このコーナーは、本誌と連動する 『スマッシュ調査団』と『テニスフリートーク』で構成されています。
 『スマッシュ調査団』は、テニスに関する素朴な疑問を調査・解決していく、本誌で大好評連載中のコーナー。毎月寄せられる多くの依頼に本誌だけではとても答えていけそうにない。というわけで、インターネット部門を開設することになりました。このコーナーは随時更新していく予定なので、こまめにチェックして下さいね。依頼は、従来通り本誌宛へのお葉書はもちろん、インターネットでも受付けます。インターネット受付分から本誌への展開もあるので、「アレって何かな?」と思ったら、依頼してほしい!
◆応募方法
・下にある投稿ボタンより専用フォームを呼び出して、必要事項をすべてご記入の上送信して下さい。
・投稿されたご意見は、編集部を経由して随時このページに掲載していきます。(ただし、掲載にふさわしくない等編集部で判断したものは除かせていただきますので、予めご了承下さい)。掲載に際しては氏名のみを掲載しますが、ペンネームでの掲載を希望される方は、忘れずにペンネームを記入しておいて下さい。
**** 技術 ****

依頼内容1147: 大学でテニスをする予定なのですが、ダブルスで組むペアが軟式経験者である蓋然性が高いです。僕自身ストロークは得意でボレーは苦手です。そこでダブルスをする際はダブルバックで行こうかなと思うのですが、ダブルバックの基本的な動き、コツ、戦略等を教えて下さい

兵庫県のフレッシャーさん

報告1147:  依頼者のおっしゃるダブルバック、というのは、両手打ちのことではなく、二人とも後ろに下がった形のダブルスと理解した。
 このスタイルの基本的な考え方はシンプルで、ストロークを深く、そして強く入れること。角度はつけず、基本は真ん中に返し続けること。万一、ドロップショットを落とされても、必死で取って、相手に前のスペースを使わせないこと。ずっと後ろにいるだけでなく、押し込んだら時には二人で前にも出て、ボレーでも決めること。
 以上だ。
 正直に言って複雑な戦術はない。とにかく真ん中に深く打つのがベースで、あとは相手次第になる。


依頼内容1145: 僕は、グリップはフォアハンドはイースタングリップで握っています
このグリップは強い回転をかけにくいと聞いたんですけど
このイースタンでは武器になるストロークうつことはできますか?
サンプラスはやヘンマンなどは薄いグリップをいかしてどんなショットをうってたんのですか?
このグリップでトップスピンをかけることはできるのですか?
お願いします

北海道のテニス少年さん

報告1145:  トップスピンをかけるのはコンチネンタルでもできる。イースタンならなおさらだ。イースタンでも大昔は「厚いグリップ」とされていたのだし……。
 薄めのグリップの場合、打点が身体に近くなる特徴がある。これを理解してスイングを作れれば、スピンも普通にかけられる。
 サンプラスのフォアは、薄めのグリップ(それでもイースタン寄りのセミウエスタンぐらいだったが)で厚いグリップのスイングをしていた、という言い方で語られた独特のやり方で、「サンプラスがやっているからいいと言える」とも言われた特殊なものだった。
 ヘンマンの方がオーソドックスだった。彼は基本がフラット系で、スピン量も少なく、打って自然とかかる程度の回転量のフォアを打って展開していた。
 打点が近い分、スイングをタテ回転方向に出しにくいので、確かに回転量の多いボールは作りにくい。そのため、薄めのグリップの選手のスピンの場合、「ボールを引っ掛けるように打つ」というアドバイスがよくなされているようだ。


依頼内容1144: ループボールの利点と打つときの注意点を教えてください。
オープンで打つのと踏み込みで打つのをどういうふうに使い分けたらよいか教えてください。

北海道のゆうちゃんさん

報告1144:  2種類の質問ということでいいのだろうか? そのつもりで報告する。
 ループボールは一歩間違うとただのチャンスボールになる。目的は相手を後ろに下げて強打させないことと、時間をかせぐこと。そして、相手に難しいボールを打たせてミスをさせたい、ということだ。
 美しいループボールは、ボールはゆっくりでも、打てそうで打てないぐらいのスピードで頭よりやや高い位置を飛んで、深く落ち、そして弾むボール。
 相手がすでに前にいる時に中途半端なループを打てば、ボレーやスマッシュに捕まってしまう。相手が今まさに前に出よう、としている出鼻をくじけそうな時がベストタイミングだろう。
 オープンと踏み込みの使い分けだが、プレーヤーのタイプや身体能力にも関係しているので一概には言えないが、フラットに叩きたい時には踏み込んで、スピンで返したいならオープンでもOK、というのが普通だろう。また、構えて打てる余裕のある時には極力踏み込んで、その時間がない時にはオープンで、というのもよく言われることになる。
 どちらか一辺倒というのは柔軟性を欠くため、あまり推奨できない。


依頼内容1129: 今ぼくは一年以上グリップについて悩んでいます。
セミウエスタンで握るとコントロールしやすく落ち着いてプレイできるのですが握りずらいし面がインパクトの時に下を向いてしまうんです。
一方ウエスタンで打つと握りやすく、きちんと振りぬけるのですが、コントロールが全く駄目で、おまけにすぐ力んでミスをしてしまうんです。でも厚く当たるんです。でもセミより伸びないんです。
どっちのグリップでやっていけばいいでしょうか?
よろしくお願いします。

北海道の錦織ファンさん

報告1129:  いいボールが打てる方が、依頼者に合ったグリップだろう、ということぐらいしか我々にはわからない。
 相手が嫌がるようないいボールが、思ったところに打てることがテニスでは大事な要素。その視点からもう一度再考してみてはいかがだろうか? 
しかし、1年以上も同じことで、というのは悩みすぎのような気もする。
 何も考えず、とにかくいいボールが打てればいいとだけ考えて、細かなグリップのことは忘れてみた方が、依頼者の場合にはいいかもしれない。


依頼内容1123: コリアやフェレールのようなカウンターパンチャーを目標にしています。彼らのリターンを参考にしたいのですが、サーブを待っている時のグリップの握りがよく分かりません。教えていただけませんか?
あと、コリアとフェレールのグリップサイズ、ガットの種類、ポンド数も参考にしたいので教えてください。
面倒だと思いますが、宜しくお願いします。

