『スマッシュ調査団

  このコーナーは、本誌と連動する 『スマッシュ調査団』と『テニスフリートーク』で構成されています。
 『スマッシュ調査団』は、テニスに関する素朴な疑問を調査・解決していく、本誌で大好評連載中のコーナー。毎月寄せられる多くの依頼に本誌だけではとても答えていけそうにない。というわけで、インターネット部門を開設することになりました。このコーナーは随時更新していく予定なので、こまめにチェックして下さいね。依頼は、従来通り本誌宛へのお葉書はもちろん、インターネットでも受付けます。インターネット受付分から本誌への展開もあるので、「アレって何かな?」と思ったら、依頼してほしい!

◆応募方法
・下にある投稿ボタンより専用フォームを呼び出して、必要事項をすべてご記入の上送信して下さい。
・投稿されたご意見は、編集部を経由して随時このページに掲載していきます。(ただし、掲載にふさわしくない等編集部で判断したものは除かせていただきますので、予めご了承下さい)。掲載に際しては氏名のみを掲載しますが、ペンネームでの掲載を希望される方は、忘れずにペンネームを記入しておいて下さい。

発言するよりもまずほかの人の意見を聞きたい方は、
このまま下へスクロールしてご覧下さ

★スマッシュ調査団★

 

    1〜50    50〜100   101〜150 151〜200     201〜250     251〜300

依頼内容301:最近テニスを始めたビギナーです。練習の前後に自己流のストレッチをしていますが、もっと効率よくできたら、と思っています。お勧めのストレッチのビデオや、本などありましたら、教えて下さい。よろしくお願いします。
沖縄県のユキータさん
報告301:困った……。ラケットやシューズと同じく、数多く出版されている本やビデオについて、調査団がお墨付きを与えるようなことは、公明正大、公平無私を旨とする調査団はポリシーとしてしていない。ご依頼の趣旨は理解できるし、お役に立ちたいのだが、我々にはできない。
 ユキータさんのために何か申し上げるとすれば、「ストレッチの目的や方法が明確に書かれていて」、「症状別、目的別のストレッチ方法が書かれていて」、「用具などが必要でない」のがいいストレッチ紹介本&ビデオだと言えよう。
 練習の前後に忘れてはいけないのは、アップとダウンという意識だ。アップの際には身体の血液を温めて、血の巡りをよくすることで、関節の動きをなめらかにすることに主眼を置き、ダウンの際には使用した関節や筋肉をゆっくりとほぐしてやるという意識が大切だ。

依頼内容302:ラケットのチューンナップで、鉛をつけてバランスを調整する方法がありますね。人それぞれに試しながら調整するべきだとは思いますが、一般論・特殊解として参考になる情報が欲しいのです。プロはどういった部分にどのくらいの量(長さ)をつけているのですか?
・こういう調整の仕方をする選手が多いといった傾向としての情報
・選手個別の情報
・この部分につければこんな効果が得られやすいといった一般論
など、わかる範囲で結構ですのでできるだけ具体的に知りたいのですが?
東京都のfmaさん
報告302:うーん、どうも根本的なところで思い違いがあるような気もするのだが……。ラケットに重りをつけて調節する目的というのは「自分の好みのバランスにする」ということだ。ラケットというのは、ああ見えて実はバランスが1本1本微妙に違っていたり、重さも違っている。それを鉛の重りのテープを張ることで調節していく、というのが最初の目的だ。だから例えば、ある選手のラケットバックからラケットを10本出してきたとして、10本とも全て同じ場所にテープが張ってあるというわけではないのだ(選手の個別情報というのは、これで一般論が立てられないということがご理解いただけるはず)。自分が一番打ちやすいというバランスのラケットが1本があれば、まずその1本のバランスを調べて、それに合わせて調節するというのが、正しい手続きと言える(まず、お気に入りのラケットの全体の重量と、重心の位置を探して、そのラケットと同じ重量とバランスになるように重りを張っていくのだ)。だから依頼者のおっしゃるように、ご自分で色々と調節しながら探すのが一番手っ取り早い。
 ちなみに、面の3時と9時の位置と、グリップやスロートの部分に張って全体を調節する、というのが基本とはされるが、バランスや全体重量の関係で、もっとラケットの先端方向に張るケースもあれば、グリップの端っこ方向へ位置がずれることもあるだろう。以前、編集部にサンプラスが実際に使っていたラケットが1本だけやってきたことがあったが、面の3時と9時の部分にべったりと重りが張られていて、恐らくグリップの部分にも(さすがに借り物だったのでグリップテープを剥がして中までは見られなかった)張ってあったと思われる。印象としてはイーブンバランスからややトップライト気味というムードで、意外に重すぎるほど重くはなかった。
 ライトチューンの基本としては、面ブレを防ぎたいなら、ラケットの3時と9時に互い違いになるように重りを張ることが知られている。どうにも重くて仕方がない、というなら逆にスロートやグリップに重りを張ってバランスを手元寄りにすれば、持った時の重みは軽減される。ストロークで振りぬきを良くしたいならフェイスに重りを張ってバランスを先端寄りにすればいい(野球のバットのようなイメージだ)。これらょ組み合わせて、各自色々と工夫しながらやってみて欲しい。もし、お近くにプロショップがあれば、そこで色々とご相談されてもよろしかろうと思う。

依頼内容303:以前、スマッシュでガットのことを掲載していたと思うんですが、ガットが太いとか細いとかはどんな違いがあるのでしょうか? 教えてください。
大阪府のスピッツさん
報告303:一口に太い、細いと言っても近頃では実に数多くの種類の糸があるが、ごくごく一般的に言うと、太い糸は耐久性が高くて、打感は硬く、飛ばない。細い糸は耐久性は低いが、打感はやわらかく、飛ぶ。というのがベースとなるイメージだ。
 最近ではポリ系の糸のように細くても飛ばなかったり、マルチフィラメント系のように太くても柔らかいものもあるので、各製品ごとの特徴はショップで店員さんと相談して欲しい。
 太さによる違いは、まずは想像して欲しいのだが、糸が太いと当然硬く強い糸になり、細ければやわらかく弱い糸になる。それをどんなラケットにどんな強さで張り、またどんなプレーヤーがどんなショットをした時にどうなるか、と考えてみて欲しい。
 ラケット選びでも同じなのだが、まず、どのショットに焦点を合わせるか? ストロークをバシッと打ちたいのか、サービスをドカドカ打ちたいのか、ボレーで一番効力を発揮したいのかで、選び方が変わってくる。
 ナイロン系のシンセティックガットの場合、1.30mmを基準に太い、細いと言われるが、太くするのは「切れて切れて仕方がない」という場合か、テンションではもう調節できないほどの飛びすぎの抑制。逆に細くする時は「打球感でやわらかい感覚が欲しい」、「もう少し飛ばしたい」ケースなどが主だったところだろう。

