このコーナーは、本誌と連動する 『スマッシュ調査団』と『テニスフリートーク』で構成されています。
 『スマッシュ調査団』は、テニスに関する素朴な疑問を調査・解決していく、本誌で大好評連載中のコーナー。毎月寄せられる多くの依頼に本誌だけではとても答えていけそうにない。というわけで、インターネット部門を開設することになりました。このコーナーは随時更新していく予定なので、こまめにチェックして下さいね。依頼は、従来通り本誌宛へのお葉書はもちろん、インターネットでも受付けます。インターネット受付分から本誌への展開もあるので、「アレって何かな?」と思ったら、依頼してほしい!
◆応募方法
・下にある投稿ボタンより専用フォームを呼び出して、必要事項をすべてご記入の上送信して下さい。
・投稿されたご意見は、編集部を経由して随時このページに掲載していきます。(ただし、掲載にふさわしくない等編集部で判断したものは除かせていただきますので、予めご了承下さい)。掲載に際しては氏名のみを掲載しますが、ペンネームでの掲載を希望される方は、忘れずにペンネームを記入しておいて下さい。
**** 観戦・選手 ****

依頼内容1146: 錦織圭さんについての質問なのですが、彼のバックハンドグリップは変則的だと聞いています。どのように変則的なのか教えていただきたいです。
あと、その変則的なグリップで重い玉を打てているということはどのような身体的等の才能があるのでしょうか?
それから、もう一つは彼の変則的なグリップのメリット・デメリットはどういったものが考えられるでしょうか?

大阪府のチョキさん

報告1146:  両手バックのグリップは選手により実に色々とあり、どれがノーマルで、どれが特殊なのかの定義も難しいのでは、と思うが、錦織選手の場合は左手がかなり厚いことが多い。これだと強いボールに対しては負けにくくなるものの、ヘッドを前に出しにくいので、本来であればスイングスピードを確保しにくいスタイルになる。
 しかし、実はナダルがこのスタイルの極端なタイプで、ナダルのバックの左手はほとんどウエスタンなのだ。彼はそれでも強力なボールを自分で打っていく。
 この辺りはもう感覚の問題としかいいようがないのだが、メリットは利き手と反対側のフォア、という感覚が強くなる分、そのイメージがちゃんと確立されていれば強くボールが叩け、スピンのコントロールもできるという点と、相手の速いボールに対しても負けにくくなるということだろう。
 デメリットは、低い打点の処理がやりにくくなること。錦織選手の場合、片手でスライスが打てることで、このデメリットを消している。
 いずれにせよ、極端なスタイルは極端な結果となる。その辺りを念頭に置いて、参考にされるとよろしいのではなかろうか。


依頼内容1143: 初投稿です。よくスマッシュを買わせてもらってます。
今年の全豪で、ツォンガが大活躍しましたね!
あのプレーを見ると、サフィンと通じるところが感じられました。
サフィンもツォンガもパワー系の選手でそこらへんが関係してるのでしょうか。自分もあんなプレーがしてみたいなんて思ったりもしました。
ツォンガを見てて思ったのが、読みのよさと緩急をつけたストロークでした。ネットプレーもその姿のわりにすごくうまかったし。
あと、ツォンガはジュニア時代はサーブ&ボレーヤーだったと聞いたんですがどうなんでしょうか。

新潟県の銀貨さん

報告1143:  初投稿ありがとうございます! できれば「よく」ではなく、「毎月」買ってやってください。お願いします。
 さて、依頼の内容は、ツォンガがパワー系なのでサフィンと似て見えたのか? というのと、ジュニア時代はサーブ&ボレーヤーだったかどうか、の2つでいいのだろうか。
 ツォンガとサフィンは確かに似て見えた。これは我々も同意見だ。
 理由は恐らく二人とも共通して体幹部が非常に強いせいか、体幹部の強さを生かした、軸のしっかりした打ち方をしているということと(腕力だけでなく、身体の回転力の強さでスイングのトルクを作るタイプ)、共に決め球がフラット系の強打であることから似て見えたのではなかろうか。
 ツォンガのジュニア時代はよく覚えている。確かに彼はサーブ&ボレーヤーと言えるぐらいネットに出て行く選手だった。
 しかし、このサーブ&ボレーヤーの定義も実は結構難しく、彼は後ろからでも戦えるため、「何が何でも前へ」というほどではなかったことあり、人によっては「あれはサーブ&ボレーヤーとまでは言えない」という方もいても不思議ではない(彼の場合、サービスが強いので、決めるためだけにネットに出て行くことが多かった、という見方もできるイメージだった)。ただ、今日的に言えば、十分にサーブ&ボレーヤーと言ってもいいだろうとも思う。その辺りは見た人の解釈次第でいいのではなかろうか、と思う。


依頼内容1142: フェデラーのガットのポンド数を教えてもらいたいです。出来れば縦・横で教えてください。

神奈川県のキムさん

報告1142:  これも本誌をご愛読いただいておれば、何度か紹介したことのある内容なのに……。一番近いところでは、2008年1月号で紹介しているぞ……。
 横が44ポンドで、タテが47ポンドだ。


依頼内容1141: ナルバンディアンのガットのテンションが知りたいので教えてください!!

福岡県の抹茶マンさん

報告1141:  昨年のウインブルドンで本誌取材班がヨネックス様のご協力をいただいて調べてきた内容が、2007年9月号に掲載されている。モノクロの企画だが、常に弊誌を隅々までご愛読いただければ、思いもよらないネタが転がっているものですので、毎月、できれば購入していただいて、ご愛読くださると幸いです。そこのところはどうかひとつ、よろしくお願いします。
 で、当時の彼のテンションは53ポンド。ただし、「彼は切れるまで使う」タイプだそうで、ぼよんぼよんのガットでも全く気にすることなく、切れるまでは平気で使うのだとか。だから、新しいガットのラケットでプレーしていると、音ですぐにわかるほどだという。「プロは毎試合、下手をすればボールチェンジ毎にニューガットを使う」というのとは正反対なのだそうだ。
 彼は万事その調子だそうで、契約メーカーには自分専用シューズを要求したり、一度気に入ると、同じモデルを履き続けて、新製品が出てもなかなか履き替えない選手もいるテニス界で、シューズもなんと「既製品」をそのまま履いてプレーし(サイズも既製品のまま)、新製品を持っていけばその場で履き替えてしまうのだとか……。「弘法は筆を……」というやつなのか、はたまた単に豪快な人物なのかは不明。


依頼内容1140: 練習ではほとんどの選手が強く打って練習しないんですか?常に力を抜いて練習しているのですか?
フェデラーのフォアとバック、スライス、サーブ、ボレーの時、何グリップで持っているか教えていただけませんか?