愛知県のパチェロさん

報告1123:  まずリターンでのグリップに関して。彼らのようなクレーコーターが、クレーで戦う場合と、速いコートで戦う場合、または相手のサービスが速いのか、遅いのか、癖があるのか、全く読めないのかなど、要素はいくらもある。いつも同じである、とは考えない方がいい、というのは申し上げなければならない。
 一般に、極端なグリップで待つ、ということはしないものだが、回り込んで叩いてやろうと決めている時なら、フォアに厚めにしやすい状態で待っていることもあるだろうし、逆にそれを相手に見せてバックへ誘う、ということまでやるのがプロの世界。ある試合や、ある場面で、仮にフォアハンドに厚めにしていたとしても、それがいつもであるとは限らない。プロはそこでも駆け引きをする。まずは、そういう世界なのだと考えていただきたい。
 それから、技術的に参考にしたい、ということなので敢えて申し上げるが、「選手のプレーを参考したい」という心情は大いに理解するものの、グリップサイズやテンションに関しては、自分の手の大きさや、相手にするボールのスピードも考慮されないと、参考にはしにくいとお考えいただきたい。依頼者が日常的に200キロのサービスを相手にし、170キロの猛烈なスピンサービスを相手にしているならともかく、国内の一般プレーヤーを相手に戦うのであれば、彼らと同じ状態を再現することがそのまま戦力の向上につながるとも考えにくい。F1マシンのセッティングを参考に、乗用車をチューニングして公道を走るようなイメージとでも言えばいいのだろうか(そこまで極端ではないかも……)。いや、その心情そのものは痛いほどわかるのだが……。
 コリアに関しては正直、今の段階で彼が何を使っているかの情報を我々は把握できていない。あしからずご了解いただけると幸いです。
 フェレールは、ルキシロンのオリジナルの16ゲージを、23キロ(約50〜51ポンド)で張っていたという情報がある。これは昨年のクレーコートシーズンでの話なので、今はどうなのかわからない。最近の選手たちは、いつも同じ糸でも、テンションでもないことが増えている。今はそういう時代なのだとご理解いただきたい。


依頼内容1120: スライスとバックハンドはグリップを変えて打った方がいいんですか? フェデラーは変えていますか?

神奈川県のキムさん

報告1120:  通常のバックハンド(フラット〜トップスピン系ということでいいだろうか?)と、バックハンドスライスでグリップを変えた方がいいか? という意味だろうか。フェデラーを引き合いに出しているのなら、依頼者も片手打ちということでいいのだろうか?
解答としては「打ちやすいならどちらでもいい」となり、フェデラーについては「大抵は変えているが、変えずに打つ場合があっても別に不思議ではない」となる。
 片手バックで強打系ならイースタンからセミウエスタン程度のグリップを使う人が多いのだろうと思うが、イースタンならスライスも打ちにくくはないだろう(セミウエスタンを超えて厚いグリップでスライスというのは、逆に超高等技術だろう……)。スライスはトップスピンの時とは逆で、グリップを薄くすればしただけ回転も多くしやすい形になっていく。コンチネンタルよりフォア側に厚くした裏でドロップショットを打つというケースだって存在しよう。
 変えた方がいいか悪いかは、打つ選手のセンス次第。飛んでいくボールがいいボールなら、やり方の間違いはない、というのが調査団のスタンスだが、一般論としては、変えた方がいい、というアドバイスがなされるだろう。


依頼内容1112: よくフォアハンドは止まって打てといいますが、利点は何ですか?

静岡県のPN馬塚 大輝さん

報告1112:  言葉というのは怖い。確かに「止まって打て」というアドバイスは普通になされるし、我々雑誌の技術解説でもよくそう説明している。
 しかし、止まって打つのが目的ではない。強くボールを打つのが目的なのだ。強くボールを打つには、下半身から伝えた大きなパワーを打点に集中させたい。そのためには走りながら、流れるような体勢からではうまく最大限の力は出せない。一度スイングの「ゼロ」のポイントを作って、そこからスイングを作り上げたい。そのために、一度動作を「0にしたい」という意味で止まって打つ、という表現になっているわけだ。実際には動きながら打っているように見えるプロたちも、ボールに対して走りこんできた時には、スイング動作に移る直前に一度「0」の部分を作って始動する。これを「止まって打つ」とテニスでは呼ぶわけだ。試合のビデオなどでも確認できるだろうが、雑誌の連続写真解説の方がわかりやすいケースも多い。というわけで、弊誌をよろしくお願いします……。
 話が反れてしまった……。
 何も両足でしっかりと止まって踏ん張り、野球の打者のように打たねばならないという意味ではない。テニスは実際には動かされながら打つことの方が多い競技だ。走りながらただラケットを出すのではなく、動かされながらでも一度スイングの起点を作ること、そのために少しでも余裕を持って打点に入ることなどを目指したアドバイスが「止まって打て」などのアドバイスだと理解するといいと思われる。


依頼内容1099: 試合でもっと勝つために、自分の得意なパターンを作りたいと思い、半年ほど前からアガシやスペーディアのようにラリーの中でどんどんライジングを使っていったり、リターンや相手のボールを切り返したりするのが上手いプレーヤーを目指して練習しています。もちろんプロようなプレーは才能やとてつもない努力があってこそのものなので真似できるものではないことはわかっています。
それを踏まえての質問なのですが、
①一般の人でもあのようにライジングを多用していくプレーは可能なのでしょうか?
②ライジングが上手くなるにはどのようなことに気をつければいいですか?(フォームやフットワーク、練習で意識することなど)
③ぐりぐりのスピンのボールをライジングで返すのがとても苦労するのですが、どうすればいいでしょうか?

東京都のアガツィーさん

報告1099:  別にプロたちは宇宙人ではなく、同じ人間だ。ただ、人より多くテニスの訓練を小さな頃から繰り返してきた人々というだけだ。よって、彼らができることは練習によってある程度は再現可能だと考えるのが科学的な思考だろう(全ての再現は個人の資質によるので、できる人もいれば、できない人もいるという話になる)。
 ライジングに関しては、少なくとも男子ではもはや標準装備の技術と言える。というのも、今の男子たちのストロークでは、普通のラリーがすでに軽いライジングのタイミングになっているからだ。
 ライジングの練習で気をつけるといいと言われているのは二つだ。待って打つのではないので、相手のボールが打たれた時点でそのコースと球種、どんな風に弾んでくるかを把握して打点に対して自分で入っていく、という意識を強く持つこと。次に、できるだけ低い姿勢でボールに入っていくことだ。
 フォームに関しては必要以上に大きくしないこと。力で打つのではなく、タイミングで打つという意識が必要だと言われる。
 身体の中にライジングで打つリズム感が出来上がってくるまでにかかる時間や練習量は個人差があるようだが、それがある程度できてくると逆にライジングで打つ方が楽になるという話もある。
 ぐりぐりのトップスピン相手のライジングは誰でも苦手だ。かつての日本女子黄金時代を支えた伊達さんや沢松さんが、相手にムーンボール攻めにあって苦労していたのを覚えておいでであれば、ライジングプレーヤーの弱点はムーンボールだ、ということも言えよう。以前、沢松さんが話していたのは、自分も当初はすごく苦労した、という話だったが、彼女は「バウンド地点に走りこんで打つ」という練習をして乗り越えたのだと言う。
 通常のラリーでは、バウンド後に実際に打つポジションをイメージしながら移動してボールを打つ体勢を作っていくものなのだが、沢松流のぐりぐり対策は、ぐりぐりのボールを一度弾ませてしまうと逆に手に負えないが、上がりっぱなを捕らえて打ち返せばいい、というものだったそうだ。
 ぐりぐりのスピンボールのバウンド時の初速は速い。それだけ難易度は上がる。しかも高い軌道を描いて飛んでくる分だけ、ボールの軌道につられて身体が上に伸び上がりやすい。それらに注意の上、弾んだ後ではなく、落ちたところに走りこんで打点を設定する、というのが対策の一つなわけだ。より打点意識を明確にしないと、ボールに速度がある地点で打たねばならないので難しいが、振らなくても合わせるだけである程度のパワーを確保できるので、実は身体的パワーが低くても強いボールを作りやすいメリットもある。
 ただ、これらを体得していくには結局、数を打つしか手立てはないらしい。大体、プロにある技術に関して聞くと、色々とコツや感覚は教えてもらえるが、最後は「たくさん打って身体に覚えこませる」過程を抜きの話にはならない。そのつもりで精進していただきたい。