依頼内容304:前回は質問にご丁寧にお答えいただきありがとうございました。
また質問させていただきます。
ちょうど全豪オープンの時期で、いろいろなトーナメントの各ホームページを良く見ます。そのなかでプロ選手が(特に女子プロ選手)各トーナメント(会場なのかレセプションスペースなのかわかりませんが)で仮設のブースみたいな中に座って、ファンのサインに応じている写真をよくみかけるのですが、大きなトーナメントではそのようなブースがいくつも並んで、選手がサインをするのでしょうか。プロ選手がファンサービスのひとつとしてサインをするのもわかるのですが、私が見かけた各ホームページの写真のなかでは、特に女子プロ選手がそうして(ブースに座って)サインをしている姿をよく見かけました。選手の義務になっているのなら、少し違和感を感じました。
以前、ウィンブルドン大会のTV番組のなかで、試合の終わった選手がラジオのインタビューに答えるため、ラジオ局に出向いている場面があり、それは義務になっていると紹介されていました。
試合を戦う以外、プロ選手の義務あるいはそれに近いものとみなされているものがあれば教えて下さい。毎度ながらくだらない質問で恐縮です。
大阪府のグリーンヒルさん
報告304:テニスに関してなら、どんなにくだらないと思われる質問と思われる疑問にも答えていくために調査団は存在しているので、どうかお気になさらないで欲しい(そのせいでテニス界の各方面の皆様には多大なご迷惑ともに、ご支援とご理解を受けていますが……)。
 さて、大会会場の内部に設置されているブースには大きく分けて2種類ある。一つは大会主催者系のブースで、これは大会が主催するイベントや、大会自体のPR、オフィシャルグッズの販売などが目的のブースだ(テニス協会系のブースもこっち側に入れておいた方が適当かも)。もう一つが大会スポンサー関係のブース。テニス用品メーカーはもちろん、自動車メーカーや保険会社など大会をスポンサードしている企業がPRや物品販売のためのブースを出している。
 選手がサイン会などを行なうことが多いのは、主にテニス用品関連のブースで、そのメーカーと契約のある選手たちが呼ばれて、そのメーカーのPRの一環としてサイン会などが催される。メーカーが選手と契約を結ぶ目的の一つとして、自社のPRというのがあるので、これ自体は選手もメーカーも全く違和感のない行為であると思う。選手との契約の中に大会期間中は○回以上はそういったPRに参加すること、という条文が付け加えられることも多いという。また、女子が多かった、というのはたまたまではなかろうか。GSでは男子選手でも同じようにサイン会に参加しているし、各種イベントにも参加している。
 また、大会が大会のPRのために選手たちにサイン会やイベントに協力を求めることも少なくない。これはどっちがどっちという意見もありそうだが、大会あってのプロ選手という立場に立てば、大会のPRに協力するのも選手の義務の一つとも言えるだろう。
 また、記者会見を拒否すると罰金、という制度もあるが、これも「大会のPRに協力しない」という意味がこめられているからだ。メディアは報道を通じて大会をPRしてくれる存在。大会がなくなってしまったり、盛り上がりを欠けば、困るのは最終的には選手という立脚点に立つと、選手はコートでプレーしていればいいということだけではすまないのがプロの世界の考え方だ。
 さらに、メディア関連企業が大会スポンサーに名を連ねている場合、そのスポンサー企業のメディアに対して試合後のインタビューが義務付けられることも多い。これも大会自体のPRとスポンサー企業のPRという目的からのことだ。ウインブルドンの場合は「ラジオ・ウインブルドン」という大会オフィシャルの局が臨時に設置され(インターネットで聴取可能ただし、当然英語)、そこでインタビューなどが行なわれる。これは大会主催者の大会のPRという範疇に入るので、基本的には義務付けられていると考えて間違いはない。
 とかく日本では選手を特別視しすぎて祭り上げすぎてしまう傾向があるが、プロの大会というのは、全て観客のために開催されるものであり、観客を楽しませるために大会主催者と選手は両輪として働くというのが基本だ。選手がいかに「この大会は素晴らしい」と言っていても、観客に「つまんない大会だった」と言われれば、それは失敗なのだ。この辺は日本の大会関係者に強く言っておきたい部分だ。選手やスポンサーが喜ぶだけの大会なら、観客から入場料を取る必然性はないのだ。また、観客の皆様にも、観戦に行かれた折にどう考えても客観的に不合理だと思われることがあれば、どうかその場で大会に対して正して欲しい。日本の観客ほどそういった面で優しい観客は他にはいないと思われる(実際、ある外国人関係者から「日本の観客ってのは一体、どこまで我慢強いんだい? こんな場面だったら、私の国では大騒ぎになるよ」とあきれられたことがある)。
 ……いや、少し熱くなってしまった。
 さて、試合を戦う以外でプロ選手に義務付けされている主なものを挙げるとすれば、各種企業と契約のある選手と、それらのない選手たちの2種類に分けられる。
 契約のある選手たちだと、その契約内容によって様々な違いがあるが、まず、契約企業の求める各種のイベントに参加すること、プレーする場合には、契約メーカーの用品を使用し(ラケットならロゴのステンシルを入れたりする)、企業のロゴなどが入ったバッチなどを付けてプレーしなければならないこと。
 契約のない選手たちだと、大会期間中の共同記者会見(1対1の個別のインタビューは選手の任意)は正当な理由がない限り、拒否してはいけないこと。大会スポンサーの求めるイベントに参加を要請された場合には、可能な限り応じること(大会側も日程を考慮して要請するので、無茶な要請はしないのが普通)。
 当然、メディアにも様々な約束がある。大会期間中の選手へのインタビューは基本的に大会を必ず通じて行なうこと。大会期間中に撮影した写真は大会報道の目的以外では使用しないこと。記者会見場や認められた場所以外での選手へのインタビューはしないこと。また、最近では全豪でインターネットを通じて試合の進行や、試合の模様などを同時配信しないことなどが求められた。先の全米ではテロの影響もあり、メディア申請をした人間は国内外を問わず、その記者が所属する会社の住所などの基本事項はもちろん、記者個人のパスポートのコピーや自宅の住所・電話番号まで、全ての個人情報を書き添える必要があった。こちらも様々な規制や義務の中で取材しているのだ。その意味ではメディアも大会、選手と共に大会の重要な一部になっている。

依頼内容305:いつも参考にさせてもらってます。
自分の家にはスカイパーフェクTVが入ってないのですが民放の12局でテニスの大会 (全米オープンとか・・。)のダイジェストとかはいつ頃放送されるのですか?
東京都の虎鉄さん
報告305:……どうかそういった依頼は直接TV局にお願いしたい。各TV局にも電話、メールなどの問合せ窓口はある。多分、その方がより早く、正確な情報を得られるはずだ。

依頼内容306:前々回にも似たような質問をしましたが改めて質問させていただきます。テニスのトレーニングについてなのですが今は受験ということもありあまりコートで打つ機会がありません!なのでコート外でのトレーニングについて教えていただきたいです。やはり基礎体力がなければテニスどころではないと思います。なので冬の間は筋トレや走ることをやればいいのではないかと自分では思います。走ることに関しては階段などを使ってやればいいと思いますか?そのほかテニスに役立つトレーニングはありますか?筋トレは一応腕立てを少しやっているのですがいまいち効果がない気がします。いい筋トレはありませんか?
山口県のグゥさん
報告306:練習の目的意識を持って欲しい。基礎体力が必要だと感じるのなら、走ったり、腕立て伏せをしたりといった基礎系をみっちりやっておけば十分だ。階段? 腰を痛めないように注意しながらやって欲しいが、それでもいいと思う。中学3年の依頼者の年齢で、しかも専門家の指導のない状態では、負荷は自分の体重の範囲で行なうのが最も危険が少ない。また、筋トレの効果がない気がする、ということだが、筋トレの効果というのは最低でも3カ月継続してやってみて、どうにか感じられるか否かという程度ということを肝に銘じて欲しい。あらゆる練習の中で、そんなにすぐに効果の出るものの方が少ないのだ。
 走ることは心肺が鍛えられてスタミナ面が、同時に足腰の強化にもなる。腕立ては腕の前と後ろの強化には欠かせないだけでなく、腹筋と背筋も使うトレーニング方法で、同時に自分の体重を負荷にするために、負荷のかけすぎを抑制もできる。
 トレーニングにはいくつか種類があって、最大負荷をかけて、筋繊維そのものを肥大させるやり方と、軽い負荷を継続的にかけて筋持久力を高めるやり方、関節を鍛えて故障を起こした部位を補完する補強トレーニングなど、その人によって最適な方法が違う。また、テニスはどこをどう鍛えれば競技力が上がる、というのを最も特定しにくい競技の一つなので、「テニスに効果的な」というのは、存在しないと考えてもらった方がむしろいいかもしれない。全身をバランスよく鍛えておいて、さらに個人個人で足りない部分や、故障箇所を補うために専門家の指導の下で鍛えるというのが、世界中のプロもやっている方法だ。近道はない。地道に見え、即効性は感じられないかもしれないが、継続してやり続ければ効果は出るはずだ。高校に入学し、機会があれば、フィジカルチェックを専門家の下で受診してもいいだろう(スポーツ外来のある病院などなら行なっている場合があるので、お近くで探して問い合わせてみてほしい)。まず自分を知ることが、全てのトレーニングの第一歩なのだ。

依頼内容307:スマッシュで働き田たいのですが今年度のの採用情報がわかりません。どうか調べてください。
兵庫県のアガシさん
報告307:お問合せいただき、誠にありがとうございます。
 大変申し訳ありませんが、弊誌月刊スマッシュを発行する株式会社日本スポーツ企画出版社では定期採用は現在のところ(03年2月現在)行なっておりません。また、次にいつ募集が行なわれるかも、現在のところ未定です。
 求人がある場合、その募集告知は、新聞の求人広告や、弊社刊行物(月刊スマッシュ、週刊サッカーダイジェスト、ワールドサッカーダイジェスト、月刊ダンクシュート、月刊スラッガー、ワールドサッカーダイジェストEXTRAなど)の本誌上などで行なわれると思われます。ご了承ください。
……アガシさんのためだと思うので最後につけたしておくが、依頼文は敢えていただいた通りに掲載した。こうした大事な問合せを送信する前には一度誤字脱字がないかをチェックされることをお勧めする。

