| 報告591:うーん、男女の違いを無視して比較はできないが、平均化して考えるとすれば、伊達のライジングはアガシのレベルか、条件付きでアガシ以上と言ってしまってもいいのかもしれないとは思う。しかし、それを「良し」とする最大の理由は我々が日本人だからであり、第二の理由はそう考えた方が面白いからで、科学的な根拠からのものではないということは、はっきりさせておきたい。男女の違い、対戦相手の違いを無視してライジングの程度など語れはしないからだ。
伊達がライジングでトップに上り詰めたというのは間違いではないが、より正確を期すならば、ライジングを「普通のプレーとして使った女子では最初の選手」という方が適当で、彼女はライジングによるラリーを中心に、トップスピンをかけたショートアングルからネットへの展開や、世界トップクラスと言われた足の速さ、予測力などで当時のトップクラスたちと戦い、世界4位までになったのだ。
伊達のプレーを端的に示すとすれば、相手は「1,2,3」で打ってくるところを「1,2」で打っていたと言える。ラリーの基点はベースライン上か、それより前であることが多く、「バウンド地点に向かって走りこんだ」と言われる特殊なフットワーク(予測力がなければ彼女ほど極端なフットワークはできない、と当時よく言われていたし、また当時女子テニス界では世界一「足が速い」と言われたグラフにも、足の速さでひけを取らなかった)でショートバウンド気味にボールを捕らえて左右に展開したのがいわゆる「伊達のライジング」だった。
アガシと単純に比較しようすると、さすがの伊達でもサフィンが全力で打ってきたボール相手にライジングで打てるとは思えないので(もし伊達が今も現役だったら、ムッとして負けん気を出して、「できますよ」と言いだしそうなムードはあるが……)、アガシとの直接の比較は無理としても、彼女があの体格で全仏とウインブルドンの両方でベスト4に残った選手であると考え直していただくと、その凄味が理解されるのではなかろうか。
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