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報告403:ここでは「市販品」という言葉に対する定義が必要かと思われる。少しテニスを長くやっているプレーヤーであれば、鉛の重りを張ってみたり、グリップテープを変えてみたり、グロメットを交換してみたり、はたまた、ラケットチューンを専門にやっている業者さんなどに頼んで色々と加工してもらっている、という人もいるはずだ。
プロの全てが、とは言わないが、彼らも同じで自分の使いやすいようにある程度のチューンはする。それを特別なスペックと呼ぶかどうか、「市販品とはスペックが違う」と言ってしまえるか、ということをまず問題にしなければならない。お店で売っている吊るしのまんま使っている選手、という意味ならあまり多くはないだろうし、実際、巷のプレーヤーたちも同じ状況ではないだろうか?
サンプラスのラケットは以前、ウイルソン社さまからお借りして編集部に実際、彼が使っていた状態そのままのものがやって来たことがある(なんでも彼のラケットバッグからそのまま持ってきた、とか……)。その時にどうして計りを使って重さやバランスなどを計測しておかなかったのか、と今でも悔やまれるが、当時は「おぉ、すげーっ!」とばかりに興奮してしまい、そういった科学的な分析を忘れてしまった。いやはや、本当に情けない……。
で、どんなラケットだったか? というと、さすがに実際に打たせてはもらっていないので、打ち味までは不明だが、確かに重りは付いていたものの、想像していたよりも重すぎず、300グラム台の後半程度の重さだったように記憶している。素振りをした感じのバランスもほぼイーブンぐらいに感じたのを覚えている(このくだり、全部、体験情報というのが調査団としては余りにも情けない話で申し訳ないのですが……)。一般人が使えないか?
と言えば、条件付きだが一般プレーヤーが全く使えないというほどのものではなかったように思う。もちろん、全ての一般プレーヤーが、とは言わないが(例えば今、200gの厚いラケットで、楽しくテニスをしているプレーヤーが、サンプラスのラケットで同じように楽しくテニスをできるか、と言われればもちろんNoだ)、もっと重たいラケットを使っているプレーヤーは学生さんなどにはごまんといるのではなかろうか。
一般に流布している話として、「プロのラケットは特別製」というものがあり、彼らのラケットは市販品とは比べ物にならないぐらい高品質という話があるが、これはやや伝説に近い。また、彼らが使っているものだけがモノが違い、すごいラケットだから、ああいうボールが打てる、などと勘違いしている若者も少なくないようだが、それは完全に間違いだと言っておきたい。むしろ、プロたちのラケットはメーカーの皆さんが一生懸命「パワフルに」、「快適に」と開発した部分を潰すイメージの「デチューン」であるケースが多く(特に男子の場合)、彼らのラケットをもし一般プレーヤーが使ったとして感じる感想は恐らく、「どうしてこんなラケットで、あんなすごいボールが打てるの?」というものになるはずだ。
しかし、チューンの程度の差こそあれ、ほとんどのケースでベースとなっているのは市販品であるのは間違いなく、チューンもその延長であるのは事実。グロメットを取り替えたり、ガットのパターンが違ったり、するかもしれないが、フレーム自体はあくまでも市販品がベースのはずだ(特別製のフレームを特注できるレベルの選手というのは、ほとんどいないはず。工場のラインをその選手のためだけに確保する価値がその選手にないと、メーカーだってわざわざお金をかけてはくれないし、いわゆる塗装の塗り替えだって、ある程度まとまった数を作る必要があるので、全ての選手がやってもらえるわけではない。超トップ選手で、しかも道具にうるさい選手以外は、皆様が想像している以上に、多くの選手たちが普通のラケットを使い、皆さんでもテニスショップさんなどに依頼すれば、誰でもできる程度のチューンをしているという程度というのが現実だろう)。
もし、プロならではの部分があるとすれば、ラケットとはいえ大量生産品にありがちな品質のバラツキを極力廃した形で厳選している可能性はある、という点だろうか。プロにとってのラケットは大事な商売道具。大工さんののこぎりやカンナ、板前さんの包丁だ。例えば10本のラケットを選ぶのに、30〜50本の中から選ぶというぐらいのことはしている可能性はあるし、メーカーと使用契約をしている選手の場合には、その選手が気に入っているバランスの物を選んで渡されているという可能性もある。
ラケットのカタログなどには、重量の項目に320〜330g、とか、バランスポイントにしても「平均」○cmという書かれ方がしてあるはず。これはつまり、個体差が存在するという意味に他ならず、選手たちはこの中から自分の気に入ったバランスの物を選んだり、鉛の重りを張ったりしてバランスの調整をしているというわけなのだ。
プロがどんなラケットを使っているか、最も情報を持っているのは、大会のストリンガーさんだと思う。もし、機会があれば大会のストリンガーブースを訪ね、ストリンガーさんに時間がありそうな場面で質問をぶつけてみる、というのも手だろう。くれぐれも忙しそうな時に声をかけたり、話しにくそうにしている質問に食い下がったりしないこと。話しにくい話は何らかの守秘義務に基づくもので、勿体つけてるとか、隠そうとしてるとかではないので、そこは大人の対応をお願いしたいところだ……。
最後になってしまいましたが、伊達さんの利き腕のお話をありがとうございました。でも、意外な理由だったんですね。
機会があった場合、ご本人にも改めて確認してみたいとも思います。
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