神奈川県のキムさん

報告1140:  質問の意味が実はよく理解できないのだが、選手たちは練習でも強く打つ……。確かに、常に試合の時のような全球渾身のパワーで、全身全霊をこめて打っているわけではないだろうが、強打の練習もしないと、試合で強打もできない。「常に力を抜いて」ということはないはずだし、我々もそういう選手を知らない。
 フェデラーのフォアはイースタンからセミウエスタン、バックも大体同じ。サービスはコンチネンタルから、場合によってはバックにやや厚めにしてその裏側を、スライスはコンチネンタルからバックハンドイースタン前後、ボレーもコンチネンタルからイースタン前後が多い。
 もちろん、打点や球種により厚くなったり、薄くなるケースもある。


依頼内容1135: マカオでのサンプラス対フェデラーの試合はサンプラスのサービスの調子がかなりよかったし、いい試合だったと思いましたが、エキシビジョンだったからフェデラーは本気を出していなかったと言う人がいます 現在のNo.1の選手が5年も前の選手に負けたくはないでしょうし、サンプラスに憧れてたというんだから憧れの選手相手に手を抜いたりするのでしょうか? 調査団様の見解をよろしくお願いいたします

福島県の大日本人さん

報告1135:  エキジビションはエキジビションで、勝っても得るものはなく、負けても失うものがない。
 最近の日本には少ないせいか、この辺りの機微が理解しにくくなっているのはわかるが、GSが真剣勝負なら、ツアーは勝負、エキジビションはショーだ。
 GSでは少しぐらいのケガや病気では棄権したりしないものだが、ツアーならありえる話になり、エキジビションなら中止もやむなしになる(エキジビションの場合、大会と違ってその参加選手ありきのイベントなので、責任感の強い選手だと無理をするケースはあるだろうが……)。
 少なくとも真剣勝負の場面ではない、とお互いが了解して戦う以上、手を抜くとか抜かないという前提も存在しない。観客に対して互いのいい部分を見せ合うためのイベントなのだ。従って、サンプラスのサービスを引き立てるために、とまでは言わないまでも、フェデラーは強いサンプラスのサービスに対して、敢えてリターンエースを狙いに行って、逆に自分がサービスエースを取られることが増えた、かもしれないし、逆にサンプラスはフェデラーとのラリーで、バックに流せば優位に運べる場面でも、敢えて強いフェデラーのフォアと勝負して、失点するような場面があった、かもしれない。
 もちろん、最初から最後まで花相撲ではさすがに白けるため、時間帯によっては真剣勝負的な場面も出てくるものだろうが、どちらかの選手か両選手に特別な事情でもない限り、最初から最後までフルテンションで、ということはないと考えた方がいい。
 ただし、シーズン中や全豪開幕前のエキジビションは、それ自体を前哨戦と捉えている選手が存在するため、勝敗はともかく、プレーの質にこだわって真剣勝負化することもなくはない。
 しかし、そういう状況自体、サンプラスが現役復帰でも企てない限り(……企ててないよな?)、ないと考えた方がいい。
 逆にフェデラーがフルテンションでサンプラスをボコボコにすれば、「KYだ」などと言われるだろうし、サンプラスが必死で戦って、フェデラーを押し込もうとすればこれまた逆にこっけいに写るだろう。エキジビションでマッケンローが審判に食って掛かる場面を作るのも、半分は性格もあるだろうが、半分はそれを観客が望んでいるのをわかっているからだと思われる。
 残念ながら、二人の真剣勝負が見たければ、ショーではなく、サンプラスの自宅のコートで、フェデラーと二人でやったという練習マッチでも見ないと無理なのかもしれない。
 もちろん、二人とも負けず嫌いだけに、勝ち負けにはこだわるだろうが、エキジビションではそれ以上に、客に自分たちのいいプレー、いい所を見せるというのが目的になる。大会ではドローのあやで実現するかどうかわからないが、最初からマッチアップされた試合でなら、お互いにそれを演出もできる。
 そういう裏をちゃんと理解しつつ、楽しむのがエキジビションであって、勝敗は大きな問題ではない。スコアも極論すれば便宜上つけられているようなもので、お互いにいいプレーを見せるのが目的なのだ、ぐらいに考えてみるのが大人の楽しみ方というものだと思われる。


依頼内容1134: 現時点(2008/4/7)ではATPのランキングでナダルがフェデラーに徐々に迫ってきていますが、フェデラーが比較的序盤(少なくともナダルよりも前)で負けるがナダルも優勝はできない、というパターンが増えているように思います。マイアミなどでもそうでしたが・・・。最近のトップ選手に関してご意見を・・・。

・フェデラー
一部ではフェデラーの実力が下がったのでは、とまで言われていますが、これは他の選手の実力(というか調子?)が上がったためなのか、それともフェデラー自身の不調(技術的・メンタル的)によるものなのでしょうか?

・ナダル
最近は大会上位に食い込むことは多いものの優勝はできないという事が多いと思います(と言っても07シーズンも全仏以来インディアンウェルズまで優勝はなかったので、より攻撃的になりハードでの戦いも進化しているのは確かですが)。負けた/苦戦した試合を見ると、リターンから攻撃してきたり早いタイミングでスピードボールを打ってくる、といった選手(ブレーク、ダビデンコ等)に弱いように思います。
こういった選手を相手にしていく上でナダルにはどのような事が必要だとお考えでしょうか?(クレー以外ではもっとフラット系で打つとか)
クレー以外のサーフェスではスピンをかけてもクレーより跳ねないので、そのボールを攻撃されているといったシーンもあるように思いますが・・・。

またマイアミも終わりましたし、これから徐々にクレーシーズンに入っていきますが、ローマ・ハンブルク・全仏などクレーの主だった試合でナダルが優勝した場合(まぁジョコビッチなども上がってきたり、去年のハンブルクの事はあるものの、ナダルがクレーで負けることはそうそうないと思いますし)、ランキング1位が入れ替わる可能性はあるのでしょうか?