依頼内容308:グリップテープを巻いていてふと思ったんですが、なぜグリップエンドは少しだけ太くなっているんでしょうか? ただ重りを入れるだけなら同じ太さでもいい気がするんですが・・・
東京都のテニスだいすきなM・Mですさん
報告308:な、なんと、素朴な疑問だろうか! しかし、これは難問だ。
 今、調べた時点では1608年にフランスのストラスブールに住んでいたクリスパンド・パスという人がデザインしたラケットはすでにグリップエンドが太くなっていて、1675年にイタリアのボローニャに住んでいたミテリという人がデザインしたラケットもグリップエンドがやや太い。しかし、1555年に登場したと言われる最初のラケットの時点ですでに太くなっているので、元々太かったのかもしれない。
 用具がラケットになる前のテニスは素手時代から皮手袋時代、バット時代、トンカチ時代があって、ラケットが誕生している。調査団ではこのトンカチ時代が主たる原因ではないかと疑っている。すっぽ抜けの危険を防ぐために、持ちやすく、かつ振りやすくするためにグリップエンドを太くしたのではなかろうか。理屈としては野球のバットと同じで……。
 もう少し調べてみるが、これ以上の結論が出るだろうか……。

依頼内容309:テニスの王子様についてですが・・・。最近、ちょっと行き過ぎじゃないでしょうか?特に17巻の不二君の白鯨は。いくらマンガとは言え。
福井県の秀GONさん
報告309:昔、「タイガーショット!!」と叫びながらつま先を地面に擦りながら思い切りボールを蹴って、センターサークルからゴールを狙ったり、「ギャラクティカ・マグナム」を身につけるために変電所に忍び込もうとしたり、もっと昔だと、「大リーグボール2号」に関して、どうやったらボールが消えるのかと、砂をボールに擦り付けて足を上げまくったり、「地獄車!」と叫びながら自分の方がなぜかダメージの大きい技を友達にかけまくったり、足の指でピアノを弾こうとして教室のオルガンに乗っかって先生に怒られたりした……、という過去のある方もきっといるだろう。もう少し若いと、この中に「キン肉バスター」だとか、「龍追閃」とか、「ゴムゴムのマシンガン」とかも入ってくるかもしれない。テニスファンに限定すれば、「クインビー・ダイナマイト」、「ピーコックダイヤモンド」、「ツインビーム」とかも出てくるだろう。いや、多分、健康な男の子なら上記のどれかには必ず心当たりがあるはずだ。
 さて、「白鯨」に関してご存知ない方のために、簡単に説明しておくと、「白鯨」とは集英社の週刊少年ジャンプで連載中の「テニスの王子様」の中の登場人物である不二周助が持つ3種類のカウンター技の一つだ(もちろん、テニスの技)。
 現象面を説明すると、強烈なスライス回転をかけられたボールはホップするように飛んで、スライスロブのような形でベースラインに落ちる。しかし、そこで終わらない。ボールは着地した瞬間、強烈なバックスピンによって逆方向に跳ね、最終的には打った不二君の手元に戻ってきてしまうのだ。桃城君の説明によれば、逆風を利用しているとのことだが、誰かが「こんな程度の風で」などと言っているので、たいした風ではないらしい。
 実は、かなりの強風下であれば、まったく可能性がないわけでもないのは、恐らく海沿いのコートでプレーした経験のある方なら心当たりがあるかもしれない。しかし、そうしたケースで多いのは、ふわふわと上げたロブが相手コートに届かず自分のコートに戻ってきてしまったり、ネット付近に落ちたふわふわボールが高くバウンドして、風で自分のコートに戻ってくる、といった程度ではなかろうか。これを「プチ白鯨」とするなら、「大リーグボール」の伝統のあるわが国なのだから、不二君の白鯨ぐらい認めてあげてもいいのではなかろうかと思う。今や大リーグでも屈指の投手である野茂英雄投手は、幼い頃に「大リーグボール」を練習した過去があるというし……。
 良識あるテニスファンとして「下らない」、「ジュニアに悪影響だ」と憤る向きもあろう。しかし、仮に子供たちが「テニプリ」の必殺技の練習に明け暮れてしまっていたとしても、目くじらを立てすぎるのはいかがなものだろうかとも正直思う。実はそういう遊びの中でしか覚えられないことが少なくないからだ。基礎的な球出し練習などだけでは一生身につかないであろう、「ボール感覚」の能力がこうした遊びの中で身につくのも事実なのだ。
 プロ選手が時折見せる股抜きショットを思い出して欲しいのだが、アノ手のトリックショットは「真面目なテニススクール」では教えてくれないと思う。しかし、プロたちができるのはなぜかと考えたことはないだろうか? うまくなれば自然にできる? そうではない。彼らはああいうショットも普段からちゃんと練習しているからできるのだ。もちろん、コーチが球出しをして、「違う、もっと右足を上げるんだ」などと練習しているわけではない(いや、そういう選手もいるかもしれないが……)。普段の遊びの中でやっているのだ。プロたちが練習している場面を見ていると(もちろん、いつもというわけではないが)、リラックスした場面では実に色んなショットを試して遊んでいたり、ボールに色々な回転をかけて遊んでいる。「零式ドロップショット」に近いショットや、バウンド後に自分のコートに戻ってきてしまうような強烈スライス回転のドロップショット(これも「プチ白鯨」と言えるかも。実は筆者は以前、レッドクレーのコートでかつてのドイツのデ杯選手であるカール・ウーべ・シュティーブさんとラリーしていただく光栄にあずかったことがあるのだが、その折、全く弾まないスライスを打たれたり、とんでもなく弾むトップスピンを打たれて遊ばれた経験がある。すごく驚いたが、その際にボールと回転を自在に扱う能力にはプロとアマでは海底と宇宙ぐらいの差があることを実感した)とかも見せてくれるし、背面打ちのバリエーションや、すごい曲がって跳ねるアンダーサービスなどなど、ラケットとボールを自在に操って遊んでいる場面を目にすることがある。彼らはああしてボールとラケットを自分の意のままに操る術を、しかも遊びの中という楽しい感覚の下で学んでいるのだろう(本人たちは遊んでいるだけで、「学んでいる」などという意識は恐らくないとは思うが)。
「最近のジュニアは基本もまともにできないくせに、すぐにジャックナイフだなんだと言い出す」というのは、大人の考え方すぎるかもしれない。ジャックナイフ打ちたさにコートで過ごす時間が増えたり、意欲が出てくるならそれもよし、というスタンスも必要だと思われる。何より、ボールとラケットを自在に操る感覚というのは、ジュニア時代に身につけておかないと、後からではなかなか難しいものなのだ。
 もちろん、基本は大切だ。しかし、基本練習だけでは身につかないことも実際多い。アラジがくるくるとラケットを回す姿は、同時に彼がラケットを自分の腕並に感覚の一部にできているということを示している。だが、一方で彼があれほど見事なラケット回しを見せる影には彼が普段いかにラケットを回しているか、という点を想像しなければならない。そう、あのくるくる回しも練習していなければ、ああ見事にはできないはずなのだ。
 ところで、問題の白鯨なのだが、改めて見直してみて重大な欠陥を発見してしまった。不二君はネットに出てきた相手に対して白鯨を使っているのだが、基本的に白鯨はスライスロブ。彼はそれで見事に相手の頭上を抜いている。ここまではいい、というか素晴らしい。完璧なスライスロブだ。しかし、問題はせっかくベースラインに落ちたボールが戻って来てしまうという点だ。
 ロブというのは相手の頭上を抜いた時点で成功と言えるショット。サッカーのループシュートと同じだ。トップスピンロブなら着地後にさらに弾んでコートの外に出て行こうとする挙動が「追いつけない」という武器になり、逆にスライスロブなら高く弾まないという点が「追いついても返しにくい」という利点につながる。手の届かない上空を飛行し、追いつけないボール、というところにロブのよさがあるのに、白鯨は戻ってきてしまうのだ。不二君も男の子。コートサイドで見ている生意気な後輩のリョーマ君に、自分の必殺技を自慢したかったのかなんだか知らないが、これは決定的にマズイ。
 確かにホップしながらだったので、相手の芥川君もアウトだと判断して足が止まったのかもしれない。しかし、この技を同じ相手に2度使うのは危険だ。1度目はびっくりして作品中のようにかっこよく決められるはずだが、2度目は戻ってくるのがわかっているので、しっかり待ち構えるはず。まして芥川君は「マッケンロー並の天才的ボレー」の持ち主と説明されていた。不二君は「さぁ、もう一球行こうか」などと発言しているが、コートサイドの生意気な後輩に先輩の威厳を保ちたいなら、2度目は絶対に打ってはいけない。せっかく追いつけない位置に打ったロブが自分の方から戻って来てくれるのが白鯨の実態だとバレた以上、芥川君は絶対にボールに触ってコースを変えてくる。
 だが、そこはさすがに「天才」不二周助。2度目は打っていない。そうそう、それでよかったんだよ不二君。
 ところでこの「白鯨」は幻の技らしいのだが、当然だと思われる。同じ相手には1試合で1回しか使えないうえ(2度目をやってもいいが、効果は薄れるし、反撃に遭うリスクも高い)、過去に一度対戦し、白鯨を知っている相手にも使いにくい(よほど意表を突けば別だが…)。また、大会で1度使ったら、あっという間に評判が広まってしまうため、大会に1度しか使えない。さらに、彼は強い学校の、強い選手なので、上位校同士との対戦だと過去に何度も戦っている可能性があるのでまたもや使えない。
 ……以上のことから想像すると、彼が生意気な後輩に先輩の強さを見せ付けたりしたいという欲求がない状況下で、この技を使うのはまだテニス部ができて間もない、大会には初参加、とかいうレベルの自分のことを知らない無名校との対戦の時で、しかも強い相手だと危険なので、弱い対戦相手に限定されそうだ。回数的にも年に数回程度、と想像できる。身につけるまでにはきっと血のにじむような練習をしたのだろうが、なんだかあまり使えない必殺技だし、天才の名が泣きそうな条件が浮かび上がってきてしまった。

