★スマッシュ調査団★
依頼内容51:テニスが大好きでテニスに関係した仕事に転職したいと思っています。テニスに関係する職種はどのぐらいあるのですか?
東京都のK.Kさん
報告51:「テニスに関係する」と一口に言っても程度や、職種によって様々なので、考えられる物を列挙する形で進めたい。

(オンコート関連)
●選手
実力があるのならこれ以上の仕事はないが、K.Kさんはすでに25歳。もし今選手ではないとすると、不可能だとは言わないが非常に厳しい。社会人リーグの選手になるという手もあるが…。
●審判
以前の調査報告を参考にして欲しいのだが、情熱とやる気、公正な心構え、健康な目さえあれば、基本的には誰にでもなれる。しかし、「転職」となると収入の面で非常に厳しいと言わざるを得ない。
●大会運営
大会の規模にもよるが、大きな規模の大会はそういったイベントを専門に手掛けるイベント会社が仕切っていることが多い。日本の大会ならジャパン・オープン、東レPPO、トヨタ・プリンセスカップが「3大大会」だが、これらの運営会社が求人を出しているかは調査団では把握していないし、これらの会社はテニス以外のイベントもしている。「テニスもやっている会社」と言った方が適切だろう。1年のほとんどはテニス以外の仕事をしているのだ。
●協会関係
ここに入るのは、現実的な話をすると、一般からでは困難らしい…。

(業界関連)
●メーカー
国内メーカー、外資系メーカーともに通常の求人を行なっている。但し、テニス専門のメーカーというのは非常に少ない。ゴルフやバドミントン、その他スポーツ用品も作っている。テニスに配属されるかどうかは貴方の熱意と運次第だし、当然人事異動もある。
●雑誌・新聞・テレビ
新聞、テレビともに厳しい入社試験を経て採用される。これらもまた「テニスもやっている」会社であり、テニス専門ではない。大手出版社も同じだ。
一番、専門的にやっているのは専門誌だ。実はテニスの専門誌を発行している会社はそれほど「大手」というところはない。この辺りの事情は良く知っているだけに逆におススメしにくいものがある。仕事はハードだし、好きな人ほど厳しい世界かもしれない。休日も家族も恋人も、あるいはテニスをプレーすることも、とにかく全てを犠牲にしてテニス雑誌を作る覚悟があれば、基本的にはいつでもウェルカムだが、ほとんどの編集部で「空き」が出た場合に「経験者(テニスのではなく、編集の)採用」で募集しているのが現実だ。テニスの経験もあるには越したことはないが、必須とはされていない。実際、テニス経験のない人も少なくない。テニス雑誌編集者の生活の実態に興味がおありなら、もう一度その旨ご連絡いただければ、個別に対応しよう(とてもホームページなどという、ある意味でテレビ以上の公共性のあるメディアで公表できるような生活ではない…)。
 ライターやイラストレーターという手もある。ライターには文章力と企画力、取材力の3要素が必要で、テニスの経験は2の次だ。ついでにテニス界に係わるところのコネでもあれば申し分ない。よって、テニスやスポーツ関連媒体で何年か働いた後にフリーにという例が多い(本誌でお願いしているK氏は、神尾米さんのルポを書こうと思っていて本誌に取材協力を依頼されてきた時にご縁ができたという、テニス界でも希有な例だが…)。ただ、一部の大手の媒体を除けば(具体的には発行部数の多い媒体のこと)、ギャランティは「安い」と言っていいレベルでしかない。選手達と同じように、スポンサーでも見つけなければ、大会取材も旅費は大抵は実費負担だ。
出版社はプレスカードの申請と、原稿料ぐらいしか出してはくれないぞ。
 イラストレーターにはテニスの経験があることに越したことはないが、それ以上に画力や営業力が求められる。こちらもまた、ギャラはそれほど良くはない。
●テニス・スクール関係
スクールも求人案内に良く出ているように、主にコーチかアルバイトコーチ、受付・フロントといった職種だ。コーチには当然それなりの腕前と、客商売であり同時に「先生」としての高い自覚が求められる。それはアルバイトコーチにしても同様だ。受付に関しても正しい接客態度を持っている人というのが最低限の条件だろう。ただし、コーチはあくまでも「肉体労働」で、長く立っている職種でもあるので、日焼けや腰痛に悩まされている方が多いことも付け加えておく。
●選手周辺関連
マネージメント会社、トレーニングジムなどが考えられる。プロ選手のほとんどはマネージメント会社と契約していて、一人一人全員にというわけではないがマネージャーさんか、担当者さんがいる。しかし、これもまた狭き門だ。それに、これもまた異動がある。いつまでテニスを担当できるかは、会社次第だ。
 選手が通うトレーニングジムもあるが、これは厳密に言うとトレーニングジムであってテニスとは関係ないかもしれない…。
 海外の選手に関連したものなら、通訳という職種もある。実際、テニス界や用語に精通した通訳の方は非常に限られていて、同時に日本語の文章力もある方となると本当に数えるほどしかいない。しかし、こちらも現状では仕事が潤沢にあるとは言えまい。全ては個人の営業力に負う面を否定できない。
………以上、ネガティブな面を中心に報告したが、どうしても、とお考えなら各カテゴリーに対してアクションを起こしてみることをオススメする。
依頼内容52:草トーナメントの出場資格のクラス分けとかありますよね? C級とかD級とか、初級者以外はご遠慮下さいとか…、でも何で他の草トーで優勝しているような人とかが出てたりするんですか? どうにかならんのかなぁ……
兵庫県のジョー樋口の甥っ子さん
報告52:レイティング制度等(剣道の段位のような物)が普及している地域では比較的少ないと聞くのだが、ほぼ全国的にジョーさんのおっしゃるような光景が繰り返されているらしい。これは、申し込みの時の自己レベルがあくまでも「自己申告」に基づいているからだ。まさか、大会に出場しようという人の実技審査をしてみたり、前歴を洗うわけにもいかないので、この自己申告制度が採用されているのだろう。また、単純に「初級者」と言ってもあるスクールでは初級者でも、違うスクールに行けば中級と見なされる場合もあるだろう。そういった「見解の相違」もあるのかもしれない。
 全ては全国的に普及した「基準」がないが故に起きている現象と言える。こればかりは参加者のモラルを信じるしかないというのが現状だろう。「どうにかならんのかなー」とおっしゃるお気持ちは察するが、これが現実だ。
 ところで、そういった「段位制度」について、お近くで実施されているなど、ご存じの方があったら調査団までご一報頂きたい。ある程度まとまったらこのコーナーか、本誌でご報告したいと思う。
依頼内容53:グレッグ・ルゼツキーの使用ラケットは?
埼玉県のS.Sさん
報告53:ちょうど今頃は(2000年1月初旬)新製品の発売される季節なので、全豪では違うラケットを使っているかもしれないが、調査団が最後に確認したルゼツキーのラケットは、ドネーのラケットだった。申し訳ないが、銘柄は不明だ。継続して調査するので、いましばらくお待ち頂きたい。
依頼内容54:依頼22の中のWTAのランキングシステムについて、現在は単純累積システムではなく、ベスト18大会制度のはずですが…。
?県のM.Sさん
報告54:……全くおっしゃる通りで、大変申し訳ありませんでした。98年シーズン以来、WTAでも出場した試合のうち、成績のいい方から18大会分の成績でポイント計算をするシステムに改まっていました。大変申し訳ありません。
 ただ、「メディアに関してこうした説明はなされていないのですか?」というご指摘に関しては、国内ではそういったことは過去も含めて行なわれたことはなく、また「1度ポイント計算をしてみれば1発でわかることだと思うんですけれども…」とのことにつきましても、必ずしもそうとは言えないのではないかと思いますので、一ファンの立場から付け足しておこうかと思います。
 現在、選手達は1年間で平均的に20大会近い大会に出場しています。ポイント計算をするためには、該当選手の全ての戦績を洗い出し、成績のいい方から順を追って計算する必要があります。トップ選手ならともかく、下位の選手でそれを実行しようとすると、我々のようなメディアの人間でさえ非常に困難で(実際、大会期間中のプレスルームでは、この問題で混乱をきたしていることもあるほどです)、時に不可能だったりする場合もあります。インターネットのできる環境にある方はともかく、一般のファンの方ではほぼ不可能だと思われ、ことはそれほど単純なことではありません。ATPでは、こうした「分かりにくさ」を解消するために2000年シーズンから、1/1時点で1度全員を0ポイントにして、ボーナスポイント制度も止めて、勝って得たポイントだけを積み上げていくスタイルに変えました(ちなみにこれも変則的ながらベスト18大会制です。また、これで本当に「分かりやすく」なるか否かは今後、経過を見守る必要があるように思います)。
 本来、選手の「強さ」を観客が計る指標としての役割がランキング制度にはあるはずなのですが、現状では、面白くて観客に分かりやすく、かつ選手に負担がなく、主催者にとってもウレシイという、誰もが喜ぶシステムは完成されていません。どちらかを立てれば、どちらかが負担を強いられているというのが現状です。今後、テニスを愛する全ての人々の間で検討される課題だと考えています。
 とにかく、お詫びとともに訂正致します。
依頼内容55:私はよく「引くのが遅い」とか、「構えるのが遅い」と言われます。自分でもわかっているのですが、どうすれば早く構えてしっかりボールを捕らえることができますか?
?県のH.Tさん
報告55:「テイクバックを早く」というのは、テニスが指導される上で、遠い昔から言われ続けているテーマだが、この説にはその解釈を巡って以前から異論も少なくない。  我が国では特に、一度「格言」のようなものができあがってしまうと、その言葉が本質以上の意味を持って、一人歩きしてしまうことがある。この「早く引く」もテニスの世界でややその傾向があるのは否めない。「早く引け」ば万事OKか? というと、場面や見方によってはそうとは限らないし、どのぐらい「早くするのが適当」なのかも不明だからだ。
 例えば、野球の世界で「打撃はダウンスイングでなければならない」という言葉がある。実際にはダウンスイングではボールは遠くへは飛んでいかないことが科学的に立証されているのだが、こうした言葉は一度流布してしまうと、時に「信仰」に近い状況が生まれてしまうことがある。
 パワーのない幼年期の選手や、技術が未熟な選手などが、バットにボールを当てて、フライも上げず、とにかく前に飛ばすためには、ダウンスイングの方が当てやすく、バット自体の重量も利用できるという「本質」を忘れて、「ダウンスイングが本式で、あとは邪道なのだ」と思い込んだりすると、初心者レベルから脱出しかかっているプレーヤーにとって迷いの元凶になってしまうことがある(レベルスイングが理想という説に関しても、地面と平行なのか、ボールの軌道に対して平行なのかという論戦があり、これに関してはまだ決着がついていないようだ)。
 実際に拝見したわけではないので、H.Tさんの場合がどうかは分からないが、「早く引く」という言葉の本質を考えてみてほしい。意味は様々に考えられるが、この言葉は恐らく「振り後れ」に対する処方箋の一つだと推定される。実際にはボールが速い時、遅い時、高い時、低い時、トップスピンの時、スライスの時など様々なケースがあり、どう「早く」すればいいのかに戸惑うことと思う。また、スイングのリズムや、タイミングの取り方などは人それぞれに個性があり、誰にでも当てはまったり、どんな状況下でも当てはまる「スタンダード」は考えにくい。しかし、現在、明らかにご自分が「振り遅れている」と感じられているのなら、意識的に早くしてみて調節した方がいいかもしれない。後は数を打って、様々な状況に対する「引き出し」をたくさん自分のモノにする必要があるだろう。最初からうまくできる人はいないし、スポーツの上達には残念ながら「一発で効く特効薬」はない。
 ただ、スイングなどのメカニクス以外の面で言えることがあるとすれば、自分の打ったボールがどの程度のダメージを相手に与えていて、どんなボールがどの方向に返って来るか、相手がどんなタイプなのかを観察して、常に予測しておくことが「振り後れ」を防ぐ手だてにはなる。ヒンギスなどはその辺りが抜群な選手で、いわゆる「センス」というのは、この部分に負うことが大きいのだ。
依頼内容56:試合で自分が優位に立っているのにも係わらず、ミスが多くて結果的に負けることがあります。精神的、技術的にミスを減らすにはどうすればいいのでしょうか?