愛媛県のpeetさん

報告1134:  フェデラーに関しての見方はいくつかある。
 全豪でSF、その後の大会でもコンスタントにSFやQFに進出している。彼に勝った相手もロディックや絶好調のフィッシュ、マリー、ジョコビッチ……。これがフェデラーでなければ誰も「不調」などとは思わないだろう、という見方だ。これまでの「勝ちっぱなし」が異常だっただけで、やっと彼も普通のペースになったのだ、と考えれば別段問題視するほどでもない、という意見にはうなずける部分も多い。
 一方で、フェデラーが一番強かった時期のプレーと比較すると、確かにややパフォーマンスは落ちているようにも見える。我々は何度かここでも報告してきたが、少なくとも近年でフェデラーが他の選手と比較した時に、「圧倒的」と言えるほど高いパフォーマンスを見せていたのは、05年全豪だったと考えている。この大会はSFで敗れたものの、テニスの内容では他のどのプレーヤーより抜きん出ていた。コートを動くスピード、反応のよさ、やわらかく、しかもパワフルにボールを加速させる能力。一人だけ別のカテゴリーでプレーをしているような印象さえ覚えたほどだ。
 また、この2年の全仏でのパフォーマンスも強烈だったが、クレーにはなにしろ彼以上の怪物がいるせいで、目立たないだけだと考える。彼がこの2、3年のクレーで彼が見せたプレーは、彼が従来持っていた柔軟さにパワーを加えた骨太なもので、ナダルさえいなければ圧倒的だったと言ってもいいだろう。
 また、05年の全米でのパフォーマンスも、テニス界が100年をかけて生み出した才能の開花を感じさせるもので、印象に強く残っている。
 こうして振り返ると、05年頃に彼のナチュラルなテニスは完成し、その後、彼は自身のパワー化、スピード化を図ったようなフシがある。そしてクレーでの戦いぶりの充実ぶりを見ると、それはある程度以上、成功していると見た方がいい。
 となると、フェデラー自身に原因を求めるだけでなく、周囲の影響も考慮に入れるのが自然な考え方だ。
 フェデラーが台頭して以降、男子でトップを目指す選手たちは、とにかくフェデラーに勝てないとNo.1はおろか、テニス選手の生涯の目標であるGSタイトルに手が届かなくなった。
「フェデラーがレベルを引き上げた」。
 というのは、ロディックやブレークがよく口にしていた台詞だが、フェデラーに勝つには従来以上に多様な能力が求められるようにもなった。その過程で選手個人はもちろん、コーチングやトレーニングのメソッドの発達も促されている。一見しただけだとわかりにくいが、個々のプレーの質は上がり、以前ならエースやウイナーになっていたようなショットでも、なかなか決まらなくなってきている。全ての選手たちの平均点は10年前より向上してるなあ、というのが正直な印象だ。
 フェデラーが落ちたように見えるのは、単に彼のパフォーマンスだけで語られるものではなく、相対的な問題でもある。
 フェデラー自身、元々かなり完成度が高い選手だけに、今以上を求めるとなると、彼自身そう簡単ではない。
 しかし、彼が示した基準を満たすために、能力のあるライバルたちが正しく精進すれば、最初は大きかった差でも縮めることはできる。その意味で、ターゲットとしてのフェデラーがいる多くのライバルたちと、目標は全部自分で決めて自身で高めていかなければならないフェデラーとでは、言葉にしがたい差が生じる。追いかける方が楽で、No.1は辛い、という例の考え方だ。
 そこに彼の病気や怪我(今の所大きな問題ではないようだが、フェデラーは足首に持病を抱えている)などで起こりうるアップダウンが加わって、今季のような状況になっているのだろう、というのが客観的な見方ではなかろうか。
 ナダルに関しては、フェデラーと同じ文脈で語りにくい。フェデラーはサービス、ストローク、機動力、戦術やメンタルに至るまで隙が少なく、攻略するのが大変な選手だが、ナダルは比較的弱点と長所がはっきりしているため、攻略もフェデラーよりは簡単だからだ(あくまでもフェデラーとの比較の問題だが……)。
 彼はサービスに明らかな弱みがある。それがボールが弾みにくい速いサーフェス+ボールになると顕著に出てしまうし、ハードコートではその機動力も落ちる。
 フォアハンドは地面から発射されたのか、というほどにボールが跳ね上がるわ、スライドしてとんでもないカバー範囲はあるわのクレーのナダルだと、弱点がサービスだとわかっていた所で相手も攻めきれないが、ハードコートであれば別問題。ブレークやダビデンコ級のライジング力と展開力、決定力を持つ選手なら、攻め手があると見なせるはずだ。
 ナダルが芝でも強いのは、その機動力がスポイルされないからではなかろうかと我々は考えている。彼は打点に対して飛び込んでいけるサーフェスでは、さほどの影響を受けないのではなかろうか。確かに芝では彼のフォアのトップスピンの威力は落ちるし、前にポジションを上げて出て戦わないと「ボールが来ない」ということも多いだろうが、それ以上に、現代では「芝を得意としているプレーヤー」が少ない。例えば、ウインブルドンで自分の持つ実力を最大限発揮しきって戦えている選手がどれだけいるか、と想像すればいい。クレーやハードでは水を得た魚のようになる選手たちが目白押しになるのに対し、芝ではやりにくそうにしている選手がほとんどだ。
 そうなると、あとは個人の持つポテンシャルの違いが結果として現われる。少しでも多くの自分の戦える武器を使えた選手が有利となるわけで、ナダルはその機動力とトップスピンによるコース選択の自由さに大きなアドバンテージがある。また、彼のレベルのサービスがあれば、芝でなら大きな弱点にはなりにくい(左利きだし)。
 ただ、ナダルの課題は自身でも前から話している通り、サービスだと我々も考えている。スペインのエミリオ・サンチェス氏に取材した時に聞いたのだが、「彼は本当は右利きだから、肩より上のショットはナチュラルじゃないんだ」だという。なら、サービスだけは右で打てばいいのに、と咄嗟に思ったが、そう簡単な話ではないのだろうか……。
 球質というのは、ハードではフラットに、クレーではスピンで、などと簡単に変えられるものではない。意識して程度を変えることぐらいはできるが、フラット系の人はフラット系のテニスで自分のプレーを構築してきているもの。スピン系の選手がハードコートに行ったからといって突然、ライジングプレーヤーにはなれない。
 ナダルはそのテニスの中で勝つ方法を見出さなければならない。その中で、彼や彼の陣営が「まだ伸ばせる」と考えているのがサービスなのだろうし、我々もまたそう考える。
 まずはサービスの攻撃力を上げてフリーポイントを取れる機会を増やすこと。そうするだけでも彼の試合展開が楽になり、大会を通じた体調管理がしやすくなる、のではなかろうかと思うのだが、そんなのは彼自身も百も承知だろう……。
 1位が入れ替わるためには、ナダルがクレーコートを去年並みの勢いで勝ち続けるのと同時に、フェデラーが早期敗退を繰り返すこと(あるいは出ていた大会に出ない)が最短での条件。ナダルもウインブルドンまでは好調だっただけに、負ければポイントを失うだけで上積みがないのが痛い。一方のジョコビッチはクレーで決勝に進むとポイントが上積みできる可能性が高く、ナダルとフェデラーがもたつくようだと、ジョコビッチがウインブルドンまでに1位、という目もないではない。
 ナダルが1位になるには、やはり北米のハードコートで勝つこと。今まで苦手にしていた分だけ、勝てばポイントを上積みできるからだ。
 実は意外にもナダルは、結構細かくポイント計算をしているタイプのようなので、彼自身よくわかっているだろう……(そりゃ彼ほど2位生活が長くなると、自分で計算もしたくなるというものだ……)。


依頼内容1133: グランドスラムを全豪で初制覇したジョコビッチですが、昨年まで使用していたラケットとストリングを変更したようですが、ラケットは、Kブレ−ドツアーでフェイスも93に変更したのは、判りましたが、全豪の記者会見でストリングも変更したとコメントしていましたが、X−oneバイフェイズから何に変更したのですか?教えて下さい。

