編集部がホンキでテスト、ホンネでリポート
ラケットfeelingインプレッション
ヤラセなし企画!
連載/第44回
2003年度総集編  部門別・好評モデルを発表!

今月の「ラケット・フィーリング・インプレッション」は、毎年恒例、お待ちかねの総集編をお贈りする。この1年間に試打した全40本のラケットを対象に、部門別の好評モデルを発表。はたして03年度、編集部員たちの賞賛を勝ち得たラケットは?

03年度のラケットの傾向を振り返ってみると、テクノロジーの進歩に伴い、多機能化およびアベレージ化がいっそう進んだように見受けられる。例えば高反発系の厚ラケでも、以前のようにひたすらスッ飛んでしまうのではなく、振ってコントロールできたり、スピンがかけやすかったりする。逆に背幅が薄いツアーモデル風のラケットでも、割と反発力があったり、優しく扱えたものが多かった。すなわちフレームの外形に関係なく、色々な機能をラケットに持たせることができるようになり、その結果、幅広い層に使える中庸的な性格を備えることになったということだろう。ウイルソン『プロスタッフツアー90』やヨネックス『アルティマムRDチタン55』のような生粋のシリアスモデルもなくはなかったが、それらはいまや珍しい存在となってきた。
 さて、こうした傾向を踏まえた上で、さっそく03年度の部門別好評モデルを紹介していこう。評価項目は「スピン性能」「スライス性能」「反発力」「コントロール性能」「打球感」「振り抜きやすさ」「ボレーのキレ」「ボレーの操作性」の8つ。編集部員5人が各モデルに点数を付け、それを単純加算。合計が多かった3本を好評モデルとして選出した。併せて各人の“03年度最もお気に入りの1本”も紹介している。

03年度の試打モデル全40機種

〈03年5月号――ヨネックス〉

〈03年6月号――ダンロップ〉

・V-CON17 spec107
・V-CON17 spec100
・MUSCLE POWER 1 Type S
・ULTIMUM RD Ti 80

・ADFORCE M1 TOUR
・ADFORCE M1
・ADFORCE T1
・SPACE-FEEL PRIME OS
〈03年7月号――プリンス〉
〈03年8月号――フィッシャー〉
・MORE CONTROL DB 850(グローバルモデル)
・MORE CONTROL DB 850(日本モデル)
・TRIPLE THREAT AIRDRIVE TG
・MORE POWER 1150 S
・PRO EXTREME FT
・PRO ?1
・PRO TOUR FT
・GDS TAKE OFF 1210
〈03年9月号――ウイルソン〉
〈03年10月号――ブリヂストン〉
・TRIAD 3 115
・TRIAD 5 113
・PRO STAFF TOUR 90
・PRO STAFF ROK 93
・WINGBEAM PS60
・WINGBEAM PG65 nt
・PROBEAM V02 OVER
・PROBEAM Z01 OVER
〈03年11月号――ヘッド〉
〈04年1月号――バボラ〉
・LIQUIDMETAL Radical OS
・i.focus Type Euro
・i.X3
・i.X5
・AERO TOUR OS
・AERO TOUR
・PURE DRIVE OS TEAM
・VS NCT TOUR
〈04年2月号――ウイルソン〉
〈04年3月号――ヨネックス〉
・H TOUR 95
・H6 110
・H4 110
・H1 OUTER EDGE 135
・V-CON 30+ spec117
・V-CON 30+ spec107
・ULTIMUM RD Ti77 MP
・ULTIMUM RD Ti55

※ここで紹介したのは、あくまで03年度に編集部が試打したラケットです。
都合により試打できなかったブランド、ラケットもありますのでご了承ください。
※03年12月号は休載しました

トップスピンをかけやすかったモデルは

●バボラ
『AERO TOUR OS』
●ウイルソン
『H1 OUTER EDGE 135』
●ヘッド
『LIQUIDMETAL Radical OS』

スライスの伸びが良かったモデルは

●ヨネックス
『ULTIMUM RD Ti77 MP』
●ダンロップ
『ADFORCE M1 TOUR』
●ウイルソン
『PRO STAFF TOUR 90』

反発力が高かったモデルは

●ウイルソン
『H1 OUTER EDGE 135』
●ヨネックス
『V-CON 30+ spec117』
●ダンロップ
『SPACE-FEEL PRIME OS』

コントロールしやすかったモデルは

●ウイルソン
『H TOUR 95』
●プリンス
『MORE CONTROL DB 850(グローバルモデル)』
●ヘッド
『i.focus Type Euro』

打球感が心地よかったモデルは

●ヨネックス
『V-CON17 spec100』
●フィッシャー
『PRO EXTREME FT』
●バボラ
『VS NCT TOUR』

ストロークで振り抜きやすかったモデルは

●ブリヂストン
『PROBEAM Z01 OVER』
●プリンス
『MORE CONTROL DB 850(日本モデル)』
●フィッシャー
『GDS TAKE OFF 1210』

ボレーのキレが良かったモデルは

●ヨネックス
『V-CON 30+ spec107』
●ダンロップ
『ADFORCE M1 TOUR』
●ウイルソン
『H TOUR 95』

ボレーで操作性が良かったモデルは

●プリンス
『MORE CONTROL DB 850(グローバルモデル)』
●ダンロップ
『SPACE-FEEL PRIME OS』
●フィッシャー
『GDS TAKE OFF 1210』
2003年度『私の最もお気に入りの1本』