依頼内容1098: ジョコビッチ選手についてお聞きしたいのですが。フォアハンドは厚いグリップを使用してますが、そうなると面が下に向いてボールがネットしやすくカラカラのスピンになるはずですが、なぜあれだけ厚い当たりで相手コートに深く入れたり低い弾道のボールをうまく処理できるのでしょうか?

兵庫県のトップスピンさん

報告1098:  まず考えられるのは相手にしているボールが、一般プレーヤーとは違うことが考えられる。トッププロの男子のスピンのかかったストロークが、サービスラインより深く落ちてきた場合、ベースライン上ではボールはまだ「上昇中」であることがほとんど。つまり、面は多少下に向いていないと、入射角と反射角の関係で、前には飛んでくれないことが多いのだ。
 プロたちの連続写真で一番注意しなければならないのが実はここ。彼らが相手にしているボールは、一般人のボールでもなければ、球出しでもないということだ。クレーのナダル級になると、バックフェンス付近でやっと失速し始めるという具合で、選手たちは自然とライジングを打たされているという格好になり、ベースラインの後方2m近くでも、下手をすればまだボールは上昇中、というのが実際ありうるのだ。
 想像して欲しい。サービスライン付近に落ちたボールが肩口まで「跳ね上がって」くるのだ。ぽわーんとしたボールが、ぽわーんと弾んでくるという状況なら、似たような光景を我々もコートでよく見かけるが、プロのボールはもし見送れば、そのままバックフェンスに突き刺さる勢いで飛んできて跳ね上がってきているのだ。それをコート内にねじこんで返すには、どういう風に打たなければならないか。低い弾道のボールでも、下から加速状態にあるボールの場合、その軌道に合わせれば多少面は下を向いて初めて打ちたい方向に対して正面になる。
 一方、一般プレーヤーのボールはそこまで「飛んで来ない」ことが多いはず。一度バウンドの頂点を過ぎて下降し始めたボールや、バウンドの頂点で打つのであれば、依頼者がおっしゃるように、面が下を向くことにメリットは少ない。
 ちなみに、グリップの厚い選手たちの低いボールの処理だが、一般的に言うと、膝を曲げ、低い姿勢を作って「低い打点を普通の打点にする」ことで対処しているケースが目立つ。それでも手に負えないほど低い時はそのままミスになることもあるし、グリップを薄めに変えてスライス気味で打ち返す。
 一般プレーヤーレベルだと信じがたいことかもしれないが、プロレベルの人々の中にはテイクバックから前に振り出していく直前でラケットの握りを弱めて、手の中でラケットをくるっと操作してグリップを変えることを、自然な動作としてできる人が少なくない。もちろん、いつもそれでミスをしないわけではなく、たまにはミスをするが、別段特別な技術としてやっていない。よって「凄いですね」などとこちらが感心していると、「?」という顔をされることがたまにある。


依頼内容1084: フラットドライブと呼ばれるボールがありますが、逆にフラットスライスというのもあるのでしょうか?
また、試合でどフラットを売って来る選手に当たったことがないのですが、本当のフラットとは、理論的には無回転で飛んでくるボールということですか?つまり野球のフォークボール(無回転)と同じ様にフラフラと変化して、あるところでストンと急降下するという事でしょうか?

埼玉県のロディック命さん

報告1084:  まず、フラットスライスについてだが、存在するか、という疑問自体が実に現代的だと感じる。
 近代テニスの歴史をウインブルドンのスタートからとすると約130年。この130年の内、トップスピンやフラットドライブという球種がラリーでメインの球種として使われだしたのは、恐らくこの30年ほどの話だろう。それ以前の100年間は主にフラットスライス(用語として正しいかどうかは置いておくが、フラット気味の厚い当たりで打つスライスのこと。この項ではその意味で使う)とボレーでテニスは構成されていたのだ。
 今も年配のベテランの方だと、実にきれいなフラットスライスをコート深くに打って若者を翻弄する姿を見かけることがある。昔のラケットはウッド。フェイスサイズも小さかったため、面の上でボールを捕らえて転がすように打つトップスピン、などというのはとても難しかった。
 また、当時はウェイトも400グラムオーバーが「初心者の女性向け」で、「軽い」と言われた時代だ。男子は普通に500グラム前後のラケットでプレーしていた。トップスピンをかけて打つために下からの上のスイングを繰り返すなどというのは、体力的にもハードだったのだ(1回や2回で済むならできただろうが、テニスは試合が終わるまではそれを延々と何百回でも繰り返さなければならない)。
 となると、基本的に上から下方向へのスイングで、ていねいにボールを当てて、フラット気味に抜く、という動作が理に適った方法となる。これで打ち出されるボールはフラット気味のスライスになることが多かった、というわけだ。ここで言うフラットスライスは、テニスの歴史の中では最も長い間、当たり前の球種として使われていたと言っていい。
 また、俗にフラットドライブという言葉がある。今ではドライブに順回転の意味を持たせて「回転をかける」という意味で、「ドライブをかけて」と使われている方も少なくない。これに関してはこのコーナーや本誌上でも何度か報告してきたが、ドライブという言葉は強打の意味であって、回転の意味の要素はない。ただ、恐らく初めて日本にテニスが導入されて、用語が訳されていった過程で、フラットの強打を外国人たちがフラットドライブと言っていた→そのボールはフラットの厚い当たりで打たれたボールで、軽いトップスピンがかかっていた→厚く当てて軽い順回転のショット=フラットドライブ、となったのは想像に難くなく、事情としても自然なことであるので異議を唱えるものではないが、このコーナーや本誌上では、ドライブという言葉を回転の意味では基本的には使用していない。また、実は外国人でもこの辺りがごっちゃになって使っている場合がある(ドライブを「もっと深く、かつ強くボールを運べ」という意味で使うケースがある)。正直、非常に曖昧な用語なので、読む人によっては色々な意味に解釈される危険があるため、何か特定の定義を表現したい場合以外では極力使用を避けているのだ。ご理解いただけると幸いだ。
 さて、フラット=無回転か、という話だが、全く無回転のボールというのは逆に非常に打ちにくい。進行方向に対して正確に垂直にインパクトさせなければならず、ボールやガットの変形によって、力がかかるベクトルが少しでもずれることも許されない(しかもボールがやわらかく、変形しやすいときている……)。つまり、論理的にはありえても、存在するのは実験室の中だけ、というものになろう。
 確かにほとんど回転していないように見えるボールもある。しかし、飛行中に1/4回転しかしなくても、それは無回転ではなく、科学的には回転しているボールになるが、見た目には無回転に見えるというわけだ。野球の世界のナックルやフォークもこの程度の回転をする(フォークだともっと回転するが……)。野球だとこの程度の低回転であれば、下に落ちるという挙動で目には映るが、テニスではこうはならない。
 なぜかと言うと、表面が違うからだ。流体力学の難しい話をしても逆に理解が遠くなるので、できる限り簡単に説明したい。野球のボールは表面がつるつるで、縫い目だけが突起している。飛行中のボールの周囲の空気はボールの表面にそってきれいに流れ、はがれていくのは縫い目の部分からだけになる。
 回転の少ない野球ボールの場合、進行方向に対して後ろ側に渦ができるのだが、この渦が抵抗となり、ボールを進行方向とは反対側に引っ張る現象が起きてボールは通常以上に減速し、目には落ちたように映る。これがナックルのように極低回転だと渦による影響が大きくなり、また、ゆっくりと回転したり、縫い目の影響を受けて渦のできる場所が変わったりして色んな方向に引っ張られるので、「揺れるように落ちる」と見えるわけだ(逆に回転し過ぎてしまう失敗ナックルは落ちないただの棒球)。これらの現象は全て、野球のボールの表面がつるつるで、表面をきれいに空気が流れられるために起きていることであり、さらに言えば、野球のボールが1球150グラム前後と空気を切り裂いて飛ぶのに十分な質量を持っているためでもある。
 一方、テニスボールの表面はケバケバ。ボールに当たった空気は、ボールの表面をきれいに流れず、当たったそばから剥がれて行く。当然、後ろ側にできる渦も野球のボールの時のように集中的な力としては働かないし、ただでさえ空気抵抗が大きく、しかも軽いため、飛行中のボールが持つエネルギーは野球より小さい。つまりはテニスボールは空気抵抗による影響を大きく受ける、元々ブレーキが大きいボールなのだ。非常に極端に言うと、バドミントンのシャトルのように打ち出された瞬間から激しく減速していると言えるわけで、野球のフォークやナックルのように落ちたという具合には目に映らないのだ。むしろ、低回転のフラット系ボールはコートへの入射角が浅いため、バウンド後は滑って伸びるような挙動を示すことが多いはずで、落ちるというより伸びるボールに分類されるのではなかろうか。