神奈川県のイッシーさん
報告56:2000年2月号の本誌のコーナー「ミスをしないには?」でも多少報告したが、ミスを減らしたいなら、最善で、最短の道は「練習して自分の技術レベルを上げること」だ。ただ、「自分が優位に立っているのに…」とおっしゃられていることに対しては、ある選手を思い出させる。そう、昨年限りで引退したヤナ・ノボトナ選手だ。彼女はテニスファンなら誰でも知っている実力派のプレーヤーで、ランキングも常にシングルを維持、押しも押されぬ大スター選手だった。しかし、93年のウインブルドンの決勝でグラフと当たった時、ほとんど勝利を手中に収めながらダブルフォールトを連発して結局負けてしまった試合があり、以来「勝ちビビリ」の典型例として取り上げられるようになってしまう。彼女自身、このことについてとても悩み、引退する前年の98年のウインブルドンで初優勝して自信をつけるまで苦しんだという。
「精神的なタフネスさ」というのを選手に取材していると感じることがある。全てがそうだとは言わないが、少なくとも「トップ級の選手」というのは、異常なまでに負けん気が強い人が多い。普段は温厚でも、コートの上では別人になっているという選手もいれば、コート外でもことが勝負事になると絶対に負けたくないという表情を見せる選手もいる。草トーなどでは、負けた試合の後でも笑顔の選手を見かけることがあるが、自分が負けた試合を笑顔で振り返っているプロの現役選手(時には引退した後でも)をほとんど見たことがない。ありていに言うと皆「負けず嫌い」なのだ。
 さらに、テニスの戦術・戦略の技術解説ページを冷静に読んでいくと、気づくことがある。それは、「これらを完璧に実行したら、一般的にはかなりイヤな奴なのではないか?」ということだ。「相手の弱点を見つけたら、そこを徹底的に突く」とか、「自分のミスはすぐに切り換えて、相手のミスにはつけこむ」とか、「試合前の練習の段階から色々な位置に打って相手の弱点を見つける」等々………。プロの世界ではもちろん、試合で強い上級者の間では「常識」と化していることばかりなのだが、「テニスで勝つには意地悪なことばかり考えて、それをシラーッとした顔でできなければいけないのだな…」と、気の小さい筆者などは思うことがある。イッシーさんも人から「いい人だね」と言われたご経験がおありなのではないだろうか? 実際、うまい選手=強い選手ではないこともある。 但し、これらはプロでは致命的な欠点になりうるが、草トーレベルであれば、この辺は技術レベルや身体能力を上げることで克服可能だ(もちろん、各種メンタルトレーニングをお試しになっても良いとは思うが…)。
「優位に立っていて負ける」という場合に有効な対策と考えられることがある。そうした状況下で犯すミスには、いくつかの決まったパターンがあるはずだ。まずはそれを調べて、その点だけでも無くすように練習されてみてはいかがだろうか? 「これで完璧」と思えるまで練習すれば自信もつき、思っている以上に効果があると思うのだが…。
依頼内容57:毎月スマッシュを楽しく読んでいます。いきなり本題ですが、2000年からスタートしたATPの新ランキングシステムについて教えて下さい。一旦全員のポイントをリセットするとのことですが、そんなことをして大丈夫なのでしょうか? 心配です。
?県のS.Sさん
報告57:大丈夫だ、と思う。S.Sさんは「1回戦から無茶な組み合わせがあったりとかしてしまうのでは?」とご心配の様子だが、エントリーに関しては、従来通りの1年間有効のポイントシステムが適用される。つまり、1/1で確かに全員が0ポイントになるが、厳然としてランキングは存在するという、二重のランキングシステムになっているのだ。当然シード順位もそれに従ってつけられるはずだから、1回戦からヒンギス対ダベンポートとか、アガシ対サンプラスということはないはずだ。
 順を追って説明しよう。これまでと違う点は、 11/1で全員のポイントを0にする。 2ボーナスポイント制度の廃止(今までは勝った相手の順位に応じてついたボーナスポイントがなくなって、勝利ポイントだけになった)。 3成績の良かった方から18大会の成績で順位を決めることに変更はないが、上位選手にはグランドスラムとスーパー9シリーズ(男子の一般大会としては最高の格付の大会で世界で9大会ある。女子におけるティア1にあたる)には出場義務があり、もし参加しなかった場合は0点として加算しなければならない。の3点だ。
 昨年、一番不可解だったのは、ウインブルドンで勝ったサンプラスが、負けたアガシにポイントで逆転されてNo1に返り咲いた事件だった。これはサンプラスにとっては連覇になったためポイントを守っただけで得たポイントが無かったが、アガシは昨年以上の成績を修めたために加算ポイントが多く、僅差だった二人のポイントは逆転することになった結果だった。しかし、その時点で最も大きな大会に勝ったのに逆転されるというのは「不可解」な出来事だったと言うこともできる。ATPはこの「分かりにくいシステム」という点を重視して、見ている観客に分かりやすいシステムを構築しようとしているのだという。
 今までのシステムは「分かりやすい」とはお世辞にも言えなかった。確かにこのシステムになれば、少なくとも、その時点で一番大きな大会に勝ったのに、負けた選手に逆転されるということはなくなるだろう。しかし、新システムにも不明な点は多い。ATPはそのホームページの中で想定されるいくつかの疑問に対して「大丈夫だ」と胸を張っているが、果して本当にそうなのかは、実際にシーズンが始まってみなければ分からないことも多いだろう。その上、いくつかの疑問に関しては答えていない。さらにこの問題に関しての日本国内での、日本語による公式な問い合わせの窓口もなく、日本語による「公式見解」と言ったものも、調査団では把握できなかった。
 取り敢えず、(財)日本テニス協会に問い合わせてみたところ、海外で配られたリリースがいただけた。当然英語だ。したがって、以下は調査団で英文を翻訳し、解釈を加えた独自の見解で、「公式見解」ではないということを予め申し上げる必要があるだろう。
 ATP発のリリース曰く、「21世紀に向けて、テニスを一層グローバルなスポーツにしていくために考えられた制度」と始まり、様々なケースについての解説が加えられている。
「分かりやすい」と胸を張っている割には今一つ不透明な部分が多いが、整理してみると、F1レースに近いものだと分かった(ATPでの説明もF1にたとえているが、解釈がやや異なるので、調査団で整理する)。今までのスーパー9シリーズを一つのパッケージにして、「マスターズ・シリーズ」としてレギュラーの「レース」として捉え、これに4大大会を加えた13大会をコアとして、男子テニスは回っていくのだという。その大会の頂点として位置することになるのが、昨年まではATPチャンピオンシップと呼ばれていた最終戦と、グランドスラムカップを一体化した最終戦「マスターズ・カップ」だ。
 これだけなら話は分かりやすい。しかし、これらのイベントに出場する資格のある選手(「マスターズ・シリーズ」は概ね64ドローだから、大体70位前後の選手。4大大会なら128 ドローだから110 位前後の選手)は必ず出場する必要があるというのだ。仮に出場しなければ、その大会は0ポイントとされ、上位18大会の成績に対して0として加算しなければならないという。  ATPではF1レースにたとえている。曰く、「F1レーサーはF1に出なければそのレースを失う。つまりそういうことだ」と。しかし、少し考えると矛盾に気付く。エントリーに関しては従来通り52週間有効のランキングシステムを使うのだから、シーズンの途中で、その資格を得たり、あるいは失った選手に対するケアが考えられていないのだ。これは特にボーダーライン付近の選手に関して大きな不利になる可能性がある。ボーダーライン上の選手には、できれば、もう一つランクの低い大会に出てポイントを稼ぎたい時もあるだろう。しかし、上位の大会に出場することが義務づけられてしまうのだ。そこでうまく勝てればいい。しかし、負けてしまったら…。日本男子選手が多くこの辺りに位置しているため、非常に気になる。ATPは今のところ、この疑問には答えてくれていないのだ。恐らく、間もなく始まる全豪でその辺も明らかになるだろう。
 継続して調査するので、今しばらくお待ちいただきたい。
追加報告57:ATPの新しいランキングシステムについて、ようやくまともな報告ができそうだ。
 順を追って報告しよう。ATPの大会格式は8段階ある。上からグランドスラム、マスターズカップ(昨年までのATP最終戦とグランドスラムカップを統合した大会。成績上位8名までに参加資格が与えられる)、マスターズシリーズ(旧スーパー9シリーズ)、インターナショナル・シリーズ1(旧称チャンピオンシップ、賞金総額が80万ドルを超える大会で、ジャパン・オープンの男子などがこれにあたる)、インターナショナル・シリーズ2(旧称ワールド・シリーズ。賞金総額が40万ドルを超える大会)とここまでがいわゆる「グランプリ」だ。これ以下がチャレンジャー、フューチャーズ、そしてサテライトとなる。これらはF1を頂点としたモータースポーツで例えれば、F3000や、F3などに該当する。
 ATPが「今後の男子テニスはF1レースのような形になるのだ」と言っていた意味がやっと分かった。よーするにだ、1/1時点で全員を0ポイントにして争われる「ATPレース2000」は、「グランプリ」の大会に出ないとポイントが付かないのだ。というわけで、2000年の2/28時点で、「ATPランカー」は日本人では本村剛一と石井弥起の2名だけということになっているわけだ(2/28までに「グランプリ」の大会に出場した選手がこの二人のため)。
 今までは「ATPランカー」と言えば、千数百名いたのだが、今後、このATPレースのランキング保持者のみを「ATPランカー」と定義するなら、数百名の単位に縮小されることが予測される。
 さらに、シード順位や出場権などを決定するのに使われる「影の」ランキングである「ATP・エントリー・ランキング」(過去52週間有効のポイントシステムで、従来の方法とほぼ同じスタイル)も厳然として存在している。ATPの公式サイトでも閲覧できるが、その扱いは小さく「できれば見ないでね」(?)といった雰囲気さえ感じる。あくまでも補助的に使われるのみに止められているようだ。
 この姿勢からはATPの新しいシステムに賭ける、なみなみならぬ意気込みが伝わってくる。「ATPレース」がこれまでのシステムとはあまりにも違うため、新しいシステムを浸透させるために恐らく、こうしてやや強引とも思えるやり方を採用したのだろう。
 今のところ、この新しいシステムについて選手達が表立って文句を言っているというニュースはあまり入って来ていないし(皆無ではないが)、日本人選手達からもあまり批判めいた話は聞かない。「言いにくい」という側面も否定できないものの、どうも「良く分からない」という選手が多いようなのだ。「とりあえず、やってみないとね」という感じだ。
 だが、どうやら前回の報告中にもあった「ボーダーライン上の選手について考えられる不利」は、危惧していた通りのようだ。上のボーダーに引っ掛かる選手は、強制的に「グランプリ」に出場させられることになる。まぁ、そこで「勝てば」問題はない(大体、プロなんだから不利だと考える方が「消極的」な考え方だと言われればそれまでだ。「勝負の世界は勝てばいいのだ、上で勝つために戦うのがプロなのだ」という意見もあるだろう。上の大会に出られる選手がポイントを守るために、下のカテゴリーの大会に出るなど「セコイ!」という考え方だ。それはそれで全くご尤もなご意見だと思う)。実際、新しいシステムでは、下位から順調に勝ち上がっていくと、途中でスケジュール上で大きな壁に当たることになる。この壁は今までも存在していたが、今までのようなただの「実力や経験の壁」だけではなく、「出場義務制度」という試練にも見舞われることになる。それを乗り切った者だけが、栄えある「ATPランカー」となれるという仕組みになったようだ。
 選手には厳しいシステムかもしれない。実際、故障などが理由の欠場でも上位の選手はポイント0で計算されてしまうのだから、キツイと言えばキツイ。中には強行出場するケースもあるだろう。
 真のプロフェッショナルであれば、ベストの状態にない自分を観衆の前に晒したくはないものだろうし、ファンだってそんな姿が見たくてわざわざ会場に足を運ぶわけではない。「年間何試合以上に出場しなければいけない」とか、「この大会とこの大会は出場しなければいけない」とか言った形の(はっきりそう明記はしていなくても、そうならざるを得ないような)、選手に縛りをかけるような契約や、規則のあり方というのはどうなのだろうか? ベストでない選手も出場してくるようになると、結局、一番ワリを食うのは、チケットを買い、朝早起きして出掛け、ワクワクしながら観客席に座ったファンだ。中には仕事や学校を休み、遠く旅をしてきた人もいるだろう。
 こんなことを言っていると「何を言っているのだ。一番大変なのは選手に決まっているじゃないか!」と反論されてしまうだろうが、そんなことは当たり前のことなので、ここでは「プロツアー」の根幹に係わる部分を論理的に考えている。選手を大切に考えるファンの方のお気持ちは痛いほど良くわかるが、どんなにランキングが低くても、デビューしたてで若くてもプロはプロなのだ。プロである以上、観客に対して、その時にできる最高の物を、しかも常に一定レベル以上のクオリティで提供する義務があり(結局それは選手自身の利益にも繋がること)、大会主催者やそれを統括するATPのような団体は、選手がそれを提供できるように最大限にケアしなければ、本来「興行」として成り立たせることはできないはずだ。それは例えばプロの料理人やレストランが常に変わらぬ味の物を提供しなければならないということと何ら変わらない。選手が「それができない」と判断した時は休んでもいいし、それは批判されるべきではない(いや、むしろ休むべきと考えたい)。ただし、もし、できないのに出て来た時には批判に晒されても仕方がないと考えた方が、プロスポーツの世界ではむしろ健全な考え方ではないだろうか。メジャーリーグの往年の名選手マイク・シュミットが引退した時、「ボクはこの数年、自分に厳しい基準を課して、それをクリアできなくなったら引退すると決めていた。この数試合はどのプレーでもそれができなくなった。500本塁打の記録を目前にしている今、現役を続けたい気持ちもあるけれど、ボクは何よりも野球が好きだから、そんなことはできない…」と泣き崩れながら語っていたのを思い出す。
 プロスポーツの世界では成績が良ければ持ち上げられたりするし、ふがいないプレーをすれば落とされたり、時には年端のいかない若者には理不尽とも思える厳しい目に晒されたりして本当にタフで、素晴らしいプロフェッショナルの選手が育っていく側面がある。
 プロスポーツはどんな小さな大会にも応援しに行くような熱心なファンだけのものではない。新橋のガード下あたりで「ノムさんでもダメなのかなー」とクダを巻いている、テレビ観戦専門で、情報源はスポーツ新聞だけというオジサマや、試合は一度も見たことがなくても活躍できないというニュースを聞いただけで「名波はダメだな」と言ってしまうような人達のものでもあるのだ。熱心なファンの方にとっては腹立たしいかもしれないが、むしろ、プロスポーツは人々の生活の中に入り込んでいって初めて成熟していくという側面もある。その是非に関しては色々とご意見もあるだろうが、選手やそのスポーツを育てるのは温かい拍手や声援だけではないのも事実なのだ。
 少々話が逸れた。ところで、今回の変更は主にアメリカをはじめとした北米市場を意識したものと言われている。そう言えば、今まではそれほど声高に語られなかった賞金獲得ランキングが妙に前面に出てきている。
 アメリカという国は人の成功を、実に屈託なく「金額」で計る傾向がある。日本人だとあまりあからさまにされると、ちょっとこっぱずかしい感じもするが、北米の文化の中では決して変な意味はない。「才能があって、能力のある者は稼ぐ。そしてそいつはグレートな奴なのだ」という信念が社会的に貫かれているからだ。賞金レースが前面に出されたのも、世界最大のスポーツ市場である、北米市場を意識したものなのかもしれない。そう言えば、全米の表彰式でのインタビューでは優勝者が必ずと言って良いほど「ところで今回、君は○○万ドルの賞金を手にしたわけだけれど…」と聞かれているが、ウインブルドンの表彰式で、「ステフィ、これで君は大金持ちというわけだね」とグラフが聞かれているのを見たことがあるという人はいないと思う(大体、表彰式後のインタビューというのも他ではあまり見ない。多くはチャンピオン・スピーチだ)。
 テニスをあまり良く知らない人にグラフを紹介する時に、「うーん、強烈なフォアハンドが正確無比で…」や、「グランドスラムで22回も優勝したんだ」と言って聞かせても、「ふーん、スゴイね(なんか良くわかんない)」程度かもしれないが、「彼女は生涯で2000万ドル以上稼いだんだよ」と言った方が、「ワォ!」となって「スゴイねー!」となるのではないだろうか?