依頼内容310:自分は時代遅れかもしれませんがフラットで打つのが大好きです。来るボールはすべてフラットで返します。しかしやはりトップスピンの様に安定感はありません。少しでも面が狂うとネットやアウトになりがちです。それならばトップスピンに変えれば?と言う話になりますが。やはりフラットも捨てがたいのです。フラットで安定感を出すには、どうしたら良いでしょうか?
北海道のnakanoさん
報告310:フラットで打つとボールも速く、決まったときの気持ちよさは格別だし、もちろん威力もある。選手たちもホンネの部分では全てフラットで打ちたいと考えている、という話は実はよく聞く。
 依頼者がもし、ジュニア世代で、これから世界を目指す、という年齢だったら、そのままのテニスで世界を目指してください、と言うところだが、ある程度年齢も行かれているので(失礼……)、一般プレーヤーとしての一般論を報告していきたいと思う。
 まず問題は「来るボールはすべてフラット」という点だが、
依頼者のおっしゃるとおり、安定感が出ないのは恐らくこのためだろう。プロでフラット系を主な武器にしているのは女子に多いが、彼女たちとて「すべてフラットで」プレーしているわけではない。調査団が記憶している限りでは伊達公子だけはそんな感じだったと言えるかもしれないが、厳密に言えば、彼女も違う。
 いいだろうか?  少々大げさだが、テニスの歴史の中で、伊達公子のプレースタイルは「例外中の例外」と言われていること、彼女のようなプレーは誰にもできない、と言われていることはだけは付け加えておきたい。
 フラットで打ってきちんとコート内に収めるためには「直線的な軌道でボールをイメージ」できる打点を取れることが前提だ。簡単に言うと、ある程度高いところから打ち込める打点や、ライジング気味か、しっかり下がっておいてネットの上スレスレを通すような低い軌道を描ける打点でなければならないということだ。しかも、相手のボールの勢いに押されるようではいけないので、打点に入ってからしっかりとスイングできるだけの余裕も欲しい。いかに相手がアマチュアの一般プレーヤーでも、「来るボールすべて」にこの打点を取れるとは思えない。面の安定はもちろん大切だが、それ以前に、フラットで打てる打点を取れなければ安定させにくい。まず、その時点から再確認してみて欲しい。
 いいだろうか?  nakanoさんが取り組んでいる「全てのボールをフラット」という目標は、毎日毎日クタクタになるほどテニスコートで練習し、ジムなどで身体を鍛えまくっている世界中のどんなトッププレーヤーたちが掲げている目標よりも、ある意味では高いのだ。心して挑んで欲しい。

依頼内容311:ジミーコナーズ選手の強さについて質問します。彼は身長もなくサービスも早いといったことも無く、しかもストロークもフラットでネットやアウトのリスクが多い。そんな彼がなぜ長きにわたりトップの座に付いていたのか不思議です。なにか秘訣があったのでしょか?
北海道のnoroさん
報告311:過去の選手の強さや実績を考える時に一番やってはいけないのが、現在の尺度で考える、ということだ。例えば、ヒューイットとマッケンローならどっちが勝つだろうか? というのは、茶のみ話としては面白いし、その可能性を探るのも面白いが、どっちが「偉大か?」という議論は禁物だ。お互いに生きた時代が違い、用具も技術も対戦相手も全てが違っている中で、平行に比べることには全く科学的な意味を見出せないからだ(繰り返すが、話としては面白いので、どんどん話し合われてもいいし、むしろ、そういう話で楽しもうとする人が少ないのが日本のテニスファンではなかろうか、とも思う。しかし、そこに絶対的な結論は求めない方がよい、という意味だ)。
 さて、ご依頼のコナーズの強さ、という点の中に「トップスピンでなくフラット中心」というお話が出てくるが、当時のテニス界でトップスピンを武器として使っていたのは、ボルグ(彼は誰に教えられるでもなく、自然にトップスピンを覚えたと言われる)の他には、クレーコートスペシャリストぐらいだったということを思い出して欲しい。
 コナーズ以前のテニスは「フラットドライブ&スライス」のテニスが主流だった(ただし、ロッド・レーバーだけは例外)。ラケットはもちろん木製で、フレームには今のラケットのようなパワーもなく面も小さい。しかも、男子のバックハンドは片手打ちが主流であり、スライスがほとんど。コートサーフェスは高速で、バウンドの低い芝に最も高いステイタスがあったため(全仏を除く全てのGSは芝のサーフェスだった)、トップを目指すほとんどの選手は芝で勝つことを目標として、サーブ&ボレーのスタイルが輝いていた時代で、高く弾むボールより、低く滑らせる方が有利だった、ということも合わせて思い出して欲しい。
 そんな時代の中に両手でラケットを握ってバックハンドからでも攻撃的にボールを打ってくるコナーズが燦然と現れたのだ。テニス界はほとんど根底からその戦術や、考え方を揺さぶられたと言ってもよかった。普通なら飛んでくるはずのないタイミングで、今までにはなかった角度やコースにバックサイドからビューンとボールが飛んでくるし、コナーズに対抗するために同じことをしようにも、彼とはテニスの構築の仕方が異なっていた世代の選手には真似できない。彼のテニスはほとんど革命と言ってもよかったのだ。
 近代テニスの歴史は実は「コナーズ前」と「コナーズ以後」に分けられる、と01年2月号の本誌中綴じ特別企画「進化するテニス」(解説/丸山薫氏)の中でも解説したことがあるが、コナーズの登場がテニスの攻撃のテンポを早め、展開のスピードを上昇させたのだ。彼以前の典型的なテニスは、バックサイドに来たボールはスライスでつないでフォアで打つためのチャンスを作ったり、ネットプレーをしかけるためのアプローチという意味合いが強かったが、コナーズはバックハンドからウイナーを狙って攻撃的にボールを組み立てた。彼の登場がその後のテニス界に与えた影響は大きく、ボルグを生み、そして今日のアガシ、ヒューイット、フェレーロにつながっていると考えて欲しい。
 彼が長く活躍できたのは、何よりも彼の激しいファイティング・スピリットが要因ではなかろうかと調査団では考えている。もちろん、今よりもずっと少ない大会出場数でランキングを維持できたシステム上の問題や、用具の劇的な進化の時代にあって、彼は比較的積極的に新素材のラケットを採用し続けられたトップ級の選手であったという点、技術的に左利きの両手打ちバックハンドというのが時代の先端を行っていたため、追随者に対してつけた差が最初から大きかったことも挙げられはするだろう。しかし、彼の闘志の激しさが何より一番ではないかと思う。「燃える男」の異名をとった彼の後継者は未だ現れていない気がするのだ。彼が長期にわたって活躍できた理由について、「彼の不世出の闘志」を原因に挙げるのが彼に対する最大の敬意だと思うのは調査団だけだろうか?