神奈川県のテツローさん

報告1133:  現時点では不明ということになっている。従来は入っていたテクニファイバー社のステンシルマークもラケットから消えているのは、ウイルソン社との契約がランクアップしたからだとも言われる。
 調べてはみるが、果たして報告できるかどうか……。


依頼内容1132: いつも楽しくスマッシュを読ませていただいております。
アガシは新しいラジカルを使用しているのでしょうか?
サンプラスはこの先ラケットをKの方に変更する予定はないのでしょうか?
よろしくお願いいたします。

福島県の大日本人さん

報告1132:  ご愛読ありがとうございます。
 アガシは新しいラジカルを使ってイベントには出ていた。
 ただ、今後のこととなると、さすがに我々にもそこまでは調べがつかない。
 アガシもサンプラスももう現役ではないので、現役時代のように自分のためだけにラケットに我が侭を言うことも少なくなるだろうし、契約メーカーの意向も汲んだ選択をするのではなかろうか、とは思うのだが……。
 正直に言って、彼らのような引退選手たちの場合、常にコートに出てくるわけでもないし、今は積極的にエキジビションマッチをやっていても、いつ止めてしまうかわからない。何しろ基本的に「もうプレーする必要のない人たち」なのだ。従って、「今後」については誰にもわからないというのが、最も誠実な報告となると思われる。


依頼内容1131: 最近ベンジャミン・ベッカーが気になっています。少し気になることなのですが彼はタイトルをとった事があるのでしょうか?
ATPのサイトをみてもわからないので教えてください

石川県のPN李さん

報告1131:  2008年3月のインディアンウェルズ開幕前の段階では、彼はまだツアーではタイトルを取ったことはない。2007年のバンコクの大会で準優勝があるのみだ。
 ドイツ人だが、アメリカのテキサスのベイラー大学でテニスをしていたことで知られ、2004年にアメリカのインカレにあたるNCAAで優勝したのが、大きなタイトルと言えばタイトルと言える。


依頼内容1130: いつも読ませてもらってます。
前からリンゼイ・ダベンポートを応援してるんですが、2つ気になったことがあったんで、投稿しました。
彼女、厳しいボールに対して諦めが良すぎじゃないですか(笑)・・体力温存も大事だし、体が大きいから機敏に動くのは苦手なのかも知れないですけど、あまりにあきらめが良すぎるのは相手にプレッシャーを与えられないと思うんですけど。気のせいでしょうか?
というのも、不遜を承知で言わせてもらうと、私は彼女にエナンのような、しつこさというか、いやらしさがほしいんです!! 2005年には全豪・全英でファイナルまで進みましたけど、結局負けましたね。ああいう大舞台でセレナ・ヴィーナスみたいな選手を前にすると、どうしても淡白というか、あきらめがいいというか、あまりにもきれいに負けてしまうような気がするんです。それが私にはすごく悔しい・・めちゃくちゃでもいいから、しつこく食い下がってほしい・・と勝手なことを思ったりしてるんですが、それでも彼女は3つもグランドスラムタイトルを獲って、No.1にもかなり長く在位した、いわゆる「女王」ですよね。2005年にもNo.1に返り咲きましたっけ。そこのところが不思議なんですよ。普通エナンとか、シャラポワみたいなものすごいハングリーさが無いと、女王になれないと思うのですが。無欲の為せる業でしょうか?とても不思議な選手です。でもそんなこところが好きなんですけどね(笑)。そのあたり、客観的に分析してくれませんか?
あともう1つだけ・・
彼女のゲームをYouTube等でチェックしてるんですが、いろんな解説者が、彼女のショットに対して、「彼女は非常にクリーンにボールをヒットする」とか「彼女のショットメーキングはとてもクリーンだ。打点が非常にクリーンだ」というように、やたらclear/cleanを連発するんですよ。編集部のみなさんはなんのことか分かりますか?
私も漠然とダベンポートのショットメーキングはきれいだなあと感じているんですけど、具体的にはわかりません。
ただ、彼女は面の操作が器用だし、要するに当たりがいいじゃないですか。そのことかなと思ったり、ライジングで、つまり「点で」ボールをとらえることかなと思ったり・・
雑誌でもクリアな打点、クリーンヒットって表現されてるけど、正直意味がよく分かりません。分かりやすいように説明していただけませんか?
リンゼイもスマッシュさんも大好きです。がんばってください!!

東京都のワカメさん

報告1130:  ご愛読ありがとうございます。
 今、中日ドラゴンズの監督をしている落合さんは現役時代には「天才打者」と呼ばれた選手だった。しかし、彼は凡打を打った時に、ノーチャンスだと判断すると1塁に真面目に走らないことが多かった。同時に彼は守備でも「自分では捕れない」と判断したら一歩も動かなかった。それを指摘されると、「自分の足では内野安打にはならない」、「自分の守備力では飛びついても無駄」という判断が早かったのだ、と当時の彼は言っていたものだった。
 ……ダベンポートもこの見切りがとても早いと考えるといいのではなかろうか……。
 彼女は決して敏捷性の高い選手ではない。しかも、一度バランスを崩すと、容易には立て直せないタイプの選手で、例えばエナンのように大きく左右に振られても、しっかりとポジションに入り込んで強いボールを打てる選手ではない。
 もちろん、切所では粘りもするが、彼女はそこからそのポイントを挽回するよりも、その次のポイントを取れればいいという考え方なのではなかろうか。これは、自分が打てる体勢でポイントを支配できれば負けない、という自信に裏打ちされていてこその態度であって、女王として堂々たる姿勢だとも思うのだが、いかがだろう。
 仮に、それがマッチポイントであったとしたら、「肝心なポイントを支配できなかった自分の負け」と潔く諦めている、とも見ると、なんとも清々しくてよい。
 彼女のポイント支配力は非常に高い。格下相手の試合でそれは顕著なのだが(彼女の調子がいい時の格下相手の試合は、実に見事に試合を支配しきって、あっという間に終わることが多い)、こうした試合での彼女はサービスゲームでは自在にポイントをコントロールする。たまにまぐれ当たりのような形でポイントを相手に取られても全く気にしないで押し切り、リターンゲームでもリターンから自在に相手を振り回す。
 こうしたプレーは彼女の持つ技術の高さがそれを可能にしているのだが、たまに相手にナイスショットを打たれても、全く動じることなく、自分のプレーに徹しようとするのがダベンポート。そして、相手のナイスショットが2発、3発と続けばそのゲームをあっさり落とすのも彼女の特徴だ。そして、いい時の彼女は、それを滅多にさせない。相手がナイスショットで乗りそうな直後にきちっと締めにかかって、それをまぐれ当たりに終わらせる力がある。それが彼女が女王の座に就けた理由だろう。
 彼女を相手にしたケースで、ナイスショットを連発する能力のある選手というのは多くない。「先に振り回そう」というのは彼女と対戦する誰もが考える手段だが、それができる選手は多くないし、試合の間中ずっとそれをミス無く続けられる選手はさらに少ない。そして、恐らくは彼女自身もそう考えている。だから彼女はここまで勝ててきていたわけで、それが彼女の自信の裏づけにもなっているはずだ。
 だから逆に、それをやられてしまった時の諦めが早いのかもしれない。
 また、アメリカ人らしい合理主義的な考え方で、自分のできることやその武器を最大限に生かして戦う。できないことで無理は基本的にはしないし、それに期待もしない。とにかく自分の持つ能力を最大限使いきることに集中する、ということなのかもしれない。
「クリーンに打つ」というのは、シャラポワや今の錦織選手も同じ評価をされている。かつてはアガシもそう言われた。
 プロと言ってもみんながみんなきれいにスイートスポットで打てているわけではない。案外ガシャ打ちの選手も少なくない。東大の学生さんでもトップとビリがいるように、きれいにボールをラケットに当てて打てる選手と、そうでもない選手が、プロでも分かれるのだ。
 現象面から言うと、フラットに打ち抜く能力が高く、スイートスポットで捕らえる能力が高く、それも風や相手のボール、サーフェスの状態に左右されずにきれいに当てられる調整力が高い選手を「クリーンに打てる選手」と呼ぶことが多い。フラットというのは、コントロールが点になるため、きれいに当ててコントロールできないと、すぐにアウトしたりミスになりやすい。逆にパワーがあって、トップスピン系の選手は、打点が多少ズレても力で強引に持っていけるために、この打点のクリーンさが希薄になっているケースがあるのだ。
 このクリーンに打つ能力、実は練習さえすれば誰にでも身につく、というものではなさそうで、この感覚を持っている選手と持っていない選手は割合明確にわかれるもの。野球の世界で言うと、ミートのうまい選手とそうでない選手がいるのと似たような感覚なのかもしれない。そして、それを持っている選手にとっては生涯の武器となりうる強力なものであるのもまた間違いない。


