデラーを見ていての勝手な思いなのですが、フェデラーのスライス(アンダースピン)は他の選手のスイングよりもガツンとボールにぶつけているような印象を受けるのですが、私の印象が間違っていなければあれは彼の独特のようなものになるのでしょうか?そして彼のようなスライスの打ち方を教えていただきたいです。では長々と書いてしまいましたが、よろしくお願いいたします。失礼いたします。

福島県のいきなりダイヤモンド

報告1049: サンプラスが現在シニアツアーなどで使っているのは、ウイルソンのn-Six oneで、フェデラーが前に使っていたモデルだ。振動止めとグリップテープはどうやら以前と同じものを使っているようだ。このラケット自体、さほどにパワフルではないはずなのだが、サンプラスに言わせると、「今は前より大きなラケットを使っているからサービスも速くなった」などと、どうもかなり楽ができている、という所感をコメントとして発している。また、「フェデラーと同じラケットにしたから、同じようにバックハンドが良くなるかなあ」などと、素人臭い話でジョーク(本気かも……)を飛ばしていたことがあった。彼もすっかりシニア・プレーヤーになってしまったのかなあ……。
対戦競技である以上、タイトル数というのは個人の能力だけではなんともできない。サンプラスだってアガシがいなければ14で終わらなかったかもしれないし、それを言ったら、イバニセビッチのウインブルドンは1勝だけじゃ終わらなかったかもしれないし、ヘンマンだってどこかで1回ぐらい勝てていたかも……、と話は色々な選手たちに派生して行って止め処がなくなる。
アガシの場合、8勝のGSタイトルの他に、7回の準優勝がある。もし、これに全部勝っていれば15勝だったということになるが、やはり、その時は相手の方が強かったからアガシは8回の優勝に終わったわけで、「本当ならもっと勝っていても」というファン心理はよーくわかるが、それがアガシという選手の運命だったのだ、と言うしかなかろう。
ポスト・サンプラスはフェデラーできちんと世代交代が行なわれていると思うのだが……。フェデラーとナダル以外で、ということはプレースタイルを指してのみでいいのだろうか?
サンプラス型のオールラウンダーは、なかなか出てこないので、次の誰かが出てくるのも難しい。もしかすると、我々が生きている間ではもう出てこないかもしれない。現在はフェデラーをもって、その位置に当てるのが恐らく最も適当だと思う(ところで、フェデラーとサンプラスはその強さは似ているものの、スタイルや性格などはそれほど似ていないと調査団では感じている。性格的に引っ込み思案というぐらい控えめだったサンプラスに対して、フェデラーはデビュー当初から並の選手以上の自己顕示性を見せていた。どうにも「サンプラスの後継者」という言葉が独り歩きして、フェデラーはサンプラスの性格のイメージまで引き継いでしまっているような印象があるが、実際にはフェデラーの性格はむしろアガシの方により近い印象がある……)。
2007年の全仏後の時点で、次代のサンプラス、アガシ的な存在感を近い将来持つかも、と期待されるのは、月並みだがバグダティス、モンフィス、ジョコビッチ、ベルディフの4人だ。バグダティスのライジング能力はアガシ並だし、モンフィスの運動能力、ジョコビッチの戦術の引き出しの多さはサンプラスを思い出させ、ベルディフの身体の使い方はフェデラーやサフィンのように見える(タイプこそ違うが、サンプラス的だ)。それぞれバランスが取れてくれば、結果もついてくるようになるだろう。他にはフランスのシモンのフラット攻撃はまるでコナーズのようだし、デルポトロの荒々しさがまとまってくれば、大化けしそうな感じも受ける。
 これより若い世代となると、まだよくわからない、というのが正直なところで、ジュニア世代の選手というのは、ジュニア時代にだけ輝いて見える、という選手があまりにも多い。「昔は強かったのにねえ……」or「ジュニアの頃は大したことなかったのに」という例はそれこそ掃いて捨てるほど例がある。
我々が若い選手のどこを見るか、と言えば、未完成の時点での戦闘力と、それらが完成されればどうなるか、あるいは背が伸びそうかどうかなど、どの程度の伸びしろがありそうか、あとは性格的にはどうか? になる。
性格に関しては主に試合態度やボールへの執着心、負けず嫌い度などを見る。試合中にへらへらしているのは基本的にはマイナス(ただし、ヒンギスみたいな天才もいるので、一概にマイナスにはしない)。集中が切れるのは仕方がないが、切れた後に長く戻らなかったり、そのまま負けちゃったりする時の負け方が悪いと評価を下げることにしている。コートマナーがきれいかどうかとか、いい奴かどうか、というのは二の次だ。若い選手というのは多少荒くてもいい、という時代があるものだ。おとなしい選手の方が逆に心配になることが多い。ただし、セルフジャッジでインチキをしていた選手がその後大成した、という話は残念だがほとんどない。
フェデラーのスライスの動作自体は実はブロック気味であることが多い。というのは、彼がスライスを使うのは、相手のボールが速くて強打できなかった時や、打点が極端に低くなってしまったというケースが多いためで、あまり大きくフォロースルーを取るような、いわゆるきれいなスライスのフォームで打つ場面が多くないからだ。
ガツンとぶつけているように見えるのは、彼が厚くボールとインパクトしてスライスを打っているからで、切る打ち方をしていないから。特別なことではない。
 打ち方そのものも別に特殊ではない。いわゆるブロック系のスライスになる。なにしろ彼はドロップショットを打つときでもなければ、打てる場面で敢えてスライス、というのは最近ほとんどなくなっている。多くは緊急避難的に使われているスライスに分類されるのではなかろうか。


依頼内容1047: 錦織圭くんと杉田祐一くんどちらが強いと思いますか?また、過去に対戦はありますか?あとアメリカの天才ドナルド・ヤングは今どうしているのでしょうか?