依頼内容312:ヒンギスが引退?!とこの前の新聞で驚いてしまいました。
まだ若いのにもったいないと思ってしまいました。しかし、よくがんばったのかなとも思っています。ところでこれから活躍しそうで目をつけている若い選手は誰ですか?
北海道の山本さん
報告312:……なんという変わり身の早さをお持ちの依頼者だろう。ヒンギスの引退関連ニュ−スに関してはまだ流動的な要素が強く、確定情報ではない。新聞各紙の報道では確かに「引退は決定的」というムードで書かれてはいたが、実際にはまだまだ確定的とまでは言いにくい。詳しくは03年5月号の彼女のインタビューを参照してみて欲しいのだが、あまり慌てず、情報はゆっくりと吟味してみて欲しい(彼女の陣営は基本的に彼女の引退の意向を尊重する姿勢のようだが、近い将来に再起したくなったときの障害が生まれないようにするためか、はたまたなんらかの契約が残っている影響からなのかは不明なままだが、正式に引退発表とか、引退宣言などは行なわない意向のようだ)。
 さて、調査団が目をつけている選手に関してだが、非常に数が多い。半分は企業秘密でもあるので、すでに皆様もご存知であろう選手の名前を挙げていく。強さと話題性から考えて、ロシアのサフィーナ、シャラポワ、キリレンコ、ズボナレワ、クズネツォワ、オランダのクライチェク妹、ベルギーのクリステルス妹、アメリカのハークルロード、ベーカー、スイスのカサノワ、ミカエリアンなどだろうか。他にもたくさんいるが、ロシア、東欧系のプレーヤーが中心だ(選手名の表記は将来変更される可能性があります)。
 ジュニアテニス界を見渡すと、近い将来の女子テニス界はまず旧共産圏に席巻され、少し遅れて南米系選手、アジア系などが入り乱れてきそうなムードが漂っている。また、今は眠れる巨人である中国が本気でテニスに乗り出したら、最初に女子が、10年ほど遅れて男子の強豪も生み出してくるだろう(一般に女子の方が選手層が薄いため、強化がてっとり早いというのは、ほぼ全てのスポーツで共通する事実。テニスも同じだ)。
 もちろん、テニス王国であるフランス、スペイン、オーストラリア、アメリカなどは今までと同様に強豪を送り込んでくるだろうし、ベルギーもエナン&クリステルス効果が本格化すれば、恒常的に次々と強豪を輩出する列強の仲間入りを果たすだろう。
 いや、本当にこれから先の10年も楽しみな時代だと思う。

依頼内容313:いつも楽しく拝見させて頂いております。少々ブランクがあったため、既出でしたら申し訳ございません。一度、グリップ(コンチネンタル、ウェスタン等)にとことんこだわった特集を組んで欲しいのです。御社の去年の何月号かは忘れたのですが、両手バックハンドでも「右手主導」と「左手主導」での打点等の違いを詳しく紹介されていた記事は為になりました。それの延長線上で、プロ選手のグリップとフォームを同時に掲載してくだされば、かなり今までの疑問が解けるような気がするのです。(写真から判断すればいいことなのかもしれませんが)バックハンドのシングルでも選手によってグリップがかなり違いますよね。そのグリップに応じたフォームや打点の違いなどを詳しく解説してくださるととても嬉しいです。スクールのコーチもどうしても自分のグリップ中心でコーチされる事が多いような気もするのです。どうぞ宜しくお願い致します。
大阪府のタックンさん
報告313:貴重なご意見ありがとうございます。
 ところで、このコーナーは予算の関係上、文字だけですので、ご依頼には十分にお応えできません。ご意見を編集部に伝達しておきたいと思います。
 さて、一つだけこのコーナーとして申し上げておきたいのは、ある一人の選手でもボールに合わせて様々なグリップを使っているということだろうか。
 例えば、コンチネンタルグリップでの華麗なボレー、というイメージの強いエドバーグでもほわわ〜んと浮いたボールや、叩き込みたいときには厚めのグリップでボレーをしていることもあったし、ほとんどウエスタンのクエルテンもスライスを打つ時には薄めのグリップを使う。つまり、テニスの場合、ゴルフや野球のようにグリップは必ずしも固定されていない、という前提認識を持っておいて欲しい。
 なぜなら色々な打球体勢が考えられるのがテニスという競技の特徴で、いつも最適な打点に入れるかどうかはわからず、対戦相手も常に相手が万全の体勢を取れないような位置にボールを打ってくるし、どんなコースでもそれがインのボールであるなら返さなければならないのがテニスだからだ(ストライクゾーン以外は打たなくてもいい野球や、止まったボールを打つゴルフとはここが決定的に違う)。自分の取れた体勢によって、また、打つコース、球種、高さ、深さなどで当然スイングも打ち方も変わる。それら全てを網羅して技術指導をしていたら、フォアハンド一つ覚えるのに何十年かかるか想像もできない。
「このショットを打つときにはこのグリップでなければいけない」などということは、テニス界にはない、と考えてもらっておいた方がむしろちょうど、というのが世界標準の認識なのだ。
 確かに、球出しのボールを打って打ち方の初歩を練習している間にはそうしたことが気になるのも理解できるし、ミスした時にはグリップが気になるものかもしれない。しかし、試合になり、さらにレベルが上がっていくと、球出しのような体勢で打てる場面はどんどん少なくなってくるはず。
 その人の打ち方だけでなく、飛んでくるボール、球種、打つ人の打点への入り方や体勢、そこから可能なスイングの要素はもちろん、自分が打ちたい球種、距離などなど要素は非常に多いのだ。上手な人というのはグリップを無意識の内に様々に使い分けている。「ノースイング、ノーグリップ」というのが、まず前提としてあり、強く打ちたいなら厚めに、薄く打ちたいなら薄めにすればいいだろう、というのが世界標準の考え方で、「このグリップならこんな風に」という具合にグリップからボール、で考えるのではなく、「どんなボールを打ちたいのか」から逆算していくのがごく当たり前に使われる思考法なのだ。

依頼内容314:年間購読の海外発送は行っているのですか?
北海道の小倉 拓哉さん
報告314:大変申し訳ありませんが、定期購読の海外発送は現在行なっておりません。

依頼内容315:どなたか、C.モヤや、R.フェデラーが頭に巻いている、あの白いナイキのバンダナがどこで手に入るか、ご存知ないでしょうか?もちろん、他の紺や赤色のものもあれば、ほしいのですが。以前、アガシが”海賊巻き”していたころはショップなのでもみかけたのですが……。教えてください!!!
千葉県のふぇでらーさん
報告315:せっかくインターネットにつなげる環境をお持ちなのだから、どうかこうした依頼はナイキジャパンさまなり、テニスショップさんなりに直接お問い合わせいただいた方がよいか、と思うのだが……。

依頼内容316:サンプラスのラケットが変わったと聞いたのですが、どんなラケットなんですか?以前ここでサンプラスは道具には非常にこだわりがあってなかなか変えようとしないと書いてあるのを見ました。その彼がジュニア時代から長年使い続けていたプロスタッフ6.0(セントヴィンセント)を捨てたワケは!? またそのラケットは日本では発売されるのでしょうか? 個人的に彼のファンなので非常に気になります。よろしくお願いします。
大阪府のアジアンテイストさん
報告316:よくこのコーナーをご覧いただいているようで、ありがとうございます。複数の証言によれば、彼がかなりモノにこだわるのは事実であり、プロになってからはほとんど他のラケットを使っていないのも事実だ。
 しかし、情報解禁宣言がまだなので、この報告に関してはしばしお時間をいただきたい。……でも、こまめにウイルソン社のサイトをチェックされていた方が、多分、早いだろうとも思う。

依頼内容317:打った感じ(ラケットでボールを打った・叩いた時の硬さ)はラケットの素材とストリングパターン以外を変えても変わるんですか? それと、どんなラケットほど打った感じが硬くなるんですか?
東京都のタクミンさん
報告317:打ったときの感じをどう感じるか、どう表現するかに関しては個人差も大きい。しかし、ごく一般的に言うと、ありうる話だ。何が原因で感じが変わるかと言えば、まずストリングを張る時のテンションで変わるし、それを依頼者が書き忘れているだけで、承知しているというのなら、バランスでも変わる可能性がある。また、振動止めの有無でも変わるし、グリップテープの種類によっても変わる。
 一つひとつ説明しよう。
 まず、ストリングのテンションを強くすれば、糸が引っ張られる力が強くなっているのだから、それを網目状にしたラケットでは硬く感じる可能性は高い。ただし、ラケットのフレームがしなやかな性質を持っていて、ボールを芯でとらえ続けることができる人なら、糸の性質によってはそれほど大きく変化を感じない可能性もなくはない。
 次、バランスで変わる可能性についてだが、ストロークでもサービスでもラケットの先端寄りが重い「トップヘビー」のバランスをラケットに与えてやると、打球感覚も変わる可能性がある。というのも、先端部を重いセッティングにすると、スイングした時の慣性モーメント(物体が動き続けようとする力のこと。もっと詳しく知りたければ、依頼者は現役の学生さんなのでご自分で調べた方が勉強になると思う)が大きくなり、ラケットとボールとの衝突によって手元に伝わるショックの度合いに影響がでる可能性があるからだ。
 次、振動止めの有無や種類に関しても依頼者が書き忘れているだけという可能性があるが、これは打球感が最もわかりやすく変化する項目だろう。ラケットや糸の種類によっても違うし、これによる変化を「硬い」、「やわらかい」で表現するかどうかは感じ方の違いや、ボキャブラリーの解釈の違いでも出てくるだろうが、振動止めを付けたらラケットへの印象が激変した、というケースは少なくない。
 グリップテープの種類による違いも振動止めによる違いに似ているが、これでも大きく変わる。違っているのは、グリップテープ自体も重さを持っており、わずか300g程度しかないラケットでは、10gの違いでもバランスに大きな影響が出る。一般に皮製のグリップテープだと打球時の衝撃がダイレクトに伝わってくる分、「硬い」という印象を持つ人が多く、ラバー系の素材のテープでは「やわらかい」という印象を持つ人が多いようだ。打球時のショックを和らげるためのテープもあり、それ系のものならさらにやわらかい感覚になるだろう。
 どんなラケットほど、という依頼に関してだが、これもラケットの性質により様々で何とも言えないのだが、ごくごく一般的に言うと、ストリングパターンが密で、かつ面が小さいラケットにこうした傾向がある。これは糸の長さと網目の濃さの影響があるためで、同じ力で糸を引っ張っても、その長さが短ければ横方向からの力に対しての変形は小さいから、ということと、網目が細かければ、面としての強さが強く、結果として「硬い」雰囲気になりやすいからだ(しかし、一般にこうしたラケットたちのフレームは、薄めで、しなやかであることが多く、鉄棒に板というイメージには、ちゃんと使う人が使えばならない)。
 一般的に「選手向け」と言われているモデルはこうした傾向があるが、なぜこうなっていくかと言えば、よく言われる「飛ばなく」するためではない。選手たちは「ラケットに余計なことをさせたくない」からで、ラケットは自分のスイングをボールに正確に伝えてくれさえすればいい、と考えるからだ。ラケットの「コントロール性」というのは、こういう意味なのだ。
 また、少し前までは、厚ラケ系統のラケットたちは打球感覚が硬いとよくいわれていたが、グロメットや糸、フレームの素材や構造の進化で最近はそうでもなくなってきた。