依頼内容1128: 一応過去の質問も調べたのですが、似たようなのがなかったのでお尋ねします。

プロのトーナメントでは1試合ごとにストリングスを張り替えるそうですが、プロはラケットやストリングスそれぞれ契約があり、単純に契約ストリングスメーカーのブースにラケットを持ち込む訳にはいかないこともあるのではないでしょうか?

国内では、バボラはダンロップが、テクニファイバーはブリジストンが販売してますが、海外では販売代理店も違っていると思います。その場合プロはどこにラケットを持ち込むのでしょうか?また、ストリンガーの立場では、契約プロが使用するストリングスは、全部会場に持ち込むのでしょうか? ラケットテスト中で黒塗りだったときには、内緒でそれまでのメーカーのストリンガーに張ってもらうのですか?

いろいろなケースを考えているうちに訳がわからなくなってきました。よろしくご回答お願いします。

東京都のRuthさん

報告1128:  選手は試合で自分が使いそうな本数のガットは持参して遠征に出ることが多い。基本は選手の持参だ。大会には必ず公式ストリンガーがいるもので、そのストリンガーさんはどんなメーカーのものだろうと基本的には張ってくれる。だから、心配はいらないのだ。
 問題が生じるのは持参したガットが足りなくなったり、試合の状況に全く合わず、変更したくなった場合。この場合、契約ブランドのブースやサポートが大会に来ていれば何とかしてくれるだろうが、必ずしもそうとは限らない。そうなった時には、選手はガット代を支払ってストリンガーさんに張ってもらうことになる(張り代は選手なら無料だが、ガット代は有料というのが普通)。
 契約のある選手たちが自分の契約メーカーのブースにストリンギングを依頼するのは、別にそうしなければいけないというわけではなく、そこであればガット代がかからなかったり、自分のデータを持っていたりするので、頼みやすいというのもある。
 また、トップクラスになると「自分用のストリンガー」を帯同させていることもあるし、大会のストリンガーなどではなく、コーチや親、兄弟などの陣営の中の誰かが張っている、というケースも実際ある。
 トップクラスではなくて、出始めの貧乏な選手で、ガットの契約もなく、また、持参してきたガットが足りなくなった場合、しかも、お金がない場合はどうするのかと言えば、大会の公式ストリングメーカーのブースで交渉することになる。たいていは公式ストリンガーを務めているガットメーカーのステンシルを入れて試合を戦う代わりに、ガット代をタダにする、という条件で提供されるケースが多いはずだ。例えば全仏で逆三角の例のマークが付いたラケットを持っている選手がいたとしても、全員がその該当ブランドの契約選手、とばかりは限らないわけだ。特にジュニアの場合は、こうしたケースは珍しくない。


依頼内容1126:  かつて80年代末期〜90年代にかけて、女子テニス界では、グラフ・セレス・ヒンギスと10代の天才少女が女王を倒して新たな女王となる、というパターンが繰り返されました。当時は「今後もそういうパターンが続いていくんだろうな」などと思っていたのですが、近年は女王どころか10代でGS優勝する選手すら少なくなっています(シャラポワとクズネツォワぐらいでしょうか?)。これにはいったいどういう理由が考えられるでしょうか?
 グラフ・セレス・ヒンギスが特別な天才だったと言ってしまえばそれまでのような気もしますが、女子ツアーの層がかつてよりも厚くなったこと、パワー化が進んだため体のまだできていない10代の選手が2週間を勝ちきることが難しくなったこと、などが原因かなと考えましたが、他にも理由が考えられればよろしくお願いします。
 個人的には、10代の天才少女がバーンと出てくるほうが盛り上がるんだけどな〜などと思ってしまうのですが、やっぱり現在では難しいんでしょうか?