神奈川県のナルさん

報告1047:  編集部に聞いてみた所、「サーフェス次第では」との回答。クレーなら錦織、オムニなら杉田では、という話だった。
 ま、実際には戦ってみなければ何とも言えないし、2人とも若い。勝ったり負けたりというのが現時点では公平なものの見方というところではなかろうか。
 ドナルド・ヤングはフューチャーズなどの一般の大会に出ている。恐らく、今年の全米にも主催者推薦をもらって本戦に出てくるのではなかろうか。


依頼内容1046: 初めての投稿です。私はアンディ・ロディックのファンなんですが彼のフォアとバックは何のグリップで持っているのか気になります。あとテンションはなんポンドぐらいなのでしょうか。きになるので調べてください。お願いします。

大阪府のロディックさん

報告1046:  初投稿ありがとうございます。テンションに関しては、このちょっと下辺りに回答があると思う。現時点(2007年5月)ではまだこれより新しいデータが我々の手元にはないので、あしからずご了承いただけると幸いだ。
 グリップはフォアはやや厚め、バックは両手のやや薄めを使っていることが多いようだ。
 恐らく、セミウエスタンとか、イースタンとかいう回答が欲しいのだろうなあ、とは思うが、現実として選手というのは「フォアはセミウエスタン」の一つだけでは打っていない。打点の高さや打ちたい球種や相手のボールの強弱などで微調節しているもの。従って、「厚め」、「薄め」で回答するのが実は最も正確なのだ。こちらもご了承いただけるとうれしい。


依頼内容1041: ノバク・ジョコビッチについてですが、フォアとバックのグリップ、プレースタイルを教えてください。

兵庫県のジョコビッチさん

報告1041:  フォア・バックともにやや厚めを多用している。プレースタイルはストローカー系の攻撃的オールラウンダーと分類のするのが適当だろう。
 ただ、まだ若いので、スタイル自体は今後、変わっていくかもしれない。


依頼内容1040: エナンについてなのですが・・・・(箇条書きで失礼します)是非、回答よろしくお願いします。
1.いつも腕時計をつけていますが、あの腕時計はどんなもの(メーカー等)?。
2.使用ラケット・ストリング・テンション(ポンド)は?(ラケットは現時点でもnツアーを使っているんですかね?テンションはどこかで見た気もするのですが・・・)
3.スマッシュの皆さんから見て、エナンが(メンタル・テクニック・フィジカルそれぞれの面から見て)他のプレーヤーと一線を画している点、そして女王になっている要因とは?
4.先日のソニーエリクソンOPで7ゲーム連取からセリーナに逆転負けしましたが、今後この二人はどちらが勝っていくと思いますか?(直接対決やツアーの勝率)またエナンは今後も1位(多少の入れ替えはあったとしても)をキープしていけると思いますか?

愛媛県のrafaさん

報告1040: 1/腕時計はロレックスだ。彼女とロレックスは広告契約がある。機種は、最新のロレックスの広告によれば、「OYSTER PERPETUAL LADY-DATE JUST」のようだ。市価をちょっと調べてみたが、大体50万円前後で売られているようだ。
2/06年の全仏の時点の情報と古くて申し訳ないが、彼女のストリングはサバレスのHT Tonic First Goldでゲージは15L。テンションは27キログラムとのこと。テンションに関しては最近はキログラム表示が定番になりつつある様子だ。
ただ、最近は新ガットが次々と出て来ていることもあり、色々と変えている選手も増えているので、彼女も今現在は違うかもしれない。それが現在のテニス界の風潮で、「ある時点では」というものの言い方が適当になってきている。テンションもまた然りだ。
3/メンタルの強さだけでNo.1になれるわけはないし、技術だけでもないだろう。それら全てが複合して彼女の強さを形作っている。テニスは腕相撲のように力比べだけではないし、背が大きければいい、ということもない。最終的に総合的な戦闘力が高い選手が強い選手なのだ。そして、彼女は総合的な戦闘力が高い。強いて言えば、彼女の強さは総合力だと言えるだろう。
 エナンの場合、フォアもバックもとにかくラケットを振り切ってストロークする選手だし、動きも早く、スライスやボレーもうまい。技術的にも非常に高い選手だし、最後まで試合を諦めないメンタルのタフさは、依頼者もよくご存知の通りだ。
 あそこまで振り切れる選手というのは、もはや技術だけの問題ではない。そうしなければ勝てない、という使命感のようなものを持っていると言った方がよく、また、振り切ってもミスが出ないという自信にも裏打ちされていなければならない。
 試合を途中で諦めれば、勝つ可能性はゼロにになるが、彼女はリードされていても最後まで何かの糸口を探そうとする。それが、逆転劇が生まれる理由であり、彼女の強さでもあるだろう。
4/試合の勝ち負けはその時の勢いや調子にも左右される。相手がセレナ・ウィリアムズならなおさらで、どちらかが勝ち続けるということはないだろう。
 しかし、1位をキープするのは年間を通してコンスタントに活躍できたかどうかになる。2人とも出場大会は少ないタイプで、故障も少なくない。大会に出てくると強いのだが、もしかすると1位の座は誰かに明け渡すことがあっても不思議ではない。


