編集部がホンキでテスト、ホンネでリポート

ラケットfeelingインプレッション

ヤラセなし企画!
連載/第76回

  いよいよこの季節がやってきた。恒例のインプレッション総集編。この1年間に連載で試打してきた40本のラケットの中から、編集部員たちが率直に「いい!」と思ったモデルを選出。スピン性能、反発力などの部門別に、好評モデルを発表する。メーカーの垣根を越えたスペシャル企画だ。

〈06年5月号――プリンス〉 〈06年6月号――フィッシャー〉 〈06年7月号――ウイルソン〉
『O3 XF SILVER OS+』
『O3 XF BLUE OS』
『O3 XF RED MP+』
『DIABLO XP MP』
『GDS Vision FT』
『MAGNETIC GDS Rally』
『MAGNETIC Twin Tec Motion』
『Twin Tec 1250 FTi』
『n5 Force 110』
『nSix-Two 113』
『nPro Open 100』
『nBlade 98』
〈06年8月号――ヘッド〉 〈06年9月号――ヨネックス〉 〈06年10月号――ダンロップ〉
『Flexpoint Prestige Mid』
『FXP Radical Team』
『FXP Instinct Team』
『S6 Liquidmetal Edition』
『RDS 001』
『RDS 003 MP』
『RQS 11』
『RQS 33』
『DIACLUSTER RIM 3.0』
『DIACLUSTER RIM 5.0』
『DIACLUSTER RIM 10.0』
『M-FIL 200 plus』
〈06年11月号――バボラ〉 〈07年1月号――ブリヂストン〉 〈07年2月号――プリンス〉
『PURE DRIVE』
『PURE DRIVE+』
『PURE DRIVE 107』
『PURE DRIVE RODDICK』
『PBV C-POWER 2.55』
『PBV C-POWER 2.65』
『PROBEAM X-BLADE 2.9 MP』
『PROBEAM X-BLADE 3.2 MP』
『O3 XF WHITE』
『O3 XF WHITE LITE』
『O3 HYBRID CRONOS』
『O3 HYBRID TOUR』
〈07年3月号――ダンロップ〉
『AERO GEL 200』
『AERO GEL 300』
『DIACLUSTER RIM 1.5』
『DIACLUSTER RIM 8.0』

※上で紹介したのは、編集部が06年度に試打したラケットです。都合により試打できなかったブランドやラケット、2度登場したブランドもありますのでご了承ください。なお、06年12月号は休載しました。

  目新しい革新は、少なかったように思う。キーワードで示すならば、「進化系」、あるいは「別バージョン」が次々と輩出されたのが06年度。新テクノロジーを求めようとするよりも、各社ラインナップの拡充、拡幅に注力した年ではなかったろうか。
  バボラは「ピュアドライブ」の振動軽減版やロディックモデルを追加。プリンスは「O3」を基軸にハイブリッドやXFモデルに展開。ヘッドは「FXP」で万人を網羅する編成を整えた。ヨネックスに至っては同社の顔「アイソメトリック」を今一度見直し、シリーズ展開を図った。
  もちろん、革新がないというのは、何もネガティブな意味ではない。すでにある高機能をより良い形で生かそうとする「成熟」だと見て取れる。
  とはいえ、新テクノロジーを見出す努力も、皆無ではなかった。構造ではブリヂストン「C-パワー」、素材ならダンロップ「エアロジェル」がこれに相当。トレンドで言えば07年度は、成熟と革新が並行して追求されていく、そんな年になるだろう。
  さて、その成熟度を増してきた06年度の部門別好評モデルを紹介していく。評価項目は8部門をチェック。テスター6人が各モデルに点数を付けてそれを単純加算し、合計が多かった3本を好評モデルとして選出した。併せて各人の「06年度最もお気に入りの1本」も紹介していこう。
◆トップスピンをかけやすかったモデルは
●プリンス
『O3 XF BLUE OS』
●バボラ
『PURE DRIVE 107』
●ウイルソン
『n5 Force 110』