 即物的と言うなかれ。知らない人に何かを広めようとする時には、意外にこれは効果的だ。日本ではあまり知られていないためにかえってたとえにしやすいが、クルニコワと婚約したパベル・ブレなどが活躍する北米アイスホッケーリーグ(NHL)で、最高と言われている選手はチェコ人のヤロミール・ヤーガーだ。日本人に彼のすごさを端的に伝えようとする時、彼の鋭いスケーティング技術や、フィジカルの強さ、ゴールに対する嗅覚や執念を語るよりも、彼が1年で20億円近い年棒を貰っているといった方が単純に納得させられるものがあるだろう(「パベル・ブレがなんぼのもんじゃー! なーにがロシアン・ロケットじゃ! スケーティングの速さなら日本の清水の方が上じゃろーが!」と思っているアンナファンの方も、彼が日本のイチロー選手よりも多い約9億円の年棒を貰っているトップ選手だと聞けば、見方が少し違ってくるのではないだろうか?)。
 かつてレンドルやスコバ、ナブラチロワなど東欧勢が全盛を誇っていた頃、東欧の子供達がテニスを始めたキッカケは「貧乏と国からの脱出」が主だと言われていた。かつて松岡修造氏が引退したばかりの頃、とあるテレビ番組の中で「いやー、テニスは稼げるスポーツなんですよ」と力説していたことがあったが、恐らく、彼は彼なりに「テニスを普及させたい!」という気持ちで発言したのだと思う。「テニスって稼げるんだ!」となれば、才能のある子供達がテニスに流れてきて、10年後には様々な国からトップ選手が現れてこないとも限らない(実際、チリやモロッコではリオスやアラジの活躍で、子供達の間にテニス熱が高まっているのだという)。そう考えればATPのこの戦略は、意外に正解かもしれない。
 とにかく、今回のATPのランキングシステムの変更に関しては、どうも評判が良くないようで、色々とネガティブなご意見が寄せられている。実際、ランキングを見ていても、正直言って、我々でさえ「誰だ君は?」という選手が3月初旬段階では上位に多く名を連ねている。「その時点で一番点数取っている選手」はわかるが、「その時点で一番強い選手が誰なのか?」という肝心な点はサッパリ分からない。少なくともこの1年は見守ってみた方が良さそうだ。
依頼内容58:私は14歳で部活でテニスをしている者ですが、僕たちの部にはいくつかの問題があります。1:環境が悪い、2:顧問の先生にやる気がない。の2つです。環境が良くないので、効率的に練習するにはこんなところにも来てくれるコーチの存在が必要ですが、一体どうしたら…
東京都の自称ビッグサーバーさん
報告58:依頼内容には実にこと細かに書かれていたのだが、少々長いので割愛したことをまずはお詫びしたい。
 完全に解決するにはいくつかの問題があるが、できる限り可能と考えられる解決方法を報告したいと思っているが、ご希望に添えるかどうか若干の不安もある。

1:環境が悪い
具体的には部員の数に比べてコートの面数が少ないということに不満をお持ちのようだが、これは出費を伴うことを全員で同意できれば、克服は可能だ。自称ビッグサーバーさんがお住まいの周辺にも公営コートがいくつかあるはずだ。公営コートではほとんどの場合、申し込み後に抽選があり、確実に毎回というわけにはいかないが、これをうまく活用できれは、コートの面数を確保することは可能になるはずだ。都内の高校などでは、テニスコート自体を持たないテニス部なども存在し、実際に公営コートで練習しているテニス部もあると聞く。公営コートなら、時間辺りの料金を安く押さえることができるので、部員全員で割り勘にすれば、一人当たりの負担はだいぶ押さえることもできる。また、現在は多くの部員を2つに分けて1日交代でコートの使用を行なっているということだが、もし、毎日練習したいなら、空いた一日を公営コートでの練習に当てられるようにスケジュールを組むという手がある。もちろん、これで全ては解決できない。周囲の大人達は決して「よし」とは言ってくれないことが予測できるからだ。
 学校の部活動中に、もし、部員の誰かがケガでもしたら一体誰が責任を取るのだ、ということになると、このアイデアは水泡に帰すだろう。部員のご父兄の方の中からどなたかが、あるいは交代で「その時間は私が責任を持って見ていますから」と申し出られたとしても、学校は簡単には「うん」と言わないだろう。こうした問題は非常にデリケートな問題で、あっさりとは解決できない。まずは根気よく学校や親御さんと話合ってみてほしい。熱意を持って説得に当たれば、区の協会や、OBの方々の中で協力を申し出てくれる方が出てこないとも限らない。何にせよ、あきらめないことだ。
 あと、もう一つ言っておきたいのは、自称〜さんの年齢では、あまり結果には執着しない方がいいのではないかということだ。中学生の時を思い出すと、自立心も負けん気の非常に強い時期でもあり共感はできる。しかし、長い目で見れば、この時期は成長期でもあり、オンコートでの練習以上に基礎体力の強化の方が、後々役に立ってくれることが多いという話を複数のジュニアのコーチの方々から聞くことが多い。
「目指す場所が違う」と言われればそれまでだが、ジュニア時代に非常に強かった選手が、10代の時だけで消えてしまう事例を今まで何回も見てきた。故障だったり、精神的に「燃え尽きて」しまったりと、原因は様々だが、共通しているのは10代の前半の時期に「結果」を追求するあまり練習や試合をしすぎたから、という点なのだ。目の前の試合に勝ちたいという気持ちは分かる。しかし、この時期の選手に本当に大切なのは「テニスには何が必要で、何が不必要なのか?」と「テニスの楽しみ方」であって、「○○大会で優勝すること」ではないと思う。ヌルイことを言うと思わないで欲しい…。
 例えば、走ったり、腕立て伏せをしたりというのは一見、テニスに関係ないように思えるかもしれないが、プロの選手も、オンコートの練習以上に、走ったり、全身を鍛えたりといったことに時間を多く割いているのも事実だ。テニス部のみんなで「○○大会で優勝する」という目標は目標として持つ必要はあるだろう。しかし、もし、長くテニスを続けて、将来はプロになりたいというのなら、もう少し長い目で自分自身を鍛えていく必要もある。何よりも結果を追求するあまり、「プレーすること自体が楽しくなくなって」しまったら、本末転倒だ。
 どうしてもコートを使って試合形式の練習を多くしたいのであれば、他の中学やテニスクラブなどと、練習試合を数多く設定するという手もある。高校サッカーで有名なT高校や、市立F高校なども練習場を野球部と共用で使っている分、練習試合を毎週のようにやっているのだと聞いたことがある。
 最後に、これは極論だが、もし、本当に心から「環境が悪い」とお考えで、もう我慢できない!! と感じてらっしゃるのであれば、こういった事例があったことも付け加えておきたい。日本人なら誰でも知っている大変に有名な元男子トッププロ選手は、テニスのために、これまた「日本人なら誰でも知っている」東京の超名門大学の付属高校から、九州の「日本テニス界でなら誰でも知っている」高校へ転校し、さらに、プロになるためにその高校も中退して、アメリカに渡ったという選手がいる。 自称〜さんは恐らく、「テニス部のみんなのために代表して」というお気持ちなのだろうとは思うが、基本的に個人競技であるテニスというスポーツでは、そういった行動力や積極性が最も尊ばれる資質と言えなくもない。もう一度、周囲を見渡して、最善の道を探ってみてほしい。

2:顧問の先生にやる気がない
 これをご覧の教師を職業となさっておられる方の中には、ドキッとする方もいるかもしれない。自称〜さんの先生がどんな方か、頂いたメールだけで判断するのは難しいが、こればかりは皆さんで先生を説得するなりなんなりして解決していただくより他はないと思う…。筆者が中学生時代の顧問の先生は、やる気がないわけではなかったし、実力は相当な先生だったが、練習に顔を出すのは大会前の1ヵ月ぐらいで、後は部員同士で練習メニューを組んで練習して、先輩や、上手な者が後輩達を教えるというスタイルだった。戦績は市の大会でベスト8止まりだったが、自主的な雰囲気で、非常に楽しい思い出として残っている。
 しかし、「顧問の先生が試合にも顔を出さない」ともある。にわかには信じがたいが、事実とすれば問題は大きい。大会中に部員にもしものことがあったら、この先生はどうやって言い訳をするつもりなのだろう…。とにかく、他の先生にも相談してみてほしい。
 ここから先は、先生に同情的な意見になるが、部活動の顧問をして先生が得られる「手当て」はその責任の割に非常に少ない額だと聞く。「ほとんどボランティアに近い」とも。その辺りも理解してあげて欲しい。

3:僕達の所に来てくれるコーチが欲しい。
 これは、自称〜さんが、中高一貫教育の学校に通われているということから、私立の学校だとすれば、交渉次第で十分に可能なはずだ。公立の学校では難しいが、私立ならお金と、校長先生の許可があれば、来てくれるというコーチはいるはずだ。まずは、親御さんや学校と相談してみてほしい。
依頼内容59:ゲームのカウントはなぜ15-30 -40 なのか?
愛知県のあっぴーさん
報告59:本誌のコーナー中でも何度か報告したが、これに関してはいくつか説があり、確たる「定説」がない。一番、普及している説は「時計の一回り説」だ。これは時計を4分割して4ポイントに分けた時に15-30 -45 で一回りするからという説が根拠になっている。
 現在、最も有力なのはルネスサンス期に初めてルールブックを編纂したアントニオ・スカイーノのルールブックに根拠があるというものだ。ルール自体は今と同じで先に4ポイント取るというものなのだが、30-30 になった場合は3ポイント目を先に取った方が勝ちとなるという、変則5本勝負だ。ここに出てくる3や5をかけたり割ったりして15や、30という数字が出てきたのだ、という説だ。何しろ、テニス自体の起源に様々な説があり、定説となっているものが存在しないので、コレ、という物を特定できない。ちなみに45は、あらゆる説の中で「“フォーティーファイブ”と発音するのは語呂が良くない」という理由で40になったとある。
依頼内容60:テニスプロの引退後について。ゴルフなどと違って、テニスのプロの寿命は短く、まるで力士のような短さで、30代で引退です。その先、どうやって生活して良いやら…。日本でトッププレーヤーが育たない理由はその辺ではないでしょうか。男子ではシニアツアーが出来て、ファンとしても嬉しく、シニア達も収入の道も出来たように思います。女子ではシニアツアーはなく、コーチや解説、タレント等で生活費を稼いでいるのが現状です。ATPや、WTA、日本テニス協会などではテニスプロの早すぎる引退後の職業として何か対策などを考えているのでしょうか? 知ったこっちゃないか?
神奈川県の4歳の息子をトッププロにしたい親父さん
報告60:ペンネームからお察しするに、よほどご心配の様子。しかし、残念ながら、組織的にそうした対策が取られているという話は聞いたことがない。
 まず、最初に誤解を解いておきたいのだが、テニスのトッププロというのは、我々が想像している以上の収入があるということだ。平均的サラリーマンが一生で稼ぐ金額は約3億円だと聞いたことがあるが、マルチナ・ヒンギスが1999年に獲得した賞金額は3,291,780 ドル。日本円で約3億5千万円だ。たった1年で平均的サラリーマンの生涯賃金を突破してしまっている。ちなみに、賞金10万ドル以上(日本円で約1千万円以上)稼いでいる女子選手は99年の実績では92名存在している。人気者を挙げていくと、クルニコワが748,424 ドル(約8,100 万円)、杉山愛が405,148 ドル(約4,400 万円)、ドキッチが160,424 ドル(約1,700 万円)…。男子では、99年のトップはアガシで4,269,265 ドル(約4億6,000 万円)、2位はサンプラスで2,816,406ドル(約3億円)で、獲得賞金の上位100 位は全員20万ドル以上稼いでいる。しかもこれは「賞金だけ」だ。トップ選手は用具や広告その他の契約で副収入を得ている。クルニコワなどはコートの外だけで5億円の収入があったという。さらに、トップ選手は様々なことを契約で済ませてしまうので、強くなればなるほど「元手」がかからなくなって、全てが良く循環していくという仕組みもある(逆に落ちはじめると次々と契約が打ち切られて負のスパイラル状態に陥ることもある)。そんな選手達が引退した途端に途方に暮れるなどということがあるとは、常識的には考えられないはずだ(常に稼ぎに応じた生活ができていれば、だが)。仮に、ヒンギスが明日、選手生命を絶たれるような故障を起こしたとしても、一生食べていかれるだけの金銭はすでに稼いでいるはずだ。
 次に、退職後の心配までしてくれる「一般企業」があるか? という考え方をして欲しい。確かに、テニスの選手の場合、15歳かそこらでデビューして…という経路を考えると、鳴かず飛ばすで失敗した時の再就職は困難を極めるだろう。一度でも栄耀栄華を味わえた選手はいいが、ロクに稼がないうちに引退してしまったら…、と考えると暗い気持ちになるのは理解できる。しかし、我々サラリーマンでも、自己都合で退職した後のことまで心配してくれる企業がどれだけあるのだろう。例えば、今日、辞表を提出したとして、再就職の世話をしてくれるという企業の話など、ごくごく特殊な例を除けば聞いたことがない(例えば、本人には何の非もないが、会社のためにドロを被ったなどというケース等…)。
 また、「日本のテニス界に強い選手が生まれて来ない」とおっしゃられているが、とんでもない! 杉山愛は20位代、本村剛一や石井弥起は100 位代(2/15現在)なのだ。世界で100 位以内に入れる野球の選手が日本に何人居るか? 野茂や伊良部だって世界で100 位以内に入るのがやっと、巨人の松井などは300 位に入れれば御の字だろう。ゴルフの日本トップは丸山茂樹だが、彼でさえ世界ランキング60位代がやっとなのだ。
 テニスに限らず、プロスポーツの世界は「ハイリスク・ハイリターン」の世界だ。4歳の息子をトッププロにしたい親父さんがもし、真剣に4歳の息子さんをトッププロにしたいとお考えなのであれば、引退後の生活に関しては親御さんがケアをしていく覚悟でいて欲しい。デビュー年齢の若いテニス選手の場合、選手の周囲の方々が全面的にバックアップをする覚悟が必要だ。うまくいった時には、スーパースターの大富豪の暮らしが、うまくいかなかった時にもお子様の将来がうまく立てていけるように接して行ってほしい。
依頼内容61:日本のテニス界で、ジュニアからはじめた人以外が(例えば高校卒業してからはじめ たような人)、現実的に「上」を目指せる道筋はあるのでしょうか? また、過去、 そういった常識を覆した選手はいたのでしょうか?