依頼内容1037: クレーコートシーズンが始まりますが、海外の試合を観るとどこも赤土のクレーです が、何故日本のコートは、黒土のクレーコート何ですか?自分の経験ですが、確かに 南米に行くと土は、赤いです。やっぱり赤土のクレーコートの方がカッコイイと思い ます。

神奈川県のテツローさん

報告1037:  あの赤土の材料はレンガをこなごなに砕いて焼き、乾燥させた粉だ。19世紀頃はレッドクレーのコートのことを「ハードコート」と呼んでいたこともあるらしい。 しかし、原料がレンガだけに、日本では消費量が少ないため手に入りにくかったり、高価だったりするのがまずは最大の理由だろう。また、あのレッドクレーはほとんどのサラサラのパウダー状なので、日本のように雨が多く、湿気の多い環境では常に「粘土」のような状況になりやすく、維持も難しい。日本の環境ではより粒の大きな砂にしないと水はけや、表面の維持などが困難だ。
 さらに言えば、あのレッドクレーというのはパウダー状だけに乾けば風に舞って飛んでいきやすい。よほどちゃんとしないとご近所迷惑、という側面も否定できない。


依頼内容1036: 杉田祐一選手のガットは縦VSタッチ横エクセルプレミアムと書いてあったんですが、最近の試合のビデオを見ると横糸が黄色っぽいんです。プロハリケーンツアーかエクセルプレミアム+かわかりますか?よければ教えてください。

福岡県のバボラ大好きさん

報告1036:  最近はプロハリケーンツアーを使っている、という情報がある。
 彼はバボラとの関係が深く、新製品などもテストしている選手だけに、いい製品が出たりするとテストするらしい。


依頼内容1031: ヒューイットやナダルは50メートル走をどれくらいで走れるのですか。

兵庫県のがんばれレイトンさん

報告1031:  我々にも興味のある話だが、残念ながらデータはない。ヒューイットはオーストラリアン・フットボールもたしなむ選手で、ナダルはサッカーが大好きな選手だけに(おじさんは元スペイン代表だったし……)、50m走もそれなりに速いだろうと思われるが……。
 テニス選手と言っても、足の遅い選手も少なくはない。本誌の連載でお馴染みの神尾米は現役時代には、非常に粘り強いテニスとコートでの足の速さで知られたが、実は50m走は遅かったらしい。
 テニスの足の早さは予測力がセット。もちろん、単純に足が速いことに不利な点はないが、かけっこが速ければ、コートでの動きも速くなるかはどうも別の問題らしい。これは、テニス以外の運動部出身で、足にはすごい自信のある学生さんでも、テニスが初心者なら、中高年のベテランに勝てない、という事実が雄弁に物語っている。