依頼内容1083: 私はナダルにあこがれているんですが彼のようなスピンを打つ為にはどのようなグリップがいいのか教えてください

大阪府のスピンさん

報告1083:  グリップを変えればあのスピンが打てるなら、みんな打つ。どうか冷静になっていただきたい。いや、「厚めのグリップで思い切りボールを潰し上げるように打つ」と言ってしまってもいいのだが、我々はそういう耳触りがいいだけの提案でお茶を濁すようなことをしたくない。
 というのはグリップを変えるというのは、非常におおごとなのだ。グリップを変えるというアドバイスはしばしばなされるが、グリップを変えればまず打点が変わり、次にボールへの入り方が変わる。当然リズムが変わり、スイングも変えねばならない、という前提がちゃんと理解されているのだろうか、と時々思う。
 初心者レベルでグリップの矯正が行なわれるのは、まだ打ち方が定まっていないから変更しやすい条件があり、また、スイングとグリップがマッチしていないというケースが実際にあるからであって、ある程度、自分の打ち方が固まってしまったレベルのプレーヤーの場合、グリップを変えるのは非常に困難となる。これをいつも念頭に置いておいていただきたいと思う。
 プロ選手の経験のあるコーチたちは基本的にプレーヤーのグリップを矯正する、という指導法を取らない事が多い。これは彼らがグリップを変えることの危険性を熟知しているからだ。ある元プロ選手は、「仮に自分の指導している選手のグリップを変える、という場合は、そのグリップに馴染むまでは成績も落ちることを覚悟しなければならないと考えますし、結局そのままダメになるかもしれない、という危険性まで共有できるぐらい、お互いに納得ずくでないとできない」とまで話していた。初心者の段階であればいいだろうが、ある程度ボールの打ち方を覚えてしまった、というケースではこれと似たような状況が起きる可能性があるのだ。


依頼内容1081: 私はナダルの大ファンなのですが彼のようなスピンが打てません。あそこまで凄いスピンが打てなくても良いので彼がよく普段のストロークで使っているグリップの握り方を教えてください。よろしく御願いします。

大阪府のナダルになりたいさん

報告1081:  ナダルの大ファンになれば、彼のようなスピンが打てるなら、フェデラーもナダルの大ファンになれば全仏であんなに苦労しないで済むだろうに……。
 普通のストロークというのがやや意味不明だが、彼のフォアのグリップは厚い。ほぼフルウエスタンから厚めのセミウエスタン付近と見ていい。
 バックは左手がやや厚め、右手もやや厚めから厚めのグリップが多い。
 ただし、グリップを厚くすれば、ナダルのボールが打てるか、というと、そういう問題ではない。速いスイングスピードでボールを叩き、かつボールを潰し上げて打つような強いインパクトを確保して打ち切れれば、グリップは別に薄めでも構わない。テニスというのはそういう種目だ。


依頼内容1079: ティム・ヘンマン引退表明してしまいましたね・・・
今回の全米で活躍して引退撤回みたいなことになってくれるとうれしいんですが・・・

では質問です。
最近、グリグリスピンを使うプレーヤーとの対戦成績が安定しません。どうしても、高いボールをフォアに集められると、自分の身長が低いものでライジングで叩きたくなってしまい、自滅か打ち勝つかになってしまいます。
このようなプレーヤーにはどのようなショットセレクトが有効なのでしょうか。
一応、自分のプレースタイルは、みんながイメージするサンプラスをボレーを下手にした上でそのまま小さくしたような感じです。
また、相手にスピンをかけさせない方法がありましたら教えてください。