岩手県のバラージさん

報告1126:  グラフやセレス、ヒンギスが特別だったのは言うまでもないが、当時と比べると、女子テニス界そのものが、競技としての成熟を遂げた結果として、若手の大活躍が生まれにくくなっているのは依頼者のおっしゃるように確かなことだろう。
 女子のデビュー年齢は相変わらず早い。15、16歳でツアーレベルでバリバリやっている選手も数多い。しかし、トレーニングメソッドの発達や、選手たちの意識の向上などが進んで、20代後半になっても、昔のように目に見えて力が衰える選手が少なくなってきた。最近では30代の選手も当たり前のように現役を続行するし、その力が10代の選手に比べて明らかに劣っているということも少なくなってきた。
 以前、調べた時には、女子だと確かに10代での活躍選手も目立つのだが、それはやはり目立つだけで、ランキングの上位の顔ぶれや優勝者たちの平均年齢、最高ランキングをいつ記録したか、などのデータで調べなおすと、女子でも20代前半が数的には圧倒的に多いという結果が出たことがある(逆に10代でトップ20とかに入るのは、シャラポワやサフィーナのような大型選手が中心だった)。
 10代選手の活躍は話題になる。当然だ。しかし、今はお姉様方も身体を鍛えまくっていて、10代の小娘たちでは太刀打ちできないぐらいのパワーを持っていたりする。昔はそういう選手がナブラチロワなどトップクラスに数えるほどしかいなかったが、今では大勢いる、と想像するといいだろう。
 また、昔であれば、17歳でデビューしても、選手たちの多くは20代後半で引退していたから、上の10世代ほどがライバルだったが、今は13〜17世代ぐらいのつわものたちとの戦いとなった、とも言えよう。16、17歳のデビューしたての選手が30代の百戦錬磨の選手と戦う時、そこによほどの実力差がなければ、経験の差でベテランに試合を持っていかれたとしてもそうはおかしな話ではない。
 特にジュニア世代のテニスではただボールが速いだけでも勝てたりする。だから、ジュニアのレベルの高い試合を見ていると、そのスピード自体は下手をすると大人のテニスと変わらないか、それ以上という試合に出くわすこともある。
 だが、テニスはボールが速ければいい、という競技ではない。どこにボールを打つかが大事で、従来以上にそれが重要視されるようにもなっている。
 ヒンギスのようにほとんど天性、としか言いようがないほど、それが最初から備わっていたならともかく、たいていの選手は負けながらそれを覚えていく。ここでは若さが経験不足としてそのまま不利な要素になってしまうのだ。
 ただし、ナンバー1になるような選手の実力に関してだけ言うと、我々は時代でそう変わるものだとは考えていない。ナブラチロワやエバート、グラフ、セレスと言った選手たちは、その全盛期の実力があれば、どの時代でもナンバー1を争うだけの実力があると思う。
 しかし、スポーツの世界のレベルを指標として見る時には、下層〜中間層の選手たちの実力が実は一番重要で、「レベルが上がった」というのは、この層の実力が上がることを意味する。そして、この部分に関しての実力は、年々着々と向上していると考えている。若い選手たちは最初にこの層の選手たちを倒さなければ上には上がれないが、この層の実力が高いと、そう簡単にはのし上がれなくなる。つまりはそういうことなのではなかろうか、と考えている。
 実は、日本のテニスファンとテニスの専門メディアは、世界でも稀なほど「青田買い」をしているファンとメディアだと思われる。例えば、本誌が初めてナダルを紹介したのは彼がまだ15歳の頃だったし、マリーもまだイギリス人以外にはほとんど知られていなかった時代に記事になっている。フェデラーに至っては、彼がまだデビューしてまだ間もない頃にインタビュー記事まで掲載していた。錦織選手の初登場は彼が小学生の頃で、その当時、すでに連続写真まで載せている。正直、やり過ぎではないか、と思うこともある。
 いつの時代も特別な存在は何の前触れもなく、彗星のように現われる。そんな選手の登場を楽しみにしながらテニスを楽しむのもいいものだろうと思うのだが、いち早く情報を知りたい、というのも人情ではあるし、メディアの役割でもある。
 難しいところだ……。


依頼内容1124: 現在プロテニス界では、ライジングの能力が必須になっていますが、その中でもライジングの能力が高い選手は誰でしょうか?
個人的にはフェデラー、サフィン、ナルバンディアン、バグダティスなどだと思っています。

神奈川県のてにばかさん

報告1124:  ライジングの能力の高い選手に関しては、ご指摘の4人だと我々も思う。フェデラーは短いボールか角度のついたボールを打って相手を前に引きずり出し、その返球をライジングで叩き返して抜く、というのを速いサーフェスでは一つのパターンとして持っている選手で、この時のタイミングの速さはほとんどショートバウンド。しかも、彼はここから自在に回転もコントロールする。彼は元々カーペットコートで抜群に強かった過去があるのだが、その頃に磨かれた感性ではないか、というのが一般的な評価となっている。
 サフィンは特にバックハンドで、ナルバンディアンとバグダティスは両翼のライジング力が高い。いずれも基本的に「フラットに打ち抜きたい」選手たちというのが共通項だろう。
 この他の選手たちを挙げるとすると、ガスケやグロージャンといったフランス勢にライジング力が高い選手が多く存在する。彼らの場合、下がってのテニスもするので目立たないが、フランス勢で活躍する選手たちの基本能力の高さは特筆すべきもので、彼らは何でもきれいにこなす。その割に頂点に届かないのは、逆に技術がありすぎるからではないかとさえ思う。
 また、ロシア勢でもダビデンコやテュルスノフといった選手たちはライジング力が高い。
 また、アメリカ勢はそのテニスの基本形として、強いサービスとフォア、そしてライジングによる展開力の3本柱をセットで身につける。彼らが育つアメリカのハードコートではそういうテニスができた方が強いからだが、ブレークやジネプリはライジングをその基本形にして戦っている選手と言えるだろう。
 男子の世界でライジングが必須なのは、普通のストロークがすでに軽いライジングになっているからでもある。男子のトップクラスのストロークは、ベースライン後ろの普通のポジションではまだ「上昇中」というほどスピンがかかっている(中でもクレーコートでは顕著)。つまり、一度落とした打点で安全に、などとやっていると、ベースラインのはるか後方から戦わなければならないのだ。その位置で戦うためには圧倒的なパワーと、凄い脚力が必須になるが、あのナダルでさえ、ハードコートでは前で叩かないと戦いきれないのを見れば、それがどれほど難しいかは想像可能だろうと思う。


依頼内容1114: アガシについて質問させて頂きます。この前アガシがマイクロジェルラジカルを使ってテニスをしていたようですが、その時のラケットの大きさはOSですか?Proですか?MPですか?
調査お願いします。

神奈川県のアガシは世界一かっこいいマルハゲさん

報告1114:  グラフと組んだエキジビションマッチに出ていたアガシの手には確かにMGラジカルがあった。その写真を確認したところ、ストリングパターンからOSの方ではないかと思われる。


依頼内容1110: エナンの練習メニューがすごいとよく聞きますが、練習メニューわかりますか?

北海道のキキさん

報告1110:  選手の練習というのは時期によってメニューが変わり、常に同じルーティンで同じ練習をしているわけではない。下半身を中心にしている時もあれば、オンコートを中心にしている時もあれば、上半身、体幹部などなどその時に必要なトレーニングを、必要に応じてやっている。
 トッププレーヤーたちの場合、大会中でもそれなり以上のトレーニングをするものだが、エナンやナダルと言った「ハードワーカー」で知られる選手たちは、選手間でも「あれはちょっと……」と言われるほどの練習量と負荷があるのだという(「大会期間中は体力を温存するために負荷をかけた練習は軽めにしないと持たない」とか言っているレベルの選手は、少なくともツアーレベルには少ない。ツアー中でも強化トレーニングをやって、それが身につき、壊れない身体というのも、トッププロに求められる基本性能なのだろう)。
 しかし、内容自体は別段特別なことをしていたというわけではない。以前、アメリカの雑誌に一部が紹介されたことがあったが、通常のジムトレーニングに加え、バランスを養うためのエクササイズ、敏捷性を上げるためのラダー運動、バイクトレーニングなどだった。ただ、その密度と強度が高いのだという。
 しかし、彼女と同じメニューをいきなりこなそうとしたら、一発でケガをするだろうし、三日坊主どころか一日でダウンだろう。


依頼内容1105: トミー・ハ−スが試合をしているDVDが欲しいのですが、どうすれば手に入るでしょうか?