依頼内容1028: スマッシュ調査団の方から見て、フェデラーの次に1位になると思う選手を教えてく ださい。ちなみに僕はマレーか、ベルディフに期待しています。

神奈川県のマレー大好きさん

報告1028:  誰が1位になるか、現時点では難しい。なにしろ、サンプラスの長い連続1位記録を終わらせたのは、リオスだったのだ。リオスはGSで1勝もしていないが、サンプラスの不調と、リオスの春先の好調さが重なって幸運な形で1位になった。こういう事態がフェデラーの時に起きないとも限らない。
 フェデラーのランキングポイントは年間を通じて実にコンスタントに獲得されているが、たいていは優勝という形で取られている。ということは、翌年の同じ時期にも優勝できなければ、ポイントはどんどん減ってしまうということになる。
 こう考えると、クレーコートシーズンにまとめて獲得しているナダルは2位とはいえ条件が厳しい。ナダルが1位になるためには、クレーでは例年通り無敵の強さを発揮して、ハードコートシーズンでもフェデラーを何度も食って優勝するなどしないと難しいからだ。彼のタイプからしてこれを期待するのはちょっと酷だ。フェデラーはクレーシーズンではナダルに負けていたので、失うポイントは大きくないから、ナダルが勝っても差は縮まりにくいのもその原因の一つだ。
 となると、有望なのは依頼者のおっしゃるような選手たちか、最近不調だったベテラン勢だ。若手の場合、去年の成績を上回れば、ポイントはどんどん蓄積されていく。マリーやベルディフの場合、ハードコートでの戦績が安定してくれば、今よりかなりのポイントを上積みできるだろう。また、不調のベテランたちも去年勝っていないだけで地力はあるわけで、例えばサフィンが夏場に絶好調となれば、獲得したポイントはそのまま上積みにできるため、ジャンプアップする可能性もある。また、彼らが活躍する、ということはつまり、フェデラーがその途中でやられている、あるいは、試合に出ていない、という意味にもなるため、より差は縮められるだろう。
 現時点(2007年4月)で有望なのは、若手ならジョコビッチ、ベルディフ、マリーの3人で、特にジョコビッチの総合力の高さは特筆ものだ。彼は恐らくクレーでもハードでも戦闘力が落ちない。今後、コンスタントに上位進出を続けていれば、トップ3に割ってはいることも可能だろう。ベルディフはフェデラーと真っ向勝負しても勝てるサフィンのようなプレーヤー。当たった時の破壊力、戦闘力は凄まじい。ただし、この手の選手が安定して力を発揮するのは、いつの時代も難しい。フィジカルがより完成してきて、少なくとも1年半はコンスタントに活躍できるようになればいいのだが……。マリーも同じだ。彼の課題はフィジカル。メンタルにやや安定感が今はまだないが、フィジカルの充実と共にそれも落ち着いてくるはず。彼は高いテクニックをすでに持っているので、あとは身体能力の向上によって、試合中により大きな余裕を維持できるようになることが課題となっている。
 ベテラン勢だとやはりサフィンを推したい。また、ロディックにもまだまだその目は残されているとも考えている。サフィンの場合、年間通じてずっと調子がいい、なんてことがない部分がファンにとっては魅力でもあるのだが、何しろその地力の高さは凄い。不安定な選手のままキャリアを終えて欲しくない、という願望が主な理由だ。
 ロディックの場合、実はまだ伸びしろの大きさを感じさせるのが理由。この人はまだまだ強くなれる余地が残っているし、それが可能なモチベーションの高さもある。ほとんど基礎的な能力の高さだけで今の地位を確保できている、という点も考慮すれば、大化けする可能性がこの人にはあるような気がしてならない。
 そしてナダルだ。ナダルもまた、大きく化ける要素がたっぷりとある。この人はクレーの王者だけで納まる器ではない。深刻な故障さえ起こさなければ、ハードコートでの戦い方もうまくなってくるだろう。左利きのサービスの優位性に本人が気付くことだと思うのだが……。なにしろ、彼は自分のサービスに対する自信が足りないように見えて仕方がない。もっと打てばいいのに……。
 過去の例から考えると、フェデラー時代を本当に終わらせるのは、恐らく1990年前後に生まれた世代となるはず。現在17歳前後の選手たちがそれに該当する。この世代には実は日本男子に多くの有望株がいる。次に君臨するのが日本男子だったらいいな、と思っていたりもするが、アメリカ、ヨーロッパ共にこの世代はまだ成長途上。アメリカのドナルド・ヤングという左利きの選手は非常に注目されているし、期待もされているが、正直まだわからない。なにしろこのジュニア世代の選手というのは半年もあれば、別人のように成長する選手がいるからだ。
 色々とわくわくしながら、今後のテニス界も追い続けて欲しいと願う。


依頼内容1027: プロの選手が試合の休憩中によく飲んでいる飲み物は何か教えていただきたいです。 いろいろな色(紫色や黄色)を見たことがあります。スポーツドリンクの一種なので しょうか?

神奈川県のヤンバーランドさん

報告1027:  以前はそんなにたくさんの種類があるわけではなかったが、現在では実に色々な種類のものが出回っているのがスポーツドリンクの類。しかし、選手たちにはドーピング検査というものがあり、どんな物でも安心して飲める、という状況にはない。昨今のドーピング検査の精度はすさまじく上がっていて、なんでも50mプールに1滴たらした程度の濃度でも検出できてしまうのだとか……。選手によっては水以外飲まない、という選手まで出てきている。
 そんな状況なので、自分専用のスペシャルドリンクを作っていない選手の多くは、大会がロッカールームに備え付けているドリンクの粉末を利用することが多いとのこと。これは大会によって色々と変わったりするので特定の銘柄だけではないらしいが、スーパーフューエルという製品が以前はよく使用されていたという。
 色が付いているのは、向こうのこの種の製品にはよくあることで、あの色自体に大きな意味は、たいていの場合ない。


依頼内容1026: 失礼ですが、鈴木貴男選手はフォアハンドとバックハンドは、何のグリップで打っているんですか?

北海道のらっきぃーさん

報告1026:  状況により、また打とうとした時の球種により差はあるが、フォア、バックともにやや薄めのグリップを多用しているようだ。イメージとしてはフォアバック共にセミウエスタンからイースタン、スライス時にはコンチネンタル近くまでを使っていると想像していただけば、まず間違いはないだろう。


依頼内容1025: 最近シニアツアーの試合を観たのですが、非常に感動しました。そこで質問なのです が、アーロン・クリックステインとエミリオ・サンチェス・ビカリオの現役時代の最 高ランキングや主なタイトルを教えて頂けないでしょうか?