依頼内容318:いつもたのしく読ませてもらっています! 僕はもうすぐ中学3年になり試合もわずかになりました。そこで今度の試合までに精神力を高めるトレーニングをやろうと思ったのですがテニスの本などいろいろなものを見てもあまり書いてないのです。なにか良いトレーニングの方法は無いものでしょうか?
東京都の虎鉄さん
報告318:精神力を高める……。何とも具体的なようでいて、雲を掴むような話だ。
 精神力を高めたいというのが、もっと具体的に言うと「試合で緊張しないようになりたい」とか、「大事な場面でしっかり決められるようになりたい」とかいった類の話であるならば、その方法は場数を踏むしかない、と多くのプロは言う。
 どんなトッププロでも、例えばウインブルドンのセンターコートで試合となったら食事も喉に通らないぐらい緊張するものだという。トッププロである彼ら彼女らは一見、普通に試合をしているような場面でも、内心は緊張感に支配されているのだ、とよく聞かされる。ではなぜ彼ら彼女らは普通にプレーできるのか? と聞いたところ、それは「場数」、「踏んできた修羅場の数」でそうなっていく、という意見が多いのだ。
 なんだ、もっといい方法はないのか? と虎鉄さんは思うかもしれない。しかし、近道はない。巷では様々な方法で「集中力を高める方法」や、「土壇場で強くなる方法」をうたった記事や本が出ているし、「そんなもん、牛乳と煮干で、カルシウムをしっかり取っておけばいいんだ」ということを言う人も出てくるだろう。しかし、最終的には「自信を持つ」というところに行きつくのだ。自信というのは「自分自身の力を信じる」ということで、このための方法は「自分でしかわからない」というのが本当ではないか、と調査団では思う。トップ選手たち全てに共通しているのは、「最後まで戦い抜く姿勢」だ。彼らは最後のポイントが決まるその瞬間まで勝負を捨てたりはしない。いや、確かにたまには捨てちゃてるような場面を見かけることもあるが、いつも捨てていたらトップには上って来られない。完全には捨ててしまわない心が、彼らを鍛えてきたのだ。実は修羅場というのは、途中で諦めた選手には一生訪れないものなのだ。
 さて、このままでは何だかだとも思うので、一つだけ方法らしきものを紹介しておこう。それはズバリ「試合より練習の方が精神的にキツイ」という状況で練習することだ。実は以前、ある元トップ選手に聞いたのだが、その選手の場合は、練習が精神的に非常に辛く、キツかったため、試合の方が楽、という状態でいつも試合をしていたらしい。その方は「練習の方がいいボールを打てる、じゃ意味ないです」と断言していたこともある。実はプロたちの場合、試合形式の練習では常に何かを賭けて緊張感を持たせている場合が多いのだ。ともすれば緊張感のなくなってしまう中で、彼らが自然と編み出した方法なのだろう。虎鉄さんは中学生なので、例えば、乾くんも『テニスの王子様』がいつもやっているような、負けたら「青汁一気」とかでもいいだろうし、負けたら校庭を3周ダッシュとかいう罰ゲームでもいいだろう。とにかく、練習に自分に常に降りかかる緊張感を持つと、意外に効果が出てくると思う。

依頼内容319:私は、テニスを始めて4年と半年になりますが、ボレーがなかなか上達しないで困っています。コーチにボールを数多く打つことと言われたので、なんと3つのスクール(週に5レッスン)をかけもつようになっています。でもどうしても、レベルが上がると球のスピードがあがってくるので体が後ろに引けてしまいます。その為か、フレーム、ネットにかかることが多くなっています。ボールを待つことも出来ないうちに手だけが…。今1つのスクールでは、上級クラスに入れられてしまい一人取り残されているような感じで困っています。「ストロークやサーブなどはいいんだけれどね!」などと、コーチや仲間にも言われてしまい…泣)
 話は変わりますが、そのクラスの中にとってもいやな感じの方がいて、余計にちじこまってしまうのですがそのときなどは、クラスを変えたほうが良いのでしょうか? 
(コーチはいいのですが)
埼玉県のオサルさん
報告319:……なんともパーソナルなお悩みだ。依頼文を読んでいて調査団が思うのは、サービスとストロークがいいのなら、ボレーが多少下手でもいいのではないか? ということだ。シングルスではボレーなど一回もしないでも試合になるし、ダブルスでもボレーを使わないで済むように戦えばいいのではないか、ということだ。
 日本の一般プレーヤーの皆様はとかく、全ての技能に関して習熟されることを望まれる傾向があるが、子供の頃から毎日あきれるほど練習しているプロ選手の多くでさえ、少なくとも現役の間、という短い期間では苦手なショットは苦手なままというケースが少なくない。一生が300年もあればいいのだが、せいぜい80年。もちろん、個人個人で飲み込みの早い遅いはあるものの、全ての技能に習熟し、全てのショットを使いこなして戦っているプロがどれだけいるかを思い出してみて欲しい。ほとんどいないはずだ。
 確かに、プロと呼ばれる人々の場合、本人は「ボレーが苦手なんです」と言っていたとしても、デモンストレーションでやってもらうと一般プレーヤーから見たら「苦手なんてウソじゃん」と思うほど見事にこなせるケースがほとんどだが、そうした時には彼らが子供時代からどれだけコートの上に立ってきたかを考えてみて欲しい。できることはできる、しかし、プロの世界ではこんなのは「当たり前」でもっとできる奴がごまんといる、そこで自分は得意なストロークで勝負していて、ボレーは使わなかったという意味なのだ。もしくは、ボレーを使うための展開作りが苦手だったと翻訳して聞いた方がいい。
 何度か言ってきたが、ショットの成否のほとんどは打つ前に決まっていると考えてみて欲しい。一番重要なのは、打ち方というよりも、打球と打球の間の動き方なのだ、と語る専門家の方が実は多いのだ。それは実に多くのパターンや個人差があるため、例えば連続写真で表現できる分野ではないのだが、この世界で「センス」と呼ばれるものはこの部分を指す割合が高いのだ。
 いや、仮にここで技術モノ的なアドバイスをするとすれば、依頼文を読んで最初に気づいたのは、依頼者は恐らくボレーを単体で考えているのではなかろうか、という点だ。試合ではボレーは単体のショットではなく(サービス以外、他の全てのショットがそうだが)、流れの中で打つショット。ボレーに入るまでの動き方に何か問題があるのではないか、ということなのだ。従って、技術モノ的に何かを申し上げるとすれば、依頼者を見たことがない我々に言えるのは、「足をちゃんと動かしてますか?」という点に尽きてしまう。依頼者は恐らく身体の近くに来たボールのボレーより、追いかけて飛びつくボレーの方がうまくできているのではなかろうか? 身体の近くの、それこそ手を伸ばすだけで届くボールのボレーだと足が止まっているために間合いがつかめず、逆にミスが出やすく、飛びつくボールになら自然と足が動き、距離も調節できているのではなかろうか、とイメージする。もし、こうした状態だ、というのなら、解決は簡単だ。近いボールの処理時にも遠くのボールと同じように足を使えばいいのだ。
 でも、まあ、それが難しいのでここにご依頼いただいたのだろうが、あとは練習してみてほしいとしか言えない。
 もう一つの件に関しては、クラスを変えた方がいいでしょう、恐らくは……。依頼者は恐らく、テニスを楽しむためにプレーされている方だと思うので、嫌な感じの人がいてもそれに耐え、乗り越えて精神的に強くなる、必要まではないのではなかろうか……。