?のトリュさん

報告1079:  2007年全米でのヘンマンは2回戦でソンガに負けてしまったものの、テュルスノフを破るなど、最後のGSとしては見事だったとは言えまいか。
 まあ外国人選手たちの「引退宣言」というのは正直、話半分に聞いておいた方がいい、というケースが少なくないのだが(引退すると言っておいて、戻って来る例はテニスに限らず山ほどある)、ヘンマンの場合はもう十分にやったのではなかろうか、という気がしてしまう。イギリスにおける彼の存在は重かった。「イギリス人たちにとってのヘンマンは、サンプラスやアガシと同格だった」と以前イギリス人の記者に自嘲気味に聞かされたことがある。高く評価されるというのはいいことだけではない。実力以上に期待される原因となり、負ければ酷評される元にもなる。正直我々が彼をサンプラス以上、と評価するなどというのはどんな瞬間でもありえなかったが、イギリス人ファンたちにとってはそうではなかったようで、その心情は理解できるとしてもヘンマンにとっても辛い半生だったのではなかろうか、とも思う。
 さて、相手にスピンをかけさせない方法で一番簡単なのは、低い打点か高い打点のどちらかを強い続けることになるのだろうが、「相手にスピンをかけさせないための、コレという方法」はないような気がする。相手によってはヒザ下の打点からでもラケットを振り上げるようにして鋭いスピンをかけて、コートの中にねじこんで来る選手もいよう。
 ライジングは特別な打ち方ではない。女子選手たちはライジングを「普通のショット」として使い、それでラリーをしているものだ。
 依頼者がもし勝ちたいのであれば、ライジングを普通のショットとして使える程度まで自分のものにする覚悟は必要だろう。それを一つのラリーの中で2度以上ミスせず打ち返して走らせることができれば、たいていの対戦相手は3回目以降でミスをしてくれるだろうし、ムーンボールをやたらとは使えなくなるだろう。
 また、フォアの高い打点が苦手というのは、全体の筋力不足から来るものもあるだろうし、逆に打点が後ろ過ぎている可能性もある(打点が遅れたら、かなりの怪力の持ち主でも高い打点は叩ききれない)。
 90年代に全盛を極めた日本女子たちも、ムーンボールには弱かったが、彼女たちはライジングで叩ききることで対処した。弾んだ後に打とうとしてもいい打点で打てないなら、バウンド地点に走りこんで弾みきる前にボールを捕らえて左右に展開してネットへ、というのが彼女たちの代表的な対処法だった。
 となると、依頼者はボレーも練習しないと……。
 背が低くて、フォアの高めが苦手なら、サンプラスでも恐らく同じことをするだろうと思う。


依頼内容1076: フォアのテイクバックのことで質問ですが、私の場合はヘッドがかなり落ちて(極端に言えば地面まで)そのあとインパクトに向かっていくのですが、最近のプロの方は腰より下にヘッドを落とさないでインパクトに向かっていくのが連続写真をみてよく分かりました。ヘッドの落としすぎというのは良くないことなんでしょうか?

静岡県のPN馬塚 大輝さん

報告1076:  依頼者の姿を見たことがないので、依頼文をそのまま読んだとすると、つまりはそこから、かなりすくい上げるように打っている、ということなのだろうか……。
 テイクバックの形は色々あっていいと我々は思うのだが(実際、プロたちも色んなタイプがいる)、何でも極端というのは、メリットもデメリットも強調されすぎるもの。スピンはかかるけど、調節が効かないとか、コートには必ず収まるけど、威力が出ない、とか……。
 何を狙いとするかによっても対処法は変わるだろうし、適切なテイクバックの大きさというのも、まずは飛んできたボール、次に打ちたい球種やスピードなどで変化するもの。その中で極端な方法は極端な結果となる、というのだけは覚えておかれた方がよろしかろうと思う。依頼者を見たことがない我々に言えるのはここまでだ。あしからずご容赦いただきたい。


依頼内容1075: ノバク・ジョコビッチ選手を目標にしています。
彼のようなプレーをするにはどんなことに気をつければいいでしょうか?

大阪府のバボラットさん

報告1075:  あのプレースタイルを実現するには、予想以上に精神面での強さが必要だ。粘りきる必要がある場面では粘り切り、必要に応じて攻撃する。攻撃できるタイミングが来るまではトリガーを引かない忍耐強さと、攻撃の起点を自分で作り出せる技術的なバックボーン。最後まで戦う心身のスタミナ。これらがうまい具合で融合しないと、彼のような迎撃型オールラウンダーにはなれない。
 また、彼を技術的に見ると引き出しの多い多彩な選手である、というのは見ればわかることと思われるが、これはつまりアイデアの豊富さ、という意味合いもある。実は彼は人の試合を見るのが大好きだと公言しているのだが、ああしたアイデアの豊富さというのは練習だけでは絶対に身には付かない。多くの試合を見たり、経験したりして蓄えを作り、さらに常に色々と考え続けているから咄嗟の場面でプレーとして出てくる。また、様々な試合を見ることでその対処法もアイデアとして自分の中に蓄積されるもの。そういう土台があってオンコートで練習するのと、意味もわからずただボールを打ち続けているのは、消費カロリーは同じでも実戦能力としては大きな差となって現われる。
 気をつけたいのは、ただ返すとか、逆にただ突拍子もないプレーができればいい、という両極端の思考に陥らないこと。最終的にポイントを取るというところから逆算して、自分がどうやれば相手からポイントできるかについてのアイデアを、一つや二つのプレーにこだわらず、さらに常識に惑わされず常に柔軟に考えてプレーをしてみて欲しい。
 また、彼はどんなに劣勢に陥っても滅多なことでは試合を投げない(ナダルやフェデラーのような強敵相手には何度かそんな場面を見せたことがあるが、あれは体力面で凌駕されてしまった結果、お手上げになってしまったのだろう)。それは「まだ手がある」と彼の中でのアイデアが尽きていないことや、考えて打開しようという意志の強さがあるからだろう。つまり、彼は非常にインテリジェンスなプレーヤーだと総括もできるわけだ。
 頑張って、彼を目指してみて欲しい。彼のようなタイプのプレーは、割合、日本人には向いているような気もするからだ。


依頼内容1068: よく聞くのが身長の低い選手は高い打点で打つ場面が多いので厚いグリップになると聞きますが、杉田祐一選手のフォアは身長が低いのに薄いグリップをメインに使い分けていることが多いと思うんですがなぜですか?高い打点のときは微妙に熱くしているのはわかるんですがそれでも薄いです。
あともう一つお願いします。身長が低いなら熱いグリップをメインに変えたほうがいいんでしょうか?自分は薄いのも厚いのも使えるんですがパワーがないため厚いグリップだとスピンが掛けやすいためミスは減るんですが少しつらいです。
薄いと攻撃しやすいですがラケット振るのが怖くなるし…

北海道のちびちびさん

報告1068:  打点は高さの他に、前で取るか、引き付けて取るかでも変わる。打点を身体に引き付けて打つタイプだと薄めのグリップの方が打ちやすいので、自然とそうなる。
 ここでは過去にも何度も報告しているのだが、グリップから考えるのではなく、自分のスイングと打点から逆算して考えて欲しい。素振りをして、自分が自然と身体を使えて、一番打ちやすい打点を想定した時、ボールを打ちたい方向に面を向けてみた時に握っていたグリップが、自分のグリップなのだと考えていただきたい。思っていたより薄いかもしれないし、厚いかもしれないが、それが依頼者が「一番自然に身体を使えて、一番打ちやすい打点」でのグリップなのだ。


依頼内容1064: (依頼内容と関係ないため、前半省略します)。
さてなんか余談が長くなりましたが・・・
1.ストロークで、打点がきちんと取れていない事も少なからず原因だと思いますが、厚い当たりでしっかりととらえてスピンをかけることができません。
2.スピンサーブでも同様に厚い当たりでとらえていく事ができません。(かすれた当たりに・・・)また、スピンの前後左右、正しい打点と言うのはどこなのでしょうか?頭上・・・?