福岡県のヒラキさん

報告1025:  クリックステインは80年代後期〜90年代初頭にアイドル的な人気のあった選手だ。彼の最高位は1990年2月の6位。ツアーでは9勝を挙げたが、内1勝は89年に日本のセイコースーパーテニスで挙げたものだ。最も輝かしいタイトルと言えば、このセイコースーパーになるだろう。ヒザの故障に悩まされ、1996年に引退している。
 エミリオ・サンチェス・ビカリオもほぼ同時期の活躍選手で、女子のアランチャ・サンチェス・ビカリオの兄としても有名だが、90年4月の7位が最高位。生涯通算15勝。クレーで強く、地元のバルセロナの大会で91年に優勝したのが、恐らく一番輝かしい優勝ではなかろうか。


依頼内容1024: すみませんが、ロディックの使用ストリングとテンションを教えてください

大阪府のロディックファンさん

報告1024:  昨年の全仏時のデータだが、バボラのハリケーンとVSチームのハイブリッドで、ゲージは16。テンションは27キロ(約59ポンド前後)となっている。
ただし、ハードコートだとテンションはもう少し高い可能性はあるし、ガットの組み合わせも変更されている可能性もある。あしからずご理解いただければ幸いだ。


依頼内容1022: 鈴木貴男選手のRIMは昔のRIMに塗装をしたものだと聞いたのですが・・・
お願いします。

?のペイさん

報告1022:  依頼者がどこでそういったお話を聞かれたのかはわからないが、選手が公にしていない情報に関して、それを公にする権利を我々は持たない。あしからずご理解いただけると幸いだ。


依頼内容1020: ガエル・モンフィスのスイングは何故最後に横向き(ラケット)になるのですか?

北海道のkimさん

報告1020:  セミウエスタン前後より厚めのグリップを使って、打点を前にとってワイパーに振り抜くと、自然とフィニッシュは横になる。別段特殊なことではない。


依頼内容1019: 私はナダルの大ファンです。
そこで、彼の使っているガットのテンション(一時的なものでいいです)と、グリップサイズを教えていただきたいんですが、分かりますでしょうか。
お願いします

千葉県のナダルファンさん

報告1019:  2006年全仏時のデータでは、バボラのプロハリケーンツアーの15Lで、テンションは24.5キロ(約54ポンド前後)。グリップサイズは細いことで知られ、実は正確には不明だが、1か2だと言われている。


依頼内容1017: 初めまして
僕はアンドレ・アガシのファンです。古いとか言われますがそんなことないですよね!それで知りたいのですが、
1、アガシが使っているガット(縦と横)って何ですか。できれば最後のUSオープンと2000年頃と分けてテンションも教えてください。(アルパワー?アルパワーR?)
2、アガシのグリップについて。僕はフォアはイースタンからセミウエスタンを使い分けているように見えます。(バックはよくわかりません。)
3、アガシのストロークの連続写真がほとんど掲載されなかったのはなぜですか?僕はアガシのスイング(特にフォア)に違和感を感じます。
4、アガシはサーブのとき足をそろえますか?また、球種は主になんですか?
以上、調査お願いします。

神奈川県のアガシは世界一かっこいいマルハゲさん

報告1017:  はじめまして。アガシが古いなんてとんでもない。ただ、周囲の選手たちよりちょっとおじさんだっただけだ。
 まずは1から。
 晩年のアガシの場合、ストリングスメーカーとの契約がなかったため、正確な情報は公表されていない。残念だがこれが答えだ。また、彼の場合、時期によりテンションやガットの種類を変えていたことでも知られる(晩年はクレーの大会だけ中厚のラケットを使うなど、男子には珍しくラケットの性能を積極的に利用するタイプでもあった)。ただ、ハイブリッドを使い始めた最初のトップ選手の一人として知られ、ヘッド社とガットの契約もしていた時期には、ヘッドからアガシと同じ仕様、といううたい文句でガットが製品化されていた時代がある。
 2について。
 フォアはほぼおっしゃる通りだ。バックも両手打ちの比較的薄めのグリップを使っていた。彼は両手打ちでも右手主導か、左手主導というのではなく、本当に両手で打っていた、と言われるプレーヤーという評価が一般的で、打点が比較的身体に近いため、薄めのグリップだったのだろう。
 3について。
 アガシの連続写真は本誌のみならず、世界中のテニス誌が使い倒したと思うのだが……。依頼者の年齢ではあまり見たことがないのも仕方がないか……。
依頼者がフォアに違和感を感じる理由を探すとすれば、彼のテイクバックの小ささからくるものではなかろうか。彼は本当に短い距離でラケットを最大速度に持っていく能力に長けた選手だった。福井烈さんは以前、普通の選手が滑走路を助走してから離陸するとするなら、アガシはもういきなり飛び上がるぐらいロケットみたいだ、とおっしゃっていた。もちろん、天性の肉体的要素もあるのだろうが、彼は超ライジングのタイミングで打つことを幼い頃から特訓され続けてきた選手だというのも影響が大きいだろう。超ライジングは相手の時間を奪うために自分の時間を削るという打ち方。そのためスイングがよりコンパクトになり、非常に短い距離でスイングスピードを加速させる能力が高くなったのだろうと予想される。
アガシはその半生をかけてあの打ち方を作り上げたのだから、急に真似しようとしても多分、なかなかうまくはいかないだろうが、少なくとも、彼にはあれがナチュラルな打ち方だったのだ。
4について。
 アガシは比較的時期によってサービスの打ち方を変えることが多かった部類に入る選手だ(右肩に持病があったせいもある)。しかし、基本的に彼は極端に足を揃えず、そのまま打っていたことが多い選手だったのではなかろうか。球種はフラットとスライス、タテ回転のスライスを多用していて、いわゆるスピンサービスはあまり使っていなかった。