◆スライスの伸びが良かったモデルは
●ヨネックス
『RQS 11』
●プリンス
『O3 XF RED MP+』
●ブリヂストン
『PBV C-POWER 2.65』

◆反発力が高かったモデルは
●ヘッド
『S6 Liquidmetal Edition』
●ダンロップ
『DIACLUSTER RIM 10.0』
●ブリヂストン
『PBV C-POWER 2.55』

◆コントロールしやすかったモデルは
●ダンロップ
『M-FIL 200 plus』
●ヨネックス
『RDS 003 MP』
●ウイルソン
『n5 Force 110』

◆打球感が心地よかったモデルは
●ダンロップ
『DIACLUSTER RIM 1.5』
●ダンロップ
『M-FIL 200 plus』
●ブリヂストン
『PBV C-POWER 2.65』

◆ストロークで振り抜きやすかったモデルは
●ダンロップ
『M-FIL 200 plus』
●フィッシャー
『GDS Vision FT』
●バボラ
『PURE DRIVE 107』

◆ボレーのキレが良かったモデルは
●ヘッド
『Flexpoint Prestige Mid』
●ヨネックス
『RQS 11』
●ダンロップ
『DIACLUSTER RIM 5.0』

◆ボレーで操作性が良かったモデルは
●ヨネックス
『RQS 11』
●ヘッド
『S6 Liquidmetal Edition』
●プリンス
『O3 XF SILVER OS+』



筋力:★★☆☆☆
技術レベル:★★★★☆
30代中盤女性。テニス歴13年。
身長165cm。
女性としてはスイングが速いほうで、球質はナチュラルスピン系。ネットにも積極的に出る。コントロール性の高いトップライトモデルが好み。
ヨネックス『RDS 003 MP』
この1年の気になるラケットは、見た目は普通なのにスイートエリアが広くて反発もなかなかというモデル。ヨネックス、ブリヂストンの出来が良かった。またプリンス、ダンロップは打球感、機能にしてもいい物が揃っており、個人的にはO3 XFホワイト、Mフィル200+の完成度の高さに驚いた。ヘッドの厚ラケの振動の少なさは秀逸。前述2本と最後まで悩んだが、今回のお気に入りはRDS 003 MP。重さが女性の私にちょうど良く、適度でシャープな弾きがあり、全てのショットでストレスがなかった。総体的にモデルチェンジの楽しさもあるが、いいラケットをしっかり売り続けていく。そういうメーカーの姿を見たい。

筋力:★★★★☆
技術レベル:★★☆☆☆
30代中盤男性。テニス歴5年。
身長170cm。
パワー志向のストローカーで、ボレーは苦手。とにかく振るのを身上にしている。イーブンからトップライトで、しなやかな打感のラケットが好み。
ダンロップ『DIACLUSTER RIM 1.5』
O3ハイブリッドツアー、RQS11と迷った。どれも「扱いやすさ」と「思ったようなボールの作りやすさ」では非常にいい印象だったが、相手にするボールがどんなボールであっても使えるという点を重視するとダイアクラスターリム1.5になった。ラケット全体のバランスがいいので、相手のボールが速くても、あるいはすごく跳ねてくるようなボールでもそれに対してスイングを用意しやすく、しかも適度な重さがあるのでボールに負けない。正直言って尖がった凄さはないのだが、それが逆にいいというムードだった。厚ラケも含め、今季は振って楽しいラケットが多かった印象が強い。世の中うまい人が増えたのだろうか?