宮城県のS.Kさん
報告61:  「常識を覆した」かどうかは分からないが、最近ではベッカーの例が一番衝撃度は高 いだろう。彼が本格的にテニスを始めたのは12歳の時だが、なんとその5年後にはウ インブルドンで優勝しているのだ。彼の最大の持ち味は有無を言わせぬパワーサービ スと、ボールに食らいつく反射神経、そして殺意すら感じさせるような恐るべき闘争 心だった。
 彼の例が「特殊」でないとすれば、強力なサービスを打てる肩、素早く動く俊敏性 と反射神経があれば、基本スペック的には「合格」と言える。野球部や、陸上部、ラ グビー部やアメフト部などにも素質のある人はいるかもしれない。また、ヒンギスの ように戦術や戦略の「閃き」が素晴らしいという能力を求めるなら、将棋部や囲碁研 究会の中にも有望株はいるかもしれない(「プロ野球の2軍などでくすぶってるスポ ーツ選手に3年間ぐらいテニスをやらせれば、日本のテニス界にも強い選手が出てく るのでは?」と語っている偉い人もいると聞く)。誰もまだその可能性について実証 しようとしている人がいないので、詳細は不明だが、確かに可能性は0ではあるまい 。
 日本の3大プロスポーツの野球、サッカー、大相撲は全国津々浦々にスカウティン グの網が組織的に張りめぐらされている。それこそ、小学生の頃から目をつけ、必要 があればコーチやチームを紹介し、ケガをしたら医者の世話までしているという。急 に出てきたように思われる新人でも、関係者達は子供の頃から知っているということ が多いのだ(軟式野球出身でテスト入団し、後に広島カープのエースとして活躍した 大野投手も、スカウトの人は高校時代から知っていて、「いい球を投げるのだから、 テストを受けてみないか?」ということで入団、大活躍したことが知られている)。
 テニスはどうか? 基本的に個人スポーツのテニスでは、組織的にこうしたスカウ ト網を張りめぐらせること自体が困難だ(大相撲も個人競技だが、部屋というチーム に所属するチーム単位の競技と考えることもできる)。確かに用具メーカーやエージ ェント会社、一部の高校などでそれに近いやり方をしているという話も聞くことはあ るが、これはジュニアのトップ選手をスカウトしているという面が強い。
 まず、野球やサッカーだと、小学校の学校クラブの段階から指導者がいて、気軽に 参加することができて、練習も小学校のグラウンドや、近くの河川敷グラウンドなど で可能だが、小学校にテニス部があるという話はほとんど聞かないし、地域単位のリ トルリーグのような組織もないという不利がある。これでは潜在的才能がある子供で もテニスに出会う前に、他のスポーツに流れてしまうだろう。また、野球やサッカー はジュニアレベルの競技人口自体が大きく、レベルもそれなりに高いため、わざわざ 素質のありそうな子供を探して「やらせなくても」、ジュニア大会などで活躍してい る子供の中から見込みのありそうな子供に目を付けて育てるだけで良いが、テニスで それを根本的なところからやるとすると、「君は身体も大きくなりそうだし、俊敏に 動けそうだし、頭の回転も早くてすごいテニス選手になれそうだから、どうだ、テニ スをやってみないか?」と、野球や、サッカーを始める前の、まだ日本語もおぼつか ない4歳ぐらいの子供に言わなければならない…。なら、素質のありそうな子供を片 っ端から確保してやらせれば…。実現すればすごいことだが、そんなことをやってい たのは冷戦崩壊前の東側諸国ぐらいではなかろうか…。
 従って、本来、テニスに適性がありそうな子供でも、野球をやっていたり、サッカ ーをやっていたりする可能性は高い。テニスをしていれば、スターになれたかもしれ ない子供が、自分の才能に気づかないばっかりに、鉄道研究会でブルートレインの写 真を撮るのに夢中になってしまっているケースだって否定できない。  テニスでスター選手になるために必要な「適性」とは?、非常に難しいが、いくつ か考えられるものを挙げてみたい(女子の場合は色々な要素がありすぎて非常に難し いので、スポーツとして完成の域に達している男子の場合)。
 トップ選手のことは、トップ選手を分析するのが一番早い。昨年のATPのトップ 20の選手の平均を取ってみた。平均身長は187.4cm、体重は80.9kg( 196cm〜175cm、72kg〜92kg)。最初にテニスを始めた年齢(20人中、判明した のは12人なので、12人の平均)は5.7歳(最年少はティム・ヘンマンの2歳半、最 年長はマルセロ・リオスの11歳)で、平均年齢は約25歳(最年長は30歳のピオリーン 、最年少は21歳のトミー・ハース)。タイプ別の内訳は最も多いのがストローカーで 12人、次に多いのがサーブ&ボレーヤーで4人、オールラウンダータイプが3人、ビ ッグサーバーが1人だ。
 以上の結果から推定されるのは、身長は185 cm以上でストロークが得意な選手。当 然、スタミナ面でも5セット戦う体力があり、俊敏に動ける人、というのが基本スペ ックになりそうだ。
 日本の現状をあぶりだすため、日本テニス界の2月15日付のトップ10選手を調べて みた。日本人男子のトップ10の平均身長は172cm、体重は63.7kg(179cm〜 166cm、75kg〜55kg)。テニスの開始年齢の平均は6.6歳(最年少は3歳の増田 健太郎で、最年長は10歳の本村剛一)。平均年齢は約24歳(最年長は山本育史と増田 健太郎の28歳、最年少は20歳の寺地貴弘)だ。
 身長で15cm、体重で16kgの差…。小学校高学年と背の低い大学生の戦いだと言える …、っておい、ヤバイじゃないか! こんなに体格差があったら、互角に戦うにはチ ャンのように「人体改造」に近いほどのトレーニングを積むか、リオス並の「天才的 才能」がないと勝てないって意味じゃないのかこりゃ?
 いやいや、少し冷静になろう。確かに体格があった方が有利な要素は多いし、体格 に恵まれないことで得られるメリットはテニスの場合あまり考えられない。しかし、 海外のある有名コーチが来日した際、「日本人選手も諦めることはない。テニスの選 手は俊敏に動けなければ意味がない。だからあまり大き過ぎない方がいいのだ」と語 っていた。曰く、「大体185cmぐらいが理想だ」ってオイ、ここでオチをつけてど うするんだ。日本人トップ10で一番身長のある小野田選手だって179cmなんだぞ。 でも、大丈夫。俊敏に動くことのプライオリティが最も高いのなら、まだまだ望みは ある。それに、チャンやリオスが可能なら日本人で不可能とは言い切れない!(この 事実に日本テニス界の指導者達は実は、一番頭を悩ませているのだが…)
 さて、S.Kさんが一番知りたがっている「上を目指すための道筋」だが、「上」 というのが世界の頂点だと、前例がないので何とも言いにくい。世界でも前述したベ ッカーの例があるぐらいで(非常に古い時代まで逆上ればいくつか散見できるが、現 在とは状況があまりに違うので比較できないのでここでは考えないことにした)、大 体、我が国が持った最高の才能は最高世界4位の伊達公子なのだ。「頂点」にはまだ 誰も立っていない。ちなみに伊達は6歳でテニスをはじめて、19年目であの位置に着 いた。プロになってからだと6年目で全盛を迎えている。松岡修造の最高位は46位。 10歳でテニスをはじめて18年目でキャリアの頂点に昇りつめた。プロになってから9 年目のことだった。
 キレイ事を言うようだが、本当に才能に恵まれていて、その才能を正しく導ける人 がいて、本人や周囲がそれに耐えられるだけの経済力を保有していれば、高校卒業後 からテニスを始めたような人でもプロになれる可能性はある。
 ただ、その前に「現実」という壁が大きく立ちはだかるだろう。必死で練習して3 年で一通りの技術を磨いた頃には21歳。十分な環境を用意して(コーチやトレーナー 、練習費、遠征費などで、何不自由のない環境のこと。ゼロからのスタートなら恐ら く必須条件になる)、テニスの選手を一人育てるには年間約3000万円かかると言 われている。3年間はほとんど収入がないまま1億円近い費用がかかる計算になるが 、それに耐えられるだけの環境のある人がいるだろうか?。バブル時期には日本にも 「採算を度外視」したスポンサーもいたらしいが、今ではよほどの選手でないとスポ ンサーからの支援は受けられないし、日本人トップクラスの選手でさえ、ほとんど支 援がないまま活動している選手もいる。まして「これからテニスをはじめたいんで、 スポンサードして下さい」などと言って、一体誰が金を出してくれるというのだろう か。とてもじゃないが無理だ。伊達と松岡の例から考えて行くと、全盛を迎えられる のは早くても30歳前後になる。それまでの6〜8年、モノになるかどうかも分からな い人間に、何のメリットもなく億単位の投資をできる人や企業がいるとは考えにくい 。
 そこで、だ。考えられる方法がある。選手個人個人で活動するのではなく、会社を 起こし、そこで副業的なことをしながらスポンサーを集めたり、活動費用を稼いだり すれば実現に近づけることができる可能性はある。考えられる方法の一例を報告して 締めたい。
 まず、何人かの選手(すでに活躍していることが前提)と、経理や営業に明るい人 材を集める。初期には投資してくれるパトロンも必要だろう。何とかしてそれを実現 したら、後は営業部隊が様々な企画を立てて企業に営業をかけ、メディアにも協力を 要請する。所属する選手達は選手活動以外にもあらゆるイベントに時間を取られるこ とになるが、そこは仕方がない。稼ぎ頭の選手は広告塔としての役割も果たさなけれ ばならないだろう。そういった「チーム」が、若手選手を育成していくシステムを作 れれば、その中に「高校卒業後にテニスをはじめた人」が混じっていても、コーチや トーレナーの心配をする必要はないし、マネージメント面の心配もいらない。うーん 、少し違うかもしれないが、例えばゴルフの「ジャンボ軍団」のような形だろうか。 事実、似たような形態の団体や、組織はテニスの世界にもできつつあるという。それ ぞれが成功しはじめると、日本のテニスの夜明けも近いような気がするのだが……。
依頼内容62:スライスを覚えてからトップスピンが打てない。コーチからは「いったんタメを作 って腰を落として」と言われ、努力もしているがどうもうまくいかない。ヒザの使い 方に問題があるのでしょうか?
?県のあぴるさん
報告62: この依頼の文章だけでは何とも判断しにくいのは事実だが、考えられるのは恐らく、スライスの打ち方で楽をして打つことを覚えてしまったため、力のいるトップスピンが打てなくなってしまったのではないだろうか。
 実際には、強力なスライスを打とうとすれば、スライスでも「タメ」は必要なのだが、トップスピンと違い、スライスでは楽をして打つこともできる。逆にトップスピンでは楽をしてはあぴるさんが思い描くような強力なボールは打てないのだ。
 しかし、正直言って、難しく考えすぎているのが最大の原因ではないだろうか。
トップスピンをかけたければ、ボールの下にラケットを入れて、下から上に振り切れば良い。コツも何も、実際それだけのものだ。ヒザがどうの、タメがどうのというのは、ケースによって最適の形が違う。ヒザの使い方がどうしたとか、腰を落とすとか小難しいことを考えてしまってご自分の身体がどう動いているか分からなくなってはいないだろうか。 まず、初心に帰って、ボールにトップスピンをかけることだけ を考えて、思い切り叩くことをしてみてはいかがだろうか。アウトしても構わない。まずはそこから始めてみてほしい。以前はできていたのなら、原因は案外そんなところにあると思う。とにかく、テニスは単純に考えることが大事で、複雑に考えてもいいことはない。知識として面白みはあるが、実際にプレーする時に運動連鎖がどうとかを考えてやっている選手は皆無だ。ボールに集中し、プレーに集中していれば、自然と形はできるもの。どうか、複雑に考え込んで悩まないで、楽しんでプレーしてほしい。
依頼内容63:前衛のプレッシャーがあるダブルスでは速いストロークが打てるのに、シングルス ではできません。何か対策は?
秋田県のT.Kさん
報告63:まず、言えるのは、それが何故なのか我々には分からないということだ。しかし 、一つ言えることがあるとすれば、プレーヤーによってはプレッシャーがかかってい る状態の方がより力を発揮することができる人がいるという事実だ。プレッシャーの ない場面では集中力が維持できないのか、その原因については本人しか分からないが 、そういう人が現実に存在している。
 対策は? と言われても、シングルスでも思い切り打ってみては? としか言い ようがないのだが、それでは少し冷たすぎるような気もする…。原因が分かれば、対 策も見つかるのだが…。
 原因として考えられるものをいくつか考えてみたい。
(1)ダブルスではパートナーがカバーしてくれるという安心感があるので、思い切っ たプレーができている。
(2)前衛の立っている位置を目安にしてコートの広さを感じているので、シングルス では距離感が掴めず、アウトするのを怖がっている。
( 3)シングルスで対戦相手として出てくる人は、それなりに自信がある人が多いと推 定されるので、単純に相手との技量差が存在している。
 原因が (1)の場合は、シングルスの試合をする時はしばらくは自分より弱そうな相 手と試合をしてもらって自信をつけることが対策となる。( 2)なら目印をネットとか、 仮想延長線を変更すれば良い。( 3)の場合は、試合をして練習を積んで、もう強くなる しかない。
 こんなところで勘弁してほしい。
依頼内容64:今年の4月に結婚します。テニスを通じて知り合ったのでウインブルドンに新婚旅 行で行きたいと思っています。どうすれば良いでしょうか。
東京都のパートナーはペンギンさん
報告64:あ、そうですか。それはおめでたいことで(ひがんでいる)。いかん! こんな ことでは依頼者の皆様の信頼を失ってしまう。今、自分がどんなに不幸でも、仕事が 忙しすぎて異性と知り合う機会がなくても、幸せになりたくてもなれないので毎日飲 んだくれてても、依頼者の皆様のご期待にそえるように頑張らなければ!
 さて、正直に申し上げて、本誌ではここの代理店ならと、具体的には申し上げに くい。本誌に広告を出して頂いている代理店様もあり、そのライバルをここでご紹介 したとなれば、ちょっと問題が大きくなるかもしれないからだ(大人の世界のしがら みには色々あります…。ご理解下さい)。
 しかし! まずはおめでたいことなので、ヒントだけは申し上げよう!
 本誌のバックナンバーをお持ちであれば、春〜夏頃の広告を見てみてほしい。「観戦 ツアー」と銘打たれた大手旅行代理店の広告があるはずだ。今年もあるかどうかは分 からないが、時期的には3〜4月頃には募集が始まるとは思う。しかし、こればっか りは旅行代理店さんでなければ分からない。大手の旅行代理店さんであれば、手掛け ていると思うのだが…。
 あるいは、個人旅行のプランニングの中にウインブルドンの観戦を混ぜて相談す るという手もある。もちろん、予算に余裕があればの話だが…。
 実際、ウインブルドンのチケットの入手は難しいと聞く。我々メディアに対する プレスカードの発行に関してでさえ、超シブチンで有名なのがウインブルドン(大き く分けて2種類の、9daysとフルデイズのプレスカードがある。前者では決勝は 観戦できない。決勝を観戦したければ、チケットを買うしかない.しかも、センター コートの場合、プレス席は地元イギリスのメディアと、試合を戦う選手の母国のメデ ィア全体に対し数席分だけ与えられるが、それ以外の国のメディアには最悪発行され ないこともある)。毎年、チケットを求めて5km近い行列ができているが、あの全員 がチケットを入手できたとは思えない。したがって、ウインブルドンでは観客の入退 場をコンピューターで管理し、途中で帰ってしまった客がいれば、その分を再販する というスタイルを取っている。つまりキャンセル待ちができる(実はプレスもこの方 式で管理されていて、毎日ちゃんと行かないと、次の年からプレスカードの格を下げ られたりすることもある)。しかし、せっかくの新婚旅行だ。そんな不確実な方法で 行くのは嫌だろう。もう一度、大手旅行代理店さんに問い合わせてみてほしい。また 、テニスに限らず、スポーツ観戦ツアーを主催している代理店さんなら、可能性は高 い。テニス誌以外の雑誌も見て、そういった広告を掲載している代理店さんから当た ってみるというのも手だ。
 今年もやってくれていると思う…。保証はできないが…。
依頼内容65:テニスコートにはなぜあんなに種類があるのですか? おかしくありませんか?  ゴルフは芝、野球は百歩譲って一応土と芝、でもテニスはハード、クレー、芝、カー ペット…。これは何でですか? どこでやるのが一番正式行事なのでしょうか?