依頼内容1016: 僕は今、ダンロップのM-FIL200plusを使っているのですが、以前トマス・ベルディフ選手が使っていたラケットなので、トマス・ベルディフ選手の使用ストリングが何か知りたいです。出来れば、だいたい何ポンド位なのかも教えてください。

東京都のぺんぎんさん

報告1016:  昨年の全仏の時のデータで多少古いのだが、ガットはルキシロンのアルパワーでゲージは16L。テンションは25キロ(ヨーロッパ系の選手たちはテンション指定にキログラムを使うことが最近増えている)。約55ポンド前後という感じだろう。


依頼内容1015: 昔のラケットなのですが、ヨネックスR-7を使っていたマルチナ・ナブラチロワは 当時どんなガットでテンションいくつだったか解りませんか? 久しぶりにR-7を使ってみようかと思い、張替えを考えています。有名選手の使っていたラケット(現役も含め)に憧れて購入したラケットを持っているユーザーはかなり多いと思いますが、ストリング(ガット)・グリップテープ・振動止め等は調べることが難しいのでぜひ、特集をお願いしたいです。

神奈川県のフレームショットさん

報告1015:  R-7時代となると何しろ古い時代のお話なので、正確な情報を調べるのには、しばしお時間をいただきたい。


依頼内容1014: ギレルモ・コリアが好きで応援していましたが、昨年の怪我からランキングが急降下しましたが復帰する予定はあるんですか?このまま引退することは、ありませんよね?トッププレイヤーの中ではかなり小柄な彼の活躍をもう1度観たいです。

神奈川県のテツローさん

報告1014:  今のところ(2007年2月中旬)引退するというニュースは入ってきていない。ケガは仕方ないが、故障は彼のような選手にとっては何一つプラス要素はない。厳しいことは間違いないが、彼の場合はあの足とスタミナさえあれば、身体の健康さえ取り戻せれば、なんとかできるんじゃなかろうか、とも期待している。技は元々多彩だし……。
 頑張って欲しい、としか今は言いようがない。


依頼内容1009: サフィンはトーナグリップを使っていますが、それをとめている(エンドテープ?) 白いテープは何なのでしょうか? どこ製の物で日本では売っているのでしょうか? 教えてください。

千葉県のテニスおたくさん

報告1009:  ……今度、サフィンに会えたときにでも忘れなければ聞いてみるが、ただの白いテープだと思うのだが……。


依頼内容1008: プレイスタイルについて教えてください(戦い方、時代によるテニス界での位置づけ・代表的選手、これからどうなるか)フェデラーのコーチ、ローチさんのぼうしに書いてある「yes optus」ってなんですか