これらを改善するために意識すればいい事と練習を具体的に教えて頂きたいです。
特に最近は時間的にコートに行けることが非常に少ないのでオンコートと同時にオフコートでの練習も・・・

愛媛県のRNさん

報告1064:  厚く当てられなくなる、というのは多くの人が経験するもののようで、実はプロでも少なくない症状だそうだ。
 そんな時に彼らがやるのは球出しのボールや、ラリーでの練習ではなく、自分でその場にボールを手で落として打つ、という練習をして当たりの感覚を取り戻すのだという(よほどひどい状態だと、しばらくボールを打たない、ということもあるらしい。悪い状態の時に下手に練習をして悪い動きを身体が覚えてしまう危険を冒すより、自然と身についていた動きを身体が思い出すまで、練習しないでリセットする、という意味があるようだ。まあこれは元々打てていた人用の調整法かもしれないが……)。
 手落としのボールで練習するというのは、飛んでくるボールだとボール自体にエネルギーがあるため、当てるだけでも飛んでしまうし、ちゃんとラケットにボールを当てたり、コントロールしたりしようという、厚い当たりの感覚を戻すという目的からすると余計な要素が入ってしまうが、手落としのボールであれば当たりの感覚にだけ集中できる上、ボールにエネルギーがない分、ちゃんと自分の力で打たないと前に飛ばない良さがある。薄い当たりでは十分に前に飛ばないから、厚い当たりの感覚が思い出しやすいのだ。
 まずはアウトミスを気にせず、フラットで思い切り打つところから始めて、スピン量を調節していけばいい。ここは多分、どんなプロに聞いても、それぞれ対処方法は多少異なったとしても、同じような意味の解答になるのではなかろうか。
 スピンサービスの打点について、言葉で表すのは難しい。身体を反って打つとして、その反り加減の差だったり、スピンのつもりで、タテ回転系のスライスサービスを使っている人もいる。
 反って打つ以上、戻さねばならず、体幹部の筋力が必要なのもスピンサービス。打ち方だけなら1週間で覚えられても、威力を求めると最低でも3カ月はかかるとも言われる。
 最初は回転の向きを確認するつもりで軽く打ち、徐々に距離を伸ばす、という練習が一般的だ。また、あまり回転をかけるということを意識しないようにするのも有効だという。ストロークのトップスピンと同じで、ある程度フラットに当てて打たないと、本当に伸びるボールにはなりにくい。どこまでフラットで打てるかはその人のスイングスピードにもよるので、何度かコートで試してもらいながら感覚をつかんでいくより他はないだろう。
 オフコートで、となるとストロークでは基礎体力系や、メディスンボールなどを使った軽めの負荷のトレーニングを重視されることをまずはお勧めする。課題がどうやら「より威力が欲しい」ということなので、その土台となる身体作りを考えた方が良さそうだからだ。
 テニスはスポーツ。スポーツするのは身体だという基本に戻っていただけると理解しやすい。少ないというオンコート練習時に備え、少しでも長く、そして多く動ける身体を用意するようにしておきたい。技術の向上は打ったボールの量と比較的素直に比例するもの。いざコートで練習となった時、どれだけたくさんのボールを打てるかは、依頼者の体力に依存するからだ。


依頼内容1057: 始めまして、大学のサークルでテニスを始めて2年になるものです。 フォアハンドストロークに関する質問です。
私はフォアハンドストロークをセミウェスタンかウェスタングリップで打ちます。
ラリー中は使い分けてない(というか使い分けられない)ので、ポイント中のラリーでは大体同じグリップです。
当然セミウェスタンだと高い球が打ちづらく、ウェスタンだと低い球が打ちづらくてボールの高低差の激しいラリーではすぐにミスしてしまいます。
そこでせっかく二つのグリップで打てるのだから状況によってグリップを握り変えてみようと思っています。
プロも状況によってグリップを微妙に握り替えているのはよく聞きますが、グリップの名前が変わってしまうほど握り替えてもよいものなのでしょうか?
何故かドライブボレーはどちらのグリップとも、極端に低い打点を除いてどの高さの 打点でも安定しているのですが何故なのでしょうか?

あとはサーブに関する質問なのですが、セカンドサーブの確実性を上げるためにはファーストサーブに比べてスイングスピードを落とすのではなく、回転数を上げると貴誌に書いてあったのを覚えています。 ただ具体的にどうすればいいのか分からず、セカンドサーブの時は打点をネット側を前とした時、ファーストサーブより後ろ側(多分20cmぐらい後ろ)にトスをあげることで私は解決しているのですがこれはどうなんでしょうか?
スイングスピードは少し落ちますがそこそこ安定していると思います。グリップはバ ックハンドイースタンで打ってます。