埼玉県のトミーーー!!!さん

報告1105:  どの試合でもよく、また、全部入っていなくてもいいのなら、各GSのダイジェストビデオからお探しになるのがいいのではなかろうか。
 また、彼の公式サイト(http://www.tommyhaas.com/home.php)に時折動画が出てくるので、そちらをご覧になるのも良かろうか、と。


依頼内容1104: 「日本男子のトップはなぜ世界に通用しないのか」について教えてください。
オーストラリアンオープンが始まりましたが、また日本男子は予選敗退でした。何故日本ではトップでも、世界には通用しないのでしょうか?
自分が考えた理由としては「環境」が一番かと思いました。
選手層が薄い、レベルの高い国際大会が少ない、等が挙げられると思いますが、選手層の薄さが一番ではないでしょうか。実際、テニスがさかんな国と比べて、日本は競技人口(初心者〜プロレベルまで)とそのレベルは低いのでしょうか?
日本の競技人口とレベルに分けたときの層は、世界と比べてどのような分布になっているか、是非調査していただけませんか。

埼玉県のシュガーレスさん

報告1104:  トップクラスにとっての環境と、一般プレーヤーにとっての環境は異なる。テニス人口が単純に増えればいいというものではないだろう。事実、日本のテニス人口は、最近はやや減少傾向と言われている中とはいえ、世界でもその人数自体はむしろ多い方だ(統計の方法にもよるが500〜700万人の間と言われている)。
 また、日本は一般プレーヤーにとってのテニス環境は正直そう悪くない部類に入ると思われる(山地が70%を占める国土の環境と、人口密度に比べれば上出来の部類だとさえ考えられる)。都市部のコートは常に過密状態でも、少し郊外に行くと使う人もないまま草生しているテニスコートも少なくはない。第一、一般プレーヤーが野球やサッカーを楽しもうと思うと、公営のグラウンドを抽選で借りないとプレーそのものができない。私営のコートが多数存在し、お金さえ払えばできる環境があるという意味では、テニスはかなり恵まれている方ではなかろうか。
 また、実は一般レベルのプレーヤーの質は日本はかなり高い方だと思われる。これは日本にあまたあるテニススクールの指導力のおかげなのだろうが、草トーの世界大会かなんかをやったとして、元選手カテゴリーの出場を禁止したら、日本は男女共に世界でも上位にくるはずだ。海外に取材に行き、町のテニスコートで遊んでいる人々を見ると、恐ろしくうまい人もいるが、一般的には日本と大差はない。実際、アディダスが毎年開催しているアディダスカップで、出場者がフランスの一般愛好家と対戦したところ、日本の圧勝だった、ということもあった。
 問題は環境と呼ばれる範囲の中で、日本男子選手にとって決定的なのは、「国内のレベルが高くない」ということに言及できるのではないかと我々は考えている。ここははっきりさせておこう。あらゆる指標から見て、日本の競技レベルでの男子のレベルは現時点では高くない。まずこれを認めなければ話が前に進みはすまい。
 また、テニスの強豪国と日本との違いの中には、強豪国における競技志向のプレーヤーはそのまま直線的にプロを目指すのに対し、日本の場合は学校の部活動に入り、学校の大会に励むことを「競技志向」と捉える雰囲気が強いことも指摘できる。
 これはテニスに限らず、全ての競技で最近までそうだったが(サッカーは近年、高校サッカーよりも、ユースクラブの方が選手の供給源として機能し始め、学校を経由せずに直線的にプロを目指す形式となりつつある。ただし、日本のサッカー界は元々、学校サッカーも含めて上下一体となって最終的には日本代表を強化するという意識が強かったのも付け加えなければなるまい。高校野球と違って、高校サッカーは選手のライフを使い切るような無理はさせず、いい選手は大切にして上のカテゴリーに上げるという意識が昔から強いのだ)、日本でスポーツ活動をしたければ、学校の部活動が主役というのは、世界的な趨勢に照らして言い換えると「競技志向のプレーヤーの人口は極少数である」とも言える。プロというカテゴリーが存在し、そこで活躍すれば十分な収入が望めるスポーツであるテニスにおいて、プロを目指していないという時点で世界ではすでに「競技志向ではない」と判断されても実はそう間違った話ではないのだ。
 その意味では、例えばジュニアの大会には目もくれず、能力のある子どもはプロ一辺倒というスペインと日本などを「競技人口」で比べたら、全くもって比較にならない、という話になるだろう(それでもまだ、日本の中高のテニスの大会がちゃんと3セットマッチ以上で開催されていればマシなのだろうが……)。
 世界的な基準に照らしての「競技志向」というのは、インターハイやインカレで勝つことではなく、文字通り「世界一を争うために戦う」こと。こうした考え方は五輪の記録系競技などでは比較的自然に受け止められているようだが、古い体質の球技の中には、選手も周囲もこの辺りを理解できていないような気配がある。
 競技人口ももちろん関係あるのだろうが、国民の人口自体が少ないスイスからフェデラーが生まれ、サッカーに人材を取られまくっているはずのヨーロッパや南米、野球やバスケ、フットボールやアイスホッケーなど様々な人気競技に人材を取られまくっているアメリカでは継続的に強豪が出ている。日本では「野球に人材を……」と呪文のように言う人がいるが、そんなもの何の言い訳にもならないと知るべきだろう。世界中で状況は同じようなもので、テニスがNo.1で人材に事欠かないという国は今の所ない。
 テニスは個人ベースの対戦競技。一人でストイックに練習するのももちろん大切だが、強い対戦相手と戦うことでしか磨かれない能力がある。ボクシングだろうが、空手だろうが、あるいはサッカーでも同じで、これは全ての対戦競技で「常識」だ。
 強豪国の場合、すでに強い練習相手がいるため、彼らと日常的に試合練習ができるが、レベルの低い国では、練習相手のレベルもそれなりでしかない。日本男子が強い相手と試合をするにはランキングを上げて公式戦で戦うしかないし、試合練習をしてもらうにも、日本につれてこられない以上、海外に行かなければならない。しかし、強豪選手と練習する、というのはよほど親しければ別として、相手だって練習したいわけなので、相手にしてくれないかもしれない。
 調査団としては、日本男子最大のネックはここなのではないかと考えている。
 日本の野球は幸いにして世界屈指のレベルの高さがある。だから、日本のプロ野球でもまれた選手なら、MLBでも即戦力として活躍できる。日本の柔道は強い。だから、海外から武者修行に多くの強豪もやってくる。それが選手たちのレベルの底上げにもなっている。
 スペインはテニスが強い。すると自然と周辺の諸外国からも強豪が集まる。スペインはヨーロッパの強豪国の中では暮らしやすく、比較的物価も安かったためか、多くのヨーロッパ人が今も拠点にしている。サフィンやアンドレイフはフェレーロのアカデミーで練習しているというし、クズネツォワやシャラポワもヨーロッパラウンドでの拠点はスペインに置く。ナダルはモヤと一緒に練習している。日常的に彼らのボールを受けて練習していて、強くならないほうがどうかしているだろう。
 アメリカ、と言ってもテニスが盛んなのは西海岸の一部と、東海岸のフロリダ周辺部になるのだが、ここには全米から、そして世界中から有望選手が集まる仕組みが出来ている。金持ちたちはリゾートで金を落とし、あるいは金持ちのジュニアたちがスクールに金を落とす。有望な選手は世界的なマネージメント会社がバックアップについて、プロモーションされる。それらがもたらす経済が、上から下のレベルまでのジュニアたちのテニスインフラに投下される。彼らにとって「金の卵」であるジュニアたちと一緒に移民してきた親たちは、そのリゾート周辺で職を得る。これはある種の二極化がわかりやすいシステムとして機能し、循環していると見ることも出来る。要するに格差が生んだシステムだ。あまり大きな声で語られることはないが、テニスのようなエリート競技は、格差の中で磨かれるという側面がある。総中流だとエリートは生まれないし、場合によっては足を引っ張り合うが、上下に分かれた場合、下からは猛烈な上昇志向が生まれ、上はその余裕から贅沢に投資ができるというわけだ。上下の社会に流動性ない場合は、絶望感が支配するようになるだろうが、流動性がある場合には厳しい競争社会となる。アメリカはこれを受け入れて機能させている国なのだ(無論、弊害も多い)。
 では日本のテニスがどうかと言えば、今はその環境を整えようと各方面が努力している最中だと考えていただきたい。マイナー大会が数多くできた。これは進歩だろう。選手たちは国内でポイントを取ることができるし、一つの大会ではダメだったとしても、自国であれば、翌週の大会までに立て直しやすいはずだ。
 隣の中国での話しとはいえ、マスターズ・シリーズが全米の後に新設されることが決まった。そのシリーズの中に有明の大会も組み込まれた。この時期に世界の強豪たちの中には、この時期は日本を拠点としよう、という選手だって出て来るはず。これらをチャンスと捉えたい。
「環境」は整えるものであって、整えてもらうものではない。自助努力が必要だ。選手たちは自分より強い相手を求めて旅をするべきだろうし、強化を担当する分野の人々は、イギリス協会がそうしているように、世界中の優秀なコーチを集めたり、大会だけでなく、強豪選手を招聘する機会を作るという手もあるだろう(例えば、引退したてのトップ選手であれば、一定期間招聘することは不可能ではないはずだ)。コートが足りないなら、どんな田舎でもいいから作ればいい。田舎では不便? テニス選手は世界中を旅する仕事ではないか。
 あとは、一般プレーヤーの認識にも多少の変化が欲しい。ファンが選手を支える存在であるという自意識が日本のテニスには希薄だ。観客として大会に足を運ぶのはもちろん、一般プレーヤーが用具を積極的に買い換えたり、テレビ中継を見たり、スマッシュを買ったり(?)するのは遠く、日本の選手たちを支援することになっている。ファン、選手一体となってのムードが今のテニス界には必要だと思うのだが……。先は長そうだ。