神奈川県のナルさん

報告1008:  プレースタイルは大きく分けて3つ。「ベースライナー」と「サーブ&ボレーヤー」、「ビッグサーバー」、そして最後に「オールラウンダー」だろう。
 時代による位置づけというのを、どこまで遡ればいいかがわからないが、現代テニスと古典テニスの分岐点というのは、コナーズという選手の登場で分けられるというのが定説になりつつあるので、ここで分けるとすると、コナーズ以前は「最後にボレーで仕留めるため」というのがテニスのスタイルで、ほぼ全ての選手たちがサーブ&ボレーの亜種に近いスタイルだった。これはラケットとボール、そしてサーフェスによるものだ。ラケットがウッドでボールは今ほどに品質は一定ではない。さらにサーフェスの多くは芝、という古典時代は、ベースライン上で粘っているだけでは粘りきれない、というか、その方が難しいという時代だった。
 ラケット、ガットが進化を始めた結果、攻撃力も上がったが、実は最も大きく変わったのは守備に回ったケースで粘りきれるようになったこと。今のラケットであれば、相手のスピードボールに対してもしっかりとブロックしさえすれば、ある程度以上のボールを返せるし、コントロールもできるが、ウッド時代はこれが大変難しかったのだ(できなかったとは言わないが、今ほど簡単ではなかった)。
 コナーズはウッドから新素材のラケットに変化していく過渡期の選手で、彼はベースラインから攻撃的なテニスで時代に風穴を開けた。この時代は新しい素材のラケットを手にすることが割りと大きく戦力の増強になった時代だったが、彼はウッドの時代からそのテニスで強かった選手なので、ラケットの影響はプラスアルファと考えておいた方がいいだろう。
 そしてベースライナーとサーブ&ボレーヤーの究極の2人である、ボルグとジョン・マッケンローが出てくる。ボルグはベースラインからトップスピンを使ったショートクロスを使ったベースライナーで、マッケンローは「他には誰にも真似が出来ない」というぐらいの天才サーブ&ボレーヤーだった。
 剣術の世界で不世出の天才とされる宮本武蔵は二天一流という流派の始祖だが、この流派は使い手の素質に多くを求めるためか、後の世であまり隆盛とならなかったが、伊藤一刀斎という人が始祖とされる一刀流は体系的に構築されたためか、後の世に多くの分家も出来て隆盛を誇った。
 ボルグを一刀斎、マッケンローを武蔵とすると、わかりやすいだろうか。ボルグの方法はその後のラケットの進化やトレーニングメソッドの発達もあって多くの人間が再現可能だったため、ベースライン+トップスピン+ショートクロスなど角度をつけたストロークというテニスがその後の主流を成していったわけで、逆にマッケンローのようなテニスは確かに強いのだが、マッケンローと同じセンスを持ち合わせた人間でなければ再現できないという具合になって、サーブ&ボレーヤーは今日では絶滅寸前となっているとも考えられる。
 ビッグサーバーに関してはややサーブ&ボレーヤーと重なる部分が出てくるが、呼んで字の通り、「サービス命」のスタイルで、相手にサービスをリターンされるだけでもある程度のダメージを自分が負う、というぐらいのやや極端なスタイルだ。この種の選手は自分のサービスゲームは絶対キープ。相手のサービスをいかにブレークするかだけが課題なので、リターンゲームでも案外リスクを取ったりする傾向が大だった。しかし、用具の発達でリターンが容易になってしまったせいか、近年ではこれだけでトップ級という選手はいなくなってきた。
 最後に分類したオールラウンダーというのは、滅多に現れない。単純になんでもできるというだけなら、テニススクールのコーチでもなんでもできるが、スタイルと呼ばれるためには、それで「強い」という要素は必須条件。強くないオールラウンダーは器用貧乏でとでも呼んでおけばよい、とさえ調査団では考えている。サーブ、ストローク、ボレー、なんでもできて、しかもそれが当代一流レベルでなければ意味がない、というのがこのスタイル。現在ではフェデラーをその筆頭とし、ほぼ唯一と調査団では考えている。
 このスタイルは個人の資質に負う部分が大きい。競技テニスが色々な技を徐々に覚えていって50代で八段の段位を取るのが完成、という種目ならいいのだが、実際のテニスは10代後半までにはある程度完成していなければならず、30代には限界を迎えてしまう種目だけにつらい。ということは、10代の後半までに全てのショットを一流と言われるレベルに近づけておかなければならないからだ。
 こんなこと、誰にでもできるわけがない。オールラウンダーが滅多に現れないのは当然で、出てきちゃったら物凄く強いといのも当たり前だ。この手の選手はどの時代に出てきても当然のように上位に行く。サンプラスは資質としてビッグサーバー的要素が強かったため、サーブ&ボレーヤー型のオールラウンダーになったが、今のフェデラーはややベースライナー的傾向の強いオールラウンダーになった。サフィンはメンタルに大問題のあるオールラウンダーか……。
 今後どうなっていくか、というのは、最も万人にとって導入しやすいベースライナーが大勢を占めていく情勢は変わらないだろうし、今のテニス界では生き残りが難しいとはいえサーブ&ボレーヤーもいなくなりはしないだろう。現状を打破していく選手というのは、その能力の高低はあっても大抵はオールラウンダー化していくもので、例えば今のフェデラーレベルでなくても、トップにいる人はそれなりに何でもできるという人になるだろう。ラケットやガットの進化は80年代の急速ぶりに比べると、近年はやや鈍化しているため、何か特別な新発見でもない限り、ドラスティックに変わることはあるまい。
 となると、問われるのは選手の資質のみ。今後のテニス界の変遷を楽しく見守ろうではないか。


依頼内容1004: 草トーにでているものなんですが、今月の特集でテニスは9割が足だと書かかれていましたが、足=足の速さと考えるとき、プロの選手というのはどのくらいの記録を持っておられるんでしょう か。
鍛える目安にしたいので是非お願いします。

埼玉県のミスター購買部さん

報告1004: 「テニスは足」だとよく言われる。この言葉から足=足の速さと連想するのは理解できるが、もうお話にならないほど鈍足だ、というならともかく、普通に走れる人であればテニスではほとんど問題にはならない。
 テニスでの足の速さはつまり一歩目のタイミングの早さであって、50m走のタイムで計られるものではないのだ。どんなに足の速い人でも初心者の内は、どう考えても足の遅そうな中高年のベテランに弄ばれてしまうはず。「テニスは足」というのは、ちゃんと打点に向かって足で動け、という意味であって、足が速くないとダメ、という意味ではない(そりゃ速い事で不利になることもないのだが……)。
 プロのテニスを傍で見ていると実に簡単にボールを打っているように見える。で、同じ目で初心者同士のラリーが続かないのを見ると、すぐに気付くことがある。プロたちがボールコントロールに長けているのは除外するとして、プロと初心者の違いは、打点に対してちゃんと動いているか、いないかなのだ。プロたちはボールをちゃんと自分で打つために自分で打点に動いて打つが、初心者はまるでボールに動かされるように右往左往し、主客が転倒しているわけだ。これは技能の習熟の差でもあるが、概念としての「テニスは足」を説明しようとすると、打点に向けてちゃんと動く、打ちたい打点に対してしっかりと体を運ぶというのが「テニスは足」の意味だ。さらに意味を広げると、あと一歩、あるいはもう半歩踏み込めばもっと攻撃的な打点を取れたりするケースに対して、「足が動いていない」と指摘する場合もある。試合では「ただミスなく相手コートに返す」だけでは意味がないという場合がある。相手が強くなってくれば尚更で、チャンスは滅多に来なくなる。そのチャンスを「足を動かさず、ボールを待ってしまった」ことで逃せば、それはもうミスになる、というレベルが試合でのレベルになるわけだ。
 足を鍛えることは100%ご自身の利益になるが、単に足の速さだけに目を向けてしまうと、ここが曖昧になる。注意して欲しい。