東京都のケイスケヨコヤマさん
報告65:いや、全くおっしゃる通りで、意外な盲点だった。早速調べてみたので、ご報告したい。
 これにはまず、テニスの歴史を振り返っていく必要がある。「テニスの起源」に ついては今までも何度か報告してきた通り、実は諸説プンプンとしていて、定説がな い。
 ヨーロッパで行なわれていたインドアの「コートテニス」や「ジュドポーム」が 起源とすれば、床はハードか木の板になるが(主に劇場が舞台となっていたため)、 ウインブルドンを発祥と考えれば「ローンテニス」となり、正式なのは芝ということ になる(ローンというのは芝という意味)。いや、中世ヨーロッパで遊ばれていた頃 のサーフェスは石畳の庭か、さもなければクレーだったはずだ、……と考え出せばキ リがない。結論は出しにくい。
 そう言えば、プロ野球ではバットは木製と決められているが、テニスのラケット の素材自体に対する規制はない。
 現在とつながるという意味から考えると、ウインブルドンでルールが整備され「 近代テニス」が始まったのだから、芝が「正式」ということになるのかもしれない。
 ここからは推測だが…。テニスにこれほどまでに様々なサーフェスが存在するの は、「たくさんテニスがしたい」、「こんなサーフェスでやったらどうなるだろうか ?」といった状況的要求や、好奇心からではないだろうか。芝の維持にはお金がかか る。もっとたくさんの人に楽しんでもらうには、と考えられたのがメンテナンスが簡 単で、雨にも強いクレーやハード。寒い冬の季節が長くインドアにせざるを得ないが 、芝のようなイメージでテニスをしたい、というのがカーペットコートを生み出した のではないだろうか。
依頼内容66:ヒンギスのように振り抜いてバックハンドでダウンザラインに打つには? ヒンギ スは特殊と言われてますが、参考になりませんか?
滋賀県のタッキーさん
報告66:まず、ヒンギスのバックハンドが特殊と言われる理由についてだが、彼女の打点 の捕まえ方が、いわゆるそれまでのバックハンドの基本と言われていたものは違うこ とが挙げられる。彼女はセミオープンのスタンスから左足でボールに入っていき、ほ とんど全てのボールを処理してしまうのだ。ステップインして打っていく普通の打ち 方の場合、当然踏み出した足でボールとの距離感を掴むことになるのだが、彼女は左 足一本で全てのボールの距離を取ってしまう。まず、ここが初心者レベルだと難しい 点だ。
 次にスイングの軌道なのだが、彼女の場合、特にフォロースルーに特徴が出やす いが、極端と言ってもいいほどのインサイドアウトだ。インサイドアウト自体は普通 のことだが、彼女のはかなり極端にできている。ボールに対してラケットを当ててい く時の面の調節の感覚が抜群で、それだけで全ての方向づけをできてしまうような感 じがある。野球で言えば、往年の巨人の打撃の職人、篠塚や、今で言えばイチローの ような感じだ。これを真似しようというのは一般プレーヤーにとってはあまりにも高 度すぎて、却って、スイングのバランスを崩す危険が高いため、最近の専門誌では「 特殊」と分類している。参考にならないか? と言われれば、確かになるのだが、そ のレベルがあまりにも高い。神尾米さんは「彼女は特殊。普通の人がやろうとしてで きる打ち方じゃない」と断言していたし、フェドカップチームの丸山薫コーチも「イ チロー的なスイングで、非常に高度」と一般プレーヤーにはお勧めしにくいと言って いる。
 さて、振り抜いてダウンザラインに打てないということだが、クロスに振り抜い て打てるのなら、これは簡単だ。ダウンザラインに打つときも同じように打てば良い 。考え方の問題だ。ようするに打つときの身体の向きを変えれば良いのだ。打点だと か、手先だけでコントロールしようとするから振り切れない。問題はダウンザライン に打つときの方が距離が短いということと、ネットが高いという点。この2点に注意 すれば打てるはずだ。サービスのコースを打ち分ける時に手先だけでコントロールし てはいけない、身体の向きを変えるのだと、恐らく教わったことがあるはずだ。要は それと同じこと。試してみてほしい。
依頼内容67:何でみんなバックハンドスライスを多用しないのでしょうか? スピードを要求されるトッププロなら分かるのですが、欠点といえばスピードが遅いことぐらいしかないのに…。深く低いスライスなら、アマレベルでは十分通用すると思うのですが…
広島県のさすらいのスライサーさん
報告67:そう言えば今年の東レPPOで、大会広報の方と雑談していた時、「グラフみたいなきれいなバックハンドスライスを打つ選手がいなくなっちゃいましたねー」としみじみおっしゃっていたのが印象的だった。
 ラケットが今のように進化する以前は、バックハンドといえば「スライス」という時代が長かった。これは主にラケット自体にパワーがなく、バックサイドから強打することが難しかったからだ。やがて両手打ちのコナーズやボルグの台頭すると、ラケットの進化と相まって片手スライス派は消滅に近くなり、今やバックハンドでも完全にトップスピン(フラットドライブ)時代に突入している。
 さすらいのスライサーさんの言うように、バックハンドスライスというのは深く低く打てれば非常に効果的だ。ボールの軌道もバウンドも低く滑るので、高い打点からの強打を許さないし、ボール自体が遅いので、自分の体勢を整える時間も稼げる。 さらにカウンターショットに対する心配も少なくてすむ。いいことずくめだ。特にアマチュアレベルではご指摘のように非常な武器になるだろう。
 しかし、バックハンドのスライスを究めるのは難しい。スライスはボールの軌道自体が低いためネットに引っかけるリスクも高く、しかもトップスピンのように落ちないのでアウトもしやすいという特性がある。「深く低いスライス」を打つことは、トップスピンで深く入れることよりもずっと難しいのだ。それに、ちょっとでも浮いてしまえば思い切り叩かれる危険もある。
 今はラケットのパワーが上がり、また、両手打ちの普及により、女性プレーヤーや、非力なプレーヤーでもバックサイドから自在にボールが打てるようになっている。であれば、リスクの高いスライスより、ネットの上空高くを通り、コートにも収めやすくて、より安全なトップスピンが選択されるのも無理のないところだろう。
 バックハンドのスライスが多用されなくなった原因として他に考えられるのは、両手打ちバックハンドの人が多いということだ。両手打ちで覚えてしまった人が、スライスを打ちこなせるまでには、意外に時間がかかる。これはスライスは両手では打ちにくいので、片手でのスライスを練習しなければいけないということと、今まで「スライスという選択肢」が頭の中にないので、その切替にも時間がかかるということ。また、両手打ちで慣れている人は、スライス以外の武器を多く持っているために(しのぐならトップスピンロブやムーンボール、決めるなら片手では難しいアングルショットなども打てる…)、ことさらスライスの必要性を感じないという面も考えられる。
 多用できればいいが、できないというのが事実ではないだろうか。極論すれば、トッププロ達の世界では、全体の流れの中での必要性が感じられていなくなってきているとも解釈できる(無論、不要だなどとは思わない。特にサーブ&ボレーヤーがアプローチで使うには永遠不滅のショットとしての地位を失うことはないだろう。これは現在主流を成している「両手打ちバックハンドのストローカーにとっては」という意味として受け取って欲しい)。
 実際、スライスを完全にマスターしているベテランプレーヤーの方は、実に効果的に使っており、草トーナメントなどでは、非常に効果をあげている場面を何度も見たことがある。パワーを要求されない「技」系のショットなので、息長くテニスを続けていきたい方には必須のショットと言えるのかもしれない。
依頼内容68:フランスに行く機会があります。全仏を見に行こうと思うのですが、行き方、チケットの手に入れ方を教えて下さい。
?県のK.Tさん
報告68:フランスまでの行き方については、旅行会社に問い合わせていただくとして、宿泊地として想定されるパリ市街からの行き方をまずご説明しよう。
 ホテルから会場まではタクシー(英語は通じないと思っていた方がいい)やバスでもいいが、地下鉄(Metro)を利用するのがリーズナブルではある。パリの地下鉄はニューヨークや、イタリアなどよりも比較的、安心して使える。Line10のPortd’Auteuil駅か、Line9のMichel−Ange−Molitorで下車しよう(現地に行かれてから必ず事前にご自分で路線図などを入手して、最新の情報を確認して下さい)。駅からは大会期間中であれば、人の流れに従っていけばまず迷うことはないだろう。
 チケットは決勝だとか、準決勝などでなければ(例えば1〜3回戦が開催されている1週目など)、頑張れば当日券を入手することもできると思う(もちろん、保証はできない)。会場に案内板が出ているはずなので列に並んで購入しよう(スタジアムコートへの入場は別途チケットが必要なので、センターコートに入りたければ、忘れずに購入しておこう)。また、大会が近づくと、ホームページ上(http://www.rolandgarros.org )でいつから発売とかの情報がアナウンスされるかもしれない。こまめにチェックしてみていてほしい。
 試合を最後まで観戦していると大体、午後9時〜10時頃になる。天気によっても違うが、晴天時なら、ほの暗くなる感じだ。
 湿気は少ないが暑い時は暑く、寒い時は寒い。日本の3月〜4月の始め、9月中旬〜10月頃と心得ていれば洋服の選択に間違いはないだろう。
 さて、全仏の特徴についても少し報告しておこう。まず、フランス人は「ラリーが好き」だ。ウインブルドンや全米ではアガシの強烈なリターンエースや、サンプラスの豪快なサービスエースにより大きな歓声が上がるが、全仏ではラリーが長く続けば続くほど「オオ、オオ」と歓声が大きくなっていく。
 お土産類の充実ぶりも特筆ものだ。Tシャツやトレーナーなどのスポーツ系アイテムなどの定番だけでなく、さりげなくオシャレ度の高いシャツやコート、ネクタイなども売っている。どれもフランス人のオシャレ好きが伝わってくる品ばかりで、買い物好きの人は財布のヒモを締めてかからないと、大散財してしまうかも。
 ちなみに、我々メディアにも比較的、評判の良いのがココだ。プレス用のレストランは安くておいしいと言う人が多い(取材で大会に来ていると、最大の楽しみの一つが食事なのだ)。選手用のレストランも選手達にすごぶる評判が良く、今は引退したS選手などは4大大会随一のハードさを誇るこの大会で「必ず太った」と語ったほどだ(選手用レストランには選手とその関係者以外は入れないので、実際にどうなのかは我々も「また聞き」だが…)。観客用の会場内のカフェなども市街よりは少し高いが、他の大会のそれに比べればかなり充実している。主観の相違もあるにせよ、「俺らぁよ、白米と味噌汁しか受け付けねぇんだよ」という「大の和食党」の方を除いて、普通に洋食を好む人であればハズレをつかんでしまうことはないと思う(施設や業者などの面で色々と制約があって難しいのは理解するが、日本の大会もどうにかこの辺を改善できないものなのだろうか…)。
 しかし、だ。調査団としてオススメするのはあくまでも旅行会社などが主催する「観戦ツアー」だ。たまたまその時期、フランスに行く機会があるのでそのついでに、というK.Tさんのような方はともかく、これから計画されている方は、最も確実で、安全で、会場への行き帰りの足も確保されているパックツアーが一番間違いがない。これは何も旅行会社の片棒を担いでいるわけではなく、せっかく行ってもチケットが買えず、見れなかったというのでは、あんまりだと思うからだ。
依頼内容69:大会の「D級大会」や「C級大会」って何ですか?
?県のとめとさん
報告69:まず、質問の意味が分からない。草大会での資格条件のことをおっしゃられているのか、それとも、とめとさんのお住まいの地域にそういう名称の大会があるのかどちらなのだろう? 大会名称のことだとすると分からないので、その大会の主催者に問い合わせていただくとして、草大会の資格条件のことを報告する。
これはある地域で普及しているレイティング制度によるいわゆる「初級者大会」・「中級者大会」という意味だ。全国的にはまだまだだが、一部の地域で普及しているテニスの「技能資格」のようなもので、剣道や柔道の段位制に相当すると思って良い。その資格を持った人が出る大会という意味だ。
依頼内容70:バックはスライス、フォアはトップスピンという古風なスタイルの私。しかし、相手のボールが緩かったり、トップスピナーだとうまくできません。アドバイスを
広島県のとめとさん
報告70:依頼文だけでは判断できないが、恐らく、高い打点が打てないのではないか。とめとさんは10代。そこから予測される原因は筋力不足だ。高い打点のゆるめのボールを自分から打っていくためには腹筋・背筋を中心とした高い筋力が要求される。こうした悩みは特に女子選手に多い。
「相手に左右される」とのことだが、どのプロ達も口々に「自分のテニスをして勝つ」と言っているのを思い出して欲しい。自分のテニスができず、相手によって変化を強いられてしまうのでは、本当に強い選手にはなれないぞ。ヒンギスは変幻自在に見えるかもしれないが、彼女が苦手にしているのは「誰もが苦手にしている」ダベンポートや、ビーナスの強打だけ。しかし、それもフィジカルの強さが増してきた今では克服しつつある。どんなスタイルでもいい。「自分のスタイル」を確立して、それに向けてゲームを組み立てる方法を考えたり、練習を積むほうがベターだと思う。例えば、背が高いならサービスを磨くとか、体格に恵まれないなら精密なコントロールとフットワークを磨くとかだ。
依頼内容71:プロの選手が試合中に飲んでいるのは何か? アガシの飲んでいるオレンジ色の飲み物は何なのだろうか?