よろしくお願いします。

神奈川県のDさん

報告1057:  グリップに関してはプレーヤーが打ちやすいと感じる打点とスイングで自ずと決定されている、というスタンスが理解するには早い。
 全くの初心者だ、というのならグリップから話を始めた方が理解が早いので、一般的に「トップスピンを打ちたいなら○○グリップ」とかいう形でアドバイスされるものだが、ある程度プレーの経験があれば、最初の話に身に覚えがあるのではなかろうか。
 打点が前で高めであるのが一番リラックスして打てていて、身体の回転運動で打っている人なら、身体をその打点で打とうと動かしているはず。こういう人には厚めの方が向いていて、逆にボールをある程度呼び込んで後ろから前の体重移動を意識しながら打つのが自然なのであれば、薄めの方が向いていることが多いだろう。つまり、グリップで決まる要素というのは、一般的にイメージされているほど小さくない。はっきり言って、グリップを変えれば、全部を変えなければならなくなりかねない。選手経験者たちが「グリップを変えるのは本当に難しく、一種の冒険だ」と言う事が多いのは、グリップを変えることでスイングから打点の取り方(動き方)まで全てが変わってしまうからで、海外の選手を育成するアカデミーなどでグリップについてやかましく言われないのは、「グリップなんつーもんは、自然とその形になる」という考え方が一般的だからだ(選手相手ではなく、一般人相手だと、グリップから説明するのは世界共通の傾向)。
 ところが、グリップというのは、自分で変えていないと思っていても、テニス関しての動きを身体が覚えてくると、無意識に調整される。姿勢が崩されたときに相手コートにボールを返そうと面は自然と調節されるものなのだが、この時、手首やヒジの角度で調節しきれなければ、グリップで調整しようとするもの。これは理屈ではなく、反射の動きに近い。最近、流行のコーディネーション能力、というのはこうした「身体の自然な反応」のことを言う。
 従って、プレー中にグリップを変えてもいいか、という問いに関しては、変えないで全部のプレーができるのは球出しのボールを打つときぐらいだろう、という答えになる。
 もちろん、自分の打点やスイングがある程度見つかるまでは色々と試行錯誤があってもいいだろう。スイングや身体的特徴、あるいは打点の取り方の感覚などで、本来は厚いグリップが向いている人が、薄いグリップを意識しすぎていればうまくはボールが返らないだろうし、その逆もまたしかりだからだ。
 セミウエスタンだと高い球が、ウエスタンだと低い球が打ちにくいのは、誰でもそうだ。心配することではない。セミウエスタンのまま高い打点を叩きたければある程度リバースの方向にスイングを作らなければならないだろうし、ウエスタンのまま低い打点を打ちたければ、ひざを曲げ、低い姿勢を作って、低い打点を普通の打点にしなければさばききれまい。
 ドライブボレーが安定している、という理由は依頼者を見たことがない我々にはよくわからないが、依頼文を読む限りでは「得意」なのだろうとしか思えない……。
 サービスに関してだが、2ndでは1stよりもむしろスイングを速くしないといけない、という理由は、至って簡単な理屈で回転を使うからだ。入れたいという気持ちが強くなると、当てる感覚で調節しようとスイングが遅くなる。しかし、2ndサービスがコートの中に落ちるのは、スピードを落とすからではなく、回転がかかるから。回転をかけて相手に打ち込まれない程度のスピードのサービスを打とうとしたら、よりスイングを速くしないと帳尻が合わない。
 とはいえ、そううまくはいかないのが人情というもの。「より速いスイングをしないといけない」、というのは実は「心構え」の一つであり、「なかなかそうはできないだろうけど、そうしようね」という対症療法的な言い方でもある。
 もちろん、練習ではそう強く意識して練習して欲しい。
 依頼者のトスを後ろに、という方法は間違ってはいない。ただ、もっと上のレベルを目指そう、という気持ちになった時には、同じトスで1stも2ndも打てるようにしておくと、相手からトスでサービスのコースや球質がバレなくなるだろう。


依頼内容1039: 以前は(2回くらいあったかな?)ご回答頂き、ありがとうございました。部活をしていた時よりも頻度は落ちましたが、サークルに入れたのでこのまま続けていきたいと思います。大学くらいになったらまた本格的に(ほぼ毎日くらい)やりたいなぁ・・・などと思ったりしています。

結局、(感覚的にやりやすかったので)バックハンドはシングルを練習してみる事にしました。そこで質問なのですが、シングルバックではスライスとトップスピンのどちらを先に練習したほうがいいでしょうか?(知り合いにも聞いてみましたがどの意見もありました・・・)
技術的にはまだまだ(スライスでは浮いたり伸びないことが多く、トップスピンでは打点が遅れてしまうなど)なのですが、練習法や意識する事も教えてください。

愛媛県のRNさん

報告1039:  新しい一歩を踏み出されたようでよかったですね。
 さて、片手バックに関しては、どちらの意見もあるだろうし、そのどちらもが正しいだろう。ここで忘れてはいけないのが、最終的に自分がどういうテニスをしたいのか、ということ。部品にばらして考えるだけでなく、どういうテニスをしたいかで、必要な部品を考えるのだ。
 たとえば、ベースラインからストロークラリーでゲームを組み立てたいなら、バックハンドのスピン系を覚えないわけにはいかないが、ダブルスでサーブ&ボレーの並行陣を中心にする、というならスライスだけでも別に構わない、という割り切り方もできる。
 片手のバックハンドで注意したいのは、打点が感覚よりもずっと前であるということ、当てるより振り切ることをイメージした方が結果がいい場合が多いこと、意外に大事なのが利き腕の反対側の腕の使い方であること(テイクバックからスイングまで全部利き腕でやってしまうのではなく、テイクバックは右利きなら、左手でやった方が力まずに済む)などだろう。
 本誌でもバックハンドの特集をやっていくことだろうから、その都度色々と参考にしていただけると幸いだ。
 ケガのないよう、頑張ってください。


依頼内容1038: スマッシュがなかなか、できません、
すかしてしまうときもあるし、
うてても、打ち方 格好が
おかしいんですよぉ!! どうしたらいいですか?

沖縄県のりこさん

報告1038:  頑張って練習だ。まずはできている人のプレー、例えばプロのダブルスなどをたくさん見て動き方を頭に覚えさせること。そして、一度は自分の姿をビデオかなんかに撮って、確認すること。最後に本誌を定期的に購入いただくこと(?)ができるようになるための道でございます。よろしくお願いいたします。
 いや、冗談はさておき、以下はあくまでも一般論だが、たいていの場合、ボールを正面に見てしまっている人が多い。スマッシュを打つと決めたらすぐに横向きの体勢を作って、ボールを左手の逆シングルでキャッチするぐらいのイメージで左手を上げ、ボールは常に左肩越しに見ている体勢を作ってみて欲しい。これでカッコだけはなんとかなるはず。ラケットにボールが当たるようになるのは、もう練習してください、としか言いようがない……。


依頼内容1029: こんにちは、僕は高校2年生です。
ところで突然ですが、今僕は50過ぎのコーチに「厳しいボールでないときはクローズスタンスで打て。」といわれます。僕はアンディ・ロディックのプレイスタイルが好きなのでチャンスボールや深くゆっくりな玉はオープンスタンス気味にガシっとひざを沈めて腰をひねってテイクバックを大きくとってバチン!!と強くボールを引っぱたきます。それのほうが気持ちいい?というかおもいっきり打っている感じがして好きなのですが・・・ほんとに打つたび打つたび!!「オープンスタンスじゃパワーでないよー」と叫ばれます・・・どうしたらいいのでしょうか・・・ちなみに基本的に僕はオープンスタンスで高い打点でたたく人で、アプローチショットでそのままネットにつめるときとかはクローズスタンスです。

愛知県のヨネクスさん

報告1029:  依頼者のテニスを見たことがあるわけではないので、断言はできないが、一般的にチャンスボールでそれでウイナーを打ちたい、という時はプロでもオープンはあまり使わない。ロディックは確かにオープン気味でフォアを打つことが多いが、彼でさえ、フラットで打ち抜く場面ではスクエア気味なスタンスから体重移動を使って打つことが少なくない。
 オープンスタンスの利点は打点を呼び込んで打てることと、身体の回転運動を使いやすいこと、そして次への準備を整えやすいこと、厚めのグリップでならトップスピンのコントロールがしやすいこと、フォアの高い打点を打ちやすいことなどが挙げられる。
 反面、回転運動で打つために打点が文字通り「点」となって、その許容範囲が小さいこと、フラットで打ちたければ、想像以上に打点を前にしないとなかなか強くて伸びるボールが作りにくいこと、ともするとスピン量が過多となりやすいことなどが挙げられる。
 どうも依頼文からはコーチの方のアドバイスを100%信頼できていないような空気が感じられるが、コーチの方がそうアドバイスするにはそれなりの理由があるはず。一度ご自身の姿をビデオかなにかで撮影してみてはいかがだろうか。


依頼内容1023: 前衛やってるんですが、ネットについてるとき、相手が打ったボールのくる方向がいまいち、よくわからないんですよ。それで、いつも 守れなくて 練習ではできてるボレーもできません。 ストレートできたのに、違う所をもまってたりして・・・・後衛をはしらせてばっかりです。どうやったら わかりますか?