依頼内容320:フォアハンドストローク(トップスピン)で力を入れているつもりなのに弱々しい球にしかなりません。先輩は「フォロースルーが小さい。」「球を押していない。」と言うんですが、球を押そうとすると体の開きが速くなってしまいます。なにかよい方法があったら教えてください。すごく悩んでいます。
静岡県のプロビーマーさん
報告320:お気持ちはよく理解できるし、力にもなりたいが、いかんせんプロビーマーさんを見たことがないため、以下が的外れになる可能性は高い。まだ若い依頼者なので、若いプレーヤー向けに考えられる一般論を報告したいと思う。
 若い男性プレーヤーがフォアハンドのトップスピンを打っていて、弱いボールしかいかず、先輩からはフォロースルーが小さい、球を押していないと言われているという場合に考えられる状態は、まず第一にボールの擦りすぎだろう。
 依頼者は強いトップスピンのストロークの威力を上げるためには「回転数」を上げること、と誤解してはいないだろうか? トップスピンはただ回転数を上げただけでは逆に威力が落ちるケースがあるというと、驚かれるだろうか。
 スピードがあって、ガクッと落ちて、ギュイーンと伸びるトップスピンのストロークは、むしろフラットに近い感覚で打ったトップスピンなのだ。
 説明しよう。打ち出されるボールというのは、まずラケットとボールの反発力で飛び出していく、そして空気の抵抗を受ける。トップスピンの場合、ボールがタテに順回転することで、ボールの上下を流れる空気の速度が変わって圧力差が生まれ、ボールが下向きの力を受けるために「落ちる挙動」を示すことになる。バウンド後に伸びる挙動は、まず飛行中に下向きに受けた力で飛行中のボールの軌道が下向きに変化して、地面への進入角度がきつくなって跳ねやすくなることと、回転力によるものの2種類が考えられるが、ボールの持つ質量は小さく、そして地面との摩擦力は強い。つまり、回転の維持力は弱いのだ。全く関係がないとは言わないが、トップスピンがバウンド後に跳ねるのはボールの進入角度に原因を考えた方がより実際のプレーに近い感覚になると思う。
 ということはだ、大切なのはいかに空気による影響を大きく利用するか、という点になる。さて、空気抵抗というのは速度の2乗に比例して大きくなる。つまり、わざわざ前方向にボールを押す力を犠牲にしてまで回転量を上げるより、より前方向の角度にボールを叩いて(フラット気味に)、ボールの速度を稼いだ方が、実はずっとトップスピンの威力が上げられる可能性があるのだ。
 ……いや、小難しいことを書いたが、要はもっとフラット気味に叩いてみてはどうか? ということなのだ。
 実はどうしても身体が早く開く、という原因が今イチよくわからないのだが、前に出した左手を大事に考えてスイングしてみて欲しい(左利きなら右手)。考えられるのは、強くスイングしようとしすぎて上体が早く開きすぎ、ラケットが遅れて出てくるような状態だが、これを直したいなら、前に出した左手をうまく使うのが一番一般的な方法だ(もちろん、下半身とのバランスも大切だが、左手をうまく使えれば、こっちも自然と直ることが少なくない)。本誌のアガシやヒューイットの連続写真や、このサイトの動画を利用して、彼らが左手をどう使っているか参考にしてみて欲しい。また、こうした状態は全体のパワー不足が原因ということも考えられるので、基礎系の体力作りも軽視せず取り組んで欲しい。

依頼内容321:私は、個人的に応援しているテニスプレーヤーに関するホームページを作っているのですが、そこに自分で国内外テニス観戦して撮った選手の写真を載せてもかまわないでしょうか?肖像権の問題等、すごく気になるのですが、わたしが写真を載せないと、その選手のことを知る手段はない、ぐらいな気持ちで作っています。選手達は、勝手にファンがホームページを作っているのを見て、どう思っているのでしょうか?また、肖像権の問題で訴えられた一般の人はいるのでしょうか?
岡山県のくろさん
報告321:ややデリケートな問題だ。
 くろさんのお志は素晴らしく、調査団でも応援したいのだが、法令というものは、必ずしも心意気で判断してくれない。
 テニス選手の肖像権は、ほとんどのケースでは選手個人に帰属している点が、多くのプロスポーツと異なっている(野球やサッカーなどのチーム競技では、所属チームや、協会が一括して管理しているケースが少なくない)。我々のようなメディアの場合(紙、映像)、ある人物の写真を使う場合には報道目的か商用かで大きな分かれ目が存在する。
 報道目的の場合では、それが大会期間中の写真なら、大会に対し写真撮影の許可申請を行ない、それが認められ、写真撮影の許された場所で撮影された写真であり、かつ、それが報道用である場合においては使用に制限はないことになっている。
 商用というのは、広告などに使う写真のことで、これは選手がメーカーやショップ、媒体などとどういう契約をしているかによって制限の範囲が変わってくる。「この写真であれば広告に使ってよい」という写真指定のレベルから、「このカメラマンが撮影し、選手が選定した写真であればよい」、「どんな写真でも自分の写真を広告に使うことを認める」などレベルも幅が広い。こうしたケースではそれなりの金額で選手との契約が発生しているため、利益を受けるのが誰かによって、扱いが複雑になる。例えば、テニスショップがAというメーカーの製品を特売したいと考えて、そのAというメーカーと契約しているB選手の写真を自分のお店の広告に使うということはできない。これはB選手と契約しているのはあくまでもAというメーカーであって、テニスショップではないからだ(この場合、利益を受けるのはテニスショップであって、Aというメーカーではないと判断される)。確かに時折、こうした広告を見かけることもあるが、非常に危険なケースだと思われる。
 さて、ファンの方がご自身で撮影された写真を、ご自身のホームページなどで使用したい、とお考えの場合だが、非常に難しい問題がいくつかある。
 世界には言論統制の厳しい国や地域が多い。インターネットには国境も基本的にはないためそうした
国々や、地域の言論の自由を守る、という目的で、インターネットの世界は「解放区」として法整備するべきではないという意見があったり、違反が認められた場合、作成者の居住地で判断するか、サーバーの置いてある国で判断するかなど、法の解釈が難しいという側面もあり、基本的にその国内のみに流通し、国内法の拘束を受ける紙や映像などの媒体と違って、今のところグレーゾーンなのだ。ただ、そうした情勢を逆用してなのか、肖像権や著作権といったものに関して、インターネットの世界では一部でほぼ無法地帯になっている印象を受けるのも事実だ。
 テニスの場合に考えられる危険なケースは、海外の雑誌記事(ニュース情報ではない著作物と見なされる読み物など)を翻訳して転載しているケース(翻訳した方が(C)マークを打ってご自身の著作権を主張されているケースも見かけるが、この方がその海外の雑誌社や著作権者と契約を結んだ上で掲載していない場合、購読、翻訳までは当然OKとして、掲載自体は記事の著作権の侵害と見なされる可能性があり、当然、翻訳者の著作権も保護されない可能性がある。また、その記事に対し、正式に使用契約を結んでいる企業、個人がいた場合、その権利者の権利を侵害する可能性も出てくる。ホームページへの転載は法律上の転載と見なされないという意見もあるが、それが本当に引用とみなされるかどうかは、ケース・バイ・ケースで、ここで判断できる問題ではない。仮に出典を明らかにしてあっても、鍵カッコをつけるなどして他の文章との区別をしていなかったり、原文の翻訳をまるごと掲載するのは危険だと思われる。当然、日本語で書かれた記事の引用以外の転載は言うまでもない)や、雑誌や報道媒体によって発表された写真の転載(特にページの飾り的な使用に関して)だろう。
 ご自身で撮影された写真なら、というのもケースによるだろう。自分で撮った写真には当然、著作権が発生している。これは世界中のどんな人間にも、自動的に生まれる権利だ。しかし、観客として大会に観戦に行き、撮影した写真は本来「個人使用」ということで大会や選手から撮影を黙認されているというのが現在の解釈で、大会は選手の肖像権の保護を目的として、撮影を禁止することもできる。ご自身のインターネットへの掲載が個人使用の範囲内であるかどうかは、仮に裁判になった場合に法廷が判断することになると思われ、まだここではどんな結論も出せないが、危険性がないとは言えない。
 インターネットは、法律では送信可能化権という権利に基づいた、公衆(自動)送信と呼ばれるが、多くの個人ウェブサイトの管理者の方々に意識していただきたいのは、インターネットは国内流通を主にし、かつ、有料である紙媒体以上に、ある意味で公衆性の高い媒体だということだ。日本語の環境のある端末であれば、全世界のどんな場所からでも、また、どんな人でも基本的に無料で閲覧できる(写真などの画像なら日本語環境がなくても見られる)。個人のホームページだからとかいったことは全く言い訳にはならない。多くの人間が閲覧可能なネットワーク上にデータを載せた時点でそれは公表された著作物と見なされる。これにはプロもアマも企業も個人も関係がない。著作権や肖像権に関して、くろさんのように敏感になるのは非常に正しい方向性なのだ。自宅のパソコンで、手軽に更新が可能なホームページ・メディアの場合、それが広く公衆に向けられた情報である、ということを忘れがちだが、インターネットメディアは決して「アンダーグラウンド」なメディアではなく、ウェブの開設者はそれぞれが著作者であり、そこに他人を掲載しようという場合、肖像権の問題が常に付きまとってくる、と強く意識して欲しい。
 テニス選手たちの場合、それが好意的に使用されている限りにおいては、多くのケースで好意的に接してくれるとは思われるが、もし可能ならその選手の写真を撮影する際に直接事情を説明し、許可なりなんなりを受けるのがベストだとは思う(ページのアドレスを伝えたり、体裁の見本などを持っていればなおベスト。難しいですけどね……)。ただし、かなり有名な選手になってくると権利関係の管理が本人の手を離れてマネージメント会社に移っているケースが少なくないので、「本人がOK」と言っていたとしても、後で非常に厄介になる可能性はある。この辺はご自身の責任でご判断いただくよりはないかと思う……。彼らは様々な意味で、顔や姿がすでに商品になっているという可能性があり、そのイメージの使用状態によっては直接本人が損害を受ける可能性があり、それに関連して多くの利害関係人も存在する可能性があるのだ。
 実は最近の大会では観客による写真の撮影に制限を設ける大会が出てきているのも事実だ。巷では「プロのフォトグラファーの権利を守るため」などその理由に関して色々と憶測も出ているようだが、確かにそれも理由の一つではある。しかし、それだけではない。ご理解いただきたいのは、少なくともプレスカードを付けて写真を撮影している人間の場合、大会に対して自分の身元を提出し、大会から「報道目的のみに使用するのなら、写真を撮ってもいい」という許可を得ているということ(ここ数年はテロ対策などから記者証を付けた人間の場合、パスポートのコピー、自宅の住所・電話番号まで大会に提出しているし、過去の実績も問われ、フリーランスの場合は保証人として実績のある人間や企業のサインが必要なケースがほとんど)。つまり、撮られている選手もプレスカードを付けている人間であれば、どこの誰だか調べれば簡単にわかるし、使うのも報道目的だ、と「安心して」撮られることができるが(トラブルになった場合には、すぐに連絡先も判明するし、何ならすぐに訴訟に持ち込める……)、観客の場合にはそういった背景がない、という側面もある。選手からしてみれば、観客は自分のファンであると同時に、単なる「見ず知らずの人」、にもなってしまうのだ。最近では撮られた写真がどのようにして使用されるのか想像できない、ということが出てきているのは確かで、殊に昨今はインターネットが発達したため、どんな使用方法があるか想像もできず、前述した通り法の保護もおぼつかない、となれば予防策を講じるのも当然、という成り行きなのだ(プロスポーツ選手に関しては、「顔が売れるのも仕事の内」という、その職業上の性質からある程度肖像権が制限されているのは事実だが、普通の感覚で考えれば、例えばくろさんが街中で見ず知らずの人に突然カメラを向けられて、写真を撮られたら怖い感覚が伴う、と思う。そう想像できれば、彼らが抱える不安も理解してもらえると思う)。
 一般人が……、に関して、残念ながら海外での訴訟などの詳細までは把握していないが、今のところ聞き及ばない(大会期間中の、大会でのプレー写真の使用に関して、です)。
 ただ、強く強く意識して欲しいのは、前述した通り、ウェブサイトにアップした時点で、それは広く全世界に公開されたことを意味し、一般人とか、プロのメディアだとかいった垣根はないということだ。
 日本国内のテニス関係のホームページの多くは、選手に非常に好意的に作られているものが多いので、選手たちもおおむね好意的に受けとめていて、むしろ感謝しているケースが多いように思われる。テニス選手というのは個人事業なので、自分が露出することにはメリットこそあれ、デメリットは少ないので、それが好意的な目的で作られている限りにおいては問題にされることは少ないと思われる。ただ、営利目的が明らかであったり、写真を販売してみたり、あるいはあまりにも自身のイメージを損なうような場合においては問題視される可能性はある。
 あまりお役に立てなくて申し訳ないが、以上の注意点に留意しながらご活動ください。こむつかしいことを長々と書いたが、現在の規則を四角四面に当てはめて、建前のみでお話すると以上のようなことになる。ご了承いただきたい。また、さらに詳しいことを知りたい場合、お近くの法律の専門家に相談された方が良いと思われる。