福岡県のアガシもどきさん
報告71:○ァンタオレンジ。……嘘です。
 プロ達が試合中に飲んでいるものは様々で、選手によっても違うのだが(以前、N社がスポンサードしていた大会にアメリカの女子選手が出た時に、C社の○カ・○ーラが飲みたいと訴えて泣いたという話がある。当時の彼女が試合中に飲んでいたのは○カ・○ーラだったのだそうだ…。意外に○ーラは人気があるらしい)、大体の選手はスポーツドリンク系かミネラルウォーターだ。
 市販の物をそのまま飲んでいる選手もいれば、自分だけのオリジナルのドリンクを持参する選手もいるという。ようするに、水分補給が目的なので、自分が一番飲み慣れていて、かつ効果のあるものが選ばれているようだ。チャンのように試合中にミネラルやビタミン剤を飲んでいる選手もいる。
 さて、アガシが飲んでいる物についてだが…、現在調査中だ。もう少し待って欲しい。
依頼内容72:新しくなったATPチームレースなど、プロのダブルスではペアの変更はないのでしょうか? この間「去年まで杉山愛とペアを組んでいたリホフツェワ」と言っていたように思うのですが…
岐阜県のBrounさん
報告72:もちろん、ある。たとえばこの前の東レPPOでは杉山はクルニコワと組んでいたが、今年の杉山のパートナーは基本的にジュリー・アラール・デュキジスだ。ペアの二人がいつも同じ大会にエントリーしているわけではない(この前の東レPPOではリホフツェワもジュリー・アラール・デュキジスも来ていなかった)。そんなケースで出場することも多いので、ペアの変更は常にあると考えた方が自然だ。また、故障欠場もある。
 ダブルスのエントリーでは、「二人のランキングを足して何位?」という使い方 をする。例えば、ダブルスランキングが50位の選手と1位の選手が組んだ場合、51と いう考え方だ。大会のカットオフが、二人合わせて300だったとすれば、その数字 に合わせてペアを組まないと試合に出られない。こうした事情でペアが変更されるこ ともある(数年前の東レPPOでヒンギスがルチッチとペアを組んでいた時、ルチッ チのランキングが低かったために、なんと予選から戦っていたことがあった)。
 しかし、ダブルスというのは二人の呼吸が大切。何度か組んで「いい感じだ」と 思えば長続きするし、気が合わなければ1度きりのペアになることもあるだろう。と は言え、ちょくちょく変わることはあまりないというのも事実ではある。
 ところで、ATPのダブルスのチームレースのランキングというのは、そのペア で獲得したポイントを反映させるようになっている。これはWTAのチェース選手権 のダブルスの出場権を賭けたランキングでも同じだ。
依頼内容73:ウインブルドンの男子決勝で必ずバッグを持って出てくる「白衣を来た老人」は何 者なんでしょうか? どんないきさつでそういうことになったのでしょうか?
東京都のM脇さん
報告73:確かに目立つ。一体、あの老人は何者なのだろうか…。
ウインブルドンでの取材が長い、本誌写真部カメラマンのTに聞いたところ、「確 かに目立つよね。今まであの人が誰? って疑問が出てこなかったのが不思議なぐら いだよね」と言った後、「でも、俺は知らない」とのこと。ここで本誌関係者ルート が途切れる。
 思い余って方々に問い合わせたが、誰も知らない…。
 しかし! プロテニス日本の早川氏が知っていた。「彼は選手のロッカーでタオ ルを用意したり、色々と選手のお世話をする係の人で、オールイングランド・クリケ ット&ローンテニスクラブ(※ウインブルドンを主催しているテニスクラブのこと。 ウインブルドンはこのクラブの「プライベートな大会」としての色彩を今だに色濃く 持っている大会でもある)の職員さん。でも、彼がいつから居て、どんなキッカケで あの仕事を始めたのかまでは分からない」。とのことだった。
 興味深いテーマなので、継続して調査する。調査団が接触できる色々な人にこれ から聞いて回ってみるつもりだ。今しばらくお待ちいただきたい。また、この老人に ついて何か情報をお持ちの方がいれば、どうかご連絡いただきたい。
(プロテニス日本のS様と、早川様、お忙しいところ本当にありがとうございました)
依頼内容74:ガットはいっぱいありますが、どれを選べばいいんですか? スピン・反発力・耐 久性・コントロール…って分かれてるけれど、そんな中でも種類がいっぱいありすぎ て…
東京都のH.Nさん
報告74:のっけから何だが、正解はない。向き、不向きはあるがそれも絶対ではないし、 どれを選んだらダメということはない。
「種類が多くて分からない」というより、「こんなに種類があってスゴイな」と考えてみよう。剣道部の人などは竹刀をいい竹にするか安い竹にするか、カーボン製にするかぐらいしか選択肢がないのだ(太さや長さは自由に選べるが…)。柔道部の人だとそんな選択肢すらない。テニスはそういう面でも楽しめるなんて素晴らしいと考えてみよう。あれだけ種類で出ていれば、自分にピッタリのガットだってあるはずだと思えるではないか。
……別に話を逸らすつもりではない。あまり難しく考えすぎず、柔軟に考えてみようという意味だ。たとえば、モノフィラメントは反発力、マルチフィラメントは打感がやさしいとか、ポリエステルはパワーヒッター向きなど、言われていることは色々ある。でも、それだって製品によっては違う性質が与えられている物もある。極端な話、ラケットに張って、実際に打ってみなければ分からないとさえ言えるだろう。
 様々な種類のガットが出ている。それぞれ性質も太さも材質も違う。どれを選べ ば良いのか途方に暮れる気持ちも良く分かる。しかし、ある時期に「合っていた」ガ ットでも、パワーがついてきたり、逆に落ちてきたら「合わなくなる」こともある。 また、前はフラットに打っていたが、最近スピンを使うようになったら合わなくなっ てきたということもあるかもしれない。あるいは、気に入っていたガットが廃盤にな ってしまうということだってあるだろう。
 ここで、何よりも大事なのは「自分のテニスのスタイルをどれだけきちんと把握 できているか」に尽きる。これはラケットやシューズに関してもそうなのだが、自分 がどんなプレーヤーかをまず知らなければ、何も始まらない。テニスは道具を使うス ポーツだけに「自分についての情報」を正確に把握することが第一になる。伸び悩ん でいる中級者や、エルボーを抱える人などはガットを変えるだけで、違う世界が見え てしまうかもしれない。 ヒントになるものはたくさんある。ガットの包装紙に書か れている文句でも判断できるし、今自分が使っていて気に入っているラケットをスト リンガーの人に言ってみて、どんなボール、どんな打感を求めているか説明してもい い。まずはきちんとしたストリンガーさんのいるショップを訪ね、そこで話を聞いて みよう。餅は餅屋というように、その道の専門家の人は色々な引き出しを持っている 。プレーの参考になることも多いと思う。
依頼内容75:25年ほど前、先輩に譲っていただいたビル・チルデン著の日本語訳の本がみつかりません。古いものですが、今でも通用する内容のいい本だったと思います。残念ながら紛失してしまいました。古本屋さんなどでも探しているのですが、書名・発行所とも失念してしまいました。硬式テニスをはじめた息子に見せてやりたいのですが、何か手掛かりになるものを教えて下さい。
報告75: 我々にももう少し手掛かりが欲しい……。
 だが、調査方法としては著者名がわかっていて、さらに著者も非常に有名な人物なので、ある程度大きな図書館の著者名目録を調べると判明するのではないか、という目星をつけている。気になるのは、チルデンほどの人物の著書なら1点ではないかもしれないということだ…。
 とりあえず、捜査線上に浮かんでいる本のタイトル等を報告しておく。これだといいのたが……。
「チルデンのベターテニス」
W.T.チルデン著
ベースボール・マガジン社
1980年12月発行
190 ページ。600 円(当時?)
ISBN:4583015380

 古参の編集者に確認してみたところ、この本ではないかとの解答を得ている。内容的にはテニスの教則本で、チルデンの写真も挿絵的に使用されていたとのこと。サイズは新書程度の大きさだったという(コード番号などは紀伊国屋書店さんのサイトで検索したもので、現在も入手が可能かどうかは不明) ただ、K.Yさんは「25年ほど前」とおっしゃっているので、違うかもしれない。
でも、古参の編集者がこの本を読んだのは、ちょうど25年ほど前のことだということなので、もしかしたら、と思うのだが、発行が20年前の1980年になっているのが気掛かりだ。
 この報告をご覧いただいている方の中で、もし他にも心当たりのある方があれば、ご一報いただきたい。K.Yさんからも、可能であれば、これで正解かどうかのご連絡をいただければ幸いだ。
依頼内容76:テニスをはじめて3年。シングルスだとゲーム中に身体が暖まっていいのですが、ダブルスだと調子が出る前にゲームが終わってしまいます。どうすればゲーム開始と同時に調子を上げられるのでしょうか?
兵庫県のFISCHER大好き!さん
報告76: FISCHER大好き!さんは29歳。「若い」と言えるかどうか、そろそろ微妙な年齢だ。FISCHER大好き!さんも若かった頃、例えば10代の頃なら新陳代謝も活発で、身体が暖まるまでの時間も早かったかもしれない。しかし、20代も後半に突入したのだから、そろそろ慎重に暖気運転をしてから、順番にギアを上げていきたいところだ。
 以前、寺地貴弘選手が久我山にあるナショナルテニスセンターで練習していた時(ナショナルテニスセンターは普通のレンタルコートでもあるので、隣が一般プレーヤーということも多い環境だ)、横では一般のスクールが行なわれていたらしいのだが、遅刻して来た人がアップもしないでいきなりはじめたので驚いたと言っていたことがある。彼は記者に向かって「毎日テニスをしているプロの僕たちでさえ、しっかりアップしないと不安なのに…。しっかりアップはして下さい」と伝えて欲しいと訴えていた。
 依頼者の方は恐らく、普段から、しっかりアップをしてから試合や練習に臨まれている方だとは思うが、まず、その辺の行動がご自分でどうなのかを振り返ってみて欲しい。でも、「シングルスだとラリーが続いている間に…」とおっしゃられているところを見ると少々怪しいが…(笑)。
 ダブルスでゲーム開始と同時に調子を上げたいのであれば、試合前のアップをとにかくしっかりやることと、試合中でも疲労を感じない程度で常に身体を動かして冷やさないことが考えられる。「なんでー、そんなことわかってんだよ」という声が聞こえてきそうだが、実際、それが一番効果的だと思うし、即効性も高いはずだ。
 あと、付属的な意味で大切なのが「食生活」だ(人によってはこっちの方が本道だと言われてしまいそうだが…)。食生活については非常に専門性の高い分野なので詳しくは報告できないが、アルコールは身体を冷やす。体質にもよるが、ホロ酔いを呈するぐらいの量を飲むと、24時間以上にわたって筋肉を冷やしてしまうのだという。アルコールを飲むと「暑くなる」という人もいるが、実際には筋肉は冷えてしまうのだ。
 ここで絶対に勘違いしないで欲しいのは、アルコールがクールダウンに効果があるという意味ではないことだ。そこのところをくれぐれも誤解しないで欲しい。テニス後のビールはとってもおいしい。それは認める。筆者もこれなしではかなり寂しい…。しかし、サービス動作などで酷使された筋肉は、実は無数の微小な傷を負っている。ケガの回復にアルコールが悪影響だということはご存じだと思うが、ここでも同様のことが言えるのだ。早く疲労から回復したいのなら、テニス後のアルコールは控えた方がいい(好きな人には不可能に近いかもしれないが…)。
 したがって、大事な試合の前などには極力アルコールは避けた方がいい。
 運動前のアップ、運動後のダウン。この二つは面倒でも後の効果のことを考えると、しっかりと実行しておいて欲しい。試合に入ってすぐ絶好調に持っていきたいと望むなら、これがベターな方法だ。問題は、試合が長引いてしまった時、最初から絶好調でスタミナが続くかだ……。
依頼内容77:その昔、ジミー・コナーズのファンでした。当時はT2000、プロスタッフミッド、パンサープロセラミックなどなど鉛の板までレプリカしていました。さて、現在、彼が使用しているラケットは何でしょうか? インターネットの検索でも引っ掛かりません。中年のコナーズに愛の手を!