37歳男性。テニス歴はブランク除き15年。身長170?。打球はフラット系のストローク好き。ある程度ラケットのパワーに頼りながら、でもスイングしてコントロールできるモデルが好き。特に最近筋力の低下を感じるのでパワーの乗り方は重視したい。

プリンス『MORE CONTROL DB 850(日本モデル)』
トータルで03年度のお気に入りを考えると、プリンス・モアコントロールDB850の日本モデル、ヘッドのi.X3、バボラのVS NCTツアー、ウイルソンのHツアー95の名が挙がる。いつもの連載でお気に入りに挙げなかったモデルもあるが、印象深さが掌に残っている。中でも最も良かったのが、杉山愛選手も使っているモアコントロール。打球感、取り回しやすさが良く、なにしろボールが伸びる感じで飛んでいくのが心地よかった感がある。あとラケットの出来の良さでは、ウイルソンのH1アウターエッジ135は特筆ものの1本。歳をとっても、これなら大丈夫。若いヤツらを翻弄できそうだ。

テニス歴10年。身長165?。30代前半女性。ラケットを振り抜くタイプで、スイングスピードも女性の中では速いほう。ポーチが好きで、ボレーのコントロール性の高いトップライトのラケットを好む傾向にある。290g前後のラケットにソフトガットを張って使用中。

ウイルソン『H TOUR 95』
高反発系のラケットが成熟してきたという印象を受けた。軽いだけではない、飛ぶだけではないといったところでの各社の工夫は少しずつ違い、打球感、コントロール、振り抜きの良さであったりした。打球感を損なわず、ラケットのアシストも得られるVコンシリーズはさすがラケットメーカーという印象だ。またハードなラケットがいい意味で降りてきてくれた印象もある。ダンロップのアドフォースM1ツアー、ヘッドのリキッドメタルラジカル、プリンスのモアコントロールDBがそれと言える。お気に入りはHツアー95。振り抜き、取り回しが良く“都合のいい”ラケットで、その他の面でも高いレベルでバランスがとれていた。

イーブンからトップライトで、しなやかな打感を持っているフレームのラケットが好み。まだまだパワーを上げられると信じる30代。とにかく振って、飛びすぎるんならスピンをかけるというタイプ。高めの打点で潰して叩くのが大好き。最近太ったのが悩み。


ブリヂストン『PROBEAM Z01 OVER』
今回は今、自分が買うとしたら、という基準で選んだ。実はウイルソンのHツアー95と随分迷った。Z01のほうが多少振動の収束が甘いという点が気になったものの、実に気持ち良くボールが打てた点が最終的に上回った。フィッシャーはグリップの形状がどうしても合わず選外としたが、それさえ普通なら、フレーム自体の出来は良く、どのラケットもかなりの好評価になったと思う。全体に厚ラケにいい出来のラケットが揃っていたという印象のあったシーズンで、中でもH1アウターエッジはほとんど反則技。どんなところで当てても、また、どんな打ち方をしてもボールが相手コートに返り、しかも、強くスイングしても食いつくという驚異の1本だった。

30代中盤の男性。テニス歴23年。ワイパー気味に振り切る典型的なトップスピナーで、食いつき感のあるラケットが好み。トップライト気味のほうがヘッドを利かせてスピンをかけやすく感じる。さらに打球感はマイルドで、少しパワーも補ってくれれば…と注文が多い。

 

フィッシャー『PRO EXTREME FT』
今年度は、一見ツアーモデルに見えながら実は意外に扱いやすく、しかも多機能を備えたラケットが多かった。お気に入りのプロエクストリームFTをはじめ、リキッドメタルラジカルOS、プロビームZ01オーバー、アドフォースM1ツアーなどもその範疇に入るだろう。ガツンと叩くこともできれば、スピンやスライスを自在にかけることもでき、そこそこ楽に振れ、反発力もある。ラケットとして成熟の域に達してきたように感じる。その中からエクストリームを選んだのは、抜群に食いつきが良く、スポーンと弾き出す打球感も絶妙だったから。スピンのかかりや伸びも十分。広範囲な性能を満たしながら、そういう個性も備えているところに惹かれた。

30代前半の女性。中学は軟式、高校から硬式を始めたベースラインプレーヤー。ラケット選びは、ストロークでラケットの威力をもらえて攻撃的なショットが打ちやすいかが重要。打球感はしっかりとつかむようなタイプが好きで、重すぎるラケットは長時間使えないからパス。実力はともかく元ジョッパー。

プリンス『MORE CONTROL DB 850(グローバルモデル)』
今まであまりプリンスのラケットは得意ではなかったが、今回は違った。柔軟さがあり、フラットでの伸びが良く、コントロールが抜群だった。高い打点から強打もスピンも打てるところも魅力。最後まで悩んだヨネックスのVコン17スペック100は打球感がほとんど気にならず、自分が打ちたい場所にコントロールできる安心感がある。ツアーモデルの中ではウイルソンのHツアー95が伸びのあるボールを打て、振り抜きやすさもある超攻撃タイプ。重さの壁さえなければ使いたいところだ。反対に当てるだけでOKの楽チン系Vコン30プラス117は、ライジングで楽に返球できてしまうので、非力な人でも攻撃できる楽しさがある。