?県のるっこさん

報告1023:  最終的には試合経験を積むこと、に尽きてしまう話なのだが、相手が打ってくる方向の予測に関して、相手を見て予想するという思考法から、自分たちが、あるいは自分が、相手から見てどんな風に見えているか、についての視点の切り替えをしてみてはいかがだろうか。相手は依頼者のチームの様子を見て打つ方向を決める。どこかにオープンスペースがあれば当然そこを狙うだろうし、ペアの内、どちらかが明らかに弱いとなれば、その選手を狙うだろう。
「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」。
という格言があるが、どうにも「己を知る」の部分を飛ばして、自分の視界の中でのみ考えてしまう人がテニスには多いような印象がある。
 まずはご自身の状態と、ペアの状態を冷静に、かつ客観的に自覚した上で再考してみて欲しい。それがある程度以上把握できるようになると、コートのどこに自分が立っていて、相手からどう見えているかも理解しやすくなり、相手が打ちたい方向の読みも的確になるだろうし、逆にそれを理由して相手を誘うなどということもできるようになってくるはずだ。
 あとは一般的だが、相手の癖、得意なコースなどを、せめて最初の3ゲームまでで見極めること。強い人たちは試合前のアップの段階からそれを探っていて、試合が始まるまでには相手のことを把握している、なんてこともある。油断せず、最初から臨戦態勢で意識を集中してみて欲しい。また、練習の時からそういう部分を見ていく癖をつけないと、試合になって急にできるようになるものではないのも忘れないで欲しい。


依頼内容1021: リターンやラリーで、場合によってグリップが変わるんですけど友人からグリップを固定したら安定感が増すときいて迷っています。

和歌山県のアメリカンさん

報告1021:  無責任な言い方に聞こえるかもしれないが、まずは試してみてはいかがだろうか。スイングの感覚というのは人によって本当に異なる。どこにも力が入っていないようにスイングするフェデラーと、最初からぎちぎちに力が入っているようなナダルは共に強いストロークを打つし、安定もしている。
 グリップを固定するということはつまり、常に打点を同じような場所で打てるように動かなければならなくなる。実際にはどんな人でも打点の高さや打ちたい球種によってグリップは微調節するものなのだが、ひとつのグリップで打つと意識することで、いつも以上に足を動かしてちゃんと打点に入る癖が付けば、確かにショットが安定するようにもなるだろう。
 また、グリップを色々と変えて打つというのは、そのグリップに応じて打点やスイングもまた微調整を繰り返すことになる。確かに安定性には向いていない。
 しかし、テニスに柔軟さは不可欠。今の柔軟な頭で、色々と試してみた上で、ご自身のテニスを見つけていって欲しいと願う。


依頼内容1013: 私はスピンサーブを打つとき低い弾道になってしまいがちなんです。自分でも弾道を高くしようとしてるんですが、弾道を高くしようとするとスイングスピードが遅くなってしまい確率がよくないんですがどうしたら高い弾道でスピンサーブが打てるのか教えてください。あとよい練習方法があればおしえてください。

北海道のゆうちゃんさん

報告1013:  どうして高い弾道が欲しいのだろうか……。っていうか、低い弾道のスピンサービスって逆に凄く難しい気がするぞ。一体依頼者はどんなスピンサービスを打っているのだろう。まずはそれがわからないと何とも言えない。
 ただ言えるのは、どんなサービスを打つにせよ、スイングスピードを遅くしてコントロールしようという姿勢はよくない。プロたちはよく、「セカンドサービスはどうしても入れに行きたくなりますが、実はファーストサービスよりももっと振り切っていけないと、コートに入らない」と言っている。
 とりあえずお近くのコーチ、先輩、友達などとも相談して、自分の姿をビデオに取ってご自身でも確認してみて欲しい。


依頼内容1010: フォアハンドをオープンスタンスで打つときなんですが、インパクトのときにはどっちの足に重心が乗っているのが理想なんですか?左足に乗っている場合だと体が開いてしまうんですが…連続写真を見ていると右足に乗っている気がするのですが…(すべて右打ちの人に対しての依頼です)

静岡県のPN馬塚 大輝さん

報告1010:  ケースによる。オープンでもしっかりと構えを作れて、打ち込んでいった場合には、インパクト時には足は地面から離れていることが多いはず。オープンスタンスは身体の回転運動を利用して回転で打つやり方なので、インパクト時には身体の真ん中に重心があることが望ましいはずだ。
 しかし、オープンスタンスでインパクト時に左足に体重が乗っている状態というのは打点が近すぎたりすればあり得るだろうし、逆に右足に乗ったままというのはやや差し込まれたりしてリバースにスイングを逃がそうとしている時なら考えられる。  どれもそのケースでは自然とそうなるはずで、どれが理想というものではないような気もする。強いて言えば、その時点で一番いいボールが返せるなら、どっちの足に体重が乗っていても理想的な状態だ、と言えてしまうだろう。


依頼内容1005: 自分は身長が165センチの小柄なプレイヤーなのですが握りはそんなに厚くないセミウエスタングリップでプレースタイルはライジングです。そこで不安があります。プロの選手で身長の低い選手はみんな握りが厚くて僕も握りを厚くした方がいいのかなっと思っているのですが握り変えた方がいいのでしょうか? 参考にしている杉田祐一君は握りは薄いのですが…杉田君は高い打点はどう処理しているのでしょうか?

北海道の杉田ファンさん

報告1005:  プロで背の低い選手が厚いグリップを使っているケースが多いのは、相手にしているボールが高く跳ねるからで、高く跳ねるボールを強く叩きたいとなった時に自然と厚くなっていったと考えるのが自然だ。もっと背の低いキッズたちのテニスを見る機会があれば見てみて欲しいのだが、彼らはとても厚いグリップを使う。これは彼らの背では厚くグリップしてヘッドを鋭く回して打たないと、強くボールを叩けないからだ。
 杉田選手の場合も高い打点をどう処理するかで変わるだろうが、少し厚めにグリップして、上から叩き込むように処理している。
 グリップを変えると実はスイングも変わるもの。グリップをただ握りかえるだけでは済まないのだ。今まで慣れ親しんだグリップを変えるというのは、簡単なことではない。変えるなら変えるで、それなりの覚悟をもって臨んでほしい。

過去の依頼と報告            
 
このサイトに掲載の記事、写真の無断転載を禁じます。