埼玉県のちんげん先生
報告77: 何だ、楽ちん楽ちんと思って始めたこの調査だったのだが、実は今、暗礁に乗り上げている。
 こういうことなら、と思い東京は錦糸町にあるテニスパラダイスの太田さんにうかがったところ、「昨年以来、公の場に出てきていないので、我々にも分からないんですよ」とのお答え。しかし、「最後に使っていたのはプリンスのプレシジョンモノでしたね」との解答を得た。プリンスのプレシジョンモノとは、コナーズが開発に深く係わって開発されたという、今では珍しいモノシャフトのラケットだ。
 そこで次に日本でプリンスラケットを扱っているダイワ精工に問い合わせると、「コナーズさんとの契約は切れていまして、次はフォルクルさんだと聞いていますが…」とのことだった。なぬ!? 今はプリンスじゃない? てっきりプリンスのプレシジョンモノだと思っていた我々は驚いてしまった。
 フォルクルか…。ベッカー、マッケンローなどと契約し、最近、日本にも正式な代理店ができたフォルクル。ヨーロッパでは非常に評価の高いラケットを多く生産し、日本でも競技指向の人を中心に静かな人気を呼んでいるというフォルクルが、今度はコナーズに触手を伸ばしたのか…、なるほどなるほど。と、思って、日本のフォルクルの代理店であるマーカージャパンに問い合わせた。すると…
「え? マッケンローの間違いじゃないんですか?」
「いえ、コナーズ選手のことなんですけど…」
「我々が把握している範囲では、コナーズさんのことについてはまだ聞いてないんですが…」
 ちょ、ちょっと待ってくれ。どういうことなのだ。マーカージャパンの担当者の方は「もしかしたら本社の方でそういうことになっているのかもしれないんですが、まだ我々は把握していません」とはおっしゃったものの、ここで捜査線が一端、途切れてしまった。
 最初のテニスパラダイスの太田さんがおっしゃられていたように、最近(2000年5月初旬時点)、コナーズは公の場でテニスをしていないようだ。我々が調査した結果でも最後に使っていたラケットはプリンスのプレシジョンモノだった。
 しかし! 思わぬところから情報が飛び込んできた!(こういうことがあるので調査するのは面白い)。
 ウェイベックスだ! ウェイベックスというと、今はまだピンと来るファンの方があまり多くないかもしれないが、最近精力的な活動を見せているラケットメーカーだ。ここのホームページのトップにデカデカと「コナーズはウェイベックスのラケットを使うことになった」と出ている。そこで、日本のウェイベックスの代理店に問い合わせてみた。日本のウェイベックスの代理店業務は、実は現役女子プロテニスプレーヤーの安宅美弥子選手がやっているのだが、彼女も現時点(5月初旬時点)ではまだ詳しいことは聞いていないとしながらも、「昨年の暮れ頃に、クリス・エバートとジミー・コナーズに関しては契約したと聞いています。カナダの本社に詳細を問い合わせ中です」とのことで、コナーズがどのラケットを使うのかなどといった詳しいことはまだ把握していないとのことだった。
 今月末には詳細が判明するはずなので、判明次第、追って報告する。
依頼内容78:僕はシングルハンドのバックハンドなのですが、バックハンドでトップスピンが打てません。スライスが得意なのでラリーで困ることはありませんが、両手打ちと打ち合うと打点が高くなってしまって不利です。小柄な中学生では片手バックでトップスピンは打てないのでしょうか? もし、打てるならコツを教えて欲しいのですが…
広島県のとめとさん
報告78: 最近、良く調査依頼をしてくれているとめとさんだが、「小柄な中学生では無理」などということはないと思う。
 とめとさんにも恐らくコーチの方がいると思うので、詳しいことは書きにくいが、一番単純でしかも根本的な解決方法は「足を使うこと」と言えるかもしれない。高い打点が苦手なら落とせばいい。そのためには下がってもいいし、逆に上がってライジングで打ってもいい(難しいかもしれないが…)。ようするに足をしっかりと使って動いて「チャンスわ作りだし」、常に自分の打点にして打つという意識を強く持ってプレーすることだ。常にこうした意識でいれば、今までバックハンドで打っていたボールでも、グラフのように「回り込んで」フォアで叩けるボールが意外に多いことに気づくだろう。
   何度かこのコーナーでも報告したが、トップスピンのコツと言っても「ボールの下にラケットを入れて振り上げる」こと以外にはコレと言ってない。あとは「ボールを擦りすぎない」とか、「スライスは得意だ」ということなので、恐らく薄めのグリップを使っているだろうから、今よりもグリップを少しバックハンド側に厚めにしてみるのもいいだろう。
 中学生という年齢的なことを考えると、関節がまだこれからしっかりしていくという時期で、ヒジを傷めてしまう危険性もあるので、あまり無理はしてほしくないのだが、「小柄だから無理」ということは絶対にない。それだけは頭の中から取り払った方がいいと思う。
 確かに、体格や筋力に恵まれない選手達のほとんどが選択しているプレースタイルは、両手打ちのバックハンドでストローカーというのがほとんどだ。その方が「有利」だと考える選手やコーチが多いのが原因と思うが、選手にはそれぞれ個性がある。小さくて非力だからという理由からプレースタイルを選択するのも一つの手だし、とめとさんのように、スライスが得意だという自分の個性を生かす方向で考えるのも手だ。
 とめとさんにも恐らく、コーチの方がいらっしゃると思うので、ここで言えるのは「足を使うこと」にとどめておきたい。もし、また何か疑問が生じたら遠慮なく送ってきて欲しい。
依頼内容79:USオープンに関して、ツアーを企画している(予定の、あるいはしていた)旅行会社を教えて下さい。
茨城県のY.Kさん
報告79: 諸事情あって、本誌に広告を掲載していただいた旅行会社を報告する(ご理解下さい)。まずは1月号のP54下に掲載された(株)ワールドエアプランさんだ。ここでは海外のスポーツ関連のツアーを扱っていて、4大大会はもちろん、ある程度名の知られた大会なら全てに1名から出発可能で、1日から2週間全部まで対応可能ということだ(あまりマイナーな地域のだと、難しいかもしれないとのこと)。他にも海外でのテニス合宿の手配も請け負ってくれる。
問い合わせは東京都港区北青山2-12-27 ハレクラ北青山ビル5階TEL03-3403-3400担当/竹内・石岡だ。
 最近だと、6月号は読んでいただけているだろうか? 94ページの下1/2のスペースに日通旅行さん(TEL0120−020209・0120−062869/スポーツデスク担当:早川・久保)の広告が出ている。A〜Dコースがあって、日程はそれぞれ6日間。1〜3回戦を観戦するのがAコース、3・4回戦はBコース、4回戦・準々決勝がCコース、準決勝・決勝を観戦するのがDコースで、料金は238,000 円〜328,000 円だ。これが更新される頃には間に合わないが、全仏やウインブルドンの観戦ツアーも主催している。
 日通旅行さんのホームページはhttp://www2.odn.ne.jp/〜caj69260/ で、E-mailはnittsu-ryoko-os2@pop16.odn.ne.jpだ。
依頼内容80:このコーナーに送るべきか迷いましたが、教えて下さい。先日、ヨネックスのRD−Ti70LONGのSL−2を買ったのですが、グリップが少々細い気がしてなりません。太くしたいのですが、グリップテープをいくつも巻き重ねるのは嫌なので、何かよい方法はないのでしょうか? どうぞよろしく
?県のゆうさん
報告80: 何故、グリップテープを巻くのが嫌なのかが分からないが、まぁ、これは人それぞれの美学の問題でもあるので深く追求はしない。しかし、一番簡単な解決方法はグリップテープを巻くことなのだが…。 「いくつも…」とおっしゃられているので、1枚ならOKと勝手に判断した。それならいくつか解決方法が思いつく。グリップテープの中にも「厚め」の物が出ている。クッショングリップと呼ばれている物がそれにあたるが、これを巻くとかなり太く感じるはずだ。(他にもタオルグリップを巻くという手もあるが…)
 あるいは、これはある選手から聞いたのだが、グリップテープを巻く時に、間にハガキを挿んで巻くという方法があるという。ハガキ1枚分の厚さだが、実際にやってみるとかなり太くなった感じがするはずだ。
 そういえば、鈴木貴男選手のグリップにも特徴があるのをご存じだろうか? 彼のラケットはグリップエンドだけが異様に太くしてある。小指を乗せるための工夫だということだが、彼は小指1本分ぐらいの太さのテーピングテープを20回グリップエンドに巻き、さらに固定して、その上からグリップテープを巻いている。
 他にも色々な方法があると思う。このコーナーをご覧の方で、何か情報をお持ちの方があったら、ぜひご連絡いただきたい。
依頼内容81:イン・アウトの判定をめぐって、選手が審判に問いただす場面があります。ビデオで判定してもいいと思うのですが、いいかがなもんでしょう。あれだけスピードのあるボールの判定なのですから肉眼では無理があると思います。自分からは見えない位置のボールでもジャッジをすることがあるのですから、選手にとっては非常に理不尽です。1球の判定で優勝が準優勝になることだってあるでしょう? どう思います?
神奈川県のビデオ判定にざぶとん一枚!さん
報告81: どう思います? と聞かれても…。それで勝敗まで左右されてしまったら(それが原因とおぼしき場面はまま見られるが)、…確かに理不尽ですね。
 さて、テニスのボールのビデオ判定に関して、過去を含め導入されたという話は聞かない。一方、ビデオとは違うが、サービスのフォールトを判定する例の機械(あのサービスの時にピー、とかプーとか言っている機械のこと)は導入されて久しい。この機械の精度は素晴らしいものだそうだ。何でもラインの前後に合計10本ほどのレーザーを発射して測定するらしい。すごく外れると音が鳴らないことがあるが、これは「微妙な位置」にしかレーザーが発射されていないからだ。センサーから外れるような位置に落ちたボールなら「肉眼でもハッキリと分かるはず」ということらしい。
 テニスは、球技の中で最も高速に動くボールを相手にするスポーツと言っていい。 その判定を肉眼だけで行なうのは確かに無理もあるだろう。
 では、なぜビデオの判定が行なわれていない理由を考えてみよう。まずは時間の問題だ。クレーコートではボールのマークを審判に確認させる権利が選手に認められているので、しばしばボールマークの確認を要求する選手の姿を見ることができる。しかし、試合の流れはそこで途切れてしまい、判定のイン・アウトに係わらず、その後流れが変わってしまうケースもまた良く見られることだ。ビデオ判定だともっと時間が必要になることが予測される。これがまず1つめ。
 次はテニスボールは選手の予測さえも外した位置に飛んで行くということだ。会場に一体何台のカメラが必要だろうか。テレビカメラ方式だとカメラマンがボールを追いきないこともあるはずだ。また、そうした問題を避けるため、各ラインのはじっこにCCDを設置するとしても、設置方法をよほど工夫しないとカメラ自体が障害物になる可能性があるかもしれないし、最低12台は必要だ。それでも、選手の陰になってしまうこともあるかもしれない。
 最後はそこまでするほど審判のミスジャッジが多いか? という問題に行き着く。あるいは「審判のミスジャッジもテニスというスポーツの一部」という考え方もあるだろう。あのやたらと白黒をハッキリとつけたがるのでお馴染みのアメリカ合衆国で生まれた野球というスポーツでさえ、ビデオ判定の導入を拒んでいる(これまで数回、ビデオを使った判定が行なわれたことはあったが、その都度、当該の審判員はコミッショナーから批判された)。過去に一度、場内のオーロラビジョンに際どいシーンが流されただけで、俺たちは必要ないではないか! と怒った審判団の全員が引き揚げてしまったことさえあった。テニスの判定にビデオを導入するということは、野球で言えば、ストライク・ボールの判定をビデオでやるということになる。現実的には可能でも、その実施の是非については議論の余地がありそうだ。
 しかし、あのウインブルドンが「例の機械」を導入していたり、観客の入退場をバーコードで管理して途中で帰った人が出ると追加のキップを売ったり(プレスも同じ方式で管理されているのは以前にも報告した通り)、4大大会でも屈指のサーバー環境を用意し、ホームページを作っていたりすることなどから考えると、遠くない将来、テニスでもビデオ判定が採用される日が来るかもしれない。その時にテニスがどんな風になっているか、さてさて興味は尽きないところだ。
依頼内容82: 私が知りたいのはバギーホイップショットの打ち方です(週刊少年ジャンプで連載中の「テニスの王子様」でスネイクと呼ばれていたあの打ち方です)。どのように打 てば良いのでしょうか。
石川県のシャルバさん
報告82:テニスの王子様」、この作品をご存じない方のためにご説明しよう。まだ連載がスタートしてそれほど経っていないので、詳しい筋立ては説明しにくいがひじょ-に大ざっぱに説明すると、少々「生意気」だが、とても強いという設定になっている金子英樹選手のような男の子が主人公。彼と、彼の仲間達がおりなしていく「対戦系マンガ」だ。タイトルは何だか少女マンガっぽいが、硬派の少年マンガで、かつての大ヒット作「エースをねらえ!」のようなストーリーではないが、テニスファンであれば、一度はご覧になってみることをおススメする。このマンガで唯一気になっているのが、試合中のウェア。キャラを立たせる必要があるのはわかるのだが、いくら中学生でもウォームアップウェアを着たまま試合はしないと思う。そういうリアリティは大事にして欲しいな………。いや話が逸れた(あとこの作品中に出てくる「月刊プロテニス」なる雑誌の編集者が個人的には気になっている)。
 さてさて、バギーホイップショットについてだが、“スネイク”というと何となくすごい必殺技のように感じるかもしれないが、実は割と良く見るショットだ。恐らく、シャルバさんも試合中に使っている時があるのではないかと思う。
「バギー」とは金槌でクギを打つ時のような上下の運動のことで、「ホイップ」とはホイップクリームを混ぜる時のような回旋運動を意味する。「バギーホイップ」とは、これらの2つの運動を同時に合成したサーキュラーのスイングのことで、半円を描くようにラケットを回していき、打点近くで一気に上に振り抜くスイングになる。アングルショットやトップスピンロブなど、ボールに強い回転が欲しいショットで主に使われる。プロの試合では走りながら打つフォアハンドの時に良く使われているので、注意して見てみると良いだろう。よくテレビ放映のある選手で、と言えば女子選手よりも男子に多く見られ、サンプラスなどが走りながらのフォアで良く使っているので注目しているといいだろう。ボールの軌道はスピン量が多いので若干、山なりだが、鋭く変化、あるいは落ちていく。外に追い出された時、ポールの外側を巻いて返すいわゆる「ポール回し」などはこの種のスイングになっていることが多い。注目だ(ちなみに 98年1月号の本誌の特集の中で一度取り上げたことがある。バックナンバーはすでに売り切れだが、古本屋さんや図書館などで見かけたら参考にしてみて欲しい。ルチッチが表紙の号だ)。ひじょーに簡単に言うと、ラケットを大きく振り上 げて、ひょいっと振り上げるようにスイングして打つショット、ということだ。
依頼内容83シングルスの試合で、自分よりもストロークがうまい相手に勝つにはどうしたらい いですか?
岐阜県のテニス少年さん
報告83: 何とも難しい依頼だ。一般レベルで「自分よりストロークがうまい相手」というのはすなわち、「自分よりもうまい相手」ということになる。難しい……。
 が、そういう考え方自体を捨てた方がいいかもしれないとも思う。例えば、サンプラスよりストロークがうまい選手は掃いて捨てるほどいるが、サンプラスよりはっきりと強い相手はいない(アガシとてサンプラスよりはっきりと強いわけではない。絶好調の二人が戦ったら、サンプラスの方が強いというのは世界中の男子選手の中では「常識」と化している)。
「うまい・下手」ということと、「試合の勝敗」ということは必ずしもイコールではない。自分の長所や武器の中に、相手のテンションよりも高い部分があれば必ず勝機が掴めるものなのだ。
 少し具体的に考えていこう。ストロークで勝てないならストロークの打ち合いの場面を作らないこと、自分のサービスでは常に主導権を握り絶対にキープして、リターンゲームでも相手のストロークのペースで試合をしないことなどが考えられる。とにかく「あ、この人俺よりストロークがうまい(ヤバイ)」という考え方ではなく、「ストロークはうまいな、じゃ違うとこを攻めよう」とプラスの思考で行った方が、相手の弱点や穴が見えてくるようになるだろう。
 克服する方法として考えられるのは、ストロークに磨きをかけることはもちろんだが、サービスやボレーなどストローク以外の要素に磨きをかけること。もし、ラリーでポイントを落としても気にしないで次のプレーのことを考えるなどが考えられる。
 
依頼内容84:スピンサービスとフラットサービスのスピードと威力をもっと増したいのですが、 身長もまだまだ伸ばしたいのでどうすれば良いのでしょうか?