依頼内容322:スマッシュ編集部の皆さんは、最強のストローカー(ストロークのパワー、テクニックにおいて)は誰だとおもいますか?アガシ、ゴンザレス、サフィン、クエルテン、フェレーロ、あたりですか? 現役の選手でおねがいします。
福岡県のGYOさん
報告322:調査団内でアンケートを取ったところ、アガシ、ヒューイット、フェレーロ、クエルテンなどの名前が挙がったが、最強の、というのを「何をもって最強とするか」で意見が分かれた。「決めのショット」の威力ではアガシ、クレーでクエルテン、フェレーロなどだが、「ストローカーといえば、シコリ屋を視野に入れると他の名前も挙がる」という意見が出て紛糾した。「一発の威力だけを語るなら、ボブ・サップだってすごいボールを打つのではないか?」という意見まで出たし、「我々が知らない下位の選手の中にゴンザレスのようなすごいボールを打つ選手がいてもおかしくはない」という意見も出た。ボブ・サップはテニス選手ではないので除外するとして、後者はなかなか説得力がある意見だけに無視はできない気がする。
 しかし、結論として、総合的に見てやはりアガシ、クエルテン、フェレーロではなかろうか、ということになった。サフィンはビッグサービスあってのストローカーでは? という意見が出て、ヒューイットは粘り強さでは挙げられるが決めの一発の強みは少ないのではないか、というのが大勢を占めた。ゴンザレスは確かに威力はすごいが安定感に欠けるという意味で外された。
 エエイ、この際だ、これ以上調査団の和を乱さないために決めてしまおう。調査団が選定する03年初頭の最強のストローカーはアガシだ。うん、よし、決定。なお、この件についての抗議は受け付けないのであしからず。
 ……しかし、ここで忘れて欲しくないのは実はシャルケンだ。地味な存在で、全てのサーフェスで案外強いのに忘れられがちで、フォームもさほど美しいはいえないかもしれないが、あの壁のような安定感は、長くみていると感動的ですらある。確かにぱっと見は「なんだかなぁ」という選手かもしれないが、もし、GSに行くことがあったら、どうか彼の試合は最後まで見てみて欲しい。下手をすると5時間以上でも同じようにストロークを打っている場面が目撃できる、かもしれない。

依頼内容323:友達と話していて疑問に思ったのですが、ラケットのグロメットの数によって何か違いはあるのでしょうか? 教えてください。よろしくお願いします。
兵庫県の桜日和さん
報告323:グロメットの数、というのは16×19などとして表記されている、タテ糸とヨコ糸の数ということだろうか? 
 調査団ではこの数として話を進めていく。数々の意見があるが、ごく一般的に言うと、網目の目が細かいほど「面の感覚が強く手に伝わる」と言われ、選手仕様のラケットほど目が細かくなっていく傾向があり、逆に目が粗いと「面としてのしなりが大きくなりやすく、スピン性能に優れる」と言われる。
 とはいえ、張る糸の種類やテンションの強さ、面の大きさ、使う人の感覚によってはこの評価も大きく変わるのも事実だ。この少し上の方に網の目が細かくなれば、面としての強さが強くなる、と書いたが、目が粗くても糸やテンションで同じような状態は作れるのだ。また、選手が全て細かい目のラケットを使っているか、と言えば、少し前に引退したダブルス・スペシャリストの
マーク・ウッドフォードは、特注した非常に目の粗いラケットに極太のガットを張っていたりした実例もあるのでなんとも言えない。
 同じフレームに同じ糸で、同じテンションで網の目の細かさだけを変えて張った場合、細かい方が面として硬くなり、粗い方がやわらかくなるはずだ。これをどう評価するかは使用者の感覚によって異なるだろう。
 ちなみに、かつての世界No.1選手だったイワン・レンドルという選手は、「レンドル張り」と呼ばれた糸の張り方をしており、グロメットはそのままにして、タテ糸の数だけを増やしていたと言われる。なぜ、そうしていたかといえば、彼はその方が使いやすかったからだろうが、こうすることで同じテンションで張るよりも面が硬く仕上がったから、と言われている。