依頼内容1103: 僕はナダルの大ファンです。そこで聞きたいんですが、ナダルは本当にグリップが厚いですか? あと、頭上にラケットをふるスウィングをするときと、しないときで、どう打ち分けてるのですか?

東京都のナダル・・・さん

報告1103:  2008年1月号に彼の詳しい分析記事が載るはずなので、そちらも合わせて参考にしていただけると幸いだが、彼のフォアのグリップは厚い。これは間違いないところだ。
 頭上にラケットが振り上げられるのは、グリップの厚い人の場合、打点が身体に近い時に自然とそうなる。引き付けてストレートから逆クロス方向にコントロールしようとすると、自然とそうなるのだ。
 逆に前に打点を取った場合、グリップの厚く、しかもトップスピンをワイパースイングで打つ人のフォロースルーは自然と肩より下へと向かう。これも自然な動作だ。
 依頼者は「頭上にラケットを振る」という言い方をされているが、頭上にラケットが行くのは結果としてであって、最初から頭上に振り上げよう、という意識はそこにはない、ということを理解していただきたい。動作の結果、自然とそこへ行くのだ。


依頼内容1102: エナンは左腕に時計をしていますが、右腕につけているものは何ですか?

大阪府のわったんさん

報告1102:  ……依頼者は、エナンの熱烈なファンとお見受けする。
 早速、写真を調べてみると、確かに右腕に水色のバンドのブレスレットのような何かをつけている。○ァイテンのブレスレットに似ているが……。磁気ブレスレットの類いだろうか……。
 調べてみたのですが分かりませんでした。継続調査とさせてください。


依頼内容1101:  今年のフェド杯は、決勝で3連勝したロシアが優勝しましたが、優勝が決まった後になぜか第4試合も行われましたよね? なぜなのでしょうか? せっかく試合を見に来てくれたお客さんに1試合しか見せないのは申し訳ないというファンサービス的な意味合いなのでしょうか? 優勝チームが決まった後の消化試合ではお客さんもあまり盛り上がらないような気もするのですが……。

岩手県のバラージさん

報告1101:  勝負が決まった後の4試合目以降は戦わなくてもいい、というルールは存在する。ただ、それは両国が合意の上でキャンセルというスタイルだ。しかし、たいていの場合、消化試合も行なわれる。男子のデ杯の場合、3セットマッチに変更して消化試合が行なわれるケースが多い。
 勝負が決まった後とは言え、入場料を取って開催される興行なので、観客のため、という意味合いももちろんあるし、両国ともに代表に選ばれながら出番のなかった選手に経験を積ませたい、という意味合いが生まれることもある。また、対戦の目玉になった選手の姿を観客に見せるという純粋に興行的なケースもある。それに、ホームチームが勝っていた場合、消化試合でもそれなりに盛り上がる、ことが多い。
 キャンセルになるのは、どちらかの国のメンバーが少なく(登録は4名までできるが、最低2名いれば試合はできる。ごく稀に2〜3名のみで対戦に臨む国があるし、4名いても誰かが故障で使えなくなっているというケースもある)、選手に無理をさせて最終試合までやりたくないという事情があるケースや、天候の悪化、日没などが原因としては多い。


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