千葉県のP.N.迫田さん
報告84:スピンサービスとフラットのスピードと威力を増したい。なるほど。方法はいくつか考えられるが、中学生の迫田さんに一番の回答とは、身体能力を上げることではないかと思う。まだ身体が未完成の年代なのでウエイトトレーニングはススメられないが、腕立てふせや腹筋、背筋運動、ランニングなど、基礎体力の強化運動には積極的に取り組んだ方がいい。こうしたコートの外で行なう基礎トレーニングは特に中学生から高校生年代のプレーヤーは嫌う傾向があるようだが、やるとやらないでは後で必ず大きな差になって現れる上、後で気づいた時に一番遅れを取り戻しにくい要素だからだ。
 サービス動作で重要なのは腕や肩、手首以上に体幹部のパワー、腹筋や背筋に負う部分が大きく、土台となるこの部分がしっかりしていないと、様々な箇所の故障の原因となる。
 サービス動作は投げ釣りの時の釣り竿にたとえることができる。まず根本の部分がしなり、そのしなりが徐々に先端に伝わって、最終的にパワーに変換されるのだ(殻竿理論と呼ばれるもの)。つまり、人間で言えば、体幹からスタートして肩、ヒジ、手首…と伝わって初めて効率の良い、強力なスイングが可能になるのだ。腕だけ、肩だけが強い人というのは、竿の途中が不自然に太くなっている状態を想像すればよい。そんな竿では飛ばせないばかりか、折れやすくなってしまうのがわかるだろう。最新のスポーツ医学の世界では、土台の部分、つまり体幹部(腹筋や背筋など胴体部分)の強さがなければ、競技力の向上につながらないだけでなく、故障の原因になると結論づけている。
 しかし、ここで言っておきたいことがある。以前、神尾米さんにお話を伺った時のことだが、「伊達さんのサービスはスピードはそれほどでもないんだけど、コースがすごく良くて、まともにリターンできなかった。速いサービスでも合わせれば返せるから、例えば、ビーナスのサービスだってコースが読めれば返せると思う。でも、コースがいいと返せないんです」と言っていたことがあった。サービスの威力を決定づけるのは、スピードではなく、コースだという証言だ。導入期のプレーヤーはまず、スピードや威力にばかり目が行ってしまうが、大事なのはそれら以上にコースを丹念に、しかも相手の読みを外していくことなのだ。
 ただし、もし明日が試合で、すぐにどうにかしたいなら、トスを少し前にしてみたり、ラケットをパワフルなラケットに変更してみるという応急的手段もあるが、根本的な解決にはならない……。身長に関しては好き嫌いせず、何でも良く食べて、適度な運動をする こと。特にタンパク質とカルシウムは意識して摂るように心掛けよう(そう言えば、最近の代の子供がキレやすいのはカルシウム不足では? などとクダをまくオジサマが近頃多いな…)。
依頼内容85:左利きは有利だとよく言われているのですが、何が有利なんですか?あと、左利きでしか打てないサービスがあると聞いたのですが、あるんでしょうか?
東京都のシンゴさん
報告85:左利きが有利な理由。回転の向きが逆とか、色々と言われるが、最大の理由は何と言ってもその数の少なさに尽きる。
  しかしまぁ、それは置いておくとしよう。左利きが現状で最も有利なのは、右利きの選手と戦った時のサービスゲームだ。左利きの選手には基本的にスピンサービスが必要ではない(選手クラスなら対左利き対策として必要かもしれないが、草レベルでは必要ない、と言っても差し支えあるまい)。スライスサービスがあれば、右利きの選手に対して有利に試合を進めることができるからだ。

  順に説明しよう。右利き同士の試合の場合、相手のバックハンドにサービスを打つにはスピンサービスが必要だが、左利きの選手の場合、スライスサービスを打っていれば、右利きのバックサイドにサービスを打てる。これがまず一つ目。
  次、左利きの選手はアドコートから大きく外に逃げていく「速い」サービスを打てる。この「速い」という部分が重要で、右利きの選手でも打てないことはないのだが、スピンサービスになるので速度は落とさざるをえない。しかし、左利きの選手なら自然にサイドを狙ったスライス系のサービスを打てば、右利きの選手のバックサイドの遠くに飛んで行き、当然エースも狙える。「右利きでもデュースコートから左利きに対して同じサービスが打てるぞ」と思ったアナタ、良く考えて欲しい。アドコートで迎えるカウントは、40-0とか、既にアドバンテージを握った後のデュースゲームとか、ゲームが決まるカウントで迎えているはずだ。そこでエースを狙えるサービスが打てるのは何よりも有利だ。右利きの選手は平行カウントには戻せても、ゲームを決められないのだ。
  というわけで、ご理解いただけただろうか。
依頼内容86:フォアハンドに威力がありません。我流なので変にスピンをかけようとして、無意識のうちにラケットをかぶせてしまっています。普通にフラットが打てません。注意されても無意識にやっているので直せません。どうしたら直せますか? スピンもフラットも打てなくて…
兵庫県のトモユキさん
報告86:どうも最近、このコーナーが皆様の「技術相談コーナー」になってしまっている"ような気がするのだが……。
 まぁいいだろう。トモユキさんのお悩みと同じ問題を抱えている人はきっと非常に多いと思う。これはテニスをはじめてしばらくたった人(特に若い男性に多い)なら、誰でも一度は直面する問題だ。今は上級者と言われているアナタも、一度はこんな悩みを持ったことがあるのではなかろうか?
 さてさて、まず、そうなってしまった原因を考えてみたい。トラブルというのは、原因をまず探していくことが解決への道となるからだ。もし、トモユキさんが、ボールが飛びすぎてしまって、テニス界のホームラン王だった過去があって現在があるとすると、「フラットに打つと飛びすぎる」という潜在意識ができているかもしれない。実際、こういう原因でグリグリスピンになってしまっている人は少なくない。
 次に考えられるのは、プロの連続写真の間違ったイメージの刷り込みだ。プロのトップスピンのフォームというのは非常に大きくラケットを振り上げているが、彼らが相手にしているボールというのは一般プレーヤーとは比較にならないほど「速い」。草レベルのゆっくりとしたボールをあのままこすっていたのでは、ボールは飛ばない。あるいは、写真は所詮2次元のメディア、プロ達がしっかりと前方向へもスイングしているのを見落として捉え、ただラケットをタテに振り上げているのではないかと推測される。
 どうやって直すか? だが、無意識にやってしまっているということなので、これはもう意識して直すしかないだろう。最初はボールもコントロールできず、ボールは飛びすぎてすごく下手になってしまうかもしれない。しかし、意識してフラットに叩く感覚を覚えなければ何も解決しない。「無意識にやってしまっている」のを言い訳にしていても何も良くはならないぞ! 「厚い当たり」に慣れるまでは下手になるかもしれない。しかし、厚い当たりをマスターできたら、これはすごい。ウイナーが面白いように取れるようになるはずだ。しっかりと足を使って動き、打点に入って行って叩く。これはどんなプロも課題にして実行している事柄で、頑張って練習してみて欲しい。我流とのことだが、一度でも構わないので、スクールに行って専門家に実際に教わってみて欲しい。
依頼内容87:30〜40代のグループです。みんな一生懸命に練習しています。ところが、練習のバ リエーションを思い出しながら使っていますが、マンネリ気味です。ドリルのパターンが掲載されている書籍があったら教えて下さい。
東京のT.Iさん
報告87:テニス関連の書籍の多くは個人のプレーヤー向けに編集されていることが多いので、確かにドリルは少ない。だが、テニスのコーチ向けに編集された本もある。それ らにはドリルも掲載されている。
  さて、ここにメールを送っていただけているということは、インターネットに接 続できる環境をお持ちのことと思う。書籍を検索するサーチエンジンで検索していた だければ、いくつか引っ掛かるかもしれない。キーワードは、テニス、ドリル、クリ ニック、コーチ、メソッド、トレーニングなどなどが考えられる。我々も何冊かテニ スのドリル系の書籍は所有しているが、全てを把握できているわけではないし、入手 できるか否かが把握できないので、回答としては探し方のヒントになってしまうのを どうかご容赦いただきたい。
  ところで、書籍ではなく、CD−ROMなのだが、その名も「テニスドリル/C D−ROM」というソフトがEMSインターナショナルという会社からリリースされ ている。4歳の子供から、プロプレーヤーまでの幅広いレベルに対応可能で、その項 目数は800項目以上、さらにオリジナルのドリルも作れる。調査団が持っているの は英語版のCD−ROM(Windows版のみ)だが、確かに実用に十分な内容で >あった。近く日本語版もリリースされるとのことだったので問い合わせてみて欲し い。
●プロサ−ブ様/03-5766-7701(渋谷様)
依頼内容88:私は両方両手打ちなので、ボレーも両方両手です。遠い球は片手ですが、コントロールができません。両手のままでもいいのでしょうか? 力がなくても速くて強いサービスの打ち方を教えて下さい。
東京都の優優さん
報告88:両手のままで構わない。ボレーは片手でなくてもいい。片手でなければ「いけな い」というものではない。実際、両方両手打ちの選手達がボレーをしている時は、両 手でやっている場面が多く見られるはずだ。遠いボールに対しては足をしっかりと動 かして打つことが大事だ。上半身に意識がいくと、足を使うことを忘れがちだが、両 方両手打ちの選手ならなおさら、足を他のプレーヤーより余計に動かして打点に入っ ていくのは重要な要素なのはすでに自覚されていることと思う。
  また、ボレーのコントロールは面でするもの。片手だと面を維持できないほど非 力だというのでなければ、ボレーは面の操作でコントロールするという要素を思い出 して欲しい。基本的にスイングでコントロールするものではないのだ。
  サービスに関しては、他の依頼でも答えたが、伊達公子を思い出して欲しい。彼 女のサービスはハッキリ言って弱点だった。彼女のゲームは「リターンキープ」が原 則と言われたほどだ。しかし、実際に対戦した神尾米さんは「伊達さんのサービスは 簡単には返せなかった」と証言している。「伊達さんのサービスは決して弱いわけじ ゃなかった。自分の思ったところには絶対飛んで来ない、打たれたら嫌だな、と思う ところにばかり打ってくる。コースが考えられているので返せなかった」とのこと。 サービスの威力を決定するのは、その速度ではなくコースだ。身体を鍛えて、スイン グスピードを上げればサービスは速くなる。しかし、最終的に威力を決定するのは、 相手の嫌なところに打てているか、読みを外して打ったか、だ。各々の体格やプレー スタイルもある。サービスを強化することで得られるものと、失うもののバランスも 考えてみた方がいいのではないだろうか。
依頼内容89:ウインブルドンにジュニアはありますが、シニアもあるのでしょうか?
千葉県のmochさん
報告89: ある。恐らく今年もあるだろう。
  花相撲的色彩が強いが、男子のダブルスが存在している。昨年はスタン・スミスな どの名前も見られた。テレビ放映は恐らくされないし、ニュースにもならないが、昨 年と同じなら、2週目あたりからはじまるので、インターネットでウインブルドンの 公式サイトをチェックしていると、他の普通の試合に混じってゲームのスコアがライ ブで伝えられているのが楽しめると思う。
依頼内容90:オーストラリアへテニス留学を考えています。しかし、今一つ情報が集まりません。どのようなところがあるのでしょうか? 教えて下さい。また、オススメのテニスアカデミーがあれば教えてください。
東京都のピエールさん
報告90: ピエールさんに責任を持って答えるとすれば、「分からない」と答えるのが一番ではないだろうか。ピエールさんがどんな方なのか我々には分からないし、正直に言ってテニスアカデミーは多くの数があり、我々も全てを把握しているわけではない。どこがピエールさんに向いていて向いていないかなど、我々には答えようがないからだ。
 従って、以下は参考として読んで欲しい。テニス留学に出ていたことがある国内トップ選手のケースだ。彼が留学していたのは中学3年から高校に入るまでの間の1年間、フロリダのリック・メイシー(カプリアティやビーナス姉妹の初期のコーチとして知られる)のテニスアカデミーに留学していた。当時のリック・メイシー・テニスアカデミーにはトミー・ホー、ビンセント・スペイディーア、ビーナス・ウィリアムズなどが所属していて、日本人はほとんどいなかったという。日本人の多いテニスアカデミーも最近では少なくないが、その選手の場合、「日本人が少なかったから良かった」と話してくれていた。
 ただし、これはその選手がそういうタイプのパーソナリティの持ち主だったということで、誰にでも当てはまるということではない。人によっては日本人が多いほうが精神的に落ちつくという人もいるだろうし、そういうアカデミー自体を否定はしない。しかし、海外でのテニス修行はいいことばかりではない。ここでは敢えてネガティブな面を強調する形で進めてみたい。
 まず、言葉だ。言葉ができなければ、生活する上での最も基本的な部分で不自由な 思いを強いられ、テニスどころではなくなってしまう。前述のある国内トップ選手によれば、「最初の3ヵ月はつらい。これは仕方ない。そう思えるかどうかも大事な要素ですね。積極的に話しかけて、間違っててもどんどん話してれば3ヵ月もすればしゃべれるようになります。その時期を乗り越えられるかは大きいですよ」とのことだった。すでに語学が堪能で、言葉に不自由を感じない人であればいいが、語学に自信の ない人はまず、そこを頭に入れておいた方がいいだろう。
 次にその選手が強調していたのは「日本人同士で群れない。なるべく外国人の中に入っていった方がいい」とのことだった。彼自身は感じなかったそうだが、海外のテニスアカデミーに存在すると言われる「日本人イジメ」は「日本人が集団で行動するからではないか」ということだった。また、言葉を覚えるという意味からも日本人同士で行動することにメリットはないのではないか、というのが彼の意見だ。
 次に重視した方がいいとある国内トップ選手が話してくれたのは「食事」だった。「食事で不自由したら、テニスどころじゃないでしょ」。確かにコートやメソッドが立派でも食事が口に合わなかったら、健康上の問題に発展してしまう。
 他にも色々と話してくれたのだが、大きなアカデミーならいいというものではないとか、アカデミーのある場所が治安がいいかとか、練習内容以上に「基本的な生活条件」の面について多くを語ってくれた。海外での生活にまず馴染めなければ、何も得られないまま帰国、ということもあり得る、という意味がこめられていると思う。
 以上を整理し、少し付け加えると、判断条件としては、●アカデミーが用意する、あるいは自分で用意する衣食住が十分なレベルかどうか? ●言葉の問題がない、あるいはそれで苦しまないで済むだけの覚悟があるか? ●現地の治安はいいか? アカデミーの所在地周辺が大小の大会が多く開催されている地域かどうか?………。ではなかろうか。
 ピエールさんはすでに立派な大人の年齢の方なので、この辺りのことについては十分ご存じだとは思うが、これを読んでくれている全ての方に向けての内容になるので、以上のような内容になった。海外への留学をお考えなら、かの地の事情に精通した、身近な方(テニススクールのコーチなどには留学経験者や、そうしたことに詳しい人物を知っている可能性も高いので紹介してもらうと良いだろう)に聞いて十分に情報を収拾し、しっかりとした覚悟を持って臨んで欲しい。
依頼内容91:アガシが98年の全仏で使用していたブリッジ付のラケットは今、Ti−HEATかTi−FIREとして売られているものではないか、と思うのですが…
兵庫県のNISE−AAさん
報告91:  さて、ご依頼の黒いラケットについてだが、その前にまず、ご理解いただきたいことがある。ラケットが市販されるまでには、実に多くの試作品が作られるということだ。大体1種類の市販品の背後には10〜50種類以上の異なるセッティングの試作品(結果的にごくありていに言うと「ボツ」ラケット)が存在していると考えてもらっていい。あるメーカーのテスターをしている方にうかがったところでは、ラケットの開発時の試打では、わずか1本のラケットを開発するために50本ぐらいの試作ラケッ