筋力:★★★☆☆
技術レベル:★★★★★
40歳間近の男性。テニス歴26年。
身長165cm。
トップスピン主体のオールラウンダー。食いつき感があり、トップライト気味で、打感がマイルドなラケットが好み。パワーサポートも少し欲しい。
ブリヂストン『PBV C-POWER 2.65』
今季はツアーモデルの魅力を、中間層でも味わえるようにしたラケットが多かったと思う。つまり振ることを前提とした真っ当な作りで、重量は軽くしたというモデルだ。Mフィル200+などはその典型で、硬派に叩ける攻撃性と、若干のサポート性が同居し、食指を動かされた。が、僅差でお気に入りとしたのはCパワー2.65。これは、楽チンモデルを振って使えるように高めたような印象で、対象は同じ中間層でも、出発点が逆。元々の素地が優しい分、40歳間近の私には合っていた。楽に振れる上、つかまえて弾く感覚なので、ちゃんとスピンをかけてコートに収められる。苦しいときは合わせるだけでいいし、ボレーも楽。頼りになる1本だった。

筋力:★★☆☆☆
技術レベル:★★★☆☆
30代前半女性。テニス歴9年。
身長160cm。
ストローク主体だが、ボレーも練習中。攻撃的なストロークが打ちやすく、つかむような打感のラケットが好み。重いラケットは疲れるからパス。
ヘッド『FXP Radical Team』
ラジカルという名前のため、自分には厳しくて合わないだろうと思っていたけど、打ってみたら想像とは大違い。自分がしたいことを素直にさせてくれて、爽快な打球感で振り抜きやすかった。打点が遅れたときでも振り抜いていけば対応でき、今までのラジカルにない優しさに感動。自分から打っていこうと思わせてくれる、使いやすいラケットだった。同じようなテイストで気に入ったのはMフィル200+で、安定したスイングで打てる点が魅力。あと驚かされたのはブリヂストンの「楽ラケ」。本当に楽。この「楽」は当てるだけでテニスができる「楽」さではなくて、今まで通りにスイングしても、よりパワーのあるボールが打てる「楽」さだった。

筋力:★★★★★
技術レベル:★★★★☆
20代中盤男性。テニス歴10年。
身長175cm。
編集部随一の筋力を誇るパワーヒッター。大学テニス部出身で、技術も割と高い。飛びが抑えられた、スピン性能の高いツアー系モデルが好み。
ヨネックス『RDS 003 MP』
打ってよし、守ってよし。全ての性能を兼ね備えた、RDS 003 MPを年間ナンバーワンに挙げる。ヨネックスらしい独特の打球感は、柔らかく打ち心地抜群。全ての項目で高得点をマークし、他を寄せ付けなかった。昨年度のVコン17に続き、ヨネックスが2年連続で僕のナンバーワンに輝いた。次点はエアロジェル200。こちらも総合的にレベルが高く、かなり迷ったが、金属っぽい打球感が足を引っ張った。今年度は各社ともに質の高いラケットを何本もリリースしており、非常にハイレベルな戦いだった。O3 XFホワイトやCパワー2.65など、いいラケットが多すぎて、嬉しい悲鳴を挙げたくなる2006年度だった。

筋力:★★★☆☆
技術レベル:★★★☆☆
30代中盤男性。テニス歴15年。
身長164cm。
厚い握りでフラット系のボールを打つストローカー。ボールが面にのめりこむような打感が好き。重めのラケットのほうがスイングが安定する。
プリンス『DIABLO XP MP』
打感にこだわるので、そちらに重きを置く選定基準だ。ディアブロはこの上なくクリアな打ち味で、芯を食ったときには手のひらと面感覚が、ピタリと一致。だからツアー系は、ハマルと完全に心を奪われる。Mフィル200+も肩を並べた。こちらは爽快な打ち応えがあり、パーンと響き渡る打球音も心地よい。結果が出せるのはn5フォース。ホールド力が抜きん出て高く、その分スピン性が上がりコントロールもつけやすい。今のラケットはどれもこれも驚くほどハイテクで劇的な進化を遂げている。ナノだったり、穴を空けたり、電磁力だったりと。それらテクノロジーが成熟してきて完成度が上がり、極まったのが06年度ではなかったろうか。