依頼内容1002:ギレルモ・コリアのフォアハンドのグリップがフルウエスタンをより厚い握りをしているように見えるのですがどれぐらいの厚さでどのような握りをしているのですか?あとフォアのスイング軌道を教えてください

千葉県のkimisimaさん

報告1002:文字のみのこのコーナーでは軌道を説明するのは難しいので、本サイト内の連続写真のコーナーをご覧いただいたほうがよかろう。
 また、グリップの話はこれまでも何度も報告してきたように、相手の打球や自分が打ちたい球種によって微調整が繰り返されている。コリアの場合は確かにかなり厚いグリップを使う選手なので、場面によっては依頼者のおっしゃるようなケースもあるだろう。
 しかし、それでいつも打っているか、と言えば必ずしもそうとは言えない。テニスはゴルフのように止まっているボールを打つわけでも、野球のようにストライクゾーンのボールだけを選んで打てるというわけではない。色んな打点になりうる全てのボールを打ち返さなければならないという条件で、いつも同じグリップで面を前に(打ちたい方向に)向けられるかをもう一度冷静に振り返ってみて欲しい。
 スイングの構築方法、打点の取り方の感覚により、厚めの人、薄めの人、という指摘はできても、「○○選手は○○グリップ」という定義はむしろ科学的ではない。ご理解いただけると幸いだ。


依頼内容1001:初めての投稿になります。早速ですが、私はS,グロージャン選手の大ファンです。彼の巧みなペースの使い方、見るものをうならせるトリッキーショットの数々に惚れ込んでいます。ここで、質問なのですが、グロージャンは再びTOP10ランカーに戻れるでしょうか? また、そのためには何が必要だと思われますか??彼は、前述の通り巧みなペースマジシャン(特にタイミング、タッチのセンスは抜群)であり、小柄ながらビッグサーブを持っていて、切り返しの巧さなどを持ちあわせながら、最近成績が伸び悩んでいます。全豪では、ビッグフォアを身につけようとしたり、最近
ではコーチと別れ、モチベーションを高めようとしたりしているように見えます。その結果が実り来年には得意のウィンブルドンや母国のローランギャロスでの活躍が見たいです。
文が入り乱れて申し訳ありませんが、スマッシュさんのご考えを聞きたいです。

東京都のペンすけさん

報告1001:グロージャンがやや低迷していたのは、故障によるものが主だが、課題がトップ10となると年間通じて安定した成績を残すことが大事になる。彼も今年で29歳。どこまでやれるかが問題になってくる。
 また、彼のそのトリッキーなテニス自体が相手に慣れられはじめ、意外性がなくなってきたことも大きな要因の一つとして挙げられている。テニス界というのは恐ろしいところだ。
 彼のようなベテラン選手が若い頃と一番変わってくるのはモチベーション。キャリアが長くなってくると、常に高くキープし続けるのはどうしても難しくなるし、モチベーションの低下は事前の準備や調整、普段のトレーニングや生活態度にも影響を与えてしまう。もちろん、ツアーには次々と自分より若い選手たちがやる気をみなぎらせて現れてくる。ベテランたちはそれぞれ豊富な経験を持ってはいるが、それだけではいずれ補いきれなくなる。同じ土俵で戦う以上、やはり若い選手たちと同じように、やる気をみなぎらせ、テニスに臨んでいかなければならなくなる。
 さらに、トップ10ということになると、その時期の顔ぶれにも大きく影響される。強い選手が10人前後の時期であればともかく、今はトップ30ぐらいの男子選手なら誰でも、その時の調子次第でトップ10に食い込んでくる時代だ。彼にとって、年々厳しさは増していても、楽になるということはない。
 依頼者は全仏やウインブルドンでの活躍を願っているという。この条件であれば、彼が活躍できないという理由は逆にない。きちんとピークを大会に持って行った上で戦えれば、彼はいつでもベスト8に入れる能力の持ち主なのは疑う余地のないところ。ただし、ランキングが下がってしまっているので、どうしても大会序盤で強豪との対戦を強いられるのが辛い。まずは通常の大会で確実にポイントを取ってランキングを上げて上位シードを確保し、強豪との対戦を早くても3回戦以降に抑えることができれば、面白い青写真を描くことも可能だろう。
 今の彼は恐らく、以前の魔術師的なイメージから、正統派のストローカー系オールラウンダーに脱皮しようと模索しているのだろうと思われる。意外性で相手を翻弄するのではなく、勝つべくして勝つスタイルへの成長を画策しているのだろう。
 諦めず、注目していて欲しい。もう一花きっと咲かせてくれるはずだ。

過去の依頼と報告            
 
このサイトに掲載の記事、写真の無断転載を禁じます。